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Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜  作者: 加部川ツトシ
第25章 ひたすらレベル上げ

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第818話 ケイとフーリエの特訓 上


 サヤ達は中継を行ってくれる灰のサファリ同盟の本部に辿り着いたみたいだし、どうやら今は紅焔さんとソラさんが解説とゲストをやる事について話し始めたっぽい。

 まぁPT会話越しだと断片的なとこしか聞こえないし、そこら辺は任せとこう。今は俺らは俺らでやるべき事をしていかないとね。


「おし、とりあえず模擬戦の設定を決めていくか」

「はい! 対戦エリアはどこにします?」

「あー、フーリエさんは特に有利って程でもないエリアでの立ち回りと、有利なエリアでの立ち回り、どっちを鍛えたい?」

「あれ? 不利なエリアは除外ですか?」

「……まぁ今回はアイテムの使用は無しでやるつもりだからな。流石に適応にアイテムが必要な場所は今回は除外しとく」

「あ、それもそうですね! それなら特に有利ではないエリアでお願いします!」

「それなら……高原はハイルング高原には行ってるだろうし……草原エリアでも極端に苦戦はないはず。流石に湖や湿地帯は戦い方が変わってくるから今は除外するとして……岩山エリアくらいか。ここなら極端にコケが多い訳でもないけど、アイテムが必要になるほど特殊でもないからな」

「岩山エリアはまだ行った事がないから、少し戦ってみたいです!」


 まぁ岩山エリアはフーリエさんが適正Lvになった際に行く可能性もあるし、今のうちに慣れておくのも良いはず。岩山なら天然産の岩も使えるし、その辺も含めて鍛えるのも良いだろう。

 まぁ俺らの行った岩山エリア……今は命名クエストが終わって『封熱の霊峰』だけど、模擬戦のエリアがあそこと同じ感じであれば良いんだけどね。……流石に極端に違う事はないと思うけど。


「昼か夜かは選べないからどうしようもないとして、天候はどうする?」

「……そうですね。出来れば荒れた天候よりは、安定している気候が良いです」

「ま、そりゃそうだ。それじゃ晴れでいいか」

「はい!」

「中継は灰の群集のみで……あ、外からの声はどうする? 多分、実況が丸聞こえだと思うけど……」

「……そこはオフでお願いします」


 あれ、なんか妙に声が小さくなったけど何かマズい事を聞いたかな? うーん、ここは聞くべきか、聞かずにそっとしておくべきか、微妙に悩ましいとこだな……。


「あっ、今のはそんなに深い意味はないですよ!? シリウスと模擬戦をした時にオンにした事があったんですけど、色んなとこから声が聞こえて集中出来なくて……」

「あー、なるほど」

 

 どうやら思いっきりまた声に出てたっぽいけど、ここは師匠として出来るだけ表に出さないようにしておこう!

 普段もそれなりに気をつけているつもりなんだけど、どうしてもこの癖は抜けきらないもんだ。まぁすぐにどうにかなるものでもないのは承知しているし、そこら辺は今後も気をつけていかないとな。


 それにしてもシリウスさんと模擬戦をした時にそういう事があったのか。俺は外部からの声があると集中出来そうになくて毎回オフにしてるから体感した事はないけど、色んなとこから声が聞こえて来たらそりゃ落ち着かない気持ちは分かる。


「とにかくそういう事なら外からの音声はオフにして……あとは公開範囲は灰の群集までで、中継条件的に俺らの声は公開だな。あ、さっき言ったけどアイテム無しで大丈夫か? アイテムありにすると割と何でもありになってくるし」

「はい、そこはアイテムなしで大丈夫です!」

「ほいよっと。……よし、これで設定は完了!」


 設定項目はこれで埋まったから、間違いがないかを確認して……うん、特に設定間違いはないな。それじゃハーレさんに実況の開始をしてもらって、模擬戦を始めていこう。

 ほぼ聞き流していて内容は正確に把握してないから多分だけど、紅焔さんとソラさんの解説とゲストは雰囲気的には採用になった感じっぽかったしね。まぁ灰のサファリ同盟の方も断る理由はないもんな。


「ハーレさん、こっちの設定は終わったから始めていくぞー」

「会話は聞いてたから、把握済みです! それじゃ実況も始めていくねー!」 

「おうよ。フーリエさん、行くぞ」

「はい!」

「さぁ、我らが『グリーズ・リベルテ』のリーダーでありコケの人ことケイ選手と、正式にその弟子となった――」


 そんなハーレさんの実況の開始の声を聞きながら、エンの樹洞の中にある対戦エリアへと移動していく光の中へと入っていった。

 さて、今回の模擬戦はどちらかというと力試しよりは特訓形式の感じだけど……まずはフーリエさんの今の実力を自分で確認してみようか。


<『模擬戦エリア:岩山』へと移動しました。模擬戦の開始のカウントダウンを開始します>


 おし、岩山エリアへと移動完了。こっちに移動したらPT会話は全く聞こえなくなったな。まぁそうでないと集中出来ないし、俺とフーリエさんの声については中継越しでみんなには聞こえるから問題はない。


 それにしても模擬戦の岩山エリアは初めてだけど、今の位置は随分と拓けた位置だな。少し進めばドラゴン戦の挑戦権を賭けて乱戦になった切り立った崖というか、岩山で入り組んでいる場所みたいなのはあるけど、開始地点はその手前の岩が点在していたような場所だね。

 天候については設定した通りに晴れで、時間帯は昼間になったか。とりあえず光の操作が使える環境ではあるね。


 そしてフーリエさんはただのコケの状態で地面に広がっている。ふむ、ヘビとの融合種のコケでも標準状態はその形か。あー、昨日の十六夜さんとフーリエさんの対決の時も開始時はそうなってたっけ。


「ここが岩山エリア!」

「今の場所はその入口って感じの場所だな。あっちの入り組んでる方でやりたかったけど、まぁ初期位置については仕方ないな」

「それなら移動しますか?」

「いや、それは後で良いよ」

「……後で、ですか?」

「そう、後でな。まずは直接フーリエさんの戦い方を見てみたいから、全力でかかってこい!」

「っ!? はい、分かりました!」

「基本的に俺からは攻めないけど、危ないと思ったら反撃はするからな」

「ケイさんに反撃をさせるつもりでやれって事ですね!」

「ま、そんな感じだけど、回避や防御はするぞ?」

「はい! 頑張ります!」


 フーリエさんの気合は充分だし、未成体に進化してそれほど経っていない今の段階でどこまでやれるのか確かめさせてもらおう! 昨日の十六夜さんとフーリエさんの対決では、いまいち掴みきれなかったしね。

 さて、模擬戦の開始のカウントダウンももうすぐ終わる。残り4……3……2……1……0!


<模擬戦を開始します>


 よし、模擬戦が開始になった。まずはフーリエさんのお手並みを拝見だな!


「行きます! 『増殖』『増殖』『群体擬態』『自己強化』『スリップ』!」

「おっ!?」


 初手でコケを増殖で増やして、群体擬態でヘビ型に変化して、スリップで岩場を滑って移動をしてきた。へぇ、スリップで自分自身を滑らせて移動に使うってのもありか。

 それにコケを増殖した分だけヘビ型の大きさも大きめで、大体1メートルくらいってところだね。でも滑っても俺に向かって真っ直ぐ突っ込んでくるだけじゃ意味はない。まぁそこまで安直な突撃とは思えないから、まだ何かあるんだろうな。さて、ここからどう来る?


「『並列制御』『薙ぎ払い』『スリップ』!」


 おっと、近くまで来た段階で更にスリップで横滑りを起こして、その勢いを使って尻尾……だと思う部位で薙ぎ払ってきた。ふむふむ、直前で攻撃方向をスリップで切り替えて、そこから攻撃に繋げるか。

 ここは単純に回避しても良いけど、防御した際のフーリエさんの反応が知りたいな。よし、ここは確認の為に魔法で防御するか。


<行動値5と魔力値15消費して『水魔法Lv5:アクアウォール』を発動します> 行動値 75/80 : 魔力値 205/220


 とりあえずこれでフーリエさんの薙ぎ払いを受け止めた。うん、Lv差があるからだろうけど、耐久値はそれほど減ってはいない。

 まぁ全く耐久値が減っていないという訳ではないから、無駄って訳でもないけどね。進化階位は同じだから、この辺はLv差があってもちゃんとダメージは通りはするか。


「水の防壁ならこれで! 『魔法吸収』!」

「ま、やっぱりそれくらいは持ってるか」

「……でも吸いきれないです!」

「その辺はLv差があるから、ある程度はしゃーないな。ほい、防壁魔法は解除っと」

「次、行きます!」

「おう、向かってこい!」


 フーリエさん自身もLv差でどうしようもない部分はちゃんとわかっているようだし、操作を使っていない普通の魔法に対して有効な手段も把握しているみたいだね。


「『半自動制御』『薙ぎ払い』!」

「おわっ!? そうきたか!」


 ちょっと予想外だったけど、これは半自動制御に増殖を大量に組み込んで行動値10消費だけで一気にコケの群体数を増やすようにしてるっぽいな。ただ、どうやらヘビの形状の大きさには限界があるようで、溢れたコケは周囲の地面や岩にも広がっている。……これはこれでありな使い方だな。

 それで巨大化したコケの大蛇で近場の岩をまとめて薙ぎ払って吹き飛ばしてきていた。フーリエさん、操作系は苦手だと言ってた気もするけど、こういう手段で近くの岩を攻撃に使ってくるとはね。


 さて、ぶっちゃけ飛行鎧でも使えば回避自体は簡単なんだけど、ここは真っ向から潰しておくか。


<行動値を5消費して『強連打Lv5』を発動します>  行動値 70/80


 飛んできている岩は天然産の岩だし、壊すのにはこれで充分だ。って事で、俺に向かってきている岩は殴り壊すまで! 

 ふむ、ちょっと壊しきれなかったけど、迎撃自体は成功。破壊するには魔力集中か自己強化辺りは発動した方がいいか。さて、ここから……って、あれ?


「……あはは、やっぱり今のじゃ駄目ですよね」

「んー、惜しいとこではあるんだけど……フーリエさん、今のはなんで追撃をしなかった?」

「もう行動値が殆ど無いんです……。養分吸収を当てられるならそこから回復をしつつ、通常攻撃で時間稼ぐんですけど……」

「あー、そっか。未成体になったばかりだとまだまだ行動値が少ないよな」

「……はい」

「流石にそれは仕方ないか」


 ふむふむ、同じくらいの行動値の相手であれば今の一連の攻撃で隙を作り、フーリエさん自身が言っている様に通常攻撃を叩き込みつつ養分吸収での行動値の回復速度の上昇も可能だろう。だからこそ、魔力集中ではなく自己強化を使っていたような感じはするね。

 あっという間に行動値を使い切ってしまったとはいえ、今の一連の動きには結構な可能性は感じる。いくつかさっきの状態から追撃方法は思いついたし、そこら辺を教えていくとしますかね。


「よし、とりあえず行動値が少ないのはLvを上げるか『行動値増加Ⅰ』とかのスキルを取得するくらいしか方法が無いから仕方ないとして、今後の鍛える方針みたいなのを考えてみるか」

「は、はい! でも、中継の方は良いんでしょうか? ケイさん、僕への攻撃はしてないですよね?」

「あー、それなら後からやるから大丈夫。俺なりのコケの潰し方と、その対処方法も教えるからさ」

「あ、そうなんですね!?」

「まー、これについては知ってる人もいるような内容が主にはなるだろうけどな」

「それでも参考にしたいです!」

「おう、その辺はちゃんと教えるつもりだからな」


 コケへの対処方法については中継を見ている人達の役にも立つだろうし、さっきのフーリエさんのスキルの使い方でそれを出し抜く方法ってのも思いついたからね。その辺も含めて教えていこうっと。

 あ、その前にこれはちゃんと確定しておかないと、これからフーリエさんにしてもらう事に不十分な条件になる可能性もあるな。


「さて、フーリエさん。多分まとめに情報はあると思うけど、今は聞く方が早いから確認な。コケとヘビで融合種にした時に『群体塊』が『群体擬態』に改変されたスキルだと思ってるんだけど、間違いはない?」

「あ、はい! それで合ってます!」

「……やっぱりか。ちなみにヘビ型に変わる以外に『群体塊』との違いってあるか?」

「これと言って特にはないと思います。あの……それに何か問題でもありましたか?」

「あー、問題があった訳じゃないよ。これからフーリエさんに少し考えてみてもらう事があるから、その為の確認だな」

「……僕が考えてみる事?」


 ふむふむ、どうやらコケの塊の形状がヘビ型になるという性質が加わる以外は基本的な性能は変わらないみたいだね。それなら俺の思いついている手段には問題はないし、ここは正式に師匠になったんだからそれ相応にやっていこうじゃないか。


「さっきなんで追撃しなかったかって聞いたけど、仮にまだ行動値があったとしてあそこからの追撃をするならどうやる?」

「……さっきの状況からですよね? えっと、折角巨体にしたのでそのまま突撃とかですか?」

「それも1つの手段ではあるけど、他にも良い手段があるぞ」

「えっ!? そんなのあるんですか!?」

「まぁ実際に試して見る必要はあるけど、可能性としてはな。何もかも俺が説明したんじゃ成長にならないし、ヒントは出すからフーリエさんが自分自身で考えてみるって課題にしとく」

「……それはそうですね。分かりました、自分で答えを出してみます!」

「よし、それで良い! それじゃ軽めのヒントだけど、まず1つ目は半自動制御で大量増殖をしたコケを利用。2つ目はコケだからこそ出来る事」


 さて、この2つのヒントで俺が想定している手段に思い至ってくれれば良いんだけど、どうだろね? 師匠と弟子になったからと言って、ただ俺のやり方を提示して、自分で考えずにその通りに動くだけになるような状態にはならないで欲しいんだよな。


「大量のコケに、コケだからこそ出来る事……」


 俺の言ったヒントを反芻しながら、巨大なヘビ型になっているコケの頭らしき位置を動かしつつ、自身の姿や地面や岩にあるコケを繰り返し見比べている。うんうん、今必死に色々と出来得る事の可能性を考えているんだろう。




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大きな流れ自体は同じですが、それ以外はほぼ別物!
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― 新着の感想 ―
[一言] おぉ、師匠してる( ̄▽ ̄;)!!
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