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黒い覚悟  作者: ビターグラス
10 イケメン二人と戦闘を
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ジータルの能力

 対峙した二人。一瞬の空白の時間があり、最初に動いたのはジータルだ。彼は盾使いであるはずなのに、先に動くというのは前衛の戦い方ではない。しかし、ジータルは既に本当に模擬戦を引き受けてくれるとは思っていなかったため、もはや、待ちの戦闘方法を選ぶことは出来ないのだ。彼は全身を隠すように大きな盾を構えて、その盾の端から斧の頭が見えている。斧の形状はバトルアックスのような立派なものではない。木こりが使うような、木の棒に金属製の頭が付いている簡素な斧だ。しかし、そう言ったものでないと、防御の隙に振るうというのは難しいだろう。根本的な話をすれば、大きな盾の振りにくい斧を合わせて使うというのは組み合わせるのに向いていない。ただ、彼は盾を使う前は斧を扱っていた。それも、左右それぞれに、簡素な斧を装備して戦っていたのだ。その名残が今の片手斧であった。


 突撃していくジータルを前に、世留はいつものごとく動こうとはしない。その視線の先にはジータルが向かってくるのを目で捉えていた。ジータル本体は盾で体が隠れていて見にくい。しかし、近づいてくるのは確実だ。そして、世留とジータルはともに、相手が攻撃の範囲内に入った。ジータルに世留の刃が迫る。その速さを見切るのは難しい。彼の持つ縦が小さかったら、守ることは出来なかっただろう。そして、ジータルを殺す気がないため、彼は超能力を使おうとは思っていない。少なくとも、絶対に攻撃には使用しないことを決めている。彼を倒すための戦いではないのだ。


 世留の刀を大きな盾で受け止めて、ジータルは斧を突き出した。その斧を刀の面で受け止めて、一度距離を取る。ジータルは世留が着地する前に、前に出る。持っている武器は斧だが、斧だけが攻撃手段ではないのだ。彼はその大きな盾を世留にぶつけようと、突進しているのだ。世留はそれに刀を打ち付けたが、勢いを殺しきれるはずもなく、ジータルとの距離が空く。しかし、その距離も一瞬で詰められる。世留に追撃が迫る。超能力を使わないと、これほどまでに戦闘能力に差があるのだ。ジータルがどれほど強いか、世留にはその素の実力差が理解できた。だから、彼は超能力を解禁する。もちろん、それを攻撃に使えば、彼を殺すことは容易いだろうが、彼を傷つける気にはなれない。だから、相手の突進を防御するために、空間を斬り離した。ジータルでもその隔たりを超えることなどは出来ず、世留が斬り離した空間にぶつかって停止した。世留はそれを解除せず、相手と一度距離を空けた。ジータルはその斬り離した隔たりの位置を探り当て、すぐにその隔たりを抜けて、世留に肉薄する。さすがの世留もその嗅覚の鋭さ、今までの相手の戦闘の経験による勘の良さに驚きを隠せない。いつも仏頂面な彼が目を大きく開けて、彼を凝視していた。


「さすが、あれだけの強さを持つだけはあるな。だが、俺相手に手加減する必要はないぜ?」


 刀と盾を打ち合わせて、ジータルが世留を挑発する。しかし、世留はそれに乗ろうとは思えない。彼は傷つけることは出来ても、治すことは出来ないのだ。


「まぁ、いいけどなっ」


 盾を振り回され、打ち合わせていた刀が弾かれる。刀を握る右手が振り上げられた。ジータルは盾を前に突き出した。世留は左手を前に出し、その盾に触れた。硬質で冷たい盾だ。世留が触れたその盾が、いきなり傷だらけになる。彼の触れた部分が一番傷が多く、そこから離れると傷の数が減っている。攻撃がどうか、ぎりぎりのラインの超能力の使いよう。だが、ジータルはにやりと笑った。世留が少しでも本気になった証拠のようで、このまま戦闘をしていけば、彼の本気と戦えるのではないかと期待しているのだ。


 傷だらけの盾に刀を打ち合わせて、傷を大きくしてく。打ち合わせる刀に沿わせて、空間を斬り裂く刃を作り出している。ジータル本人には傷はつかないが、彼の盾は、刀と打ち合うほどにボロボロになっていく。ジータルはその地味な攻撃に気が付けない。そして、ついに盾の上、五分の一ほどが壊れて落ちた。


「おいおい。マジか。すげえな」


 ジータルは驚いているようだが、そこまでの驚きはなかった。彼ならそれくらいならするかもしれないと思っていたようだ。世留もそれ程度では油断しない。案の上、盾が地面に落ちる音と同時に、彼の居た場所に斧が通った。ジータルが斧を振るったときにはもう、既にジータルの前に世留の姿はなかった。体を小さくしてしゃがんでいた。そして、ジータルの後ろに素早く移動している。しかし、彼はそこで刀を振ろうとはしなかった。彼が振り返るのを待つ。経験からの勘が働くなら、こういうときは後ろにいると予想するだろうと考えたのだ。彼はジータルが素早く後ろを確認した時には彼の横に移動して、斧の持ち手を刀で打ち、地面に突き落とさせた。不意を突かれたジータルは斧を地面に落とした。手から斧が離れる感覚を感じた瞬間に、その場から跳び、彼と距離を空けた。武器を拾っている間に攻撃されて負けるなんてことはあってはならない。攻撃よりも生存を取るのが討伐を成功させる秘訣の一つなのだ。

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