第783話 スキルの連携
さて、みんなの特訓したい方向性は決まったから、スキルの熟練度稼ぎをやっていこう! 対戦型の方が捗るから電気魔法と風魔法を工夫して何か出来ないかな……?
「はっ!? ケイさん、良い事を思いついたのです!」
「ん? ハーレさん、どんな内容だ?」
「クラゲで小石を魔法で生成して、リスで投げるってどうですか!?」
ん? それってハーレさんのクラゲは魔法型にするんだし、リスで小石を生成するよりは魔法ダメージは大きくなるのか。多分投げるのには支障はない筈……。
「それ、意外とありかも……あ、でも土属性は風属性との相性が悪いぞ?」
「土属性を持たずにやればどう!?」
「あー、そういう手もあるか」
ふむ、キャラの属性として持ってしまえば相関関係にある属性同士はメリットを消し合うから良くはないけど、属性として持たないならありといえばありだな。……まぁ通常よりは風属性の影響で土属性の威力は落ちるだろうけど、物理型のリスで生成するよりは威力は上がるだろう。
「それとアースボムを投げれたりしませんか!?」
「あー、そういやそれってどうなんだ?」
地味にその辺は試した事がない気がするけど、もし可能なのであれば魔法に投擲ダメージを追加する事が出来る……?
うーん、投げる前に爆発しそうな気もするけど、実際に試した事は……多分なかったはずだよな。どうなるんだろ、この場合。
「よし、ちょっと特訓の前にその辺を試してみるか」
「おー! 実験なのさー!」
「その辺ならまとめにありそうな気もするけど、一応確認してみる?」
「あ、確かに既に試してみてる人もいそうかな」
「それもそうだけど、自分で試してみたいのさー!」
「ハーレさん的にはそういう事らしいから、今回はまとめは見ないで試してみるって事で良いだろ」
「……あはは、まぁそれも醍醐味かな」
「まぁハーレがそうしたいなら、反対する理由もないよね」
「みんな、ありがとー!」
まとめを見ればすぐに可能かどうかが分かる確率は高いけど、実際に自分で確かめてみたいって気持ちも分かるからね。まとめに頼るのも悪くはないけど、全面的に頼りっきりはなし!
この検証がもし上手くいけばハーレさんの投擲が更にパワーアップする可能性があるし、クラゲで土魔法を鍛える明確な理由も出てくる。さて、これから試してみるけどどういう結果になるかな?
「えーと、そういやハーレさんの土魔法ってLvいくつだ?」
「リスでLv4です! クラゲでは未所持です!」
「あー、有用そうならまずクラゲで取る必要があるのか」
「……というか、普通にクラゲで取っておいた方が良いんじゃないかな?」
「ハーレ、土の操作を取れるのに使えそうな称号はある?」
「えーと、森を荒らすモノはまだ取ってないからいけるけど、土を使って荒らす手段がありません!」
「……そうなるのか」
あー、荒らすモノの称号を取るとしたら応用スキルの操作系スキルになるもんな。岩の操作や砂の操作ならまだ可能性はあるけど……って、ちょっと待った。
「ハーレさん、投擲で小石とか砂とか普通に投げてるけど、それで称号から取得出来たりはしてないのか?」
「投擲スキルの弾として使っている場合は駄目だそうです!」
「あー、まぁそりゃそうか」
ふむ、いくらなんでも小石を投げるのが当たり前の投擲では天然産の土関係の物を使ったという扱いにはならないのか。まぁよく考えたら簡単過ぎる内容になるから、そりゃそうだよな。
「という事で、今回は進化ポイントで取得するのさー!」
「まぁこの場合はそれが無難かな?」
「そうなのです! なので、一度クラゲに切り替えてきます!」
「あ、そっか。リスからじゃ、クラゲのスキルは取れないもんね」
「そうなのさー! あと、簡略指示にも登録してくるのさー!」
「ほいよっと」
そうしてハーレさんはクラゲで土魔法を取得する為にキャラの切り替えに行った。まぁ進化ポイントは余り気味だろうし、土魔法を使う為に土の操作を取るのに使うくらいなら有用な使い方か。
あ、でもハーレさんって同族の生命を脅かすモノとかマッチポンプは持ってたっけ? あれなら海エリアに行ってその辺の石で一般生物のクラゲでも殴ればすぐに取れそうな気もするけど……まぁいいか。
「私はとりあえず竜を小型化にしておこうかな。大型化解除と『略:小型化』!」
そういやサヤは竜の小型化の進化も出さないといけないから、こういう時に小型化を発動したままにしておけばいいな。特訓中なら行動値の上限が半分になっていてもそれほど支障はないしね。あ、そういやこれってどうなんだろ?
「あ、そうだ。サヤ、今ので思いついた別の手段があるんだけど、待ってる間に試してもらってもいいか?」
「え、それは良いけど、どんな内容かな?」
「ふっふっふ、その名も『サヤ武装化計画』!」
「何かな、それ!?」
「まぁただの思いつきだから名前は適当だけどなー。とりあえず百聞は一見にしかずって事で」
ハーレさんがリスではなくクラゲで生成した石を弾にしようという発想から、最近使う事が多くなってきている岩の大剣を組み合わせてみることを思いついた。
……いきなり特訓から脱線している気もするけど、最初に脱線させたのはハーレさんだし責任はハーレさんという事で。
<行動値1と魔力値3消費して『土魔法Lv1:アースクリエイト』を発動します> 行動値 78/79 : 魔力値 215/218
<行動値を19消費して『岩の操作Lv4』を発動します> 行動値 59/79
さて、今まで何度かやったように岩の大剣を生成して……今回はサヤに振り回してもらうつもりなので柄もしっかりと作っておこう。……よし、2メートルくらいある岩の大剣がこれで完成っと。
「あれ? ケイさん、結構しっかりしてる柄を作ってるんだね」
「これってもしかして、私が振り回すって感じかな?」
「大正解! って事で、ちょっと試してみてくれない?」
「うん、分かったかな」
そう言いながらサヤのクマが両手で岩の大剣を掴んでいく。人間の手とは違うからしっかり掴めるかどうかが少し不安だったけど、割としっかり掴めているっぽいね。パンダとか普通に笹とかを掴んで食べてたりするのは見た事あるから、そういう感じか。
「ここからどうすれば良いかな?」
「その持ってる状態で横に薙ぎ払うような感じに強爪撃の発動って出来る?」
「両手じゃ無理だから、片手で……こうかな? 『強爪撃』!」
「「あっ」」
「……今まで気にしてなかったけど、握ったままでの発動は不可能みたいかな?」
「……みたいだなー」
強爪撃は普通に発動したけど、スキルを発動したタイミングでクマの手が開いて岩の大剣を握ったままでは攻撃出来なかったようである。岩の大剣を手放した状態で空振っただけで、思いっきり失敗だな。
あ、そんな風に実験をしている間にハーレさんがクラゲで戻ってきたね。まぁこれからクラゲで土の操作を取って、簡略指示に登録して、リスで再ログインという手順だな。
「みんな、何やってるのー!?」
「ちょっとした実験。まぁ思いっきり失敗したけど……」
「今回は失敗だったんだね、ケイさん!」
「……まぁいつでも成功にはならないからな」
うーん、別に最後まで握っててもらう必要はなくて初速を操作以外で確保出来ないかなーって発想だったんだけど、スキル発動時にスキルの仕様の方で無理だとはね。んー、それなら打撃系のスキル……いや、こっちなら……?
「サヤ、振り回しか薙ぎ払いだったらどうだ?」
「あ、いけるかも? ちょっとやってみるかな。『薙ぎ払い』!」
おっ、今度はちゃんと握ったままの状態でさっきの強爪撃と同じようにクマの腕を振り切っていた。ふむふむ、初速はサヤのスキルに合わせる事で急加速分の操作は必要はないか。
ただ、薙ぎ払い終わった後に静止する方に急停止の操作が必要だったから、総合的に見たらあんまり変わらないか。んー、これは実際に戦闘中に使ってみないと判断は微妙なところ。
「おー!? サヤが岩の大剣で薙ぎ払ったのです!?」
「ケイさん、今度は成功?」
「ケイ、今のはどうかな?」
「加速はサヤに任せるのは成功だけど、停止の方が失敗だな。ただ、攻撃した際には敵に当たるから、そこは実戦で試してみないと微妙なとこだ」
「あ、そうなのかな……」
「……あはは、今回のは中々上手くいかないね」
「まぁたまにはそういう事も……あ、ちょっと待った。使えそうな手段がある」
スキルの発動終了時に合わせて急停止させる所に問題があるのなら、逆に考えて停止させなければいい。そしてそれを実現させるのに必要なスキルは、サヤが既に持っている。
「ケイ、どんなのかな?」
「サヤに大型砲撃を使ってもらって、岩をぶん投げてもらって、更にそれを操作で加速させる。プレイヤーを投げれるんだし、多分投げるまでは出来るだろ」
「投擲は私の領分なのさー!?」
「……いや、まぁハーレさんが大型化を覚えて大型砲撃をしてもらうのでもいいけどさ」
「それなら私がやるのです! それじゃ取得が終わったから、戻ってからやるのさー!」
「あー、まぁそれでいいか」
忙しなくハーレさんがリスに再ログインする為にログアウトをしていった。まぁ投擲の威力は間違いなくハーレさんの方が高いから、ハーレさんがやりたいというのであれば、サヤさえ良ければそれでも良いだろう。
「サヤ的にはその辺はどうなんだ?」
「私なら特に気にしないかな? 投擲ならハーレの方が狙いも確実だしね」
「……それもそうだな。問題としてはハーレさんの投擲ダメージが俺の魔法に加算されるかどうかだけど……まぁ、加算されなくても初速を任せられたら充分だしいいか」
「ねぇ、ケイさん。それなら岩でなくて、小石でも良いんじゃない?」
「あ、そういやそうか」
サヤに岩の大剣を振り回してもらう方向性で考えてたから、そこは地味に失念していたよ。確かにハーレさんに初速を頼むのであれば、小さな石でも特に問題はない。小石ならすぐに試せるし、ハーレさんが戻ってきたら試してみるか。
お、今度はさっきよりも早くハーレさんが戻ってきたね。とりあえず優先順位としては、ハーレさん自身が試したい方からやっていくか。
「ケイさん、ケイさん! 大型砲撃だけじゃなくて、私がケイさんの生成した小石を投げるっていうのはどうですか!?」
「それはさっきヨッシさんから提案があったとこだけど……先にそっちを試してみるか?」
「ヨッシも考えてたんだ!?」
「うん、ついさっきね」
「それならまずはそっちからお願いします!」
「ほいよっと」
さて、やる事は決まったから不要になった岩の大剣は解除して……よし、解除完了っと。それじゃやっていきますか。
「そういやハーレさん、使う弾の指定ってどうなってるんだ?」
「えっと、単発の場合は投擲スキルを発動する手に持っている弾が指定になるよー! 連発の場合は、手に持ってる弾と同じ種類の弾がインベントリから自動で出てくるようになってます!」
「なるほどね。それじゃハーレさんが普段小石を生成している時みたいに、すぐに握れるように生成しておけばいけるか?」
「多分、それで大丈夫だと思います!」
「了解っと。それじゃやっていくとして……ヨッシさん、的の生成をお願いしていい?」
「うん、いいよ。『アイスクリエイト』『氷の操作』!」
「ヨッシ、ありがとねー! それじゃ全力で行くのです! 『魔力集中』」
「……ハーレさん、全力でやるってどのスキルを使う気だ?」
「爆散投擲Lv3のつもりさー!」
「ホントに全力だな!? まぁ、投擲スキルの威力が乗るかどうかが分かりやすいからそれでいいか」
多分かなり加速すると予想はしてるけど、投擲スキルの威力補正があればヨッシさんの的を破壊するだけでなく爆散した小石で周囲の木々にも影響は出るはず。
逆に投擲スキルの威力補正はなく、ただ加速のみであれば的は破壊しても、そのまま直進するか、そこで止まるかくらいで周囲の木々には影響は出ないはず。
その辺の効果を見極めるには高威力で試してみるのが手っ取り早いな。適度に離れた場所にヨッシさんの生成した的の移動も終わったし、実際にやってみますか。
<行動値1と魔力値3消費して『土魔法Lv1:アースクリエイト』を発動します> 行動値 58/79 : 魔力値 212/218
<行動値を3消費して『土の操作Lv6』を発動します> 行動値 55/79
ハーレさんの投擲による加速に合わせて、更なる加速を狙えるようにハーレさんのリスの右手の上に生成した小石を操作の支配下に置いておこう。
「それじゃ行くのさー! 『爆散投擲』!」
「さて、どうなるか……」
「とりあえず爆散投擲はちゃんと発動はしてるみたいかな?」
「うまく行けば良いけどね」
ハーレさんの手から銀光は放たれ始め、早い間隔で明滅をしながら徐々に光が強くなっていく。この結果については正直どっちになるかは分からないんだけど、まぁどっちになったとしても使い道は思いつくからどっちでも問題はない。
とりあえず今はチャージが終わるのを待っているけど、これは上手くいくかな? これもまとめを見れば誰かしらが試してみてそうではあるけど、どういう結果でも実際の使用感も確認してみたいから、自分達で試すまで!




