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黒い覚悟  作者: ビターグラス
9 綺麗な水の都では
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魔獣討伐

 魔獣の討伐対象は、このクリーターの周辺に出没する全ての魔獣。いつのまにか、彼の周りには魔獣が集まらなくなっていたが、その原因は彼には分らない。魔獣が集まってきていたのは、刀が黒くなったばかりのときだ。もしかすると、黒い刀が自身の体に馴染むのに、力を使っていた可能性はある。彼の元々の超能力は空間に干渉するものですらなかったのだ。彼の元々の超能力は遠くの物を手元に出現させるというもので、あの復讐を決意したあの時に、彼は知らず知らずのうちに超能力が変わったのだ。それを体に馴染ませるのに、体力を消費したのかもしれない。起鼓詩であの大量の敵と戦って、超能力を連続で使用した時も吸血したことで、体力が回復したのだ。それを考えると、吸血するためには血を持った生物が寄って来ないといけない。そのために、刀が魔獣を呼んだのかもしれない。彼は何となくそんなことを考えていた。もし、この魔獣を呼ぶ力を操れるようになれば、魔獣の討伐も簡単になると思ったが、そう簡単に操れるものではないだろう。彼は大人しく、魔獣を探すために、クリーター近くの森の中に入った。


 森の様子はどこも変わらないようで、世留がいた地域の森とあまり様子は変わらなかった。彼は適当に草をかき分けて森の中を進んでいく。歩いていると、彼が見たことのない魔獣が彼の周りに集まってきた。四足歩行で、灰色の体毛を持っている狼のような見た目の魔獣だ。鋭い歯が魔獣の口から覗いていた。魔獣は躊躇なく、世留に襲い掛かる。サラには少し離れてもらい、戦闘の邪魔にならないようにした。彼は食らいつこうとしている魔獣たちを順番に切り裂いていく。できる限り超能力は使わず、刀を振るうことで魔獣たちを処理した。それからも、次々と魔獣を見つけたり、見つけられたりしながら、魔獣を討伐していく。サラも彼に付いて行っているが、顔には疲労がありありと浮かんでいた。それでも、討伐して金を稼がなければ、宿に泊まることもできない。サラには辛いことだとわかりながらも、世留は魔獣を倒すしかなかった。何度か、サラが襲われそうになった場面があったが、遊羽の亡霊が彼女を守っているので、問題はなかった。サラは既に注意力が散漫で、彼女自身が襲われそうになっていることに気が付いていないこともあった。


 しばらく森の中に籠り、魔獣を五十匹以上討伐したところで、世留はクリーターに戻ることにした。来た道はわからないが、とにかく森から出れば、道が出てくるはずなので、彼は明るい方向へと移動を始めた。案外、森の奥の方に来てしまっていて、道に出るまでは少しかかりそうだった。サラを横抱きした方が良いか思い、サラにその提案をすると、俯いて拒否された。未だに、自身の国で起こったことを気にしているのかと思ったが、そういう雰囲気ではない。それ以上のことは彼には分らなかったが、彼は気にしないことにした。何にしろ、今は彼女を守りながら、魔獣の討伐をするしかないのだ。彼がそんなことを考えながら、辺りを見回すと、沢山の花がくっついた岩を遠くに見つけた。その花には蝶が群がっているようで、遠くから見ると目立つ場所だった。こんな場所にそんな光景があるのはどこか不気味だ。世留は魔獣も集まっているかもしれないと考えて、その岩に近づいていく。サラには、この場所で待っているように告げた。世留がそれに近づいていくと、蝶が逃げていく。それに呼応するように岩が、ぐらりと揺れる。どこかに転がるのかと思ったが、岩肌はゆっくりと上に持ち上がった。そして、その岩は広がっていき、岩の中に隠していたかのように、三角形のような形の顔が出てきた。


 短い手に、太い足。口から覗く歯はどの歯も鋭く、歯並びがいい。太い足は、鱗が綺麗に並んだ重そうな体を支えていた。その魔獣が世留に気が付いているようで、顔だけを彼に向けた。魔獣はゆったりと足を上げて、体を回転させる。正面に世留が来るように移動して、魔獣と世留はようやく対峙した。世留はそこから動くことはない。彼はここら辺に生息する動物だと思っている。魔獣でないなら、世留に攻撃することはない。わざわざ勝てない相手に攻撃を仕掛ける動物はこの世界では生きていけないのだ。しかし、魔獣であるそれは口を開けて、その奥にあった舌を見せた。その口いっぱいになるほど長い舌。その先端が口の先端に乗っている。そして、その舌が世留に向かってかなりの速度で伸ばされていく。世留はそれを何とかぎりぎりで大きく飛んで躱した。そこでようやく、世留は目の前の動物が、動物ではなく魔獣であることに気が付いた。見た目はファンシーだが、行動はかなり凶暴な相手だ。世留は黒い刀を握って、戦いに臨んだ。

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