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黒い覚悟  作者: ビターグラス
10 イケメン二人と戦闘を
58/96

模擬戦、決着

 距離を取った二人は連続していた攻撃を止めて、お互いの動きをみていた。どちらからも動かず、試合は硬直していた。その戦いの様子をまだ、オグリッサも見ていた。


 今のところ、世留に怪しい動きはない。ここまでの戦闘においては、超能力を使用しているときも噂で聞いたネクロマンサーの特徴は出ていないように思えた。ネクロマンサーが必ず、率いているという死霊も未だ、実態を見せていない。既にその力を使っているのか、いないのか、それを彼に判断することは難しいことだったが、何かのきっかけで見えるようになるという話も聞いたことがあるため、ずっと二人の戦闘を見ていたのだ。だがしかし、これだけネクロマンサーの要素が世留の扱う得物だけだと言われても、疑いを晴らすことは出来ないのだ。彼はネクロマンサーに遭ったことはないにも関わらず、幼い頃からネクロマンサーの怖い話を聞いてきたため、どうしてもネクロマンサーかもしれないと思った時点で、彼はどうしても世留を信じ切ることは出来ないのだ。それは彼に根付いるトラウマのような、強迫観念のようなものなのかもしれない。だから、彼の心の動きとは別に、世留を忌避してし待っているのかもしれない。もちろん、それは意識することすらできない、無意識のことであるため、彼はそれに気が付くことはないだろう。


 相手の出方を見ていた二人。先に動いたのは、ジータル。それに合わせて、世留も動いた。ジータルの動きは先ほどよりも素早い。まるで、斧がかなりの枷だったかのような動きだ。盾も削れているとはいえ、それを感がても素早い動きだ。世留もジータルに一直線に向かっていく。それで決着するのではないかと言うような勢いだ。しかし、両社ともそのつもりはないだろう。


 ジータルは盾を地面と平行に構えて、世留に盾の底をぶつけようと盾を横に振るう。しかし、世留はしゃがみながら、草の上を滑り、盾の舌を抜け、相手の横を抜けようとしたが、ジータルが突き出した足に阻まれるが、さらに低い体勢になり、足を抜けて、相手の後ろに移動する。移動は出来たが、体勢が低すぎてすぐには立ち上がるのに、ほんの少し時間がかかった。その時間で相手は振り返るくらいの時間になる。後ろに移動したイニシアチブはすぐに消失してしまった。ジータルは振り返りながら、盾の底を立ち上がったばかりの世留の腹を狙って突き出した。世留はすぐにそれを後ろに下がってよけ、相手の盾が退いたのと同時に、前に出る、彼の持つ刀が地面を裂いて、少量の土を巻き上げながら、ジータルに迫る。その刀を縦の底を叩きつけて、受け止める。その勢いを利用して、彼は宙に飛んだ。落下と同時に、左手を握って、世留に拳を叩き込む。世留は左手でそれを受けため、顔には当たらなかったものの、左手が痺れるくらいには威力の乗った拳だった。拳を受け止められたジータルは着地と同時に横蹴りをかまそうとする。その攻撃を受けるわけにはいかない世留は刀から手を離して、その場に飛んだ。相手の横蹴りより高い位置に跳びあがり、手を頭の上に移動させる。そこでその手を刀を握る形にする。すると、盾の下にあった刀は彼の手の中に移動して、今度はジータルがピンチになった。しかし、彼は冷静に、刀を縦で防いで、盾の下で握っていた拳を世留の腹に伸ばす。しかし、世留にその拳は当たらない。いや、服にはその拳は触れていた。しかし、彼の体はそこで止まっていて、それ以上は彼の体も、ジータルの拳も前に進まない。彼と拳の間には空間の隔たりが出来ていたのだ。ジータルはすぐに手を引っ込めて、世留の行動に対して待ちの体勢になってしまった。世留は空中で空間の隔たりを踏んで跳び、再び、空中からジータルに刃を落とそうとした。盾でそれを受け止めたが、盾のひびも徐々に深くなっていく。ジータルはピンチであるはずなのに、自身が不利になればなるほど、口角が上がっていた。オグリッサから見ても、その戦闘を純粋に楽しんでいるようにしか見えない。彼はその光景に見入っていた。


 空中で繰り出した技が弾かれて、世留が地面に付いたと同時に、突きを出す。盾で確実に盾で防がれるであろう攻撃。しかし、その突きで模擬戦の結果は決まってしまった。ジータルの盾が砕けたのだ。既に盾として機能しない程にボロボロに、小さくなってしまった。ジータルと世留の視線が交差する。刀の奥にある、世留の瞳は鋭くジータルを見つめていた。ジータルはいつの間にか、自身が息切れを起こしていることに気が付いた。集中力が切れたのだ。つまりはここから戦っても勝つ未来はないということだ。一切ぶれのない、刀の先を向けられながら、ジータルは一つ深呼吸をした。


「ふぅ。俺の負けだな」


 その瞬間、オグリッサが世留に向かって走って突っ込んできているのを、ジータルは気が付いていなかった。オグリッサは何かに怯えたような表情で、自分をそうした原因を殺そうというかのような必死さを持っていた。


 ネクロマンサーはどれだけの戦闘をしても、息切れしない。そう、どれだけ激しい運動をしても、だ。


 それはオグリッサの伝え聞いた、ネクロマンサーの全ての伝承で語られることだった。

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