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Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜  作者: 加部川ツトシ
第25章 ひたすらレベル上げ

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第832話 成長体を探しに


 次のフィールドボスを誕生させる為には成長体の数が足りないので、新たな成長体を確保しに移動中である。


 しばらく俺の飛行鎧に組み込んでいる懐中電灯モドキで照らしつつ、成長体を探しているけど成果はなし。

 どうもこの上風の丘のエリア的な特徴である強風は夜の間は弱めのようだし、適正Lvから離れているから敵が近付いてくる様子もない。


 ざっと見た感じでは俺らがフィールドボスの連戦をしている影響でここにLv上げをしに来ている人も多いようである。夜で強風が少なめではあっても、急な突風がない訳じゃないから、そこら辺で苦戦気味っぽいね。

 ちなみに近くを通りかかった時に何PTか声はかけられたけど、どこも成長体は見つけてはいなかった。見つけたら持っていきますと言ってはくれたんだけどね。


「うがー! 一般生物の虫や、普通の未成体や、他のプレイヤーは簡単に見つかるのに、成長体っぽいのが見つからないのです!」

「……そういえば、ハーレ。成長体と未成体ってどう見分けるの?」

「えっと、それはパッと見の雰囲気なのさー! 未成体より成長体の方が、特性に関わる部分の模様が薄かったり、派手じゃないのです!」

「私のクマで言えば外骨格化してる爪だったり、ハーレなら腕に白い模様があったりとかになるかな。ヨッシも属性での色合いが成長体より鮮やかだよね」

「あ、そんなに気にしてなかったけど、そういう見分け方なんだ」

「……俺もあんまり気にしてなかったな」


 ふむ、そう言われると俺のロブスターも白い模様とかはないけど、成長体の時よりもハサミがゴツくはなってるし、斬撃の特性を追加した時に鋭利にも変わっている。

 これまでそんなに意識はしてなかったけど、意識をして見てみれば確かに確実に見た目は違うのか。……でも、コケの見た目はほぼ変わらないんだよな。まぁコケの場合は見た目が変わり過ぎたら森林とかでの優位性が薄れるというのはありそうだけど。


「絶対にそうなってるわけじゃないから、あくまで目安なのさー! それっぽいのがいたら、識別で確認なのです!」

「なるほど、そういう感じか。それで今はそれっぽいのが全然いないんだな?」

「そうなのさー! ケイさんの獲物察知には反応ありませんか!?」

「今のところ、こっちにも反応はないな。あ、効果が切れたか」


 それなりの時間は保つようになってるけど、それでも長時間って訳にはいかないか。まぁ成長体を探すのに役立つのは間違いないから再発動していこうっと。


<行動値を5消費して『獲物察知Lv5』を発動します>  行動値 62/67(上限値使用:13)


 そういや獲物察知は使った後でも他のスキルは使用出来るけど、効果時間中に行動値は回復してはくれないんだな。……攻撃しなきゃ非戦闘時だし、今みたいな使い方だと行動値の消費が無意味になるから仕様としては仕方ないか。


「うーん、やっぱりいないか……」

「そう都合良くは見つからないよね」

「だなー」


 この見つからない状況を考えると、2体も確保していたザックさんの勘って地味に凄いんだな。そのザックさんがこっちの方に居そうだと言ってもいるんだよね。そこがどう出るかが問題だな。


 既に紅焔さんとソラさんが捕獲したクワガタだけではフィールドボスへの進化には数が……って、あれ? 確かフィールドボスって進化後のLvがLv11以上になれば良いんだったよな。という事は……?

 

「ケイ、どうかしたかな?」

「あー、ちょっと思い至った事があってさ。いや、正確に言えば成長してるのに変化している部分として考えてなかった事か」

「……どういう事かな?」

「いやさ、+20の瘴気石が出てきた今なら瘴気強化種も単独でフィールドボスに進化させられるんじゃね?」

「「「あっ!」」」


 うん、どうやらサヤ達もこの辺の事は全然考えていなかったっぽいね。なんというか、瘴気強化種は2体使って合成進化させるものという認識で完全に固まってしまっていたんだろう。


「ケイさん、その話題についてちょっと良いか?」

「肉食獣さん? あー、これってもう検証済みだったりする?」

「まぁ結論から言ってしまえばそうなるな」

「これくらいの内容なら、そりゃそうだよなー」


 検証をしている人は沢山いるんだし、その人達が全員見落としているとは考えにくい内容ではあるもんな。んー、流石に今回は新発見とはならなかったか。


「つっても、あんまり良い情報とも言い切れない内容だぜ」

「……ん? 何か問題があったりするのか?」

「まぁ問題って程でもないんだが、その場合のフィールドボスへの進化条件が根本的に変わっていてな」

「え、条件が変わるのか?」

「あぁ、瘴気強化種の単独でのフィールドボスへの進化は最低Lv16になる。まぁ最低でも+15の瘴気石が必要になるって訳だ」

「地味にハードルが上がってる……」


 なるほど、確かにこれはあまり良くない情報だね。この条件を無理に満たすよりは、2体の成長体を確保して合成種として進化させた方が効率は良さそうだ。

 仮に単独で進化させるにしても、黒の暴走種がいればそっちに使いたいというところだよね。うーん、中々絶妙に進化させるか悩ましいラインに設定してきてるな。


「そういう事なら、今回の連戦では瘴気強化種の単独での進化は無しかな?」

「+20以上の瘴気石が気軽に手に入るのであれば進化させてもいいんだが、流石にまだまだ貴重品だからな。現時点で俺らの適正Lvになるフィールドボスを用意するのは2体の成長体を使うのが現実的だ」

「ないものはどうしようもないのさー!?」

「まぁ、そうなるよね」

「そだなー。肉食獣さん、情報サンキュー! そういう事なら普通に成長体の捜索に戻るわ」

「おう! 俺らの方も見つけねぇとな」


 ふー、肉食獣さんから瘴気強化種を単独でフィールドボスにする条件は聞けた。今の段階では有益な情報ではなかったけど、地味に大事な情報ではあるよね。

 今後、+20以上の瘴気石が増産されてくれば気軽な選択肢になってくるだろうけど、今はまだ早いという段階か。

 なんというか、気軽に単独進化のフィールドボスは誕生させないという運営の意思も感じるとこだね。まぁバランスを取っているとも言えそうだ。


 さて、気分を取り直して改めて成長体を探していこう。えーと、さっきより更に北西へ進んだけど、あんまり離れ過ぎるなという話だったよね。

 今いる場所は紅焔さん達が待機してる場所からそれなりに離れてきてるし、そろそろ折り返しつつ、通って来なかったルートを通って探して――


「ヨッシさん、少しストップ!」

「え、あ、うん!」


 今、視界の端に成長体を示す細い線がチラッと見えた。ギリギリで獲物察知の効果範囲内に入ったってとこだな。

 方向的には……ほんの少し西寄りにして、そのまま真っ直ぐいけば良さそうだ。場所としては木々が少し集まってる部分か。これは虫か樹か草の成長体かもね。


「ケイ、どっちかな!?」

「ここから少し西寄りに角度を変えてそのまま真っ直ぐ行った所にある木々のとこだ! そこに成長体の反応あり!」

「えっと、あそこだねー! プレイヤーの反応はありますか!?」

「それはないから大丈夫だ。ヨッシさん、移動再開を頼む」

「了解! ケイさん、目印として照らしてもらえる?」

「ほいよっと」

「あそこだね。それじゃ移動を再開するね」

「成長体の捕獲作戦、開始なのさー!」


 まだ何の成長体がいるかは分からないけど、とりあえず次のフィールドボス戦の為に使える可能性は高い。さて、それじゃ捕獲の為にも移動再開だね!



 そうして獲物察知に反応があった位置の近くへとやってきた。そしてもう少しってとこで獲物察知の効果が切れたがな!


「悪い、獲物察知の効果が切れた……」

「ケイさん、大丈夫なのさー!」

「うん、大体の位置は照らしてくれてるので分かってるから問題はないかな」


 観察眼に優れているサヤとハーレさんがこう言ってくれるのは頼もしいね。ここからは2人に任せれば大丈夫だろう。


「ところでケイさん、成長体がいる方向はこの木々の中って感じ?」

「……木を示してはなかったから、多分そうだと思う。どちらかというと地面に向いてたから虫とかかもしれないな」

「それだと……ここって多分、サヤとハーレが苦手なのが出る可能性もあるよね?」

「「っ!?」」

「……まぁその可能性は否定はし切れない」


 ヨッシさんの言葉にサヤとハーレさんは思いっきりびっくりしてるね。まぁどっちも初期エリアでは出ないってだけで、ここらのエリアなら普通にいてもおかしくはない。


「……サヤ、今回は譲るのさ!」

「いやいや、ここはハーレに譲るかな!」

「「…………」」


 お、サヤとハーレさんが無言で睨み合うという状況とか、珍しい事もあるもんだ。別に可能性があるってだけで、まだそうと決まった訳じゃないんだけどん。

 さて、この睨み合いを続けていても仕方ないし、どうするか。嫌がってるのを無理強いはしたくないし……。


「ヨッシさん、俺と2人で見に行くか」

「苦手なのを無理強いはしたくないし、その方が良さそうだね。そういう事だから、サヤ、ハーレ、そこまでだよ」

「……面目ないかな」

「……はーい」

「それじゃそろそろ時間切れも近いし、氷は解除していくね。サヤとハーレはここで待ってて」

「分かったかな」

「はーい」


 そうして木々の手前でサヤとハーレさんは待つ事になり、ここまで乗ってきた氷塊の操作を解除したヨッシさんと俺とで成長体の確保に向かう事になった。


 ヨッシさんは普通に飛び、俺は飛行鎧で飛んで木々の合間に入っていく。これって今は可能性でしかないけど、本当にサヤとヨッシさんの苦手なやつだったらどうしよう?


 ハーレさんに関しては一応黒い饅頭に見えて意外と平気だったという前例……そういや、思いっきりその時に俺を叩きつけてくれたっけ。あー、ハーレさんに対しては配慮はいらない気がしてきた。あの後、普通に平気そうにしてたしさ。

 逆にサヤは苦手生物フィルタの効果があっても、それでも苦手な様子だったもんな。サヤが苦手なクモだったなら、次のフィールドボス戦は見ないように待機してもらった方が良いかもね。


「ケイさん、この辺り?」

「あー、多分この辺だと思うんだけど……」


 獲物察知で表示された矢印の位置的には、この辺のはず。ただ、移動しているという可能性もあるんだよね。

 そこら辺をサヤとハーレさんに頼りたかったけど、まぁ今回はまた獲物察知を使って対処――


「あ、見つけた!」

「え、ヨッシさん、どこだ!?」

「地面のコケだよ、ケイさん!」

「そういうパターンか! あ、マジだ」


 言われるがままに地面を見てみれば、周囲にあったコケに黒いカーソルの表示がされている。

 ははっ、ここで成長体のコケを見つけるとは思ってなかったぞ! それにしてもこれは普通なら見落としそうなもんだね。擬態を持ってなくても気付かれにくい種族なだけはある。


「え、コケなのかな!?」

「それなら問題ないのです! あれ? サヤ、何か変じゃない!?」

「……うん、同感かな」


 苦手な生物ではないと分かった途端、すぐに駆けつけてきたサヤとハーレさんがそんな事を言い出した。

 うーん? そういえば、未成体の俺らを前にして逃げる気配がないな。……確かに何か違和感があるし、コケなら群体化して逃げる用意をしている可能性はある。ちょっと群体化の様子を確認してみるか。


<行動値を2消費して『群体化Lv 2』を発動します>  行動値 60/67(上限値使用:13)


 成長体が相手なら極端に広範囲を確認する必要もないだろうから、少し行動値の節約の為にLv2での発動っと。ふむ、周囲のコケを群体化している気配はまるでないな。


「このコケ、なんで俺らから逃げない? 群体化もしてないし、交戦的ではなさそうだし、このパターンって擬態っぽいけど擬態じゃ獲物察知には引っかからない筈だし……」

「あ、もしかして……うん、違和感があるのはコケの部分じゃないし、この可能性はありそうかも?」

「サヤ、心当たりがあるのか?」

「あくまで推測にはなるけど、一応あるかな。それを確定する為に、ちょっと試して良いかな?」

「あー、そりゃ別に良いけど」


 ふむ、どうもサヤにはこの逃げようとも戦おうともしないコケの様子に心当たりがあるらしい。

 てか、サヤは違和感があるのはコケの部分じゃないって言ったよな。あっ、もしかしてそういう事か!?


「ケイさん、ヨッシ、逃げられないように捕まえる準備をするのさー!」

「俺も大体予想がついた。そりゃ必須だよな!」

「え、みんな、それってどういう事なの?」

「ここにいるのはコケだけじゃないって可能性かな! 『看破』! あ、やっぱりかな!」


 サヤがコケのいる方向に向けて看破をすれば、コケが接していた地面が動き出していく。

 ははっ、コケを背負ったなんか薄っぺらいヤツが一気に逃走を始めたね。地面を這ってるって事は飛行手段は持ってないっぽいな。


「わっ!? あ、これってもしかしてコケと何かの共生進化なの?」

「そういう事だな! ヨッシさん、こいつは俺が捕獲する!」

「あ、うん、分かったよ」


 さて、擬態を解除したら逃げていくのは分かっていた事だ。でも成長体が未成体の移動速度に勝てると思うなよ!


<行動値1と魔力値3消費して『土魔法Lv1:アースクリエイト』を発動します> 行動値 59/67(上限値使用:13): 魔力値 217/220

<行動値を19消費して『岩の操作Lv4』を発動します>  行動値 40/67(上限値使用:13)


 よし、無事に捕獲完了! あ、しまった!? 岩で閉じ込めたら擬態してた方の種族が分からないじゃん!?

 くそっ、水で閉じ込めたら殺すかもって思って咄嗟に岩にしたけど、水で中に空洞を作ればよかっただけだよ……。


「ハーレ、今のはエイかな?」

「分かりにくかったけど、長めの尻尾みたいなのが見えたのでエイだと思うのさー!」

「あ、今のはエイだったのか」

「多分そうみたいだね。尻尾が岩のここからはみ出てるよ」

「あ、マジだ。大きさを見誤って岩を生成したっぽいな」


 俺の方からは死角になってる部分から細長い棘のような尻尾が見えてるし、サヤとヨッシさんの見解も一致しているからエイで間違いなさそうだね。

 とりあえずはみ出てる尻尾は追加生成した岩で押し込んで……よし、これではみ出た部分はなくなった。


 どうもコケとエイで共生進化をしていたようだから、これなら融合種のフィールドボスの誕生をする事が可能なはず。しかも2体分を一気に確保出来た訳だ。

 多分他のみんなにもPT会話で状況は聞こえてるだろうけど、捕獲の報告をしてからフィールドボス戦をやってた場所に戻って3戦目をやっていこうじゃないか!

 

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大きな流れ自体は同じですが、それ以外はほぼ別物!
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― 新着の感想 ―
[一言] 苔むしたエイ……(笑)
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