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黒い覚悟  作者: ビターグラス
9 綺麗な水の都では
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クリーターのギルド

 クリーターの門では、騎士のような鎧を着た兵士が門の前に立っていたが、特に街に入るのに、何らかの検査などをしている様子はなかった。町に入る人も出る人も特に引き留められることなく、町を出入りしているようだった。世留はそれは助かるが、この町の治安は大丈夫かと心配になった。


 世留ももちろん、兵士たちに止められることなく、町の中に入った。サラもその後ろについて移動していく。若しかしたら、この町のも自分たちの命を狙う人がいるかもしれないと、木を引き締めて、注意深く町の中を歩く。


 クリーターは白い外壁の建物がほとんどの町だった。あまり大きくはなく、きっとフェリアがいた福道町と同じくらいの大きさだろう。しかし、あの町とは全く雰囲気が違う。あの町と同じような様相はどこにも見当たらない。ある程度人は行きかっているが、人がよく集まるような街ではないようで、起鼓詩ほどの人はいないようだった。彼らが町の中に入っても、二人を見て何か怪しい視線を送るような人はいないようだ。すれ違う時少し見られる程度だ。あの都からは特に手配書のようなものは出ていないようだ。


 世留はまず、冒険者ギルドに行くことにした。サラを休ませるために、宿に入ろうとしたところ、宿屋の前の看板に描かれた料金表を見ると、金銭の単位が円ではないことに気が付いた。世留は初めてあの地域から出たが、それに動じることはなかった。その代わり、フェリアの言葉を思い出した。遠くの土地では円は使われてないから、地域の境目でお金は両替しないと所持金がないのと同じになる。そして、世留は地域の境目を通ってきてない。つまりは、所持金ゼロと同義だ。だから、まずは冒険者ギルドで少し仕事をしなければいけない、と言うわけだ。


 幸い、冒険者ギルドは彼らが借りようとしていた宿の近くにあった。見た目は他の建物と同じく、白を基調とした建物で、そこがギルドだと示す看板はそこまで大きくはないため、探していなければ見つけられなかっただろう。両開きの飾りのない扉を開いて二人は中に入った。




 ギルドの中は、フェリアのギルドとは違い、丸テーブルと四脚の椅子をセットにして、それが六つほど並んでいて、それがあっても、掲示板の前は広く、多くの人が行き来しても通れなくなるということはなく、受付の前も広い。受付には人が三人いる。仕事の依頼を受ける場所に、その依頼を受ける場所、仕事の達成を報告する場所と、それぞれがそれぞれの役割があるようだ。


 世留がギルド内を見回している間にも、彼に視線が注がれる。それも当然で、彼の身なりは明らかにここらでは全く見ない服装だ。ギルド内にいた冒険者でないものも、彼に視線を向けていた。世留は大して、その視線を気にする様子はなく、ギルドの掲示板の前に移動した。依頼の量もフェリアのところよりかなり多く、全てに目を通すはまず一日では無理だろう。しかし、親切なことに、依頼の内容によって、春場所が分けられていた。世留は迷わず、討伐依頼がまとめられている掲示板の前にきた。それでも依頼の量は多い。彼は報酬額を考慮して、あまり時間がかからなさそうなものを探す。その中で、クリーター周辺の魔獣討伐の依頼があった。彼はそれを見つけた瞬間、すぐにその依頼の紙を手に取った。常にある依頼のようで、討伐数に応じて報酬が支払われるらしい。魔獣の強さと数で報酬額が決まるらしい。彼はその依頼を受付で受けることにした。


 受付でフェリアに作ってもらったギルドカードを見せて、この町でも依頼を受けられることを確認して、魔獣討伐の依頼を受けた。受付の女性は世留を見て、不思議そうな顔をしていたが、特に何も言うことなく、依頼の受注をした。世留はお礼だけ言って、サラを連れてギルドを出た。彼はすぐに魔獣討伐の依頼に行く予定だった。




 ギルドに彼が入ってきたときから、ギルド内のほぼ全ての人が彼に奇異の視線を送っていたが、二名だけはちらと見ただけだった。その二名は二人組のギルド登録者だった。


「なぁ、オグリッサ。今のあれ、どう思う」


「どうって? 服装以外に変な所はなかったと思うけど」


 片方は短いサラサラの金髪で細い輪郭でかなり顔が整っている。彼は騎士ではないが、騎士のように全身を鎧で包んでいる。彼の背には彼を隠すことが出来るほどの大きな盾と、片手でモテる程度の大きさの斧があった。もう一人は青い髪と青い瞳で、こちらも全体に細く、整った顔だ。彼は青い短いマントのようなものを羽織った軽装で、腰の辺りには二本の短剣を携えている。


「ジータル。ほどほどにな」


「ああ、そうだな」


 二人のうち、金髪の男性が鎧を鳴らしながら、ギルドから出ていった。青い髪の男はやれやれと呟いたが、出ていく彼を見送るだけだった。

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