VSスキンヘッド&マント
倒れた男を認識せず、次の相手が攻撃を仕掛ける。世留が繋がる空間を操作して、相手の斧が自身の近くに来るようにする。その斧を頭と木製の握る部分とを刀で切り離した。相手はいきなり、重量が変化したため、体勢を崩した。その隙に腹に剣を刺すと、刀が久しぶりの血だと言わんばかりに、相手の胴から直接吸血した。血が無くなり、そいつは青い顔で絶命した。続けて、鞭の短剣での攻撃。迫る短剣を刀で弾こうとすると、短剣は軌道を変えて、刀の内側に食い込むように剣筋が移動した。世留はそれを認識して、刀をずらして相手の手首を切り落とす。それでも相手はひるむことなく、もう一本の短剣を突き出した。刀をずらしたことで、世留の胸の辺りががら空きになってしまっていた。世留は刀を動かさずに、刀を持たない手で短剣の持った相手の手首を取って、相手を引き寄せ、相手の移動先に刀を置いた。刀に相手の体が触れる感触を感じた瞬間に刀を軽く引く。それだけで、相手の胴から血が溢れた。一滴残らず、刀が血を吸う。三人やったところで、相手が攻撃を止めた。勢いで挑んでも、勝てないことを悟ったのだ。それでも、世留を殺すことを諦めたわけではなかった。だが、世留を前にして、動きを止めてはいけなかった。空間の繋がりを完全に元に戻して、今度は刀を伸ばすように見えない空間を切り裂く刃を作り出す。その刀を横に一閃すると、そこにいたほとんどの物は腹や足、腕など、体の一部を斬られてその場に崩れた。その攻撃でも残っていたのは、スキンヘッドの男、全身マントの者、世留に話しかけていた男と、未だ屋根の上から攻撃してきていた弓を引いていた五人と、まだ攻撃してないであろう魔法使い五人だけだ。それ以外の者は、死んでいたり、死んでいなくとも戦闘に参加できない状態になっていたりする者たちだけだった。
「……あんた、ナニモンだ。あんたみたいに強い奴、この町どころか、ここら周辺にはいなかったはずだ」
交渉を持ちかけていた男が、世留を睨んで、彼を訝しんでいた。ここまで強いとギルドでも話題に上がるはずだ。だが、世留はそう言ったことはなかった。しかし、それは当たり前のことで、彼はここら辺のに来たのも初めてなのだ。この町で彼を知っている者などいるはずがない。ましてや、彼の実力を知っているはずはないのだ。
「黙ったままか。まぁ、なんでもいいか」
男は溜息を吐いて、手をひらひらと動かした。そして、世留に鋭い視線を送った。
「どうせ、ここで死ぬんだからな」
その言葉を合図としてスキンヘッドの男と、全身マントに身を包んだ相手が世留に向かって走る。スキンヘッドの男はドスドスと大きな音を立てながら走り、その横を素早く抜けてくるマント。そのマントの下は全く見えない。走って揺れてもマントから相手の姿は足や手の先すら見えない。世留はその場からその二人が向かって言っても、その場から動くことはなかった。マントが素早く目の前に移動したと思ったら、すぐに視界から消えた。視界にいなくても、後ろに回ったことはすぐに理解できた。視界から消えた後に移動する場所は背後と決まっているのだ。世留は背後の空間を切り離して、空間の壁を作り出した。マントは世留が動かないのを完全に、自分の動きについてこれていないと思って、マントの下から、片刃のナイフが出現し、それが世留に向けて振り上げられた。しかし、振り上げる前に、空間の壁に当たり、ナイフは弾かれた。しかし、マントは諦めず、もう片方の手に握っていた片刃のナイフを突き刺そうとしたが、もちろん、それが世留に当たるはずもなく、弾かれた。マントはそこからの攻撃に意味はないと判断して、その場から消えた。しかし、気配は消すことが出来ず、世留はそれを追跡しながら、ついに目の前に来たスキンヘッドの相手をすることになる。一撃でももろに食らえば、死ぬかもしれないと思えるほどの腕の太さ。その太さから繰り出されるパンチは、かなりの威力だろう。世留は刀を拳に打ち付けた。刃が拳に当たっているはずなのに、相手の拳に傷はついていない。それがスキンヘッドの男の超能力であることは確実で、力強いパンチに、硬い拳とくれば、余計に当たりたくはない拳だ。相手の拳が離れるのと同時に、男の足元からすり抜けるように、マントが出現し、ナイフが世留の首元目掛けて、突き出された。彼はその腕を切り落とそうとしたが、彼の刃が当たる寸前で、腕が引っ込められた。今まで、同時に彼を襲っていた敵よりは、考えることが出来るらしい。スキンヘッドの男は腕を振り上げ、再び世留に拳を振り下ろそうとした。




