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第925話 知らない間の強化


 無事にアルの海水の昇華称号とそれに付随するスキルは手に入った。これでアルの支配進化が……って、あれ? 条件って昇華ではなかった気がする?

 いやいや、既に確定情報として出ている成熟体への支配進化の条件って、応用スキルに該当する操作系スキルLv3が3つ以上じゃなかったっけ!? この辺、改めてちゃんと確認しておかないと!


「……アル、今の進化先ってどうなってる?」

「ん? 急にどうした……って、そういや話してなかったか。木の進化先なら水魔法と樹木魔法がLv6になって『水激魔柑橘』って魔法型の進化先は出てるぜ。ただ、これだと拠点性能がなくなってるっぽくてな……」

「ちょっと待ったー! え、樹木魔法っていつの間にかそんなに上がってたんだ!?」

「あー、ケイ達と一緒でない時に鍛えてたからな。後は単純に火属性と相性があまり良くないから、今日は少ししか使ってないぞ」

「地味に知らない強化してたアルさんなのさー!?」

「てか、今日使ってたんかい!」

「そうか、タイミング的にケイとハーレさんは見てないのか」

「使ったの、私達が足止めの対処してる時だったみたいなのさー!?」


 うーん、まさかアルが知らないところで樹木魔法をLv6まで上げていたとは知らなかった。しかも今日思いっきり使ってたとは……。声としては聞こえてたはずだけど、目の前の敵とハーレさんの方ばっか気にしてて、アル達がどういうスキルを使って戦っていたかまでは把握してなかったよ。


「ちなみに、どんな魔法か聞いていい? 俺、樹木魔法は地味にLv3までしか知らないし……」

「別にそりゃ良いが、ミズキの森林にでも行って実演しながらにするか?」

「あー、その方が良いかも?」

「それに賛成なのさー!」

「それならスクショのコンテストの受け付けを終わらせて、ミズキの森林まで行こうぜ」

「ほいよー」


 ちょっと今のアルの進化先の状況をもう少し聞きたいとこだけど、それもミズキの森林に移動してからでいいか。その前にスクショのコンテストの追加応募を――


「はい! アルさん、何気なくふと思い出した事があったので聞いて良いですか!?」

「どうしたよ、ハーレさん?」

「うろ覚えなんだけど、アルさんってクジラで強制進化が出たって言ってた事ってなかったー!?」

「あー、あれか。それは気のせいじゃないぞ、ハーレさん」

「あ、やっぱりそうなんだー!? でも、今はまだ条件未達成なんだよねー!? それってなんで!?」

「それは、条件を満たしてないのに強制進化の表示が出るってバグだったみたいだぜ。どうも強制進化になる側にログインしてる場合で、応用スキルの操作系スキルのLvが3になった時に発生してたらしくてな。木の方でログインしても支配進化が出てないから問い合わせたら、そういう返答だったぜ。条件が限定的すぎて、数人しか発生してなかったらしいから個別対応だったぞ」

「そうなんだー!?」

「そんなのあったんかい!」


 いや、言われてみれば確かにアルのクジラに強制進化が発生した的な話題をしたような覚えもなくはないような気も……正直そんな内容は完全に忘れたよ!

 よく覚えてたな、ハーレさん! というか、進化の話は樹木魔法と合わせて一緒に聞く気だったけど、ハーレさん的には聞くのを我慢出来なかったっぽいね。まぁ俺も気になってたから別にいいんだけどさ。


「ケイ、忘れてても仕方ねぇぜ。その件、中立地点でのトラブルの時と重なってたからな」

「って、あの時かー!」


 あー、そりゃ中立地点での騒動の方の印象が強過ぎて、その時に話してた内容とか吹っ飛んでるよ。……いや、つくづくハーレさんはよく覚えたもんだな。

 ついでに、あのタイミングだと少数の発生のバグなら、気にもしなかっただろう。該当者への個別対応で済む範囲なら、大々的に告知はしてなかっただろうしね。……よし、ここまで話題が広がったならもう聞いてしまえ。


「それでアル、今の支配進化の方はどうなってんの?」

「そっちはまだだな。枝の操作がまだLv2だから、あと1上げればいけるはずだ。……ただ、魔法型かつ拠点性能がある木にしたいんだが、そこが出ないとな」

「あー、なるほど……」

「ここの条件が分からなくてな。……可能性として考えてるのはルストさんが使ってた『根脚強化』くらいしか思い当たらなくてな」

「1つでも心当たりがあるなら、試してみるのです!」

「俺もそう思うぞ」

「ま、俺もそのつもりだが、先に支配進化を出してからだ。俺だけで動く時に樹木魔法を、ケイ達と動く時に海水の操作の方を鍛えたからな」


 ふむふむ、並行しつつも目標達成自体はあくまで1つずつ順番にって事か。まぁ最悪、アルの樹洞に入れなく……なるのか? え、要は樹洞展開さえ使えたら別に問題はないんだよな。


「ふと思ったんだけど、アルの樹洞展開ってそもそもスキルだよな? 属性や特性ならともかく、進化でスキルが消える事ってあるのか? 樹洞展開のスキルさえあれば、入れなくなるなんて事はない気がするんだけど」

「……樹洞展開さえ持っていれば、そもそも次からは拠点種への進化が必要ないって事か? 一度拠点種に進化すれば特性の『拠点』は手に入るから、確かにそれあり得るが……それは実際に進化してみないと分からんぞ?」

「それは進化するまで確認のしようがないのです!?」

「……それもそうかー」


 うーん、悪くない推測だとは思ったけど、こればっかりは本当に進化してみないと分からないもんなー。でも、今の俺のコケには名前に入ってない属性はあるし、そういう可能性はあるはず。


「……最悪、『複合解除薬』の使用も考えるか。支配進化からなら、もし駄目でも巻き戻せるだろ」

「あ、その手があった!」

「社会人のアルさんのお金の力なのさー!」


 学生組の俺らよりも金を持っているアルだからこそ取れる手段だね! いや、別に俺だって500円くらいなら出せない訳じゃないけど……消耗系の課金アイテムって買うのに躊躇いはあるんだよな。

 うん、俺が支配進化をしてロブスターのステータスの損失分を取り戻す為に買うかどうか思いっきり悩んだしね! 結局買わなかったし、その先の同調でその差分は埋まったから良かったけど。


「ま、その辺は追々だな。その手の進化を先にやった人から情報が出てくる可能性もあるし、ともかく可能な範囲で条件を満たしていくまでだ」

「よし、その辺は俺らはテスト期間だろうから、頑張れ、アル!」

「アルさんファイトと言いたいけども、私は自分が頑張らないといけないのです!?」

「ハーレさんはテスト勉強、頑張れよ。ケイもな」

「テストが終わって戻ってきたら、アルにすぐ追いついてやるからなー!」

「おう、場合によっては先に進化して待ってるぜ!」


 あー、明後日からテスト期間でまともにログインが出来ないのは痛いよなー。その分は夏休みで取り返すけど、夏休みは夏休みでログイン制限に引っかからないようにしなきゃいけないしね。

 夏休みはアルに合わせて土日を今まで通りにやって、平日を普段より1〜2時間くらい増やすくらいまでならいけるはず。というか、その辺りがほぼフルダイブが可能な最大時間だね。

 確か1週間で60時間までが限度だもんなー。ぶっ続けで10時間やるか、3日連続10時間以上のプレイをしたら、制限がかかって1週間は1日6時間になるけど。


 まぁその辺はテストが終わってからだなー。どうもLv上げは制限が外れて少し上がりやすくなったみたいだし、テスト期間までは明日が丸1日ある。流石にLv30には届かないだろうけど、Lv27か28まではあげておきたいね。


「さてと、それじゃコンテストに出して、ミズキの森林まで行くか!」

「あー、それなら受け付けはエンでやるか?」

「どこからでも良いなら、エンで受け付けをしたいのさー!」

「それならエンのとこに移動してからにするか」

「ハーレさんの希望だし、俺もそれで良いぜ。おっと、でも先にこれを使っとくか。『略:空中浮遊』!」

「やったー! ところで、今更だけど空中浮遊って水中じゃ効果はないのー!?」

「あー、転移の都合でその辺は初期エリアでは変な影響はないらしいぞ?」

「おー! そうなんだー!?」

「……初期エリアでは? それ以外のエリアだとどうなんの?」

「水面に向かって浮いていき、そのまま空中へと浮いていくぞ」

「……なるほど」


 流石に陸と海との間での転移では影響はあるから勝手に浮いていかないようにはなってるけど、それ以外の場所に転移したら問答無用で浮くんだな。

 そんな機会はそうそう無いから、そういう仕様なのは知らなかったよ。なんだかんだで知らない事もまだまだ色々あるもんだね。


 さて、それじゃとりあえず森林深部へ移動開始!


<『始まりの海原・灰の群集エリア5』から『始まりの森林深部・灰の群集エリア2』に移動しました>


 という事で、エンの元へと転移してきた。ありゃ? こっちは少し曇り気味か。でも雨が降りそうな雰囲気ではなく、ただの曇りっぽいね。

 うーん、折角の昼の日でもこう曇天が続くのはなんとも言えない気分。いやまぁ、リアルがまだ梅雨明けしてないって事もあるんだろうけどね。


「それじゃコンテストに応募が終わったら、ミズキの森林に移動なのさー!」

「ほいよ。あ、そうだ、アル。晩飯はどうすんの?」

「……そうだな、今日はケイとハーレさんに合わせるか。ハーレさん、サヤとヨッシさんにそう伝えといてもらえるか?」

「了解なのです!」


 ふむふむ、アルが俺らに合わせるって事は、必然的にサヤとヨッシさんの2人行動になるって事だもんな。まぁリアル側からハーレさんが連絡出来るんだし、そっちで伝えておけば問題はないか。



 さて、それじゃエンの上空へとアルが移動してくれたので、サクッとスクショの応募をやっていこう。まぁエンの周りも今は混雑してないから、無理に空中である必要もないけどね。

 とはいえ、俺は前に出してからそれほどスクショは撮ってないんだよなー。気まぐれで何枚か撮った程度だし、まぁそれでも少しは情報提供って事で情報ポイントにはなるからいいか。


 とりあえずササっと項目を開いて、合間で適当に撮ったスクショを含めて放り込んでいこ。さて、既に提供済みのは弾かれたけど、いくつかは情報ポイントになったっぽい。

 どのスクショがどのランクになったかな? あんまり枚数はないけど、軽く確認していこうっと。


 えーと、これはここの陥没エリアの上から降りていく時に、ヨッシさんが氷塊の操作と氷雪の操作で滑り台を作った時のやつだな。これはランク4か。


 次はカイヨウ渓谷で海上で海鳥を相手にした時に、小石に増殖したコケで遠隔同調を使って突っ込んで行った時のだな。これは連写してたから、ランク4〜2までにバラつきがあるね。……合計で何ポイントになるかは後で数えよ。


 あ、これは泥濘みの地で経験値増加アイテムのボーナスタイムが発生した時のやつだな。うーん、どうも撮った人が多いみたいで、割とよく撮れてるけどランク3かー。まぁ同じようなのが多ければランクが下がるんだから仕方ない。


 後は細々と撮ってたのでランク3〜1がいくつかあるくらいだなー。スクショに関しては、中々思ったような成果は出ないもんだ。

 えーと、ランク5は1枚辺り500だけど0枚だから0、ランク4は1枚200で5枚ほどあったから1000、ランク3は1枚50で7枚だから350、ランク2が1枚10だけど1枚だったから10、ランク1は1枚1だけど3枚で3。

 意外とランク4とランク3になったのがあって、今回入手になった情報ポイントは1363か。元々あった情報ポイントと合わせて5816だな。……どこで使えばいいんだ、この量の情報ポイント?


 さて、その中でスクショのコンテストに応募するのは……個人部門にはカイヨウ渓谷でのやつと、泥濘みの地でのやつだな。

 ヨッシさんが氷の滑り台を作ってサヤが滑り降りてるのは団体部門に出しとこ。よし、これでスクショのコンテストの応募は完了!


「ケイ、情報ポイントはどうだ?」

「あー、今までの合計で6000にはちょい届かない感じ。そういうアルは?」

「俺も似たようなもんだ」

「まぁサファリ系プレイヤーじゃなけりゃそんなもんだよなー。てか、俺が何をコンテストに出したかは聞かないんだな?」

「ケイ、俺らが個人部門で入賞できると思うか?」

「……思えないなー。ま、可能性があるとしたら団体部門かー」

「そっちに期待したいところだな」

「だなー」


 今日撮ったルストさんのスクショはかなり凄かったし、団体部門にもいくつか参加はしてはいるからね。どれかで入賞になってスキル強化の種が手に入ると嬉しいんだけど、まぁこればっかりは審査が終わってみるまでは分からない。

 その前に俺らユーザーからの投票もあるし、多分投票の期間はテスト期間に被ると思うから時々息抜きでチェックしようっと。多分、フルダイブしなくても公式サイト辺りで一覧表示はされそうな気もするしね。


「さてと、ハーレさんは少し時間がかかるだろうから、少し待っとくかー」

「それもそうだな」

「って、よく考えたら、ハーレさんに応募してもらってる間に昇華称号を取れば良かったんじゃ?」

「……ケイ、それは今更言っても遅いぞ」

「……だよなぁ」


 もう海水の昇華称号は取り終えた後なんだし、今更言ってもどうしようもならないか。ま、今は特に急ぐ訳でもないし、ハーレさんのコンテストへの応募が終わるのを待つだけだ。

 それが終わればミズキの森林まで行って、アルの樹木魔法を見せてもらおう。時間に余裕があればハーレさんのクラゲの風の昇華を目指して、風の操作を鍛えていきたいとこだね。


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大きな流れ自体は同じですが、それ以外はほぼ別物!
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― 新着の感想 ―
[一言] まとめて出すと量が半端ないから、選別するのが大変(笑)
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