重大な失態
四人は宿から出て、この町を出ることにした。タービュライがインレイダーから受けた依頼は結局放棄する形になってしまった。タービュライはインレイダーに事情を説明すると、彼は文句を言うこともなく、それを受け入れたようだった。そもそも、この町の事情だ。タービュライがいつまでもこの町の事情に首を突っ込むというのも変な話だと、インレイダーは笑っていた。最後にタービュライは彼に世話になったお礼をして、彼との別れを済ませた。祷花もそれに付いて行き、彼女も同じように挨拶したのだった。
宿屋の隣の厩舎から馬と荷馬車を出した。町の中では馬を走らせることは出来ないので、タービュライが馬の手綱を引いていく。路地の中で得た、黒い化け物の言った先を地図で見ると、大湖へと続く道だった。大湖ほどの大きな都であれば、あの化け物の食事には事欠かないだろう。そうなれば、被害は大きくなっていくだろう。そうなる前に追いつきたいところだ。四人は大湖へと続く道がある方の門へと移動した。
門の外でこの町に来る前と同じように、タービュライの持つ馬車の荷台に三人が乗り込んだ。タービュライはこの町で商品のほとんどを売ってしまったので、三人でも荷台は広々使うことが出来た。しかし、世留の右隣にサラが、反対側に祷花が座っているため、荷物があろうとなかろうと、彼らが使うスペースはほとんど変わっていなかった。彼らが乗り込んだのを確認して、タービュライが御者台に乗り、手綱を握って馬が歩き出した。
大湖までの道のりではかなりかかる。その間に、他の町もなくしばらく夜を超えるには野宿になるだろう。都までの道だからか、人通りは他の道に比べれば、整備もされているし、人も多い。整備されているとは言っても、道と森の間に柵が設けられているというだけだが。
タービュライはとある心配をしていた。既に起鼓詩に戻るには時間がかかる位置で、こんなことを思い出すとは思わなかったのだ。商人としてはあるまじき失態。世留とサラが戻ってきたこと。出発が急だったこともあるかもしれないが、普段ならこんなミスはしないだろう。
「すみません。みなさん。食料がありません。備蓄するのを忘れていました」
彼らは昼食を摂ろうとしていたところだった。昼は馬を動かし続けたいため、止めることなく、何か簡単な物を作ろうとしたところだったが、そもそも料理を作る前に食料がないことを思いだしたのだ。彼は申し訳なさそうに、三人にそう言った。世留は食事が必要ないため、辛いこともないが、他の二人はそうもいかない。食料がない状態で、何日も過ごさないといけないというのは無理だろう。タービュライにとっても、重大なことだ。
「あ、あの、森の中で何か狩ることは出来ませんか」
祷花が不安そうな顔をしながら、皆の顔を見てそう言った。もちろん、そこにいる全員がそれを思っていた。しかし、森の中に入り食料を確保するとなると、その度に調達に時間を取られる。足止めを食らえば、化け物たちに追いつくことが出来なくなるだろう。現時点で、遅れて追いかけているというのだから、それに時間を使えば、追いつけないというのは当たり前かもしれない。しかし、世留は目をつむって俯いたまま言った。
「そうだな。そこらへんで食料を調達しよう。タービュライ。物が沢山入る袋を持ってないか」
「ええ、ありますよ。食料用に使っていたものが、その箱の中に入っています」
彼は荷馬車の中に摘まれている箱の一つを指さした。世留がその箱を開けると何枚か袋が入っていた。その中に肉類、野菜類など、いくつか食料の種類の名前の布が縫い付けられた袋が見つかった。世留は肉類と野菜類の袋を取り出した。
「そのまま走っていてくれ。魔獣を狩ってくる。ついでに、野草でも採ってくるから」
彼はそう言って、動いたままの馬車から降りて、柵を乗り越えて森の中に入っていった。サラや祷花が付いて行くと言ったり、タービュライが止める間もなくでていったしまったのだ。三人は彼を見送る以外の選択肢はなかった。
とにかく、彼が馬車を走らせておけと言うのだから、走らせておいた方が良いのだろうと、タービュライは馬を止めることなく走らせていた。荷台にはサラと祷花がいた。ちょうど世留がいた場所を開けたままだった。考えれば、すぐわかることだが、二人はそこまで仲が良いというわけでもない。祷花はサラに助けられたが、それ以上に彼女の心の支えは世留だ。サラは彼女を助けたのだが、それ以降、特に仲良くなるようなことはない。二人きりで話したことは全くないのだ。二人の間には必ず、世留がいた。反対に世留がいないときは




