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黒い覚悟  作者: ビターグラス
7 賑わう町で
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狙われていた真深佳

「おい、兄ちゃん。それを渡せよ。そいつは俺たちにとっては、不安の種なんだよ。それを渡せば、兄ちゃんは逃がしてやるからよ」


 世留と真深佳の正面の五人の中の、真ん中にいた右耳にピアスを三つつけた男が、一歩前に出た。世留はフェリアから教わったことを思いだした。何かを対価に、逃がしてやるという奴は逃がしてくれないから、渡すなと言う話だ。身を守る上では大切なことだと言われたのだ。つまり、今、彼が取るべき行動は一つだ。


 彼は刀を振るい、相手の一人を戦闘不能にした。片腕を吹っ飛ばして、それが持つ武器をバラバラにしたのだ。それを一太刀で行ったように見える速度。しかし、人数差のせいか、相手に怯んだ様子はない。それどころか、仲間をやられたことで士気を上げているように感じる。


「ほう、それが答えってわけか? もう一度言ってやってもいいが、仲間一人傷つけられて黙ってるわけにもいかねーよな」


 男が、周りの奴を鼓舞するように語りかける。周りの奴らは大声を上げることはなかったが、今にも飛び掛かってきそうな勢いだ。


「行くぞ、お前らっ。こいつらをぶっ殺せ!」


 男の言葉を合図に、全方向から彼らを狙う攻撃を仕掛けた。攻撃のほとんどは真深佳ではなく、世留に向かった。それもそのはずで、見た目から強そうな方に攻撃を集中させたというだけだった。真深佳の方にはたったの三人。傍から見れば、無防備で非力な少女が一人でいるようにしか見えないのだから、彼女の相手をする人数としては、多いと言えるかもしれない。しかし、彼女に攻撃できるものは一人もいなかった。何かに見えないものに当たって、攻撃が全て防がれている。真深佳を狙る者たちは真深佳の持つ超能力だと思っていた。それを破る方法を差がしながら、攻撃を続けていた。しかし、実際に彼女を守っているのは遊羽の亡霊だ。亡霊の持っていう見えない黒い刀で、攻撃から彼女を守っている。どんな場所、どんな方向から攻撃が来ても亡霊は確実に対応していた。真深佳を狙う三人は手で合図をした。その合図は、別方向から同時に仕掛けるというものだった。相手の三人は素早く移動して、同時に攻撃を仕掛ける。全員が持っていた短剣が真深佳に向けて振られた。しかし、全て同時に弾かれた。それどころか、相手が仰け反るように短剣を弾いて、その胴に見えない突きが刺さる。それは一回で終わらず、三人が動かなくなるまで続いた。突きを抜いた後に流れる血は全て、亡霊に吸収されていく。真深佳を殺そうとしていた者たちは殺された。


 世留の相手は十人以上。最初に、世留に話かけていた男はその場から動いておらず、そのほかのメンバーが一斉に世留に襲い掛かった。世留は全くその場から動かない。様々な凶器が彼に向けられている。しかし、その凶器を全て、彼ははじき返した。彼の近くに来た攻撃は全て、一定の範囲に近づくと同時に、武器が何かに当たり、弾かれた。しかし、世留には動いている様子はなく、時折目を瞑っているように見える。そのタイミングで攻撃しても弾かれるばかりだ。相手はそれにイライラしていたが、世留がそこまでしても反撃してこないのを見て、反撃するような技はないと見た。これだけの攻撃を続けていれば、反撃の隙など無いのだと考える者もいた。そして、それは攻撃を続けていれば、いずれ攻撃は弾けなくなると思って、攻撃を続けていた。勝てると思えば、少し疲れてきても攻撃を止めることはない。だが、徐々にその勢いに衰えが見え始めた。それもそのはずで、いくら人数が多くても、全員で全力で攻撃していれば、疲労が溜まる速度も速いに決まっている。


 世留は全ての攻撃を空間を切り裂いて、相手のいる場所と世留の周りの空間は空間自体が繋がっていない状態になっていた。魔気の流れが止まると彼も死んでしまうので、所々は繋がっているもののその隙間を狙って攻撃できるものなどいない。そもそも、空間が切り離されているということ自体、誰にも認識できないのだから。世留は相手の勢いがなくなってきたところで、黒い刀の先を少しだけ上げた。それから切り離された空間を少しだけ元に戻して、外の空間と繋げる。世留が相手の一人が繋がった空間に剣を刺しこませる。相手はついに、剣が弾かれなくなったと思って、にやりと口角が上がった。しかし、その剣を握る腕が急に軽くなった。剣を引き抜こうとしても、剣を握る感触がない。やはり、結局剣が弾かれて手から離れたのかと思って、視界に映っているはずの剣に意識を映そうとしたが、視界に剣は映っていない。剣がどこに行ったかと瞬時に探せば、剣先が視界の端に映り、剣が地面に落ちているのがわかった。素早く拾おうとしたが、何度やっても拾うことは出来ない。そして、素早い思考の中で、ようやく腕全体の感覚がないのだ。そして、剣先からたどれば、剣のグリップ部分は誰かが既に握っていた。そして、その手の先は胴体がなかった。それが自分の腕だと気が付いたときには、自身の体は地面に倒れていた。何が起こったのかわからず、混乱したまま立つこともできずに男は伏していた。

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