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第914話 集合場所へ


<『グラナータ灼熱洞』から『封熱の霊峰』に移動しました>

<『特性の実:マグマ適応』は使用不可になり、廃棄されました>


 一度ログアウトをして、再びログインしてくればグラナータ灼熱洞の入り口に転移してきた。自動で廃棄されたマグマ適応の特性の実は……招き猫さん達に渡したり、途中で通りがかった人に渡したりもしてたんだけど、それでも余ったんだよなー。

 まぁ交代する時に足りないよりは良いんだけど、正直余り過ぎて勿体ない気がする。とはいえ、持ち出せない以上はどうしようもないんだけど。


 周囲に人がチラホラとは見えるけど、みんなの姿はまだ見えないなー。ふむ、どうも俺が一番乗りだったっぽいね。まぁ手早くログインをし直すだけではあるけど、それでも多少の差が出るのは仕方ないか。


 少し期待してたんだけど、今のここは雨は降っていない。かなり暗い雲に覆われて今にも降りそうではあるんだけどなー。うーん、ここで雷雨にでもなってればヨッシさんの電気の昇華称号が狙えたんだけど、流石にそこまで都合良くはいかないね。

 まぁ雨が降ったらスクショの合同撮影会も……あ、雨が降ってもそれはそれで独特な雰囲気になるから別に良いのか。雷が鳴り響き、土砂降りの雨の中、地面の底から噴き上がる間欠泉。うん、撮り方次第な気はするけど悪くないような気もする。


 とりあえず入り口の部分で突っ立っていても邪魔になるし、少し外れた位置に移動してみんなが来るのを待っとこ。

 あ、移動し終えたらサヤがログインしてきて、周囲を見渡しているね。みんながどこにいるのか探してるっぽいし、さっきの俺も周りから見たらこんな感じだったんだろうな。


「おーい、サヤ! こっちだ、こっち!」

「あ、ケイ。あれ、みんなはまだかな?」

「今のところはなー。まぁすぐに来るとは思うけど」

「それほど時間もかからないだろうしね。……それにしても今は薄暗くて少し不気味な雰囲気かな?」

「あー、確かに言われてみればそうだな」


 今日は昼間の日だけど雲のせいでかなり薄暗く、ここは岩山エリアという事もあって植物自体も多い訳ではない。不気味な雰囲気と言われてみれば、何かのホラーで出てくる寂れた土地って感じの雰囲気ではある。

 夜の日なら暗いのが当たり前だけど、昼の日が曇りで暗くなってるから余計にそういう風に感じるのかもしれない。


「わっ!」

「ひゃっ!? ……あ、ハーレ……今のは、どういうつもりかな?」

「わー!? サヤ、ストップなのさー!?」

「今のは驚かしたハーレさんが悪いだろ……」

「どういう、つもりかな?」

「あぅ、この雰囲気でつい魔が差したのです……」

「…………」

「サヤ、ごめんなさい……」

「…………」

「……あぅ!?」


 いつの間にかサヤの背後に忍び寄っていたハーレさんに向かって、サヤが思いっきり爪を振り切ろうとしてたね。直前でハーレさんだと気付いて寸止めしてたけど。

 てか、サヤも少し過剰反応な気もするけど……あ、そういえばサヤってホラー系は苦手とか言ってたような? なるほど、だからハーレさんはこの雰囲気で驚かせたくなったのか。というか、無言のサヤが怖いんだけど……。


「あ、アルさん以外はみんな揃って……ハーレがサヤに謝ってるって、何かあったの?」

「ハーレさんがサヤを驚かせて、反省中ってとこか?」

「えっと、この雰囲気で……サヤを驚かしたの? サヤ、そういうの苦手だよね」

「あぅ……サヤ、本当にごめんなさい……」

「……もう次はやらないでかな?」

「了解なのです!」


 ふぅ、とりあえずハーレさんの悪戯についてはこれで片付いたと思って良さそうだ。てか、地味に怒ってた無言のサヤが怖かった。

 でもまぁ人が苦手な事をわざとやったなら怒られる事くらいは覚悟しような、ハーレさん。……うん、この手の事でサヤをからかうのは怖いから絶対にしないでおこう。


「……あー、少し目を離した間にどういう状況になってんだ、これ?」

「アル、もう片付いたから気にすんな!」

「うん、気にしなくていいかな!」

「……詳しくは聞くなって圧力がすげぇな。まぁ、それなら無理には聞かんが……」


 さて、これでとりあえず全員集合! って、全員がログアウトしてたからPTが解除になってるな。

 んー、バラバラにログアウトすべきだったか? いや、別に再結成すれば良いだけだし、問題はないか。という事で、みんなにPT申請だな。


「とりあえずPTは再結成するぞー。そういや、アルの木とクジラって共生進化の状態だと、クジラの背の上に木が来るのが標準?」

「お、PTの申請か。基本はそうなってるな」

「PTが解散になってたのかな」


<ケイ様の率いるPTが結成されました>

<サヤ様がPTに加入しました>


「これで再結成なのさー!」

「まぁ全員がログアウトしちゃったからね」


<ハーレ様がPTに加入しました>

<ヨッシ様がPTに加入しました>


 とりあえずこれでPTの再結成は完了っと。ふむふむ、今までそれほど気にしてはいなかったけど、アルの木とクジラは今の状態が標準なんだなー。てか、既にアルのクジラは空中浮遊は発動済みか。


「とりあえず時間にそんなに余裕はないから急ぐぞ」

「それもそうだなー」


 うん、ハーレさんが思いっきり無駄な事を……いや、アルが戻ってくるまでには片付いてたから時間の浪費って訳でもないか。

 今が16時50分だから、集合場所である封熱の霊峰と上風の丘の切り替え場所までなら遅刻って事もないだろ。まぁ余裕がある訳でもないから急いだ方がいいのは間違いないけども。


「ケイ、岩の操作と水流の操作を同時に発動出来るか? 水流に乗りたいんだが、行動値が足りなくてな」

「あー、そういやそうか。しまった、そっちの回復時間を考慮してなかった……」


 うーん、Lvが上がったりログアウトしたのでは行動値が回復してくれないのが面倒なとこだよね。まぁログアウトで回復出来ると、回復の為に頻繁にログインとログアウトが繰り返されるだろうから仕方ないけどさ。

 でもせめてLvが上がった時くらい全快してくれても良い気がする。……いや、それはそれで敵を集めまくって無茶なLv上げをやり始める奴が出るから駄目か。オンラインゲームだと中々その辺のバランスが難しいんだろうね。


 さて、そうなるとどうしたものか。どうやっても今の状況では行動値が足りないし、少し速度は遅くなるけど水流は無しでいくか。

 岩の操作でみんなの固定と水のカーペットでの風除けまでなら今の残り行動値でも発動出来るし、アルも水のカーペットで上空を飛ぶ形であればいけるはず。


「それなら私がみんなの固定をしようか? 氷にはなるけどさ」

「その手があったか!」


 いつもアルと俺で移動の固定をすることが多いけど、ヨッシさんの氷塊の操作でも俺の岩の操作での固定と同じ事は出来る。ヨッシさんが氷で固定をした事がない訳じゃないのに、なんで失念してたかな?

 あー、そっか。基本的に移動に3人がかりで手間をかける必要性自体があまり無かったからかもしれない。でもまぁ、3人でなら実行は可能だ!


「アル、ヨッシさんの案でいこう!」

「俺が風除け、ケイが水流、ヨッシさんが氷でみんなの固定ってとこか? 確かにそれならいけそうだし、そうするか」

「賛成なのさー!」

「その辺りはお任せかな」

「うん、了解。それでやっていくとして、みんなを固定するからアルさんのクジラの上に乗ってね」

「さて、俺も準備していかねぇとな。『略:自己強化』『略:高速遊泳』『アクアクリエイト』『水の操作』!」

「それじゃ固定していくね。『アイスクリエイト』『氷塊の操作』!」

「おぉ、氷漬けで固定されたのです! それじゃ出発なのさー!」

「目指せ、封熱の霊峰と上風の丘との切り替え地点かな!」


 俺もアルのクジラの上に移動して、氷漬けにされて固定は完了! アルも消耗はしてるだろうけど、水のカーペットによる風除けくらいは問題ないようだ。

 さて、既にクジラの空中を泳ぐ移動は始まったし、俺は俺でやるべき事をやりますか。ただし、もう移動中だから生成位置には気を付けないとね。

 

<行動値1と魔力値3消費して『水魔法Lv1:アクアクリエイト』を発動します> 行動値 40/83 : 魔力値 223/226

<行動値を19消費して『水流の操作Lv4』を発動します>  行動値 21/83


 よし、これでアルの泳いでいく水流の用意は完了っと。後は俺とアルとヨッシさんのそれぞれの操作の速度が極端にズレないように気をつけて進んでいこう。


「おし、とりあえずこれで移動は問題なさそうだな。ハーレさん、危機察知は任せるぞー!」

「了解なのさー! でも、ここはサヤの威嚇も使って、敵の遭遇率も下げておくのを提案します!」

「確かに急ぐならその方がいいか。サヤ、頼めるか?」

「任せてかな、アル! それじゃ『威嚇』!」


 ふむふむ、威嚇で敵を追い払って他のプレイヤーに迷惑をかける可能性がない訳じゃないけど、今の俺らはかなり上空を飛んで……いや、泳いでいるから多分問題はない。

 俺らと同じような移動方法をしてる人はたまに見かけはするけど、他の人から見たら相当目立ってるだろうからね。今のどの岩山よりも高い位置ならよっぽどでなければお互いに気付かない事はないはず。


「あ、途中で発火草の群生地のとこは通っていくのかな?」

「それは後からのお楽しみで良いんじゃない? 近くを通るとはいえ、この高度と速度なら見る余裕は多分ないよ?」

「……確かにそれはそうかな」

「集合してから改めてスクショを撮りに行くんだから問題ないのです!」

「だなー。俺としては合同撮影会で、どういう班分けになるかが気になってるとこだが……」

「アルさんもそれは気になってるのー!?」

「まぁ、知ってる相手と同じになるとも限らんからな」

「あ、そういやそうか」


 よく考えなくても、他の群集の部門に参加する為の合同撮影会なんだし、他の群集の人と混在PTになるのは確定。そして、その相手が知り合いであるという保証はどこにもない。

 むしろ、他の群集の知り合いの人数を考えたら、知り合いではない相手になる可能性の方が高いのか。うーん、それは楽しみな反面、不安な部分でもあるね。


「でもまぁ、それに関してはなるようにしかならないだろ」

「ま、それはケイの言う通りだな」

「ともかく、楽しんでやっていくのさー! あ、演出はどんなのがいいー!?」

「んー、一緒になる他の群集の人達の意見もあるだろうし、私達だけで決めて良いのか微妙な気もするよ?」

「多分、順番待ちになりそうな気もするし、その時に一緒になった人達と考えれば良いんじゃないかな?」

「はっ! 確かにそれはそうなのです!?」

「とりあえず、合同撮影会について具体的にどうするかは班分けが済んでから考える方が良さそうだな」

「そりゃ違いねぇな」


 気にはなるけど、俺らだけで決めて良い内容ではないからね。まだ殆ど交流をした事がない青のサファリ同盟の人達やそれ以外のサファリ系プレイヤーの人達と一緒になる可能性もある。

 他にもツキノワさん達みたいに自分達ではスクショを上手く撮れないから便乗したいって人達と一緒になる可能性もあるし、レナさんみたいに色々と規格外の人と一緒になる可能性も否定出来ない。


 ま、今考えてもどうしようもないって結論になるね。この辺については班分けが済んでから、一緒になった人達と一緒に考えればいい。うん、面識がある人達ならそれが良いけど、面識が無い人達でも良い人達だったら良いなー。


「あ、そうだ。ヨッシさんの電気の昇華称号と、アルの海水の昇華称号の取得はどうする?」

「……私は雷が発生してないとどうしようもないからね。今にも雨が降り出しそうな天候だから、そこに期待してるんだけど……」

「天然の雷は厄介かな……」

「うー! このまま雷雨になって欲しいのです!」

「そうなってくれるとありがたいんだけどね。あ、そうそう。ケイさんとハーレがご飯を食べに行ってる間に、どこかで天候が荒れてたら行ってきてもいい? 場合によっては、まだみんなと行ってない場所も含めてになるんだけど……」


 ふむ、雷については非常に天候に左右されていつ昇華の称号が取れるか分からないもんな。初めて行く場所はみんなでって決めてはいるけど、この場合は例外として扱うべきかもね。


「俺としてはそれでも良いけど、みんなはどう?」

「私も状況が状況だから、それで良いかな! あ、ヨッシ! その場合は私は同行するかな!」

「出来れば一緒に行きたいけど、取得チャンスは逃すべきじゃないのです! という事で、賛成なのさー!」

「俺も賛成だ。雷については、取れる時に取っておくべきだろう」

「そっか。うん、みんな、ありがと。出来ればみんないる時に取れたらいいけど、チャンスがあればそうでなくても取りに行ってくるね」

「ほいよっと!」


 雷についてはほんとに特殊だもんな。昇華の称号は、その属性の応用スキルで扱うものを一度実際に操作して初めて手に入るからね。

 そうしないと魔法での生成量の増加が出来ないし、逆にいえばそれを取得出来れば魔法で生成したものが応用スキルの操作で扱えるようになる。だからこそ、非常に重要なとこだもんね。


「それでアルの方はどうするんだ?」

「俺か? 俺ならスクショの撮影会がひと段落ついて、サヤとヨッシさんが晩飯を食いに行ってる間か、ケイとハーレさんが晩飯を食いに行ってる間に海エリアに行って手早く取ってくるぞ」

「アルさんの方はすぐに取れるのさー!」

「ま、そういう事だ。どっちのタイミングで行くかは、その時の状況次第だがな」

「……なるほど」


 うん、まぁその辺が妥当なとこではあるか。アルについては晩飯の都合はどうとでもなるのはいつもの事だし、場合によっては俺とハーレさんとアルで6時台に海エリアに行くのもありか。


「そういやサヤとハーレさんはまだどっちの操作もLv5だっけ?」

「早くクラゲに風の昇華が欲しいのです!」

「私は電気の操作がLv5だけど、正直なところ電気魔法だけで良い気もしてるかな?」


 おぉ、見事に対照的な答えが返ってきた。まぁサヤに関しては思いっきり魔法砲撃で魔法の連射をしてたし、無理に操作を鍛える必要もないのかも?

 ハーレさんに関しては、単純に風の昇華がPTとして欲しいってのはあるけど、本人が取りたいみたいだし取得を頑張ってもらうしかないか。強風なら上風の丘で取りやすいだろうしね。


「おっと、話してる間に集合場所が見えてきたな。アル、降りてくぞー!」

「おうよ! それにしても、結構な人数が集まってるな」

「スクショの合同撮影会、楽しみなのです!」

「私も楽しみかな!」

「どんなスクショが撮れるんだろうね?」


 時間は結構ギリギリではあるけど17時はまだ来ていない。遅刻はせずに間に合ったね! さて、サヤとヨッシさんが晩飯の都合で6時までだけど、スクショの合同撮影会はどうなるかなー?

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― 新着の感想 ―
[一言] 魔法は基本的に使っていけば上がるものだから、頑張って使うしかないね~ そうして、いつかは全属性制覇(笑)
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