表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒い覚悟  作者: ビターグラス
17 悪の心を抱く者たちの
93/96

不死性

 相手の武器は変わらず、扇子のようなものだった。世留は実際に目の前の相手と戦うのは初めてだった。同じ不死性を持つ者と戦うのも初めてだ。しかし、ここで相手を始末しないと、この先の都が大変なことになるだけでなく、彼の復讐も先延ばしになってしまうだろう。長い旅を経て、ようやく捕らえた仇。ここで倒さなくてはいけない。相手も彼の覚悟を読み取ったのか、へらへらした表情は変わらないが、自身の武器を構えていた。


 世留は刀を握る手に力が籠るのを感じていた。出し惜しみをして、取り逃すのは馬鹿のすることだ。そう思っている彼は、刀に黒いもやの力を集める。先手を取るために既に、ここら一帯の空間を隔てている。彼女もそれを理解していないはずはない。空間に干渉できる相手なら空間の変化を理解できないはずはないのだ。もし、それがわからないなら、目の前の仇には空間に干渉する超能力はなく、自分の空間を作っているのは、化け物の力だとわかる。


「死ね!」


 世留が刀を振るう。自分の前面一体に空間を斬り裂く刀身が通り過ぎる。相手は避けることもなく、その刃を受けた。体は真っ二つになったが、それも少しの間の話で、すぐに上半身がくっついた。最初の攻撃の後と同じだ。だが、同じ黒いもやの力を使っているなら、限界があるのはわかっている。何度も殺してその力を消費させることで、相手を殺すことが出来るだろう。しかし、どれほどのもやの力を溜めているのかわからない。それでも、殺し続けるしかない。世留が思考している間に、相手が動き出す。世留が戦闘するときと、ほとんど同じ速度。しかし、同じ程度であれば、彼の目に見えないはずはないのだ。相手の扇子が彼に向かって、真っ直ぐに降ろされる。刀でそれを受け止め、空中で一瞬、停止した相手の体を斬り離す。相手の体は輪切りにされて地面に引かれるが、再生速度の方が早い。気が付けば、彼女は身を屈めた体勢で、世留の腹に扇子を向かわせていた。再生能力は脅威だが、相手の戦闘能力があまりに低い。相手の扇子も簡単に刀で弾き、相手の心臓の辺りに刀を突き刺した。その位置から刀を少しだけ左右に振り、刀を持ち上げる空間を作り出し、心臓を斬り裂いて、肩の方へ刀を持ち上げた。相手は抵抗することもなく、再び死を迎える。しかし、すぐに黒いもやが彼女の傷口を多い、それが無くなれば傷は治っている。


 果てが見えない。この短時間で何度も殺したはずだ。再生の仕方も自分とは違う。もしかすると、化け物の付き人である彼女はあの化け物から何らかの恩恵を受けているのだろうか。だとすれば、相手が無制限に生き返る可能性がある。本体を倒さなければ、永遠に殺し続けることになる。ネクロマンサーの力に限りがある分、彼が負ける可能性の方が高いだろう。


 彼はそれを理解しながらも、何度も相手を殺す。どれだけ深い傷でも、浅い傷でも再生速度は同じ。相手をバラバラにして、再生中に化け物を探すことも難しい。


「いい加減、諦めたらどうかしら。ここらで、私に勝てる人はいないのよ。相手が諦めるのだから」


「そうかよ」


 彼は空間に干渉する。彼女がここにいるということは近くに黒い化け物が徘徊している可能性が高い。いくら自分だけの空間だからと言って、完璧に隠蔽することは出来ないだろう。完璧ならそもそも、出入りすることも難しくなるはずだ。彼は辺りの空間に一度に斬り離す。その斬り離す感覚は彼にもある。返ってくる感触が一部だけおかしかった。空間を元に戻し、相手の横をすり抜けて、その違和感のある場所に移動しようとした。しかし、目の前には女性が立っていた。表情が少し変わり余裕がなくなっているようだ。それは些細な変化かもしれないが、戦闘中にそこまでごまかすのは難しい。彼は彼女の後ろにある違和感が化け物の空間に繋がっているだろうと予想する。彼が彼女の肩を突き刺して、地面に倒した。そして、腹に空間の隔たりで作った刃を突き立てる。相手を地面に磔にしたのだ。相手はもがいていても、そこから抜け出すことは出来ない。もし、相手が最初から本気でこの場所を隠蔽していたのなら、ここに到達することは出来なかっただろう。もしくはこうなる前から、全力を出していたら、世留はここには到達できなかっただろう。彼は目の前の何かを超能力で斬り離した。いつものように、見た目には変化がないというわけではなく、作り出した裂け目の奥には色あせた世界が広がっていた。しかし、それは現実と比べて多少そうなっているというだけで、そこまで大きな変化はない。


 彼はその空間に足を踏み入れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ