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Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜  作者: 加部川ツトシ
第29章 テスト期間が過ぎて
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第975話 レアアイテムの争奪戦


<『始まりの森林深部・灰の群集エリア2』から『ミズキの森林』に移動しました>


 サクッとミズキの森林へと転移は完了! あ、それなりに人はいるけど、思ったほど混雑してるって訳でもないな。

 あー、刻一刻と結果発表を確認する時が近付いてきていて、やっぱり緊張する。……いくつか関係しているスクショが事前審査を通ってるから、全滅は流石にないと思いたい!


「このくらいなら、すぐに空いてる場所は見つかりそうかな?」

「途中でヤナギさんとの遭遇に期待なのさー!」

「ヤナギさんが居たら嬉しいんだけどね」

「……居たとしても、在庫があるとも限らないがな」

「アル、そこは希望のある言葉にしとこうぜー」

「……あはは、でもその気構えはしてた方がいいとは思うし、大丈夫だよ」

「そういう事だぞ、ケイ。希望だけで飾った言葉は、逆にダメージにもなるからな」

「まぁ、そりゃそうか」


 うん、まぁそれは確かにそうかもしれない。無責任に期待を煽りまくって、思いっきり喜んだ後にダメでしたの方がダメージは大きいもんな。こういう時は希望だけじゃなくて、ダメだった時の覚悟もそれなりには必要か。


 それにして、スクショのコンテストの結果発表を見る直前の割に、みんなは平然としてるー!? あれ、もしかして結果発表で緊張してるのって俺だけ? あー、でもハーレさんは気にしてない訳がないよな。


 ハーレさんはあれか、本心をひたすら隠してる可能性はある。アルは普通に平然としてる気はするけど、サヤとヨッシさんは分からないか。

 あ、サヤとヨッシさんの場合は、自分で撮ったやつは通過してなかったっけ。確か、アルが撮ったのも通過はしてないはず。関わってても撮影者かそうでないかの違いはありそうだね。


「ケイ、落ち着かないのは分かるけど、なんとか落ち着いてかな?」

「緊張し過ぎだぞ、ケイ」

「こう、なんか落ち着かないんだから仕方ないじゃん!?」


 もう緊張してるのもバレバレだった!? まぁ今の状態は露骨に態度に出てる気はするから、そりゃ気付かれるよな!

 ふぅ、とりあえず落ち着けー。結果はもう決まってるし、ここから何も出来ることはない。もう発表された内容を確認して、どれがどういう結果であれ受け入れるしかないもんな。


「ケイさん! ヤナギさんを見つけるのに集中して、気を紛らわすのです!」

「……それがいいかもな。よし、そうしよう! アル、ヤナギさんを探しつつ場所の確保の為に出発!」

「おうよ!」

「それにしても、ケイさんがこういう風に緊張してるのは意外だったよ? 投票の時はそうでもなかったしさ」

「……多分、撮影に関わってただけならこんなに緊張はしてない。自分が撮影者のがあるからだな……」

「あぁ、望海砂漠で撮った成熟体のクラゲのあれか」

「そう、それ!」

「それなら俺は団体票を入れといたぞ」

「マジで!?」

「おう、マジだ!」


 こう、なんとも言えないむず痒さ! いや、もう本気でどういう結果になってんの!? あー、早く結果を見たいような、見たくないような複雑な心境! くっ、まさか結果発表を見る前になって、こんなに緊張し始めるとは思わなかった!


「はっ!? アルさん、北の方に急いでなのさー! ヤナギさんっぽいのが見えたのです!」

「え、マジで!? よし、行こう! すぐ行こう!」

「ほう? さて、運はどっちに味方するかだな。ヨッシさん、覚悟はいいか?」

「……うん、大丈夫!」

「おし、それじゃいくぜ! 『略:高速遊泳』!」

「目的のものがあれば良いかな!」

「それ以上のものがあっても良いのさー!」

「ま、それは見てみてからだなー」


 そうして、ハーレさんが見つけたというヤナギさんらしき姿があった所に向けて移動を開始! あー、なんか意識が逸れる出来事があって、少しホッとした。


 それにしてもこんなの早く見つかるとは思わなかったけど……ここってミズキからかなり近いんだよな。……目当てのものは在庫切れって可能性はありそうだね。


「ヨッシ、早く、早く! 『自己強化』『略:ウィンドクリエイト』『操作属性付与』! 先に確認してくるのです!」

「ちょっと待って、ハーレ! あぁもう、そこまでハーレが焦らなくてもいいのに……」

「でも、急がないと早いもの勝ちだから、少しの差で手に入らない可能性もあるかな?」

「あ、そっか、それもそうだね。アルさん、ケイさん、悪いけど先に見に行ってくるよ。『自己強化』『高速飛翔』! ハーレだけが先に行っても意味ないからねー!」

「ほいよっと」

「おうよ!」


 見えていると待ち切れないみたいで、ハーレさんは先に飛び降りて駆け出していく。それを追いかけるようにヨッシさんも高速で飛んでいった。そういやヨッシさんが高速飛翔を使うのって久々に見た気がする。


「こう、森の中を突っ切っていくハチの様子を見ると、初日を思い出すな」

「あー、そういえばヨッシさんは思いっきり飛び回ってたんだっけ」

「そういえばそんな事もあったかな」

「ごめん、みんな。それだけは忘れてもらっていい? 流石に私としてもあれはちょっと色々と焦ってやらかし過ぎてるから忘れたい……」

「ヨッシにしては珍しい事なのです!」

「ま、あの時は何事かと思ったが、理由が分かってる今なら焦る気持ちも分かるしな。これ以上は触れずにおくか」

「だなー」


 まぁあの時はヨッシさん的には色々と予定が狂って慌ててたみたいだし、悪ふざけでやってた訳じゃないんだから、嫌だというのなら変に触れるのはなしだな。

 それにしても……改めて考えてみたら、ヨッシさんってあの段階で『森を荒らすモノ』の称号を手に入れてたって言ってたっけ。下手すると一番最初に称号を取った人という可能性もある? いや、確認のしようがない事を気にしても仕方ないか。


「あー、一度地面に降りるぞ。俺のクジラが目立ちそうだし、ヤナギさんからは少し離れておいた方がいいだろ」

「……アル、それは杞憂じゃないかな?」

「いや、杞憂でもねぇぞ。この2日くらいでそういう探し方をしてるのを何度か見たしな」

「え、マジで?」

「あぁ、マジだ。どうやらここ数日で『空白の称号』が多めに用意される事があるらしくてな」

「え、そうなのかな!?」

「ヨッシ、早くー! 今のを聞いたら、尚更に急いだ方が良い気がするのです!」

「ハーレ、なんでそんなに速いの!?」

「ふっふっふ、木の上は『木登り』の効果で移動速度は速いのです!」


 木に登って飛び移ったりしながらのハーレさんだけど、飛んでいるヨッシさんよりも速いってのが地味に凄い。


「到着なのさー!」

「ハーレ、速いって!?」


 あ、そうしてる間にハーレさんがヤナギさんの元へと辿り着いた。てか、上からならヤナギさんの位置は分かったけど、森の中に降りたら全然分からん!

 あー、だから空中にアルが留まってたら目印として探されるのか。……ヤナギさんでトレード狙いなら、今後は目立たない手段を考えた方が良いのかも?


「ラインナップは……わっ!? 『空白の称号』が3個あるのです!? あぅ……でも『部位合成の種』は在庫切れ……」

「え、ハーレ、それホント!?」

「お、そうきたか」

「……まさか、そういうパターンとはな。だが、都合はいいか」


 ヨッシさんは3rdの解放のボーナスで貰える『空白の称号』2個か『部位合成の種』のどちらを選ぶかで悩んでるんだから、その片方をここで代わりに手に入れられるなら悪い話ではない。


「嘘はつかないのさー! ……あ、これ、よく考えたら特に問題ないよ!?」

「あはは、ラッキーではあるかな?」


 確かにこれは相当ラッキーな……ん? なんか色んな方向から俺らの上空に飛んできてる? えーと、フクロウ、青い竜、カブトムシ、空を泳ぐコイか。 ……これは何事?


「よっしゃ! クジラが降りていったからもしやと思ったら、ヤナギを見つけたー! 同じPTが別行動っぽいな!」

「くっそ、こんなにミズキの近くにいるとは思わなかったぞ!」

「ちっ、既に先客ありか! 『空白の称号』の在庫、大量にあるらしいがまだ残ってるんだろうな!?」

「そっちもそれが狙いか!? 同じ群集とはいえ、ここは譲らん!」


 この人達も『空白の称号』狙い!? てか、マジでアルのクジラを目印に見つけにきてるじゃん!?

 いや、今はそれを考えるタイミングじゃない。なんとかヨッシさんもヤナギさんの元に辿り着いたから、ここは大急ぎだ!


「ヨッシさん、大急ぎでトレード! その『空白の称号』は多分すぐ無くなる!」

「ヨッシ、急いでかな!」

「え? わ、分かった!」

「わっ!? なんか人が集まってきてるのさー!? 急いで確保ー!」

「どうも『空白の称号』の在庫が大量にあったっぽいぜ。だが、もう在庫切れ間近か」

「あ、在庫が無くなったのです!?」

「……ギリギリだったけど、確保出来たよ!」


 ほっ、一気に4人ほどやってきてたけど、なんとかヨッシさんは間に合ったっぽいね。……ホント、このトレードに関しては早い者勝ちだな。


「だー!? 在庫切れじゃん!?」

「おっしゃ、最後の1個ゲット!」

「大量にあるって話だったのに、これだけかよ!?」

「……何も在庫が残ってねぇ」


 あー、ヤナギさんのとこに行って姿は見えないけど、そんな声が聞こえてきた。うん、その辺はご愁傷様としか言いようがない。

 いや、ほんともう少し遅かったらこれは俺らが悔しがってる側になってたかもしれないし……。


「……なんか、少し罪悪感が出てくるね」

「そこは気にしなくて良いのです! 早い者勝ちだから、文句を言うのは無しなのさー!」


「ん? あ、先客って『ビックリ情報箱』じゃん。ま、どこの誰でも早い者勝ちだから文句は言えんけど」

「その呼び名、嫌がってるって話だぞ? ……次の機会に期待しよっと」

「あー、最近いなかったけど今日から復帰って事は、学生組か」

「情報源になるとこが持っていったなら、まぁありだな! 俺も取れたし!」


 なんかそんな内容の会話が聞こえながら、凄い勢いでやってきた4人は散り散りに飛んでいった。……うん、なんだか慌ただしかったけど、結果としては目的の物が手に入ってよかった?

 まだ『ビックリ情報箱』の名前が出てきたのはなんか微妙な心境だけど、特にトラブルというトラブルになった訳でもないから別にいいよな?


「ただいま。ふぅ、なんとか確保出来てよかったよ」

「ただいまー! でも、ラインナップ自体は少なかったのです……」

「2人ともおかえり。ちなみにどんなラインナップだったんだ?」

「『空白の称号』と『部位合成の種』と『転移の実』の3種類ー! 残ってたのは『空白の称号』が3個のみだったのです!」

「ホント、ギリギリじゃん!?」


 うっわ、思った以上にギリギリの状況だった。でも、3個残ってただけでもラッキーだとしか言いようが無いのかもな。……そもそも元々、何個あったかは分からんけど。


「ヨッシ、確保出来たって言ってたけど、2個は確保出来たのかな?」

「……あはは、実は1個だけなんだよね。うん、人が来る前に大急ぎで2個確保しとくんだったよ」

「あぅ……それは残念なのです」

「それは次からの教訓かな……」

「そだね。これは変に躊躇したら、チャンスが無くなるやつだよ」

「ま、1個だけでも確保出来たので良しとするしかないな」

「アイテムの争奪戦は苛烈だな……」


 本当にしみじみとそう思う。『空白の称号』を狙ってた人が少なくとも4人はいた訳だし、冗談抜きで今回はハーレさんが急かしていたのが正解だったんだな。

 徘徊してて居場所が分からないヤナギさんでこれなら、ミヤ・マサの森林の定位置にいるマサキのとこの競争率もとんでもない事になってそう。


「……アル、これって競争クエストで占有エリアが少ない他の群集だとどうなってんの?」

「流石にその辺の他の群集の事情は把握してねぇぞ? でも、群集間での極端な差が出るのは避けるだろうから、占有出来ているエリアでの供給量を増やしてるんじゃねぇか?」

「あー、確かにそういう調整はしてそうだな」


 とはいえ、少ない場所に人が集中する事になるから混雑度合いは酷くなりそうだよなー。まぁその辺が競争クエストで勝ち取った報酬なんだろうけど。

 うん、今の灰の群集の占有エリアのどこが競争クエストの再発生の対象エリアになるか分からないけど、こういう特訓用に使える占有エリアとしても、レアアイテムのトレード場所としても、守り通さないとね。


「……さてと、終わった事を気にし過ぎてても仕方ないし、コンテストの結果発表を見ていこ!」

「17時も過ぎたし、そうするのさー!」

「ヤナギさんも去っていったし、場所はここで良いんじゃないかな?」

「それもそうだなー。って事で、アル、着地!」

「おうよ!」


 そこまで拓けた場所でもないけど、スクショのコンテストを確認していくには充分だろう。……ふぅ、ヤナギさんでのトレードの件で、少し意識し過ぎてたコンテストへの緊張感は和らいでいる。

 変に意識しまくったらまた盛大に緊張しそうだし、そうなる前にもう勢いでチェックしていこう! そこから一喜一憂するかは、なるようになれだ!


「それじゃ公式サイトをチェックしていくぞー!」

「「「「おー!」」」」


 自分の撮ったスクショについてはどんな結果が待っていたとしても、それはちゃんと受け止める!

 でも、シンプルに報酬のアイテムも欲しいから、何か1つくらいは通っててくれ! 俺の大本命は、ルストさんが撮ってた発火草の群生地のやつ!


 とにかく公式サイトを表示して……よし、『第1回「Monsters Evolve online」スクリーンショットコンテストの結果発表』って特設ページが出来てるから、そこに移動。

 どんな結果になったか、見ていこう。……くっそ、やっぱりまた緊張してきたよ!


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自力での電子書籍版もありますので、よろしければこちらもどうぞ。
大きな流れ自体は同じですが、それ以外はほぼ別物!
ケイ以外の視点での外伝も収録!

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これまでの第1巻〜第19巻はこちらから。
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― 新着の感想 ―
[一言] ヤナギさん大人気(//▽//)
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