第642話 依頼の報酬
とりあえず色々あったものの、雷雨の間にフェルスさん達からの依頼であった雷属性のフィールドボスのスクショの撮影と、俺とヨッシさんの雷の操作の取得は完了だな。
あ、かなり雨が弱まってきたし、雷鳴らなくなってきた。こりゃ結構時間ぎりぎりだったみたいだね。ふー、間に合って良かった。
「依頼の完遂、ありがとうございましたっす!」
「俺らだけだと多分倒しきれなかったんで、助かりました! ほれ、ミドリ」
「分かってるって! 『果実生成』! これ、報酬のスイカでHP30%回復です! 8分割まではアイテムとしての効果が変わらないので、切り分けて使ってください!」
「お、そうなんだ。ヨッシさん、預かってもらっといていい?」
「あ、うん。それじゃ私が預かっとくね」
この手の食材系のアイテムはヨッシさんがいつも管理しているからね。そうしてミドリさんが自身のキャラから急成長したスイカを2個ほど採集し、それを受け取ったヨッシさんがインベントリへと片付けていった。
それにしてもスイカだと8分割までは効果が変わらないとはね。……まぁあの大玉のスイカを丸々1個食べないと回復しないというのは困るけど。報酬として貰ったスイカは2個だから、両方を8分割して16回分の回復アイテムか。まぁちょっと使い勝手が良いとも思えないけど、数としては悪くはない。
「ヨッシ、後でスイカを少し食べたいです!」
「……私は良いけど、サヤとケイさんはどう?」
「1切れくらいをみんなで分けて食べるくらいでどうかな?」
「まぁ、その辺が無難か」
ぶっちゃけ戦闘中の回復アイテムとしてはスイカは大き過ぎるんだよなー。戦闘後にHPを回復させたい時になら使えそうだけど、まぁハーレさんが食べたいという気持ちも分からなくはないし、1切れくらいなら味見を兼ねて俺も……。
「あ、そういう事でしたら、これもどうぞ!」
「おー!? なんかボロボロのスイカだー!?」
「これは割れた感じかな?」
「……スイカ割りで割り損ねたスイカ?」
ミドリさんがインベントリから取り出してきたスイカは、確かにヨッシさんの言うような感じに見える。綺麗に割れている感じでもなく、中心部から外れた所に何かが当たってその部分が割れているようなスイカがそこにあった。
まぁ割れてない方を斬れば食べれそうではあるし、ゲーム内だから多少汚れていたとしても食あたりの心配はないか。ただ、これはアイテムの取引には使えそうにはないな。
「これ、依頼の募集を出して待ってる間にフェルスとレインとスイカ割りをしてた時ので、後で食べようと思ってたんですけど、良ければどうぞ! 回復アイテムとしては大幅に質は落ちていますが、味は変わらないので!」
「俺達はいつでも食べれますんで、良ければどうぞっす!」
「そういう事なんで、どうぞ!」
「あー、なるほどね」
つまり、待ってる間に遊びに使ってて後で食べるつもりのスイカなのか。まぁ流石にこれを普通の報酬として渡す訳にはいかないだろうけど、ただ味見をする分についてはこっちの方が良いかもしれないね。あー、うん、思いっきりハーレさんの視線が突き刺さってきてるし、ここは断る理由もないな。
「そういう事なら遠慮なく貰っておくよ。ありがとな」
「いえいえ、こちらこそ依頼の件はありがとうございました! それじゃ私達はこの辺りで失礼しますね」
「また何かの機会があったらよろしくっす!」
「今日はありがとうございましたっ!」
「おう! また何かの機会があったらよろしくなー!」
そうして味見用の割れたスイカを受け取り、フェルスさん達と挨拶をして解散となった。フェルスさん達は帰還の実ですぐに戻ったようである。
「さてと、俺らはどうする?」
「そのスイカを食べるのさー!」
「……それは確定で良いけど、とりあえずどこに行くって話」
「それならミズキの森林まで戻るのはどうかな?」
「私もサヤに賛成。そろそろ晴れてきたみたいだしね」
「あー、まぁそれで良いか」
「それじゃミズキの森林まで戻るので決定なのさー!」
ヨッシさんの言うように弱まっていた雨も完全に上がり、雲も晴れて月明かりが差し込んできている。うん、ミズキの森林の湖の畔まで戻って、味見用に貰った割れたスイカを食べるというのもありか。
「よし、それじゃミズキの森林まで戻るか!」
「「「おー!」」」
とりあえずスイカを抱えたままで邪魔なので一旦インベントリに入れてっと。雨避けに使っていた水の方はダメージ発生で強制解除になったけど、移動用に使っていた岩の方はまだ健在だからこれに乗って戻っていこう。
まぁ戦闘終了後からみんなずっと乗ったままなので、ただそのまま移動するだけなんだけどね。って事で、ミズキの森林まで戻っていくぞ!
そんな感じでちょっと予想外な展開はあったけども、狙っていた雷の操作は手に入れた。まぁ今日みたいに天気が荒れてて雷が発生している時くらいしか使い道はなさそうだけど、持っておいて損という訳でもないから良しとしよう!
それにしても闇の操作は全然予定してなかったけど、こっちの方が使えそうな気がする。あー、でも夜目と暗視コンボで見抜けるし、どうなんだろなー。闇纏いがあれば応用方法もありそうだけど、俺は闇纏いは持ってないし……。いっそ、ポイントで――
「……ケイ、何か悩んでるみたいだけどどうしたのかな?」
「あ、ちょっと考え込んでた。いやさ、さっきので雷の操作と一緒に闇の操作まで取れちゃって、その使い方を考えてたんだけど……」
「え!? ケイさん、闇の操作まで取ったのー!?」
「……あはは、ケイさんらしいね。闇の操作はあの岩で完全に光を遮断したから?」
「……多分そうだと思う」
それ以外に心当たりはないし、今日は夜の日で雷で時々光るとはいえ基本的にかなり暗いから、周りを岩で囲めば真っ暗闇にはなるだろう。多分だけど完全に光を遮断した状況を作るのが、闇の操作を取る為の天然の闇を扱って何かをする事に該当するんだろうね。
「……ん? 光を遮断……?」
「あ、これはケイが何か思いついた感じかな?」
「思いついたには思いついたけど、それを試すのはミズキの森林まで戻ってからだな」
「あ、それもそうかな」
「わっ、強風が出て来だしたね」
「天気が変われば、エリアの特徴も変わるって事か! ハーレさん、危機察知は任せた。ヨッシさんは防御、サヤは迎撃を頼む。今回は出来るだけ戦闘を避けていくからな!」
「うん、分かったかな!」
「了解です!」
「了解! ケイさん、そういう事なら低空飛行がいいんじゃない? 地面に近い方が風の影響は受けにくいって話だったよね?」
「もちろん、そのつもりだ!」
その辺のエリアの特徴は昨日来た時にベスタから聞いたからね。上空では強風の影響を受けやすく、風に乗っての奇襲も多いのは体験済みである。という事で、その経験を活かして今回は低空飛行で行くまで!
「はっ、危機察知に反応です! ヨッシ、狙われてるよー!」
「了解! 『アイスウォール』!」
「とりあえず、このヒトデは片付けるかな! 『自己強化』『連閃』!」
まぁ低空飛行にしたからといって、完全に奇襲や強風がなくなるわけではないらしい。さて、最小限の戦闘で終わらせて、ミズキの森林まで戻らないとね。
そんな風に何度か戦闘を行いながらも、上風の丘とミズキの森林との切り替え地点までやってきた。聞いていた通り、低空飛行なら思ったほど敵の数はいなかったね。残滓ばっかで経験値は微妙だったけど。
実際にやってみた感想としては、このエリアを早めに突っ切りたいなら低空飛行がベストなんだろうな。……まぁアルがいる時だと、クジラの巨体的に今回俺がやった低空飛行は少し厳しい気がするけど。
いや、アルのクジラを小型化すればいけるか……? でもアルがいる時なら、迎撃戦力は問題ないから上空でもいいのかもね。
<『上風の丘』から『ミズキの森林』に移動しました>
おっと、そんな風に考え事をしてたらミズキの森林に到着! まぁまだ崖の上だけどね。……って、あれ? 崖上からミズキの森林の方を見渡してみれば、なんか夜には見えない気のするものが見えてるんだけど!?
「……あれって虹か? え、夜になんで!?」
「わっ、ホントかな!」
「あー、月虹だー!?」
「あはは、ケイさん、夜でも虹はかかるらしいよ。まぁ月明かりがあるのと、他に余計な光が少ない必要があるらしいけどね」
「へぇ、そうなんだ。それでハーレさんが言ってた月虹ってのが、その虹の呼び名って事か」
現実の世界とは違って、このゲームには基本的には光源は太陽か月明かりくらいしかないもんな。……湖の畔の方は野外炊事場があって火を起こしているとはいえ、そこまで邪魔にもならないという訳か。
それでもこの光景は頻繁に見れるものではない気もするし、闇夜に浮かぶ虹というのも神秘的なものである。雨上がりの直後だからこそ見れた光景か。
月は満月よりはかなり欠けてきてはいるけども、まだ半月にもなってはいないか。……ふむ、現実の2日でゲーム内の1日っぽい感じだし、月の満ち欠けは2ヶ月で一巡くらいかな? 新月になるまで、まだ結構かかりそうではあるね。
「ふっふっふ、これは絶好のスクショのチャーンス!」
「あ、確かにそれはそうかな!」
「それぞれに撮って、個人部門で出してみる?」
「それもいいかもな」
「それでは撮影タイムなのです!」
ま、俺らの中でスクショを撮らせれば間違いなくハーレさんが一番上手だろうけど、俺らとしても記念としては良いスクショにはなる。いやー、ただの偶然だけど良いものを見た。
それにしてもプレイヤー達で演出をしなくても、こういう天然の神秘的なスクショを撮る機会もあるんだな。こういうのを対象にしているのが、個人部門って事になるんだろうね。
そうして虹が消えるまでのしばらくの間、各自で飛びながら好きなようにスクショを撮っていた。あ、流石に虹が消えてきたし、引き上げ時だな。
「あっ!? サヤ、時間!」
「え、あっ、もう6時かな!?」
「えー!? もう6時なのー!?」
「……しまったな、完全に時計を見てなかったぞ」
完全に夜の虹……えーと、月虹だっけ? それに気を取られて、現在時刻の事を忘れ去っていたよ……。これじゃ、みんなで味見用のスイカを食べる時間は確保出来そうにないな。
そうなったなら、後でアルにも味見用のスイカは渡すつもりだったけど、全員集合してからみんなで食べるのもありか。あ、どうせならサヤと水月さんの対決を見ながら食べるというのもありかもね。……俺とアーサーの対決の際にも食べられる事にはなりそうだけど、それはそれで構わないだろう。
「時間なのは仕方ないのさー!」
「ま、そりゃそうだな。んじゃ、夜に全員が揃った時にって事で!」
「うん、分かったかな! ごめん、急ぐからすぐにログアウトするね」
「そだね。あ、ハーレ、アルさんと合流したら一度ログアウトして合流場所をメッセージで送っておくからね」
「了解です!」
「あ、確かに合流地点は決めといた方が後が楽か」
全員がログインしてから合流先を決めて移動するのもありだけど、予め決めておけばログアウトをする時点で準備はしておけるしね。えーと、夜からの目的地はニーヴェア雪山だから、ハイルング高原辺りが合流場所としては良いか?
「ヨッシさん、候補としてはハイルング高原の切り替え付近で希望しとく」
「うん、それはアルさんに伝えとくね。それで確定したらハーレに伝えとくから」
「ほいよっと」
「了解です!」
「それじゃ、ケイ、ハーレ、また後でかな!」
「ご飯食べてくるね」
「いってらっしゃーい!」
「おうよ!」
そうしてサヤとヨッシさんは食事の為にログアウトしていった。これについてはいつもの事だけど、突発的な神秘的な光景を目の当たりにして、時間を忘れていたの失敗だったね。
「ケイさん、これからどうするのー!?」
「あー、とりあえずスイカは後回しになったから、闇の操作の応用方法でも試してみるか」
「おー! それ良いねー!」
「ま、うまく行くかは分からんけどな」
「ケイさんならいつものようにやってくれるさー!」
「そりゃどうも」
ま、今回の思いつきは成功率は高いとは思うけど、ある特定のスキルを持つ人で実験に付き合ってくれる相手が必要なんだよな。……湖の畔なら人も多いし、もし知り合いがいれば頼んでみよう。
まぁ居なければ、その時はハーレさんに纏属進化をしてもらって相手をしてもらおうっと。えーと、あの属性の進化の軌跡は……お、1個だけだけどあった。
「さてと、それじゃ湖の畔まで行きますか!」
「おー!」
俺らの晩飯の時間である7時まではあと1時間ある。あ、そういやラックさんから報酬の瘴気石も受け取らないといけないね。ま、それについても連絡さえつけば持ってきてくれるという話だし、まずは湖の畔に行くのが先決か。さて、晩飯の時間までにやれる事をやっていこう!
Twitterであるエリアの命名を、命名クエスト方式でやってるので良ければどうぞー!
大体、今日の夜9時半くらいで〆です。




