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Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜  作者: 加部川ツトシ
第26章 コンテストの最終日

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第882話 溶岩の洞窟


 アルが無茶な移動をしてくれたおかげで、みんなは色々と吹っ切れた様子である。そして、今回の本来の目的地にようやく到着した!


「さてと、到着早々だが、休憩だな」

「……入る前から行動値が減ってるのはどう考えても良くないしなー」


 既にそれぞれに必要なだけの纏火用の進化の軌跡は行き渡ってるし、行動値が全快してから纏火をして洞窟内へと突入になりそうだ。


「そういや、アルは洞窟内はどう移動するんだ? ……そもそも洞窟内の広さってどんなもん?」

「はい! それならちょっとだけ見たのです!」

「あ、そういえばハーレは少し中を見てるのかな!」

「えっへん!」


 そっか、そういやハーレさんはあの間欠泉が噴き出す縦穴から、中を調査しに行ったら溶岩の洞窟の中に繋がってたんだっけ。

 てか、なんかハーレさんが寛ぎながらお茶を飲み出したよ。まぁ、多分薄めた効果無しのお茶だろうし気にしなくて良いか。


「ハーレさん、具体的でなくて構わないけど、ざっくりとどんな広さだ?」

「えっと、思った以上に広かったのです! 多分あれだけの広さがあれば、アルさんは飛べるはずなのさー!」

「ほう、それなら飛んでいくのもありか」

「むしろ、歩かない方が良いかもなのさー! マグマが川のように流れてて、しっかりした足場の方が狭そうな風に見えたのです!」

「あ、そんな感じなんだ?」

「……アルの木だと、地面に接してない方が安全そうかな?」

「……そうかもしれないな」


 ふむふむ、ある意味ではハーレさんが先に少しだけでも中を確認出来ていたのは良かったのかもしれないね。

 この辺の情報を大々的に集めようとすれば、多分自分達で確認したい情報まで見る事になりそうだしなー。ま、軽く雰囲気が掴めて良かったとしようか。


「そうそう、ヨッシさんに同族統率の強化方法を伝えとかないとな」

「あ、そだね。同族統率の強化はどんな感じなの?」

「まぁ簡単に言うと昇華と同じような感じか。同族統率Lv6で『同族増加Ⅰ』っていうスキルが手に入って生成できる統率個体が1体増えるんだと」

「……なるほど、そういう感じなんだ。えっと、昇華と同じ感じならそれだけじゃないよね?」

「同族統率の応用スキル版があるんだとさ。えーと……アル、こっちのスキル名はなんだっけ?」


 うーん、すぐに伝えるつもりだったのに少し間が空いてしまったから、片方のスキル名は覚えてたのにもう片方は忘れてしまった。

 応用スキルだって事も効果も覚えてるんだけど、スキル名はなんだっけなー?


「『強化統率』だったはずだ。……確かスキルLvの10倍の行動値の消費で、本体と同じ進化階位でスキルLvの10倍のLvの統率個体を生成出来るって言ってたか」

「……それってスキルLvは上がりにくそうだけど、強力じゃないかな?」

「Lv3まで上げたら、Lv30の未成体が4体生成出来るのさー!?」

「それは強力……あれ、ちょっと待って。ケイさん、アルさん、それって同じ消費行動値で1体から4体まで数を選べるの?」

「それは無理っぽい。1体生成する度に行動値が必要って言ってた」

「ま、流石にそうでないと強力過ぎるしな」

「……そっか、まぁそうだよね。あれ? でも、それって成熟体Lv1で使うとどうなるの?」


 ん? 成熟体Lv1で……あっ、『強化統率』がLv1でも、Lv10の成熟体の統率個体が生成される!? うん、多分それはないな。


「……それは多分ダメな気がするかな?」

「本体よりLvは上にはならないと思うのです!」

「……あはは、やっぱりそうだよね。んー、電気による麻痺は欲しいから雷の昇華にはしたいし、同族統率はどうしよう?」

「あ、そうだ。その統率個体は本来の同じLv帯の7割くらいにはなるってさ」

「……7割かー。うーん、本格的に『強化統率』を鍛えるなら使えそうだけど、そうでないなら後々で微妙になる気もするね……」


 ふむ、確かに多分オフライン版と同じでLv30を超えてくる成熟体で使おうと思えば、どこかで必ずLv4以上に鍛える必要が出てくるはず。

 まだまだ先の事にはなるだろうけど、主力として運用する気がないのであれば熟練度稼ぎに労力を費やすのも厳しいところか。……どこかで更なる強化の可能性はあるけど、そこは未知数だしなー。


「……毒と氷と雷は同時に上げ過ぎ? 1つ減らして、同族統率で回数を狙うのも……うーん、悩むね、これ……」

「ヨッシさんの場合、ウニの強化は控え気味だしそれでもいいんじゃねぇか?」

「俺もそこは同意。それにヨッシさんのウニは合成進化の予定なんだし、ハチの強化に専念しても問題ないと思うぞ」

「あ、そっか。それなら、ウニの棘を持ったハチを同時に生成して……んー、これは実際に使ってみないと分からないね」

「ヨッシ、すぐに決める必要はないかな?」

「まだ時間はかかるし、ゆっくり考えるのさー!」

「……それもそうだね。うん、とりあえず電気の昇華を目指して、そこを達成してから考えるよ」

「ほいよっと」


 とりあえずヨッシさんが電気の昇華を優先するという事であればそれで良い。変にあれこれと色んなスキルに手を出し過ぎて、結果的にどれもちゃんと育ってないという状況は避けたいしね。

 

「さて、そろそろ出発するか。ケイは回復したろ?」

「……俺は全快したけど、アルはどうなんだ? あ、でもやった事は派手だったけど、俺と極端に違うって程の消費量でもないのか」

「ま、そういう事だな。全快にはもうちょいかかるが、俺が飛んでいくなら攻撃は基本的に任せてもいけるだろ?」

「……確かにそりゃそうだ」


 そもそもフィールドボスでのLv上げや成熟体が相手なら出し惜しみ無しだけど、今回は通常の敵を倒して経験値を稼ぐのが目的だ。

 流石に初めて来るエリアだから油断はしない方が良いけど、余力を残して交代しながら戦う方がいい。戦うメンバーの組み合わせは……まだ決めない方がいいか。出てくる敵の傾向に合わせて臨機応変に行きたいしね。


「おし、それじゃ俺とアルとヨッシさんは纏火をして適応準備! サヤとハーレさんは……ハーレさんは発火草茶ってまだ効果中か?」

「もう効果は切れてるけど、さっき間違えて普通のを飲んじゃいました!」

「なんか飲んでたと思ったら、ちゃんと効果があるやつかい! ……まぁいいや。サヤも発火草茶で適応して、出発だ!」

「分かったかな!」


 まさかハーレさんがさっき飲んでたのがちゃんと効果ありの発火草茶だとは思わなかったけど、まぁちょっとタイミングがズレただけで必要なものだったから別に良いか。 

 サヤも今、発火草茶を飲んでいるからこれで適応は完了。次は俺とアルとヨッシさんの番だな。


「んじゃ纏属進化といきますか!」

「おうよ! 『纏属進化・纏火』!」

「了解! 『纏属進化・纏火』!」


 さて、アルとヨッシさんが纏火の纏属進化を開始したし、俺もやっていこ。


<『進化の軌跡・火の小結晶』を使用して、纏属進化を行います>


 よし、コケとロブスターのどっちを進化させるかの選択肢が出てきたね。共生進化なら両方共に進化で、支配進化からの派生である同調の俺の場合はどっちにするかを選択出来る。

 ま、どう考えても水属性を持っているコケに一時的とはいえ火属性を持たせるのはデメリットになるから、ここはロブスター一択だな。どっちかが持ってれば適応は共有出来るから問題ないしね。


 という事で、ロブスターを選択! おぉ、真っ赤な球状の膜に覆われていくね。まぁロブスターを覆えば自然とコケも覆われるけど、実際に進化するのはロブスターだけだよなー。

 アルとヨッシさんも両方一緒に真っ赤な膜に覆われていってるけど、アルは木もクジラもデカいから球状の幕もデカいな!? 


<『同調打撃ロブスター』から『同調打撃ロブスター・纏火』へと纏属進化しました>

<『発火Lv2』『火の操作Lv2』『火魔法Lv2』が一時スキルとして付与されます>


 おっと、そうしている間に進化完了っと。……そういやこの一時スキルとして付与されるスキルって、同調共有に登録してないけどコケから呼び出せるのか?

 確か火魔法はコケで持ってるから、ロブスターの同調共有の枠には登録してなかったはず。発火はそもそもロブスターは持っていない。……念の為、試しておくか。


「……じゅるり」

「あー、ハーレさん? 思いっきり視線が気になるんだけど?」

「あぅ!? つい、前に食べたロブスターを思い出したのさー!?」

「あはは、確かに今のケイの見た目は茹でたロブスターかな!」

「え、そんなにか!?」


 あ、自分の見える範囲のハサミを見てみたら、以前食べたロブスターのハサミにそっくりだ。背中の方のコケに視点を移して、そこから見える範囲のロブスターの様子を見てみても……うん、これはまさしく茹でたロブスター。


「……見てたらまたロブスターを食べたくなってきたな」

「だよね!? ケイさんもそう思うよね!?」

「ケイにハーレの食い意地が感染したかな!?」

「おー、見事に真っ赤じゃねぇか、ケイ」

「あはは、確かにそれは茹でたロブスターだね」

「よし、なら実験も兼ねてこれでどうだ!」


 ちょっと茹でたロブスター状態を放置というのもあれなので、見た目を変えるという意味合いも含めて実験してみよう。まぁ溶岩の洞窟で必要性があるかどうか、正直怪しいけど。


<行動値上限を3使用と魔力値2消費して『発火Lv2』を発動します>  行動値 80/80 → 78/78(上限値使用:3): 魔力値 220/222


 あ、これって魔力集中と同じような行動値の上限と魔力値を消費するタイプのスキルか。違うのは時間制限が特にないってくらいだな。

 えーと、効果としては火傷の状態異常を確率で与える……って、これからの敵に効くとは思えない。でもまぁ、ロブスターの表面から火が立ち上っているから見た目は変わったはず。


「……焼いたロブスターも美味しそうなのです!」

「あんまり効果なかった、だと!? てか、焼いたのは食ってないよな!?」

「この前、動画で見たのさー!」

「それは知るか!」


 それこそ俺にどうしろって話だよ! ……ふぅ、落ち着け。ぶっちゃけハーレさんが俺のロブスターを食材的に見てくるのは初めてではない。

 ちょいちょいハーレさんが心の中で俺のロブスターをザリガニと呼んでいるのが表面上に出てくる事もある。今更気にする事じゃない。よし、自分自身に言い聞かせるのはこれで良し。


「お、アルは赤いクジラってのはなんか新鮮だな。……木は火が着いた炭か、焼け残った木?」

「……俺も発火を使っとくか。そっちの方が見た目的には良い……って、そういやケイ、なんでロブスターで発火が使えた? 同調共有にしてんのか?」

「いや、してない。使えるかどうかを試したかったんだけど、一時スキルはその辺は関係ないみたいだな」

「……そうなのか? なら、俺も木からクジラの方に発火させられるって事になりそうだが……ちょっとやってみるか。『発火』!」

「全身から火を噴くクジラになったのさー!?」

「お、いけるっぽいな。んじゃ、これなら木もいけるか? 『発火』!」

「あ、木も燃える木になったかな!」


 ふむふむ、共生進化だろうが、支配進化だろうが、同調だろうが、付与された一時スキルの使用に関しては制限はかからないんだな。


「ヨッシは……何か不思議な感じかな?」

「どう表現したら良いのか悩むのです!?」

「あえて言うなら斑模様か?」

「なんというか、ヨッシさんの見た目は表現がしにくいな」

「あはは、今の私の状況って4属性だしね」


 ウニの方は分かりやすく真っ赤になってるけど、ハチの方が質感が氷で、そこに火属性の赤色と、雷属性の黄色と、毒属性の紫色がマダラ模様となっている感じ。

 この見た目のハチ、リアルにいたら絶対に避ける! スズメバチよりヤバそうな見た目をしてるしさ。


「まぁとりあえず見た目は良いとして、準備は完了! それじゃ溶岩の洞窟の中へ出発!」

「「「「おー!」」」」


 そうしてみんなで火を噴き出しているアルのクジラの上に乗って、移動準備完了だ。さて、それじゃ予定していた溶岩の洞窟へと突入だ!


 あ、そこまで言ってから思ったけど、ここで転移の実を登録し直しとけば良かったか? 一度昼から森林深部に戻る予定はある訳だけど……。

 うーん、まぁよっぽどの事が無ければ全滅はないだろうし、最悪でもどこかの群集拠点種で合流も出来る。

 また移動は必要にはなるけど、今日転移してきた場所からでも移動に極端な時間もかかりはしないし、再登録するのは午前中のLv上げを切り上げる時で別にいいか。


<『封熱の霊峰』から『名も無き溶岩洞』に移動しました>


 そんな事を考えてるうちに、アルが空中を泳ぎながら洞窟の中へと入っていき、エリアの切り替えになった。

 ここはエリア名が名も無きになってるから、まだ命名クエストが発生してないんだな。って、おぉ! こりゃ凄い!


「わぁ! これはファンタジーな感じかな!」

「普通じゃこんな地形、足を踏み入れたら死ぬだろうな」

「ゲームならではなのさー!」

「確かにそうだね。うん、これは凄い迫力だよ」

「ここはゲーム的なご都合感が満載だな!」


 洞窟の入口から下り坂になっている場所を通り抜ければ、そこにはしっかりとした岩の足場と、その周囲を囲むように存在している溶岩……いや、流れているからマグマって呼んだ方がいいか。

 ゴポッ、ゴポッっと音を立てているマグマからは、頭を出しているワニらしき敵がチラッと見えた。……ここの敵、平然とマグマの中にいるのか。


「それにしても、足場の岩場の広さは安定してないみたいか」

「広くなったり、狭くなったりしてるみたいだな」

「私が見たとこはもっと狭かったのさー!」

「場所によって、かなり足場の広さが違うのかな?」

「これは飛んでた方がよさそう?」

「そうみたいだし、アル、頼んだ――」

「そこのクジラの人、飛んだら駄目だ! フェニックスに焼かれるぞ!」

「「「「「えっ?」」」」」


 近くにいた赤い……ウネウネ動く枝って、これはヘビの人に苦手生物フィルタの効果がかかってるだけか!

 というか、ヘビの人、今凄い重要な事を言ってた気がする。……飛んでたらフェニックスが来る? え、ここにいるっていう成熟体のフェニックスの事?


「すぐにフェニックスが来るぞ! フェニックスが攻撃を始めるまでならなんとか見逃してくれるから、早く地面に降りろ! 乗ってる人達も出来るだけ高い場所は避けろ!」

「マジか!? アル、今すぐ着地! みんなも各自で飛び降りろ!」

「おう!」

「分かったかな!」

「わっー!? 本当にフェニックスが飛んできてるのさー!?」

「これはいきなりだね!?」


 ハーレさんがフェニックスを視認したっぽいけど、今はともかくヘビの人の言う通りに地面に着地だ! いきなり成熟体に襲われて死亡とか嫌だから、フェニックスが到着する前に飛び降りろー!

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自力での電子書籍版もありますので、よろしければこちらもどうぞ。
大きな流れ自体は同じですが、それ以外はほぼ別物!
ケイ以外の視点での外伝も収録!

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― 新着の感想 ―
[一言] 制空権は渡さないフェニックス꧁⋛⋋( ・∇・)⋌⋚꧂ばっさばっさ
[一言] 誤字報告はしたけど ><『同調打撃ロブスター』から『同調打撃ロブスター・纏氷』へと纏属進化しました> ここでちょっと笑った 火山に氷属性で特効はただの自殺ですねぇ! >「あはは、確かに今…
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