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【完結】 次期聖女として育てられて来ましたが、異父妹の出現で全てが終わりました。史上最高の聖女を追放した代償は高くつきます!  作者: 林 真帆
第三章

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第48話 祖国

 村人たちの全面的な協力により、国中に流行り病の薬を届けることができた。


 これでこの国は、流行り病の脅威から逃れられたと言ってもいい。





 ある日、私は村の老人にこう言われた。


「マリアさん、あんたはまるで隣の国の聖女様みたいだね。あんたがこの村に来てくれたおかげで、誰も流行り病で死なずに済んだ。それどころか、仕事までもってきてくれた。そう言えば、あんたは隣の国の出身だったね……聖女様はきっと、あんたみたいなお方なんだろうね。いや、私らにとっては、あんたこそが聖女だよ」


 老人はそう語りながら、目を潤ませている。


「聖女だなんて……今もこれからも私は<森の魔女>よ、いえ、薬学の知識が多少あるただの人間だわ」


 もう私は、聖女とは関係ない世界で生きていくのだから――。





「あの薬のおかげで、流行り病で命を落とす人はいなくなりました。本当に何とお礼を言っていいか……」


 フィリップが、報告を兼ねて私を訪ねてきた。


 偶然の出来事ではあったが、私の作った薬が、多くの人の命を救うことができたことを、私は素直に嬉しいと思った。


「一仕事終えたばかりなのに、このようなことをお願いするのは大変気が引けるのですが……またあの薬を作っていただきたいのです」


「予備の分でしょうか……?」


「いえ、隣国に渡す分です」


 もう二度と関わることのないと思っていた祖国と、このような形で再び関わることになるとは思ってもみなかった。

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