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Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜  作者: 加部川ツトシ
第21章 後回しになっていた場所へ
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第661話 多数の敵を相手に


 ジェイさんとの話し合いというか分析情報の交換も終わったし、ここからはしっかりと戦闘に加わっていこう。……ざっと見た感じではサヤとアルと斬雨さんの守勢付与が1つ消費している程度っぽいね。これくらいならひとまずは問題ないか。

 とりあえずさっきの戦闘の際にほぼ聞き流していてちゃんとは把握出来ていなかった敵のLvを聞いておこうっと。手分けをして識別はしてたのは薄っすらと聞こえてはいたからね。


「アル、さっきの敵って残滓ばっかみたいだったけどLvはどんなもん?」

「さっきの敵は大体Lv10〜13ってとこか」

「楽勝だったのです!」

「あー、まぁそのLv帯なら数が出てきても楽勝か」


 実際に最後の大型化した斬雨さんが倒したようなもんだったし、フィールドボスでもなんでもないただの雑魚ならそんなもんだよな。……まぁそんなに経験値はなかったけど、それは仕方ない。


「……そういや、これって威嚇で強行突破って可能?」

「あぁ、それはやめておいた方が良いですよ。私達のLvならLv15くらいまでなら確実に追い払えますが、それ以上のLvになってくるとここの敵は逆に引き寄せる事になりますので」

「えー、マジで?」

「……ここの敵は攻撃性が高いんですよ。威嚇をしたら逆に攻撃を仕掛けてくる敵に遭遇した事はあるでしょう?」

「まぁ、それには覚えはあるな……」


 フィールドボスに進化させる成長体を探す為に威嚇を使った時にも、逃げていく敵と襲いかかってくる敵で明確に分かれていたもんな。ああいうやつか。

 竹林のタケノコもだけど、エリアによっては異常に攻撃性が高いように設定されている敵もいるんだね。……今回のこの氷樹の森では、飛んでいる相手や威嚇した相手に対して特に攻撃性を発揮してくるって訳か。


「……とりあえず、Lv15くらいまでなら防げるならそれもありっちゃあり?」

「……まぁありといえばありですが、タイミングを見誤ると酷い事になりますよ?」

「あ、それもそうか。……よし、んじゃ多数決で決めよう!」

「はい! 私は賛成です!」

「あー、その前にジェイさん、ちょっと質問良いか?」


 あらま、多数決を取ろうとしたらアルが思いっきり遮ってきたね。まぁ無意味に遮って来たとも思えないから、何かしらジェイさんに確認したい事があるんだろう。アルが確認したい内容で考えられるとしたら……あ、状態異常か?


「何でしょうか? 状態異常でしたら、敵によって変わってきますので一律で同じものは無理ですよ」

「思いっきり先読みされてたか。……それなら応用の神経毒と溶解毒の複合毒ならどうだ?」

「……それなら、全部とは言いませんがかなり効果的かと思いますが……そうですね、ヨッシさんがいますから可能ではありそうですね」

「……あはは? 私の出番っぽい?」

「ま、そういう事だな。俺かケイの水の昇華と合わせた複合毒のポイズンミストって手段はどうだ?」

「良いんじゃねぇか、その案。それで動きが鈍らないヤツは俺やサヤさんやハーレさんで処理をしてけば良いんだろ」

「うん、それは確かに斬雨さんに賛成かな」

「私も賛成なのさー! でも、それ以上話をしている余裕はなさそうです! 危機察知に反応多数です!」

「対策立てるのが遅かったかな!? 『爪刃乱舞』!」

「ちっ! 『乱斬り』!」


 おっと、前方と左側面から飛んできていた氷の礫をサヤと斬雨さんがそれぞれに迎撃していた。ふむ、少なくとも前と左側から敵が来ているのは間違いないか。


「サヤさん、斬雨、ナイスです。……敵を引きつけてから、今のをやりましょうか」

「よし、それでいこう! ポイズンミストはアルとヨッシさんに任せていいか?」

「おう、任せとけ!」

「了解!」


 さてと、もう少し余裕が欲しかったとこではあるけど、他の事をしてたから仕方ないね。あれはあれで今すぐに重要な情報って訳ではないけど、後々に大きく影響する内容だしさ。

 とにかく大雑把とはいえ方針自体は決定できたから、それをやっていくまでだ。……さてと、敵も徐々に近付いて見えてきたぞ。みんなはそれぞれに別方向を向いてるから、ここは……。


「各自、目視した敵の種類の報告をよろしく!」


 みんなに対する指示はこれでいいけど、指揮を取る俺としてはちゃんと敵の姿は確認しておきたい。もっと言えば数は絶対に把握しておかなければならない。って事で、ここは獲物察知の出番だな。


<行動値を4消費して『獲物察知Lv4』を発動します>  行動値 71/75(上限値使用:1)


 獲物察知を発動してみると、黒い矢印が多数表示されていく。……青い矢印も何本か離れた方にあるけど、それはスルーで。他のプレイヤーは近くないならそれだけ分かれば充分だ。

 えーと、動きがある黒い矢印は前方から3本、左から1本、右から2本、下から1本か。……一気に6体って多いな!


「正面から、氷属性っぽい松が歩いて来てるかな! 松の枝に青白い小鳥が2匹!」

「左側からは杉の木が来てるぞ! ……何か毒々しいな、この杉」

「右からオオカミが2匹来てます!」


<ケイが未成体・暴走種を発見しました>

<未成体・暴走種の初回発見報酬として、増強進化ポイント6、融合進化ポイント6、生存進化ポイント6獲得しました>

<ケイ2ndが未成体・暴走種を発見しました>

<未成体・暴走種の初回発見報酬として、増強進化ポイント6、融合進化ポイント6、生存進化ポイント6獲得しました>


 みんなからの報告に合わせて自分でも確認していくけど正面から氷属性っぽい松と小鳥で合計3体、右からオオカミが2体……これはどっちも見た目的には属性なしっぽいな。

 左から氷属性の青白い色と毒々しい色が混ざった杉が1体か。矢印が濃い黒なので左の杉が黒の暴走種っぽいな。……流石にこの数全てを識別してはいられないか。


「ジェイさん、右側のオオカミを岩の操作で動きを制限しつつ、アルの下の方に寄せてくれ! 可能なら岩で固めた状態で! 俺は松の木の方をやる!」

「えぇ、了解しました! 『アースクリエイト』『岩の操作』!」

「斬雨さんとハーレさんは悪いけど、毒々しい杉の相手を頼んだ!」

「ま、それが妥当か。……直接触れると毒がヤバそうだし、これだな。『ウィンドクリエイト』『操作属性付与』『断刀・風』!」

「斬雨さん、援護します! 『連速投擲』!」


 よし、とりあえずこれで正面から来ている松と小鳥以外は大丈夫だろう。……さて、根で歩いてきている松の方はどうにかなるだろうけど、2匹の小鳥の方が厄介か。


「サヤ、竜の魔法砲撃でファイアプリズンの用意を頼む! 狙いは小鳥の方で!」

「うん、分かったかな! 『略:魔法砲撃』!」


 多分あの小鳥は氷属性っぽいから、火の拘束魔法は有効なはず。でもまだサヤには全面的に魔法での攻撃を単独で任すには荷が重いだろうから、確実に当てられる状況は俺が作るまでだ。

 そういう事だから俺もやるべき事をやっていきますか! ……よし、単純な砂の操作だけじゃ動きを制限しきれるか怪しいから、ここは他の手段も併用していこう。


<『並列制御Lv1』を発動します。1つ目のスキルを指定してください>

<行動値1と魔力値3消費して『土魔法Lv1:アースクリエイト』は並列発動の待機になります> 行動値 70/75(上限値使用:1): 魔力値 209/212

<2つ目のスキルを指定してください。消費行動値×2>

<行動値2と魔力値3消費して『土魔法Lv1:アースクリエイト』は並列発動の待機になります> 行動値 68/75(上限値使用:1): 魔力値 206/212

<指定を完了しました。並列発動を開始します>


 重なって昇華魔法にならないように、少し距離をとって生成。片方は砂で、片方は小石を3つ生成した。よし、次!


<『並列制御Lv1』を発動します。1つ目のスキルを指定してください>

<行動値を19消費して『砂の操作Lv3』は並列発動の待機になります>  行動値 49/75(上限値使用:1)

<2つ目のスキルを指定してください。消費行動値×2>

<行動値を6消費して『土の操作Lv6』は並列発動の待機になります>  行動値 43/75(上限値使用:1)

<指定を完了しました。並列発動を開始します>


 これで生成した砂と3つの小石をそれぞれに操作が出来る。まずは砂の操作で地面に積もっている雪の中に砂を紛れさせて中を乱しまくって空洞を作ると同時に、3つの小石で、突撃をしてこようとする小鳥を牽制していく。


 ……よし、松の根が俺の細工した雪の上に乗って雪が崩れてバランスが悪くなった……って、倒れ込むのも関係なしに松の針のような葉を大量に撃ち出してきて……てか、凍ってるというか氷になってるのか、この葉っぱ!? これ、氷化を使ってるっぽいから、直接触れるのはマズそうだ。とにかく砂を広めに散らせて、凍っている松の葉の乱射を叩き落としていくまで。


「ケイさん、小鳥に狙われてます!」

「お、マジか!? ちょうどいいや、サヤ!」

「分かったかな! 『並列制御』『略:ファイアプリズン』『略:ファイアプリズン』!」

「よし、ナイス!」


 もう少し小鳥を小石で執拗に狙って、砂の中に巻き込んでからのつもりだったけど、俺を狙ってくれた事でその手間が省けた。うん、サヤの竜が吐き出した火の球が小鳥2匹に直撃して、火が纏わりついて暴れている。


「ケイさん、オオカミ2匹の捕獲は完了しましたよ」

「流石に早いな、ジェイさん! 俺も負けてられないし、あらよっと!」

「お、敵が5体集まったか。それじゃやるか、ヨッシさん! 『アクアクリエイト』!」

「アルさん、了解! 神経毒と溶解毒の複合毒での『ポイズンクリエイト』!」


 ジェイさんの岩の操作で固めたオオカミ2匹と、俺の砂の操作に巻き込んだ松と小鳥を1ヶ所に固めた状態で、アルとヨッシさんによる複合魔法のポイズンミストが発動し、猛毒の霧が周囲を包み込んでいく。


<行動値上限を3使用して『暗視』を発動します>  行動値 43/75 → 43/72(上限値使用:4)


 毒霧は便利ではあるんだけど、視界が猛烈に悪くなるのが欠点だな。ま、とりあえず俺は暗視で対応できるから、そこは問題なしだけど。

 ……よし、状況を確認したけど毒属性を持ってるっぽい杉以外は毒を受けているね。小鳥とオオカミは明確に動きが鈍ったし、松は幹の表面が溶けていっている。種類が違う毒だけど、とりあえず効果はあったようだ。


「おらよ! 『暗視』『連斬撃・風』『連衝鋭刺・風』!」


 お、斬雨さんが杉から伸びてきている根を直接触れることなく追撃の風の刃だけで切り飛ばした後に、何か見た事のない緑色を帯びた銀光を放つ連続突きを使っていた。へぇ、刺突の応用スキルって感じか。てか、斬雨さんは暗視を持ってるんだな。


「さてと、毒が効いてる内に各個撃破していくぞ! 斬雨さんとハーレさんが戦ってる杉が黒の暴走種だから、そいつからで!」

「へぇ、そうなのか! おらよ! 『乱斬り・風』!」

「近くの毒霧を吹き飛ばすねー! まずは邪魔な杉からさー! 『略:ウィンドクリエイト』『略:風の操作』!」


 あれ、ハーレさんは暗視を持ってなかった気もするけど……あ、さっきの斬雨さんの応用スキルの銀光を目印にしたのかも? 風の追撃で多少は毒霧も散らされていたしね。


「ハーレ、ありがとうかな! 『略:ファイアクリエイト』『操作属性付与』『爪刃乱舞・火』!」

「それが手早く済むでしょうね。『アースインパクト』!」


<ケイが未成体・暴走種を討伐しました>

<未成体・暴走種の初回撃破報酬として、増強進化ポイント6、融合進化ポイント6、生存進化ポイント6獲得しました>

<ケイ2ndが未成体・暴走種を討伐しました>

<未成体・暴走種の初回撃破報酬として、増強進化ポイント6、融合進化ポイント6、生存進化ポイント6獲得しました>


「よし、撃破完了だ! 次行くぜ!」


 これで一番強い可能性の高い杉の木が無くなってポリゴンとなって砕け散っていった。さー、次々と仕留めていくぞー!


「ルートアクアスフィアで小鳥を閉じ込める! ハーレさん、そこから左前方!」

「了解です! 『略:ウィンドボム』!」


 砂で動きを阻害し、神経毒でまともに動けなくなっている小鳥2匹を次の標的として、視界の邪魔になる猛毒の霧をハーレさんが吹き飛ばしていく。

 地味に手動操作が面倒になったな、ハーレさん。ま、これでも目的は果たせているから別に良いか。……ぶっちゃけ暗視で対応してもいいんだけど、全員が持ってる訳じゃないからなー。


「アル!」

「おうよ! 『コイルルート』!」


 最近これはあまり使ってはいなかったけど、別に使う機会があまりなかっただけなんだよね。ぶっちゃけこの拘束については攻撃がしにくいし……。でも、今は割とそうでもないんだよな。


<行動値3と魔力値9消費して『水魔法Lv3:アクアプリズン』を発動します> 行動値 40/72(上限値使用:4): 魔力値 197/212


<『複合魔法:ルートアクアスフィア』が発動しました>


 そして小鳥2匹を水球に閉じ込めた上でそれを覆うように根が伸びていき、拘束が完成していく。おー、流石に小鳥で水中に適応出来ていなさそうだから、水の中で暴れまくってるな。


「さてと、サヤ、ヨッシさん、適当に電気魔法を撃ち込みまくってくれ」

「え、そうやるのかな!?」

「あー、複合魔法で捕獲してどうするのかと思ったらそういう事か」

「……あはは、かなり一方的にはなるけど確かにそれもありかもね」

「ケイさんの考える事はやっぱりエゲツないのさー!」

「そういうのは良いから、サクサク仕留めようって!?」


 今、毒霧の効果も切れて晴れてきているし、毒の効果が切れる前に敵の数を減らしておきたいしさ。そもそもエゲツなさで言うなら、ヨッシさんの毒の方が上だしね!?


「……さて、その間にオオカミの方を始末しますよ、斬雨!」

「おうよ、ジェイ!」


 なんだか少し逃げるような感じでジェイさんと斬雨さんの2人は別の敵のオオカミに向かい合っていく。……まぁ、そっちはそっちで倒す必要はあるから任せようっと。


「とりあえずサヤ、ヨッシさん、任せた!」

「うん、分かったかな。『略:エレクトロボム』!」

「了解! 『エレクトロボム』!」


 そうしてサヤとヨッシさんのエレクトロボムが、拘束している水球の中へと撃ち込まれていく。おー、これは初めてやったけど、電気の弾が水球に触れた瞬間に爆発的に感電していったっぽいね。……ふむ、水と連携させるとこうなるのか。

 あ、小鳥が2匹ともHPが全て無くなってポリゴンとなって砕け散っていった。ふむ、水の中で窒息状態になっていたのもあって、一気に弱っていたようである。


 さて、これでとりあえず半分は片付いたから、残り半分も片付けていきますか!

 更新のお休みに関して、活動報告の方にお休み予告のお知らせを書いています。

 まぁ改めて休みにする直前にはお知らせしますけどね。

 

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