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黒い覚悟  作者: ビターグラス
7 賑わう町で
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真深佳と二人で

「もし、予定がないのでしたら、わたしと町を歩きませんか」


 真深佳は、世留の袖を引いて、彼の瞳を見つめていった。そこに何かの意図があることはわかっていたが、それが何かまではわからない。世留と手合わせしたこともおかしなことだが、もしかするとそれもこの行動の意図に関係あるのかもしれない。彼は何か、事情があるのを理解した上で彼女と共に町を歩くことにした。


 彼女は世留の二の腕辺りに身を寄せて、腕を掴んで歩いていた。傍から見れば恋人同士に見えなくもないだろう。ただ、世留の持つ雰囲気がそう思わせることはないだろう。


 世留は歩きにくくて仕方なかった。しかし、彼女の手が少し緊張しているのが、捕まれた腕から伝わっていた。顔こそ、そこまで動かしていないが、視線は路地などの暗がりの向いているようだった。世留はそれに気がついていても、特に指摘することはなかった。


 しばらく、町を歩いたが、どの通りも賑やかだ。店がなくても、人通りはなくならず、この町の住人たちはよく喋っている。


 いつのまにか、世留は真深佳に手を引かれていた。もう視線を隠そうとはせず、キョロキョロと何かを探していた。世留にはやはり、それが何かはわからない。


「真深佳。どこに行きたいんだ」


「あ、その……」


 世留が声をかけると、彼の腕から手を離し、声を出さずに口を変形させる。その口の形には意味はなく、単純に焦っているだけのように見えた。彼女は未だ、辺りを気にする仕草をしていた。そして、彼女は何かを見つけると、世留の腕を今までより強い力で引いて走り出した。


「ごめんなさい。でも、逃げないと。ここで捕まるわけにはいかないんです」


 彼女の言っていることがよく理解できないが、逃げるしかないというのは理解できた。彼は彼女に合わせて走る。そして、彼は後ろに視線を向けた。二人に視線を向けていたのは、町にいる人々より頭一つ大きいスキンヘッドの男。筋肉もかなりついているようで、掴まれれば逃げ出すのは難しいだろう。世留にはあまり関係のないことだが、真深佳が掴まれたら彼女自身の力では抜け出せないかもしれない。




 スキンヘッドの男は、ついに捕まえないといけない対象を見つけた。悪事をみられてしまったあの女は逃がすことは出来ない。一度、町から離れたというのに、用心棒か何かは知らないが、細い男を連れて戻ってきたのだ。捕まえて殺すのには好都合だ。男は全力でその女を捕まえようと走る。その男の影に隠れるようにもう一人、小柄な全身をマントで多い、性別すらわからない人がそこにいた。その人は、男から話を聞いて、二人を暗がりに追いつめた方が良いと、助言した。その言葉に素直に頷いた。影からその小柄な人が抜け出して、素早く移動し始めた。




 世留は自分に向けられた殺意をいくつか感じていた。正確には、自分だけはなく真深佳にも向けられているようだった。人通りが多い場所であれば、すぐに仕掛けてくるということはないだろうが、この賑わった町を走り続けて逃げ切るというのは難しいだろう。路地にでも入ろうものなら、餌食になるのは間違いない。路地に入らないように移動したいと考えている間に、真深佳にグイっと腕を引っ張られた。向かっている先は建物と建物の間の細い道に入ろうとしていた。なぜ、いきなり方向を変えたのか、道の先を見ると、そこには二人を見ている全身マントで包んだ何者かがそこにいた。明らかに怪しいのに、誰もその人に目を向けない。だというのに、真深佳と世留だけには認識できている。それが、その人の超能力なのかもしれないが、それを確かめる間もなく、細い道の中に連れ込まれた。


 真深佳が路地を息を切らせて走り抜けていく。明らかに誘導されているのに、世留は気がついていたが、真深佳はそんなこと気にすることはできていないようだ。それほどまでに、あの二人が怖いのだろうか。考えている間に、敵意が近づいてきてるのがわかった。そして、ついに正面に五人の怪しい奴らが出てきた。そこで待ち伏せしていたのだろう。彼らは、にやりと笑っていた。そして、後ろからスキンヘッドの男が現れ、男の影から全身マントが現れる。そして、路地を作る建物の屋根にも敵はいる。完全に取り囲まれている。もし、空を飛べても確実に落とされるだろう。ただ、これだけの数の敵から焦った真深佳を守りながら倒すことは出来るのだろうかと考えてしまう。しかし、彼は一人ではない。真深佳を守るのは遊羽の亡霊に任せればいいのだ。世留の手に黒い刀が出現した。その刀がいつ現れたのか、それは誰にもわからない。しかし、その刀を見て、二人を囲む者たちもそれぞれの武器を構えていた。


「世留、さん。ごめん、なさい。こんな、事に、巻き込んでしまって」


 真深佳は泣きながら、謝っていたが、世留は大して気にしてないようだった。

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