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【完結】 次期聖女として育てられて来ましたが、異父妹の出現で全てが終わりました。史上最高の聖女を追放した代償は高くつきます!  作者: 林 真帆
第一章

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第16話 真夜中の訪問者

「辞めた? いつ?」


 私は絶句した。


「一週間くらい前だと思います……」


 一週間前と言ったら、メアリがちょうど離れに来なくなった時期と重なる。


 やっぱり――という思いが頭をよぎった。だが、念のため、私はエマに確認してみた。


「どうしてメアリは辞めたの?」


「何でも……物を盗んだとかで……」


「メアリが? そんなことはあり得ないでしょう!」


 私は思わず声を荒げた。


 長年真面目に働いてきたメアリが、窃盗など馬鹿な真似をするだろうか?


「私だって信じられません……」


 エマはそれっきり黙り込んでしまった。


 かわいそうなメアリ! 私に関わってしまったばかりに、濡れ衣を着せられて、職まで失うことになるとは……。





 ある深夜のこと。離れに予期せぬ訪問者がやってきた。


「お父様! こんな夜中にどうされたのですか?」


「大事な話がある。中に入れてくれないか」


 私は戸惑った。つい最近、メアリの一件があったばかりだ。父がここに来たことを誰かに見られたら、父も不都合な立場に追いやられないか。


 父のことを考え、一旦は断ろうかと思ったが、父の深刻な表情を見て、気が変わった。


「どうぞ……」 


 私は父を中に招き入れた。


 そもそもこんな夜中に誰かが来ること自体驚きだが、その誰かが父だったということで、私はさらに驚かざるを得なかった。何かのっぴきならない事情が生じたのであろう。


「何かあったのですか?」


「急いで支度をしなさい。すぐにここから出るんだ」

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