表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜  作者: 加部川ツトシ
第21章 後回しになっていた場所へ
636/1633

第636話 瘴気石の調達


 偶々会ったフーリエさんからの相談に乗っている内に、ヨッシさんがログインしていた。ふむ、もう少し時間があるかと思ったけど、意外と早かったね。

 そういや家に帰ってきてから全然時間を見てなかったけど今って何時だ? あ、4時を過ぎてるから思ってたより時間が経ってた!? ……アイスコーヒーを飲みながらのんびりしてたからか。 


「結構雨が降ってるんだね」

「ちょっと前から降り出したとこだな。ちなみにさっき、上風の丘でフィールドボスを使った雷の操作の取得狙いのPT募集があったぞ」

「あ、そういうPT募集もあるんだね。んー、それなら雷の操作を取りに行きたいけど、サヤとハーレはもう少し時間はかかるんだよね……」

「だよなぁ……」


 思っていたよりも時間は経っていたから、それほど長時間は待たなくてもサヤとハーレさんもログインしてくるはず。……とはいえ、ゲーム内に天気予報というものもないから、この悪天候がいつまで続いてくれるかも分からないんだよな。

 それに今は手持ちにフィールドボスを誕生させられるだけの瘴気石もない。……調達しようにも報酬として貰う約束のラックさんはまだログインしてないし、馴染みのある桜花さんも同様にログインしていないんだよな。……そうなると他の経路から入手するしかないか。


「ヨッシさん、どこか共同体で瘴気石を報酬にしてる2人で出来そうな依頼をやりに行かない? それでサヤとハーレさんがログインした時に天気が悪いままなら上風の丘まで行って、フィールドボス戦をするって感じで」

「あ、うん、それが良いかもね。……でも、そんな丁度いいのあるかな?」

「ま、ダメ元で探すだけ探してみよう」

「それもそうだね。そうしよっか」

「それじゃそれで決まりだな。えーと、この手の募集なら共同体のページか、群集内交流板でだろうから、手分けをして探すか」

「……群集内交流板ってあんまり見た記憶がないね」

「……実は俺もない」


 知り合った人との伝手やフレンドの人とかで大体完結させていたので、野良での募集には殆ど目を通した事はないんだよなー。アルがアーサーや水月さんと知り合った時に群集外交流板を利用してたくらいなんだよね。


「ヨッシさんはどっちが良い?」

「え、私が好きな方を選んで良いの?」

「ま、俺はどっちでも良いし、妹がお世話になってるお礼も兼ねてな?」

「あはは、まぁそういう事ならお言葉に甘えさせてもらうよ。私は共同体の依頼ページを見てくるね」

「ほいよっと。それじゃ俺は群集内交流板を担当だな」

「それじゃ良いのがあれば報告するって事で!」

「おうよ!」


 さてと、それじゃ手分けをして瘴気石の入手の手段を得に行こうじゃないか。ま、上手く見つかればの話ではあるけどさ。

 それでは早速、群集内交流板を見ていこうっと。ここは個人の識別が必要だから、プレイヤー名がそのまま表示される仕様だったはず。


 セリア   : 海エリアで名も無き深海の探索PTを募集中! 6人PTであと4人ほど募集します! 深海耐性は各自で準備をお願いします!

 流れ星   : 共同体『流星群』のメンバー募集中です。詳細は取引コールにて。

 マウンテン : 岩山エリアでドラゴンが倒されたってマジ?

 ザック   : マジっぽいぞ! いやー、どこの誰が倒したのか知らんけど、すげぇよな! 俺、10回は死んだぜ!

 マウンテン : いや、10回は死に過ぎじゃね? それってただ経験値を上納しに行ってただけなんじゃ?

 ザック   : ふっふっふ、甘いな。何度も殺られたが、溶解毒が有効だと報告を上げたのは俺だぜ!

 翡翠    : ……ザック、無駄に突っ込み過ぎて死ぬのは止めて。……それにその報告は既に上がってたよ。

 セリア   : ほほう、ザックさんは無駄死にが多い人に見えて無駄死にじゃない人とは聞くけど、今回のは無駄死にだったんだ?

 ザック   : 俺、そんな風に呼ばれてんの!?

 翡翠    : ……割とよく聞くよ?

 ザック   : 初耳なんですけど!?

 ローズ   : それはよく聞きますわね! ちなみにですが、あのドラゴンはリーダーとグリーズ・リベルテの皆様が倒したそうですわよ!

 翡翠    : ……え! 本当にそうなの!?

 ローズ   : えぇ、間違いありませんわ!

 カイン   : あー、そういやそんな話も流れてたっけか。あ、ちょっとミズキの森林に来れる水か、土か、氷の昇華持ちのやつはいないか?

 スライス  : ん? プロメテウス、何かあったのか?

 カイン   : 俺の名前はカインだよ! 表示されてんだろ!?

 ローズ   : もうそのやり取りも今更ではなくて?

 セリア   : 話ぶった斬って悪いけど、深海エリアへのPTも募集中でーす!

 スライス  : 深海エリアなぁ……。興味はあるんだが、流石に対策無しだと水圧で死ぬのはキツい……。

 マウンテン : 深海適応の特性を持つモンスターが落とす『特性の実:深海適応』が必要なんだっけか。

 セリア   : まだ流通量が少ないから、自力入手が確実なんだけどねー。初めて行く時が一番厳しかったりするし……。


 募集もあるにはあるけど、それ以上に雑談の方が目に見えて多いな。そして名前に覚えがある人もチラホラと見えている。んー、もしかして今は野良での募集以外は共同体の方のページに移ってたりするんだろうか?

 そういや取引コールって何だ……? あ、今まで使った事はなかったけど、この画面で名前を選択すると個人宛のメッセージか音声での会話が出来るんだ。……使った事がなかったから知らなかっただけで、この辺は必須機能ではあるか。


 カンキツ  : あー、何かカインに任せたら話が脱線してるから、俺から改めて。ミズキの森林の薪が雨でやられてるから、雨宿り用のスキルの発動要員を集めたいんだ。一応『モンスターズ・サバイバル』の方から依頼は出してるから、そっちを確認してくれ。


 カイン   : おーい!? 俺が受け持ちじゃなかったっけ!?

 カンキツ  : 急ぐんだから仕方ないだろ。

 水無月   : あー、だから水か土か氷の昇華なんだね。ちなみに報酬は?

 カンキツ  : あー、プレイヤーの加工品の回復アイテムやお茶とかその辺だな。

 水無月   : うん、十分だね。それじゃこれから行く。

 スライス  : おっし、そういう事なら俺も行くか。

 ローズ   : それでは私も参りましょうか!

 オーウル  : ところで、何で共同体に入ってない聖火の人や灰のサファリ同盟のカンキツがここで募集してんの?

 カイン   : だから、俺の名前はカインだっての!

 オーウル  : いい加減それは諦めたら?

 ザック   : そうだぜ! 時には諦めは重要だ!

 流れ星   : 共同体のメンバーを募集してますー!

 マウンテン : あー、共同体の募集なら、まとめの方に専用ページがあるからそっちでやった方がいいぜ?

 流れ星   : え、そうなの? 募集ならこっちって聞いたんだけど……。

 セリア   : まぁ話の流れで募集する事はあっても、募集のみが目的ならまとめの方が向いてはいるねー。

 流れ星   : そうなんだ!? それは失礼しましたー! ……あんにゃろ、デタラメを吹き込んでくれやがって、後でぶっ飛ばす!


 ふむふむ、あんまり今の群集内交流板では共同体の募集は推奨ではない感じか。てか、本当になんでモンスターズ・サバイバルからの依頼を灰のサファリ同盟のカンキツさんが募集してるんだ?


 カンキツ  : あー、モンスターズ・サバイバルでスキルを交代で発動して対応してるんだが、ちょっとログインしてるメンバーが少なめで手が足りなくてな。だから手の空いてたカインに頼んだんだけど……。

 カイン   : いや、俺は悪くないからな!?

 セリア   : もう諦めよ? カイン……いや、プロメテウス!

 ザック   : そうだぞ、プロメテウス!

 プロメテウス: 偶々覗いたら、凄い複雑な気分……。

 オーウル  : あっ……。

 マウンテン : あー。

 ローズ   : その名前を付けた方が現れましたわね。

 カイン   : ほら見ろ! 俺の名前はカインだし、プロメテウスって名前の人がちゃんと居るんだから、失礼だろ!

 プロメテウス: そうだ、そうだ! だから、カインさんは聖火の人で!

 カイン   : ……はい? え、なん……だと……!?

 オーウル  : おし、了解だ! 本当のプロメテウスさんに失礼な事をしてしまったし、その意見を尊重しようぜ!

 ザック   : 賛成だ! これからは聖火の人で統一だな!

 セリア   : そだねー! これからは聖火の人だね!

 カイン   : ちょ、マジかよ!?

 プロメテウス: ふっ、計画通り!

 カイン   : あっ、てめぇ、計ったな!?

 翡翠    : ……ドンマイ。……それはそうとして、ドラゴンの件はどういう事なの?

 ローズ   : これは失礼しました。話の途中でしたわね! 私のPTメンバーが目撃していたのです!

 翡翠    : ……詳しく!

 ローズ   : 他の敵に囲まれていた時で、途中の断片的な部分しか見れていなかったそうなのでそこは推測になりますけどよろしいですわね! 

 翡翠    : ……それで構わない!

 マウンテン : まーだあそこに突入していくザックみたいな奴もいたんだな。

 

 え、あの戦闘中に目撃者がいたの……? しかもローズさんのPTメンバーって事は……えっと、誰がいたっけ? ローズさんのPTとは常闇の洞窟の踏破中に遭遇してそれっきりだから、細かく覚えてないや。

 っていうか、この流れだと俺が直接名乗り出るのもありか……? いや、でもそれはちょっと流石に躊躇いがあるな……。


 ローズ   : そこについては無茶をしていたのは認めるしかありませんわ! 実際に途中で死んだので、情報が断片的にはなっていますので。ですが、グリーズ・リベルテの皆さんが岩山の崖の上から氷の槍が無数に生えた地面へとドラゴンを叩き落としていく様子は目撃したそうですわ!

 ザック   : なにそれ、すげぇ!?

 セリア   : もの凄く気にはなるけど、PTメンバーが予定数になったので出発します!

 マウンテン : おう、深海エリアの情報は楽しみにしてるぜ!

 セリア   : それは任せなさい!


 あー、深海エリアは深海エリアで興味はあるんだよな。海エリアはキャラを作って以来、それほど行く事はなくなっているけど、予定している事が終わって時間が空いた際にちょっと行ってみるのも良いかもしれないね。


「ケイさん、ちょっといい?」

「ん? ヨッシさん、何か良いのがあった?」

「あるにはあったよ。あんまり強さに自信はない小規模な共同体から、フィールドボスのスクショを撮りたいからその護衛依頼を頼みたいってのがあったよ」

「お、マジで?」

「うん。雷属性のフィールドボスが雨の中で戦ってる所を撮りたいんだって。今が丁度いいタイミングだから、大急ぎでの依頼だって。ちなみに瘴気石はぎりぎりフィールドボスになる強化度合いだけど、その共同体持ち。報酬は……まぁ正直、回復アイテムだけだから割には合わないけどね」

「目的は別のとこにあるし、報酬は微妙でもいいんじゃないか?」

「うん、それは私も同感。ただ、元になる成長体の確保からがネックだね」

「あー、それは確かに……」


 俺らとしてはフィールドボスと戦って、ヨッシさんが雷の操作を取れればそれでいい。まぁ可能であれば俺も取っておきたいとこではあるけど、そこはあくまで可能であればだ。

 条件的には決して悪くはないけど、大急ぎという点が問題だな。大急ぎの状態で成長体を2体確保からは天気が回復するまでの時間との勝負になってくる。それにまだサヤとハーレさんがログインしていないから、そこをどうするか……。うーん、最低限のLvのフィールドボスの相手なら俺とヨッシさんの2人で出来なくも……いや、それもなぁ……。


「ケイさん、何を悩んでるのー?」

「あー、サヤとハーレさんがまだログインして……って、ハーレさんかい!」

「……もしかして待たせてた感じになってるのかな?」

「あ、サヤもログインしたのか」

「ハーレ、サヤ、問題は今解決したから大丈夫だよ。ケイさん、私が相手の共同体に連絡を取ってくるから、説明をお願いしてもいい?」

「おう、任された!」


 先にサヤとハーレさんに確認を取った方が良いかもしれないんだけど、大急ぎの依頼という事だから事後承諾に近くなるけど大目に見てくれという事で! 元々ヨッシさんの雷の操作を取りに行くという話はしてたんだし、サヤもハーレさんも駄目とは言わないはず!


「えっと、どういう状況なのかな?」

「状況の説明をお願いします!」

「えーと、まずは――」


 そこから手早くサヤとハーレさんに今の状況を説明していく。ふむ、説明をしている間に納得するように2人とも頷いているから、これは大丈夫そうだな。


「つまりこれからすぐにその護衛……というよりは、代わりに討伐をする依頼を受けて、ヨッシの雷の操作の取得を狙うので良いのかな?」

「ま、そうなるな。今の悪天候がいつまで続くか分からないから、事後承諾みたいな形になって悪かったけど……」

「それは特に問題はないのさー! 状況的に急ぐ必要があるもんねー!」

「うん、そこは気にしないかな。天気の事もあるし、他の人に先を越されても意味もないからね」

「ふー、それなら良かったよ」


 問題なくサヤもハーレさんもこれからやる事をを受け入れてくれたね。さて、これでヨッシさんが依頼している共同体との話がつけば良いんだけど……。


「はい、はい、分かりました。ミズキの前ですね。それじゃこれから向かいますね。はい、よろしくお願いします」

「ヨッシ、どうだったー!?」

「うん、依頼は成立したよ。サヤとハーレも問題はなさそうだね」

「もちろんさー!」

「絶好のチャンスを見逃す手はないかな!」

「だそうだぞ。で、ヨッシさん、待ち合わせ場所は?」

「あはは、みんなありがとね。それで待ち合わせ場所はミズキの森林のミズキの前になったよ」

「ミズキの前か。それじゃ転移ですぐに出発するぞ!」

「「「おー!」」」


 エンのすぐ近くにいるから、ミズキの場所までは転移ですぐである。さーて、悪天候の内に上風の丘まで行って依頼をやっていこうじゃないか!

 それはそうとして、群集内交流板は募集としてはいまいち役には立たなかったか。……まぁタイミングとかもあるもんな。単純な雑談自体は楽しそうだったけどね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自力での電子書籍版もありますので、よろしければこちらもどうぞ。
大きな流れ自体は同じですが、それ以外はほぼ別物!
ケイ以外の視点での外伝も収録!

最新巻はこちら!
電子書籍版『Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜』第20巻

これまでの第1巻〜第19巻はこちらから。
電子書籍版『Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜』シリーズ
― 新着の感想 ―
[一言] ザバイバルの人の薪を乾かしたりするのは間に合ったんだろうか……
[一言] >ゲーム内に天気予報というものもない そのうち不動種あたりにスキルとしてX時間(レベル×2くらい?)後の天気を知るスキルが生えて来そうですね。 もしくは今後の群集クエスト報酬で群集支援種あた…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ