賑わう町
模擬戦を終えて、真深佳が荷馬車の中で汗を拭いた。その間に、タービュライが荷物を積めば、すぐに出発できるように準備していた。
「すみません。お待たせしました。もう大丈夫です」
荷馬車から、真深佳出てきて、彼女も身支度が終わったようだった。彼女が荷馬車から降りた後、サラと祷花、世留が荷馬車に降ろした荷物を積んでいった。真深佳もそれを見て、荷積みを手伝っていた。
「今日中に次の町に着くと思います。それでは、出発します」
今日もようやく、馬車が動き出した。
しばらく、道通りに馬車を走らせると、木の策で囲われた町が見えてきた。この町にも門があり、そこに数人、人がいた。その人たちは、門のところにいる帯剣している人と話しているようだった。おそらく、帯剣している人が門番なのだろう。その門の場所に馬車を移動させた。
門の近くによると、門の先、町の中が見えた。見てすぐにわかるのは活気がある町だということだ。門をすぐ入ったところで、多くの店が並んでおり、それぞれの店員が自身の店の商品をお勧めしているようだ。
「次、どうぞ」
門番がタービュライに声をかけた。手続きとしては、この町で何をするのかをいうだけだった。それを話すと、この町のどこにどの店があるのか記したマップと、滞在許可証と書かれた木札を、人数分貰った。それから、門を潜らされて、町の中に入った。門を入ったところに馬車を留めておく建物があり、馬もそこで預けることが出来るようだった。しかし、タービュライはそこに馬を預けることはしなかった。全員、荷馬車から降りて、タービュライが馬を引く。
門のところから見た通り、門から続く中央の通りにはいくつもの店があり、活気があった。食材を売っている店がほとんどだが、その食材を使った料理店や屋台などが並んでいた。その通りを進むと、宿屋が何件か見えた。それぞれ特徴があるようで、それぞれの宿の外に看板が出ていた。安い宿は泊まるだけであったが、宿泊料が高くなるほど、様々なサービスがある宿になるようだ。タービュライは中間より少し高い宿の中に入っていく。世留、サラ、祷花は同じ宿に入っていくが、真深佳はその宿に入ることはせずに、声をかけた。
「私は先にギルドで報酬をもらってくるから、この宿の前で落ち合うってことでいいですか」
「ええ、構いません。この宿の隣の建物の中で、荷物の整理をしていますので、声をかけて下さい」
「わかりました。それでは」
真深佳はそう言うと皆の前から去っていった。
「では、四人分の宿泊手続きをしてきますので、少し馬車を見ていていただけますか」
三人は素直に頷いて、馬車を見張ることにした。
少し待っていると、宿の中からタービュライが出てきて、馬車と馬を隣の大きなログハウスに移動した。タービュライ以外の人は、見張りを止めるときに宿の部屋の鍵を渡されていた。四人とも別の部屋で、部屋は二階で連番だ。
「わ、わたしは、少し休みますので、何かあれば部屋に来てください」
「私も休むことにします」
女性二人は宿の中に入っていく。世留も休もうと宿に戻ろうとしたところに真深佳が息を切らせて、額に汗を流した状態で現れた。
「す、すみ、ません。い、急いで、来たのですが、タービュライ、さんは、いますか」
世留はタービュライが入っていった建物を指さした。彼女は疲れた様子でその建物に入っていこうとしたところで、タービュライが出てきた。
「ふぅ。思ったより、消費してましたね」
そんなことを言いながら、彼は真深佳が来たのを見つけた。
「あ、そんなに急いでくれたのですか。もっとゆっくりしていても良かったのに」
「いえ、こういう、ことは、早い方が、いいと思いましたから」
彼女はタービュライの前に、袋を差し出した。そこに彼へと支払う金銭が入っているのだろう。タービュライは袋を受け取って、中身を確認する。その中から、何枚か硬貨を取り出して、真深佳に渡した。彼女は不思議そうな顔をして、タービュライを見た。
「これは貰いすぎですから。お礼は気持ちで十分ですよ」
彼女が渡した料金は、タービュライが伝えた料金より気持ち多めであった。それは彼女の感謝の心であったが、それが通常よりかなり多かったのだ。商人である彼はチップという文化を知ってはいるが、それももらいすぎると後々、ツキが無くなると考えている。どこかでした得は、どこかで損になる。どこかでした損は、どこかで特になる。彼はそう感がている部分がある。相手があくどいやり方をする客なら、料金を多く取る場合もあるが、真深佳は走って料金を払いに来るほど誠実な人間なのだと、彼は感じた。だからこそ、ここでもらいすぎると、後に大きな損があるだろうと考えた。そのため、貰いすぎないように返したのだ。だから、それは常識や善意ではなかった。しかし、外から見れば、それは彼が誠実な人間に映る。商人にとって一番大切なのは人からの信頼であった。
料金をもらった彼は再び、馬車を止めた建物に戻ろうとしたところを彼女は引き留めて、お礼を言った。それを笑顔で受け止めた彼は今度こそ、建物の中に入っていった。
それから真深佳は世留の近くによっていった。




