11 氷の呪いと恋心
ーームール食堂ーー
俺はマーリアと食事の後、お茶をしていた。
マーリアは終始真っ赤な顔でお茶をすする。
「タ、タケル様のことがもっと知りたいです」
「俺か? 俺はしがない城兵だよ」
「将来の夢はあるのですか?」
「そうだな……。今みたいにさ、静かにお茶を飲みたいな。そんな平和な毎日を送りたいんだ」
「ああ……。とても素敵です。そ、そのお茶には私も誘っていただけるんでしょうか?」
「ハハハ。勿論さ。マーリアが良ければね」
「是非誘ってください! 私、パイを焼くのが得意なのです! 梨と林檎のパイ! とっても甘くて美味しいんですよ!」
「へぇ〜〜。それは美味そうだな。とっても食べてみたいよ」
マーリアはうれしそうに茶をすする。
「タ、タケル様は、その、く、国の運営とかには興味はありませんか?」
「内政のことかい? そんなのは国王の仕事だろ? 俺は興味ないよ」
「そ……そうですか……」
と言った後に、「最悪は、私が姫を辞めて一般市民になればいいのよ。身分差なんてなんのその!」というつぶやきが聞こえてきた。
一体なんのことだかさっぱりわからない。
マーリアはニコニコと笑った。
◇◇◇◇
俺達は店を出た。
向かいの屋根に1羽の真っ黒いカラスがとまっているのが見える。
そういえば、あのカラス……。
店を入る時にもいたな……。何か妙だが……。
「私、こんなに楽しいお茶をしたのは生まれて初めてです!」
マーリアは呪われているのが嘘のようにはしゃぐ。
俺も少しは役に立てたようだな。
さて、どうやって呪術士を見つけるか……。
マーリアは胸を抑えた。
「タケル様。私、こんな気持ち初めてなんです。ああ、今、とっても幸せです!」
「腹が膨れると幸せになれるよな」
「あら、そんな気持ちじゃありませんよ。もっとこう……。とっても幸せで、私……。もう気持ちが爆発しそうです!」
震え出す彼女。
様子がおかしい。
「マーリア? 大丈夫か?」
「か、身体が……。さ、寒い」
いかん! 呪いか!?
見渡すと、辺りは氷の結晶が現れてカチンコチンと地面に落ちていた。
さっきの現象と同じだ!
何か興奮することでもあったのか?
マーリアの身体はパキパキと音をたてて凍り始める。
俺は彼女を抱きしめてスキルを発動させた。
「スキル闘神化、灼熱血行!」
俺の体熱は高温と化す!
ジュウ〜〜と音を立てて、マーリアの氷は溶けていった。
「マーリア大丈夫か?」
「タケル様!」
彼女は俺を強く抱きしめる。
マーリアが心配だ。
今後のこともあるし、原因を探ろう。
「マーリア。どうしたんだ? 何か気持ちが高まるようなことがあったのか?」
「タ、タケル様……。私……あなたの事が……。ああ! もうどうしていいかわかりません!」
そう叫ぶと、再び凍り始めた。
「いかん! スキル闘神化、灼熱血行」
再び氷を溶かす。
俺と彼女からは熱い湯気が立ち上る。
通行人は足を止めてつぶやいた。
「いやぁ〜〜。熱々のカップルですなぁ」
何を呑気な事を!
「マーリア。落ち着け。深呼吸だ」
「ハ、ハイ! スーハー、スーハー」
落ち着いたのを見計らって、俺は彼女の顔を覗いた。
優しく微笑む。
「マーリア。大丈夫か?」
それを見たマーリアは真っ赤な顔になり、再び凍り始めた。
「タ、タケル様! 離れてください! 私、やっぱりダメです! とても落ち着けそうもありません!!」
「いや無理だ! 俺のスキルは君の身体に触れていないと効果がないんだ!」
「タケル様! タケル様ぁぁああ!!」
「マーリア。落ち着け。深呼吸だ」
こうして、マーリアが落ち着くまでに5、6回溶かしたのだった。
次回は勇者グレンのざまぁ回(๑>◡<๑)
みんなで笑ってやりましょうw
本日夜頃に投稿予定。ブクマしてお見逃しなく(//∇//)
3月21日の日曜日は一挙に5話連続投稿予定!
タケルの冒険はまだまだ続きますよ( ´ ▽ ` )
闘うことは美しい……。お楽しみに〜( ´Д`)y━・~~




