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Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜  作者: 加部川ツトシ
第24章 タッグ戦の下準備
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第812話 決勝トーナメントが終わって


 決勝戦も終わり、見物をしていた人達はそれぞれの行動へと移っていく。時間としては既に11時は過ぎているから、俺らはアル以外はそろそろ切り上げ時だな。


「さて、俺はそろそろミズキの森林へ戻って生産を再開していくか。特に後始末もねぇよな?」

「あぁ、特に後始末は必要ない。肉食獣、手伝ってもらって助かった」

「なに、良いって事よ、リーダー! 流石に頻繁にとはいかねぇが、灰のサファリ同盟からも頼まれてちゃな! そういや今更だが、蒼弦はオオカミ組の方は良いのか? トラブルの対応役を任されてると聞いてたが……」

「あー、俺は――」


 ん? オオカミ組って今回はトラブルの対応役を任されてたんだ。え、でもそれなら、ここでゲストとかやってて良かったのか?

 あ、そんな事を考えてたら近くをオオカミ組のオオカミの2人組が駆けていって、通り過ぎた辺りで方向転換をして戻ってきた。


「あ、ようやく見つけたぞ、ボス!」

「姿が見えないと思ったら、こんなとこで何やってんっすか!?」

「げっ!? 見つかった!?」

「おい、待て、蒼弦。お前、手が空いてるからゲストをしていくって話じゃなかったか?」

「ま、待ってくれ、リーダー! それにはちゃんとした理由があるんだよ」

「……オオカミ組、お前らのボスはこう言ってるが?」

「ボスはただサボってただけっすよ!」

「俺はサボってねぇ! 各中継場所でトラブル対応の為の監視をするって話だったろ!」

「リーダーと桜花さんがいる場所にはその必要はないって言ってたの、ボスじゃねぇか!」

「元々このつもりだったっすね!?」

「うぐっ!?」


 あ、蒼弦さんが完全に口籠ったから図星だったのか。まぁ別にオオカミ組にトラブルの対応役を無理強いはしてない筈だから、蒼弦さん自身が実況に混ざりたかったのであればそれでも良いんだけど……他のオオカミ組のメンバーに無断でとなると流石になぁ……。


「オオカミ組のルールに則って、ボスの再選出を要求するっすよ!」

「今度こそ、ボスの座から引きずり下ろしてやる!」

「おぉう、やってやろうじゃねぇか! 俺が勝ったらチャラだからな!」

「それならすぐにやるっすよ! 肉食獣さん、モンスターズ・サバイバルの方でトーナメント戦の開催をお願い出来ないっすか?」

「……まぁ出来なくはないし問題もないが、お前らはそれで良いのか?」

「ボスを負かすのをいつでも狙ってるから、問題ないっす!」

「まぁその為にサボってたのを放置してたんだしな」

「おぉい!? お前ら、そんな事を企んでたのか!?」

「男に二言はないっすよね?」

「だよなぁ?」

「くっ、好きにしやがれ!」


 あれ? これって蒼弦さんがサボってるのを把握した上で、ボスの再選出をやる機会を作ろうとしていた感じ? 本気でサボってるのを怒っているのであれば、こういう感じにはならないよね。


「まったく、相変わらずオオカミ組の連中は変なとこで変なこだわりがあるもんだな。なぁ、リーダー」

「……そうだな。肉食獣、これで何度目だ?」

「……俺が知ってる限りで10回目くらいか?」

「俺が知ってる範囲でもそのくらいか……」


 あ、ベスタと肉食獣さんの反応を見る限り、思った以上にいつもの事みたいだね。こりゃオオカミ組の中では日常茶飯事っぽいし、心配する必要は特になさそうだ。


「それじゃ肉食獣さん、お願いするっす!」

「おうよ。だけど、その前に共同体の方に声をかけさせてくれ。大丈夫だとは思うが、俺の独断でって訳にもいかんからな」

「そりゃそうだな。なぁ、見習ったらどうだよ、ボス?」

「うるせぇよ! 文句があるなら、ボスの座を勝ち取れ! そういうルールで結成しただろう!?」

「そうっすよね!」

「今日こそ、負かす!」

「って事で、俺らはこの辺で失礼するわ。またな! ふっふっふ、俺をボスの座」

「おう、肉食獣さん、オオカミ組のみんな、またな!」


 他にもみんながそれぞれに挨拶をしてから、オオカミ組の面々と肉食獣さんはエンの方に向けて移動していった。オオカミ組のみんな、蒼弦さんからボスの座を勝ち取れるように頑張ってくれ!


「およ? 今そこで肉食獣さんとオオカミ組とすれ違ったけど、何かあったのー?」

「あ、レナさん。カインさんも一緒か。2人ともお疲れ様」

「おう、ありがとよ、ケイさん。ところで……」

「オオカミ組ならいつものアレだ」

「あー、いつものアレか。了解、リーダー」

「あはは、またやってるんだねー! また蒼弦さんの勝ちかなー?」

「どうだろなー」


 オオカミ組と肉食獣さんと入れ代わりで、レナさんとカインさんが一緒に俺らのとこまでやってきたね。ふむ、ここに来たのは俺達やベスタがいるからかな?


「今はオオカミ組は置いといて、レナさん、カインさん! どっちも凄かったのさー!」

「え、そう? いやー、まさか優勝出来ちゃうとはねー?」

「おーい、レナさん、あんだけ無茶苦茶な事をやっといて、それは無いって……」

「またまたー、カインさんに勝てたのは運が良かったからだって!」


 あー、うん。なんというか、レナさんは相変わらず自分自身の強さには無頓着というか無自覚な感じだね。レナさんの場合は自分を本気で過小評価してるのか、あえてそういう風に振る舞っているのか、その辺が地味に判別しにくいんだよなー。

 んー、これは俺の勝手な想像だけど、過去に調子に乗って痛い目を見た事があるとか? 弥生さんやシュウさんみたいに強い人とリアルで知り合いみたいだし、その辺は地味にありそうな気がする。……それこそ弥生さんに何かのゲームで自信をへし折られたとか有り得そう。まぁ勝手な想像だけど。


「……前々から思ってたんだけど、レナさんって自分の強さに自信がないようなのはなんでだ?」

「カイン、気持ちはわからなくはないが、そういうのは無理に聞こうとはするなよ? 不用意に踏み込めば何が出てくるか分からんからな」

「あー、それもそうだな。そうしとくわ、ベスタさん」


 カインさんが俺らに近付いてきて小声でそう尋ねてきたけど、まぁここはベスタの言う通り無理に聞き出す事でもないからこの辺はこれ以上深く考えるのはやめておこう。もし何か理由があるとしても、それを聞くのはレナさんから話してくれた場合のみだな。


「んー? ベスタさんもカインさんも何の話ー?」

「いや、大した事じゃないから気にするな」

「そっかー、それなら別に良いかなー」


 ふー、レナさん自身も特にそこら辺を変に追及はしてこなかったし、この件はここまでにしておこうっと。


「そういやレナさん、弥生さんからお誘いがあったって聞いたけど、本当かな?」

「サヤさん、それは本当だよー! 正確には弥生からじゃなくて、シュウさんがわたしとならタッグ戦をしても大丈夫だからって判断して話を持ちかけて来たんだよねー!」

「あ、弥生さんからじゃなくて、シュウさんからなのかな?」

「そうそう、そうなの。弥生の対人戦を本格的に解禁するから、その慣らしだってー!」

「遂に弥生さんの本格的な対人戦が解禁ー!?」

「……あはは、これは次の開催がありそうな競争クエストの脅威になりそうだね」

「……確かにそうなるよなー。あの弥生さんが相手か……」


 うーん、その可能性は岩山エリア……今は封熱の霊峰か。あそこで乱戦をした時から相当高くなってるとは思ってたけど、これはもう確定になったという事だよな。……レナさんがその復帰の手伝いかー。


「心配そうじゃねぇか、ケイ?」

「いや、だって弥生さんって相当強いよな? 俺、真っ向から弥生さんと戦って勝てる気がしないんだけど、ベスタはどうなんだ?」

「……弥生の底は見えないが、間違いなく余裕はないな」

「ベスタでもかー」

「それならある意味チャンスじゃないか? タッグ戦で弥生さんの戦闘方法……それも全力とまではいかなくても、片鱗は見れるだろ」

「あ、確かにアルの言う通りかもしれないな」


 青の群集から誰が出てくるかにもよるけど、ブチ切れて暴走した弥生さんではなく、戦闘中にテンションが上がって見境が無くなる弥生さんの戦闘を見るチャンスではあるよね。

 ただ、青の群集にはジェイさんがいるからなー。わざと手を抜いて、自分達の手を見せないという手段を取ってくる可能性も否定は出来ない。このタッグ戦は勝ったからといって、特にメリットがある訳じゃないもんな。


「ふっふっふ、それも考えてわたしは弥生の……って、およ? 噂をしてれば弥生からフレンドコールだねー。ははーん、さてはもう嗅ぎつけたなー?」

「あー、そういや赤の群集の連中がフレンドコールしてたな」

「まぁ結果が伝わりやすい様に決勝トーナメントだけは全群集に対して公開してもらったからねー!」

「え、全群集に公開してたのは決勝トーナメントだけだったのか?」

「あぁ、その辺は説明してなかったか」

「うん、初耳だな」


 俺らはその辺は特に指定してなかったし、どういう範囲で公開するかについてまで口出しする気もなかったから別に問題はない。

 決勝トーナメントを見てた人に赤の群集や青の群集がいたから、てっきりブロック分けしたトーナメント戦も全部通して公開してたのかと思ったよ。というか、ブロック分けしたトーナメント戦と決勝トーナメント戦で公開範囲は変えられるって事かー。


「あんまり待たせるのも悪いから、わたしは少し外すねー!」

「あぁ、了解だ。レナ、赤の群集の方がどうなったかを聞いておけ」

「そりゃもちろんそのつもりー! あ、弥生? そっちは――」


 そんな風にレナさんは少し離れた場所へと移動していった。なるほど、今みたいな感じで向こうから確認してくるのを見越した上での公開設定だったのかもね。


「さっきレナさんが言いかけてたけど、もしかして弥生さんの全力を引き出して分析出来る様にするのが目的かな?」

「あぁ、俺はそう聞いている。ついでに言えば、レナが勝ち抜いていなければ弥生が赤の群集の選出トーナメントで勝ち抜いたとしても出場は取り消しだともな」

「え、そうなのか!?」

「それがシュウから弥生へのタッグ戦の出場条件だそうだ。ま、シュウのその判断の理由も分かるがな」

「タッグ戦なのに、タッグを組んでる相手に攻撃したら滅茶苦茶になるのさー!?」

「……それでも大丈夫そうな灰の群集の人がレナさんって事なのかな?」

「強さもだけど、リアルでの知り合いって部分も大きそうだよね」


 ふむふむ、これはシュウさんがかなり裏で調整をしている感じだね。少なくとも弥生さんの暴走を抑えられるのはシュウさんだけみたいだけど、元々の知り合いのレナさんであれば万が一の時でも大丈夫という判断か。


 ん? 俺の方にもフレンドコールが……って、ジェイさんか。このタイミングで俺にフレンドコールがくるって事は、どう考えてもタッグ戦の話だよな。


「悪い、俺の方にもジェイさんからフレンドコールだ」

「そりゃケイにフレンドコールがかかってくる……あれ、その連絡はベスタへじゃないのか?」

「アルマース、俺はタッグ戦の方の責任者にはなってないぞ? 灰の群集でのタッグ戦の開催はグリーズ・リベルテとレナの担当だ」

「あー、そういやそうだったか。だったら、ケイかレナさんが担当だな」

「あれ? 自動的に俺かレナさんが担当になるの!?」

「ケイがグリーズ・リベルテのリーダーだから当然かな!」

「……そりゃごもっとも。とりあえずフレンドコールに出てくるわ」


 とりあえずみんなに断ってから、少し離れた位置でジェイさんからのフレンドコールに出ていこうっと。

 さて、ジェイさんからはどういう話だろうか? 単純に俺ら灰の群集の出場者が決まった事の内容確認だけか、タッグ戦の開催の時期に詳細な打ち合わせの話か、まぁ考えられるのはこれくらいだな。


「レナさんがフレンドコール中だから、ケイさんにしたという可能性もありそうです!」

「あ、それはありえそうかな!」

「ジェイさんはケイ相手だとムキになるとこがあるしな」

「……あはは、確かにそれはそうだよね」


 うん、みんな聞こえてないつもりなのかもしれないけど、思いっきり聞こえてるからね? まぁ内容的には事実だから否定する気もないけどさ。

 とりあえずジェイさんとフレンドコールが繋がったので、用件を聞いていきますか。


「おっす、ジェイさん!」

「こんばんはですね、ケイさん。少し時間がかかっていましたが、不都合なタイミングでしたか?」

「あー、その辺は大丈夫。それで今のタイミングで連絡をしてきたのは、タッグ戦絡みの話って事で合ってる?」

「……まぁそちらに青の群集からも観戦に行っていたので察しますよね。実は勝ち抜いたレナさんの方にフレンドコールをしようと思っていたのですが、フレンドコールの最中のようでしてケイさんの方に連絡させていただきました」

「あー、そうなんだ……」


 思いっきりハーレさんの予想が正解かよ! いやまぁ、勝ち抜いたレナさん自身もタッグ戦の開催に関わってるから、そっちを最優先にするのはなんとなく分かるけどね!


「みんな、赤の群集の方の出場者は決まったってー! 弥生に決まったよー!」

「やはりそうなったか」

「ま、そこは予想通りだな」

「レナさんと弥生さんのタッグが誕生なのさー!」

「これは期待かな!」

「後は青の群集がどうなるかだね?」


 ほうほう、どうやら赤の群集のタッグ戦の出場者は弥生さんに決定したようだね。まぁそうなる気はしてたし、これでシュウさんが設定したという出場条件もクリアか。

 残るはヨッシさんの言っているように青の群集のタッグが誰かだけど、ジェイさんから聞き出せるかな? まぁダメ元で聞くだけ聞いてみようっと。


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