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【完結】 次期聖女として育てられて来ましたが、異父妹の出現で全てが終わりました。史上最高の聖女を追放した代償は高くつきます!  作者: 林 真帆
第三章

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第53話 失望

「こんにちは。久しぶりね」


「えっ……? ああっ、あんたは!」


 聖女の宮殿に向かう途中、私は、農場で働いていた時に訪れていた町に立ち寄った。そして、そこで探していた人物を見つけ出し、声をかけた。


「お元気そうで良かったわ、ロザリー」


「どうしたの? そんな恰好をして。最初、誰だかわからなかった!」


 ロザリーは私の服装をまじまじと見つけた。


「その格好、何だか聖女様みたい……って、え? あれ? その紋章……まさか本当に……」


「ええ……、正確に言うと、ちょっと違うのだけれども……」


 何だか照れくささを感じ、私は小さな声で返事をした。


 ロザリーは驚きで口をあんぐりと開けていたいが、すぐに真顔に戻った。


「……で、聖女様が一体、何の用?」


 ロザリーの声色は冷たかった。それもそのはず、ロザリーは聖女に良い感情を抱いていない。だからこそロザリーに確かめたかったのだ。


「流行り病はどう……?」


「どうもこうもないよ! 農場の仲間ももう何人も……今も苦しんでいる仲間もいる……」


 涙で声を詰まらせながら、ロザリーは言った。


「薬は? 薬を飲んでいないの?」


「薬? そんなもの高くて買えやしない!」


 私は、国民全員に行き渡る量の薬を作り、それを全部フィリップに持って行ってもらった。


 馬車の中で控えているフィリップに確認してみたが、全て母に渡したとのことだった。


 私はてっきり、国民全員に無償で渡しているものとばかり思っていたし、そうしてくれることを願っていた。


 しかし、母には私の思いは通じなかったようだ。むしろ、母は完全に聖女としての有り様を失くしている。


「これを飲ませてあげて」


「薬?」


「そう。流行り病の薬よ」


 最悪の事態に備え、予備の薬を持ってきて良かった。


 だが、その最悪の事態に直面してしまった私は、母に対して完全に失望したのであった。

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