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Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜  作者: 加部川ツトシ
第21章 後回しになっていた場所へ
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第664話 思いつきの撃退方法


 そうしてジェイさんの思いつき作戦を実行する為に行動を開始していく。俺はあえて敵の前に近付いて、その攻撃を避けつつ誘導している。他のみんなは……。


「デカい敵は任せとけ! おらよっと!」

「斬雨さん、アルが対応しきれないのは私達でやるかな! 『自己強化』!」

「おう! 『自己強化』!」


 アルは水流を使って押し流していき、水流から逃れた敵をサヤと斬雨さんがスキルなしでバランスを崩させてふっ飛ばしていた。


「ハーレ、行くよ。『麻痺毒生成』『毒針』!」

「ナイスなのさ、ヨッシ! 『投擲』!」


 そしてヨッシさんとハーレさんは2人で小さな敵を相手に、行動値を節約しつつ動いているっぽいね。……ふむ、基本的には俺に襲いかかってきてたから、この程度で大体固めきれたとは思うけど……。


「ジェイさん、こんなもんか?」

「えぇ、魔力値の回復も終わりましたので問題ありません。……それでは即座にその場を離れて下さいね」

「っ!? 全員、俺の水流に飛び込め!」

「その方が良さそうかな!?」

「わー!? 退避ー!」

「急がないと!」

「くっ、段々ケイさんに手段が似てきてねぇか、ジェイのやつ!?」

「いやいや、ジェイさんほど無茶を承知ではやらないから!?」

「ケイさんにだけはそれは言われたくないんですけどね!?」 


 なんかジェイさんから反論が来ているけど……あーうん、言ってみたものの割と今のは棚上げ発言か。それでもジェイさんほど情報戦に色々仕掛けたりはしてないもんね!

 よし、みんなはアルの水流に乗って離れた位置に移動して、俺は水流に乗らずに自力で退避完了っと。俺の場合は自前の飛行鎧の方が早かったから、こっちにした。


「……なんだか釈然としませんが、いきますよ! 『並列制御』『共生指示:登録1』『略:ファイアクリエイト』!」

「……え? はい!?」


 え、ちょっと待って、爆発的な勢いで炎が広がって敵を焼き尽くしてるんだけど!? えーと、火の昇華魔法はエクスプロードだっけ? それ自体は良いんだけど、ちょっと単独発動にしては威力が高過ぎません!? 2人で発動している時くらいの威力に見えるんだけど!?


<ケイが未成体・瘴気強化種を討伐しました>

<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>

<ケイ2ndが未成体・瘴気強化種を討伐しました>

<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>


 あー、うん、大量の敵が現在進行形で焼かれているけど、その中でHPが無くなってポリゴンとなって砕け散っていったのが瘴気強化種だったっぽいね。うっわ、雪が溶けて、森に延焼していってる……。


「おー、盛大にやったな、ジェイ」

「えぇ、どうやら思いつきは成功したようですね」

「……ちょっとジェイさん、やり過ぎじゃない?」

「え、ケイがそれを言うのかな!?」

「ケイさんだけは言ったら駄目だと思います!」

「……申し訳ないけど、私もそれには同意だよ」

「どう考えてもそうだよな。な、ケイ」

「……うぐっ!」


 くっそ、この手の事はこれまで何度も言われてる気もするけど、反論出来ないだけの事実があるからどうにもならない!? ……もうこの手の事は言わないほうが自分の為なのかもしれない。


「あー、それは良いとして! ジェイさん、そんな手段ありっすか……?」

「出来るかどうかは結構賭けでしたけどね。まぁ面白い結果にはなったかと思いますよ」

「……ですよねー」


 1人で発動した昇華魔法の威力が、2人で発動した昇華魔法の威力に匹敵するとはなぁ……。大体のカラクリは分かったけど、多分これはキャラの構成上の問題で俺は絶対に真似出来ないやつだ……。っていうか、発動はともかくこの威力で真似が出来る人って割と限られるんじゃね……?


「はい! 質問、良いですか!?」

「……まぁケイさんに大体は分析された気もしますので構いませんか。ハーレさんが聞きたいのは、その辺でしょう?」

「その通りなのです! 何となくは予想出来てるんだけど、ちょっと自信がないのさー!」

「私も実際にやってみるまではどうなるか分かりませんでしたしね。それでは――」

「あー、ジェイ。話すのは良いんだが、まだ全部は倒し切ってねぇぞ……? それに大火災になってんだが……」

「……まずはそちらの始末が先ですか」


 思いっきり話し込む体勢に入ってたけど、そういやまだ戦闘は終わってなかったんだった!? えーと、よく見てみれば盛大に燃えてる杉の木が2体……くらいか? いや、火の勢いが強過ぎてよく分からないな。


「ちょっと何体くらい残ってるかを確認してくる」

「任せた、ケイ。俺は水流の操作で消火を……あっ」

「思いっきり効果時間切れかー」

「……無茶な挙動をさせてたから効果時間が短くなってたか。仕方ねぇ。『アクアクリエイト』『水の操作』!」

「それじゃ、まずは後片付けかな!」

「そうなのさー!」

「でも、まだ他にも敵が出てくるかもしれないから、交代で行動値の回復をしながらね?」

「あ、それもそうかな」

「そうでしたー!?」

「それは各自で交代をしながらするとして、ケイさん、敵の位置の把握をお願いします」

「ほいよっと。確認が終わるまで、ちょっと待っててくれ。あ、アルは消火は頼んだ」

「おう!」

「問題はどんだけ残ってるかだな!」


 さて、燃えている木々をアルが水球で消火し始めて、斬雨さんがいつでも斬りかかれるように待機に入ったね。他のみんなも、少し緩んでいた緊張感を引き締め直している。

 その前にどこに敵が生き残っているかの確認は重要だ。まぁハーレさんの危機察知があれば大体は大丈夫だとは思うけど、確認をした方が安全なのは間違いない。


<行動値を4消費して『獲物察知Lv4』を発動します>  行動値 41/65(上限値使用:11)


 えーと、燃えている2体の杉の木に向かって黒い矢印が2本で、燃え盛っている火の中には他にはなしか。東の方に離れた場所で青い矢印と黒い矢印が数本固まってるとこがあるけど、これは俺らには関係ないな。

 他には……まだ行っていない南側の通り抜ける予定の方向と、西の方にも数体いるな。でも近付いてくる様子もないのでこれもスルーで良いだろう。……この感じだと特に敵はいなさそうだね。


「近くに残ってる敵はその燃えてる杉の木の2体だけだ!」

「おっしゃ、それなら1体は俺が貰うぜ! 『連閃』!」

「それならもう1体は私が貰うかな! 『爪刃双閃舞』!」

「あ、先を越されちゃったね」

「別に競争をしている訳じゃないから、それでいいのさー!」

「だな。あー、ケイ。少しくらいなら魔力値も回復したろ。消火を手伝ってくれ」

「ほいよっと」


 水を生成するだけならそれほど魔力値は消費しないし、アルだけでは消火に手間取ってるみたいだもんな。ここは俺も消火をやっていくのが正解だろう。

 それにしても雪に覆われているのが特徴の森だったのに、雪は溶けて地面は剥き出しになってるし、木々は轟々と燃え続けているし、もう来た時の面影がまるでないな。


<行動値1と魔力値3消費して『水魔法Lv1:アクアクリエイト』を発動します> 行動値 40/65(上限値使用:11): 魔力値 2/212

<行動値を3消費して『水の操作Lv6』を発動します>  行動値 37/65(上限値使用:11)


 水球を3つにする必要は特にないので今回は大きめの水球にして、アルと手分けをして燃えている木々を消火していく。うわー、結構炭になってしまってるのが多いな。

 ちょっとずつ消火は出来ているけど、その結果としてはただの焼け野原だな、こりゃ。まぁ魔法による破壊なら回復も早いから、そんなに時間もかからず元に戻るだろうね。


<ケイがLv20に上がりました。各種ステータスが上昇します>

<Lvアップにより、増強進化ポイント2、融合進化ポイント2、生存進化ポイント2獲得しました>


<ケイ2ndがLv20に上がりました。各種ステータスが上昇します>

<Lvアップにより、増強進化ポイント2、融合進化ポイント2、生存進化ポイント2獲得しました>


 うおっと!? あ、サヤと斬雨さんが杉の木を斬り刻んで倒した分の経験値が入ったのか。……結局のところ何体の敵を倒したのかは把握出来てないんだけど、結構な数の敵を倒したはず。まぁあんまり頻繁にやりたい手段ではないけども……。


「これで倒し終わったかな!」

「おし、後始末完了だぜ」

「ご苦労さまです、サヤさん、斬雨。……さて、このエリアでこれだけ倒せば、この先はほぼ敵とは遭遇しないでしょうし、空中の移動に戻しますか」

「あー、そういやそうなるか。ま、こんだけ倒せばそうなるよな」

「……ん? ジェイさん、斬雨さん、それってどういう意味?」


 この氷樹の森だと敵が襲ってきやすいし、空中なら尚更その傾向が強くなるというのはついさっきまでの光景で体感したとこだぞ? それなのになんでまた空中を移動という話になるんだ?


「……ケイさん、ご存知ないので?」

「……え、何かあるの?」

「……妙なところで情報に疎かったりしますよね、ケイさん」

「あー、なるほど、あれか。そんなのもあったな」

「あれって何だよ、アル!?」


 何か俺の知らない情報をジェイさん達とアルが知ってるっぽいけど、どんな内容だ? サヤとヨッシさんとハーレさんは不思議そうに首を傾げているから、知らないのは俺だけじゃなさそうだけど……。


「これまで試す機会も無かったから俺自身も伝聞でしか聞いたことはないんだが、1つのエリアで戦える敵の数には上限数があるらしいぜ? それを超えたら、一定時間が経たないと戦えないとかなんとか……」

「え、そんな仕様あったのか!?」

「……初耳かな」

「そんなのあったんだー!?」

「あ、もしかしてそれって、特定の人による乱獲防止……?」

「そうらしいと聞いてはいるぜ。ま、検証中らしいからはっきりとした事はまだ確定してないらしいがな」

「へぇ、そうなんだ」


 確かにさっきまでみたいな勢いで戦っていれば、敵の再出現の前に狩り尽くす事も出来そうだもんな。それを考えるなら、それなりの量を倒せばそのエリアの敵と戦えなくなるという仕様も分からなくもない。


「その辺については少し訂正しておきましょうか」

「ん? 俺ので何か間違ってるとこがあったか?」

「間違いというほどではありませんが、全く戦えなくなるのではなく、向こうからは近付いて来なくなるというのが正確ですね。こちらから追いかけていけば、戦えない訳ではありませんよ。……かなりの速度で逃げられますけどね」

「あー、なるほど。追いかける事は出来るのか」

「……アル、相手はジェイさんだぞ。情報の鵜呑みは要注意」

「……そういやそうだな」

「どれだけ警戒されているんですか、私は!? 今のに偽情報はありませんよ!」

「いや、そこはケイさんとアルマースさんの反応が正しいと思うぜ、ジェイ」

「斬雨までそういう事を言いますか!?」


 あー、うん、なんか少し前の自分を客観的に見ている気分だね。なるほど、確かにこうやって客観的に見てみると周囲の人がツッコミを入れたくなる気持ちはよく分かる。


「……ごほん、まぁそれについては灰の群集で確認をしてください。それよりも先程の私の昇華魔法の話を聞きたいのでしょう?」

「はっ!? そうだった!」

「空中を飛んでも大丈夫になったなら、移動しながらにしないかな?」

「それもそだね。私はサヤに賛成」

「私もなのさー! ……あれ?」

「……そうですね。その方が効率も良さそうですし……ハーレさん、どうかしましたか?」


 何かを見つけたのか、急に燃え落ちた木の内の1本の近くにハーレさんが駆け寄っていく。えーと、パッと見ではただ燃え落ちただけの一般生物の杉の木にしか見えないんだけど――


<群集クエスト《各地の記録と調査・灰の群集》の『???』が発見されました> 18/30


 ん? 群集クエストが進んだって事は……って、何か飛んできて、頭にぶつかった!? そしてそのぶつかった何かが目の前に落ちてきて……よく見てみると黒い欠片だな。これって、進化記憶の結晶の砕け散った破片じゃん。え、このタイミングって事は……。


「ハーレさん、黒い方の進化記憶の結晶を見つけたのか!?」

「えっへん! その通りなのさー!」

「……こんな所にあったのですか。皆さん、少し予定を変更しても宜しいでしょうか?」

「ま、このタイミングで目の前で散らばったなら、する事は1つだな」

「アルの言う通りかな」

「拾えるものは拾っておかないと勿体ないもんね」

「そうともさー!」

「それじゃ、進化記憶の結晶の破片を探していくぞー!」

「「「「おー!」」」」


「良いのか、ジェイ? 今日中に辿り着くか、怪しくなるぞ?」

「……焦り過ぎても駄目ですし、氷樹の森を抜けるのはもうそれほどかからないですしね。一番の難所はここですし」

「まぁ、ジェイがそれでいいなら別に良いがよ?」

「どの道、今日は行けても近くに辿り着くまででしょう。それに今日のこれでは色々楽しめましたし、成果もありましたからね」

「……そうか。なら、俺から言う事はねぇな。おし、それじゃ破片を探していくか!」

「えぇ、そうしましょう」


 斬雨さんとジェイさんが何やら話してたけど、一番の難所って氷樹の森だったんだ。あー、よく考えてみたら、俺らの灰の群集の森林深部からもそれなりに距離はあるし、青の群集の森林からも近い場所ではないみたいだもんな。

 そう考えてみたら、攻撃性が高くてLvが高めな敵が多くて当然だよね。うん、中立地点の真横のエリアだからって少し甘く見ていたかもしれない。


 ま、とりあえずは大量の敵の相手は乗り切ったみたいだし、折角の破片の回収の機会だから集めておこうっと。ジェイさんの昇華魔法の威力の謎については、移動を再開した時に聞けば良いだろうしね。



【ステータス】


 名前:ケイ

 種族:同調強魔ゴケ

 所属:灰の群集


 レベル 19 → 20

 進化階位:未成体・同調強魔種

 属性:水、土

 特性:複合適応、同調、魔力強化


 群体数 1578/6750 → 1578/6900

 魔力値 2/212 → 2/214

 行動値 37/76 → 37/77


 攻撃 78 → 79

 防御 123 → 126

 俊敏 91 → 93

 知識 184 → 189

 器用 203 → 209

 魔力 267 → 275



 名前:ケイ2nd

 種族:同調打撃ロブスター

 所属:灰の群集

 

 レベル 19 → 20

 進化階位:未成体・同調打撃種

 属性:なし

 特性:打撃、斬撃、堅牢、同調


 HP 4369/7850 → 4369/8050

 魔力値 99/99 → 99/100

 行動値 66/66 → 66/67


 攻撃 266 → 274

 防御 244 → 251

 俊敏 202 → 208

 知識 73 → 74

 器用 86 → 88

 魔力 45 → 46


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自力での電子書籍版もありますので、よろしければこちらもどうぞ。
大きな流れ自体は同じですが、それ以外はほぼ別物!
ケイ以外の視点での外伝も収録!

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[一言] 欠片が増えた(笑)
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