第584話 コケの固有スキル
<行動値を3消費して『群体化Lv3』を発動します> 行動値 50/69(上限値使用:4)
おっと、またこれで群体数が上限に行ったか。このままじゃこれ以上の群体化が出来ないから、群体化解除をしていかないとね。うん、最近は群体化も群体化解除もそれほど使ってはいなかったから、コケの完全な固有スキルをどんどん使うのは新鮮だなー。
<行動値を3消費して『群体化解除Lv3』を発動します> 行動値 47/69(上限値使用:4)
よし、これでさっき群体化したコケの群体化解除が完了。群体数に余裕が出来たので、再び群体化をしていこう。完全に熟練度稼ぎ以外では無意味な行動ではあるけども、これらのスキルを何度も繰り返して使っていくのが今の俺のコケには最適な手段だもんな。
流石に時間制限のある遠隔同調を使っての群体化や群体内移動をするのは効率が悪過ぎるからねー。効率優先!
そんな感じで桜花さんのログイン待ちをしながら特訓を始めて、1時間くらい経った。アル対サヤとヨッシさんのコンビの特訓を見ながらスキルの強化をしてて思ったけどもハードにやってますなー。
「お、サヤの操作もだいぶ良くなってきたんじゃねぇか? 『リーフカッター』!」
「それはどうもかな! 『並列制御』『略:電気の操作』『略:エレクトロボム』!」
「そこ! 『並列制御』『氷の操作』『アイスニードル』!」
「うおっと!? 『上限発動指示:登録2』!」
「あっ、小型化はズルい……けど、チャンス! サヤ、電気の檻!」
「分かったかな! 『略:エレクトロプリズン』!」
「『アイスプリズン』!」
「げ、しくじった!?」
サヤとヨッシさんの連携をアルは小型化して回避していたけど、それが仇となってエレクトロゲージに捕まっているアルだった。アルも言ってるけど、サヤは電気の球を爆発的に放電させてアルの葉を撃ち落とせるようになってるし、かなり操作は向上したっぽいね。
<行動値を3消費して『群体化Lv3』を発動します> 行動値 14/69(上限値使用:4)
<行動値を3消費して『群体化解除Lv3』を発動します> 行動値 11/69(上限値使用:4)
うーん、意外とすぐ上がるかと期待していたけども中々上がらないし、増殖させていたロブスターの背中のコケも元の状態へと戻っている。……まぁ群体化する際に邪魔だから、背中以外のコケの増殖分は群体化を解除しただけだけど。
それにしても何度も群体化と群体化解除を繰り返しているので、地味に発光で灯りがついたり消えたりするのがちょっと鬱陶しいな……。
やっぱり飛行鎧に組み込んだ岩の操作を利用して、灯りが視界に入らないように……あ、それは駄目か。それをすると俺の視界にコケが入らなくなって指定が出来なくなるな……。やっぱり今は発光を解除するか、発光の発動Lvを下げるべきか……?
「あー流石に2人同時相手だとキッツいなぁ……」
「確かに対戦型の特訓はどうしても疲れるかな……」
「……まぁ集中力は使うからね」
「3人ともお疲れさん。ちょっと休憩したら?」
「そうするか……」
「……賛成かな」
「サヤと同じく……」
色々と手段を考えていたら、みんなが地面に降りてきていた。あらま、3人ともかなり集中してたみたいだから結構疲れてるみたいだね。まぁ対戦型でやると楽しくは出来るけど、精神的な疲労は出るもんな。……昨日の俺もアルと対戦してた時に同じような感じになってたしさ。
「ところでケイ、桜花さんはまだログインしてないか?」
「あー、まだログインしてないぞ」
「……そうか。まぁ約束してた訳でもないから、仕方ないか」
「ま、急ぐもんでもないし気軽にやろうって。模擬戦の機能も今日実装されたばかりなだけで、今日しか使えない訳じゃないしさ」
「……それもそうだな。ところでケイの方はどうだ?」
「まだ何も上がってないなー。そろそろ上がっても良さそうな気はするんだけど……」
割とすぐに上がりそうな気はしてたんだけど、中々上がる気配がないんだよなー。うーん、これで群体塊を手に入れてからじゃないと次の段階に進めないんだけど、群体化のLvが上がらない事にはどうしようもない。
多分進化ポイントで手に入れられる可能性はあるんだろうけど、出来れば進化ポイントは節約したいんだよね。狙っている群体塊の使い勝手もよく分からないから特になー。
「あー、とりあえず行動値も減ってきてるし、あと1回やってみたら休憩にするよ」
「おうよ。よし、ここは次の1回で上がるかどうかを予想してみようぜ」
「あ、それは良いかな! それなら私は上がるに1票かな」
「んー、私は上がらないに1票で」
「俺はどうすっかな……。ケイの事だから、ここぞって時に引き当てそうな気はするから上がるに1票だ!」
「……なんで賭けになってんの?」
「ただの気まぐれだ」
「……まぁ、それならそれで別に良いけどさ」
特に実際に何かを賭けている訳でも、害があるという訳でもないし、気にしなくていいか。たまにある事ではあるしね。さて、それじゃ俺は次の群体化でLvが上がる事に期待しようじゃないか。
<行動値を3消費して『群体化Lv3』を発動します> 行動値 11/69(上限値使用:4)
<熟練度が規定値に到達したため、スキル『群体化Lv3』が『群体化Lv4』になりました>
<ケイが規定の条件を満たしたため、スキル『群体塊』を取得しました>
「おっ!」
「その反応はLvが上がったか!」
「アル、正解! よっしゃ、『群体塊』をゲット!」
「当たりだったかな!」
「あらら、外れちゃったなー。ところでケイさん、『群体塊』って前にフーリエさんがマリモみたいになって転がってたスキルだよね?」
「おう、そうだぞ。これ、物理型のコケの移動手段らしいんだよ」
「……それって、ケイはどう使うのかな?」
「……さぁ? 使い道が分からないから、何か応用方法がないかと思って取ってみた」
「無計画かよ! ケイらしいといえば、らしいけどな……」
「魔法砲撃みたいに、使ってみたら意外な使い道があるかもしれないじゃん?」
「……まぁ確かにな」
まぁ使い道が分からないとは言ったものの、別に全く無意味って訳でもない。……群体塊の方のではないんだけど、群体化のLvが上がると一度に群体に出来るコケの量が増えるからね。それだけでもLvを上げておく意味自体はある。
「ま、とりあえず試してみるのは休憩してからだなー。……あっ」
「おい、その『あっ』はなんだ!?」
「いや、桜花さんがログインしたなーって?」
「桜花さんがログインしたのかな!?」
「休憩中って良いタイミングだね」
「ま、そりゃそうだ。アル、連絡は俺から入れとこうか? それともアルからする?」
「あー、それなら俺から連絡するわ。場合によってはすぐに移動かもしれんから、ケイは今のうちに新スキルを試しとけ」
「……それはいいけど、そんなにすぐ移動になる?」
「念の為だ、念の為」
「まぁ、そういう事なら任せるけど……」
うーん、どことなく釈然としないけども、アルなりに気遣ってくれてるのかな? まぁ悪巧みをしているとも思えないので、ここはアルを信頼しておこうっと。……でも一応参考までにサヤとヨッシさんの意見を聞いてみようか。
「サヤ、ヨッシさん、今のアルの判断はどう思う?」
「うーん、何か別件で用事があるとかじゃないかな?」
「それはありそうだけど、流石に分からないね」
「あー、まぁそうだよな」
サヤの言うように、アルは夜中に俺らとは別で活動している事もあるから別件の用事があっても不思議ではないか。
「お、桜花さんか。ログイン早々で悪いんだが、ちょっと頼みがあるんだよ。……お、察しがいいな。おう、中継についてだ。風雷コンビの対戦……あ、もう情報行ってんのか。あー、なるほど、ベスタが仕込ん――」
あー、断片的に色々と聞こえてきて気にはなるけども、ここはアルの気遣いで時間を無駄にしない方が良さそうだね。内容については後で教えてくれるだろうしさ。
さてと群体塊については覚えたてでLv1だし、通常スキルだから行動値の消費量は大した事はないから、行動値が結構減っている今でも問題はないな。よし、実際に使ってみるか。
<行動値上限を1使用して『群体塊Lv1』を発動します> 行動値 13/69 → 13/68(上限値使用:5)
あ、行動値消費型のスキルじゃなくて、上限使用型のスキルだった……。えーと、これどうなってんだ? ロブスターの背中のコケに変化があったような感じはするけど、ロブスターの視点からじゃよく分からないし、コケの視点にしてみてもちょっと視点が高くなったようにしか感じない……。
よし、こういう時こそ遠隔同調の……って、普通にサヤとヨッシさんに様子を聞けば良いだけじゃん!
「サヤ、ヨッシさん、ロブスターの背中のコケってどうなってる?」
「……えっと、何ていうのかな? 光る丸いコケの球があるよね……?」
「うーん、光るマリモが1つ、ロブスターの背中に貼り付けたみたい……?」
「ちょっと待って!? その光景、思いっきり気になるんだけど!?」
え、ロブスターの背中にマリモが張り付いてんの!? ちょっと想像してみたらかなりシュールなんだけど、それってどういう状態!? うん、これはやっぱり自分の目で確かめるしかないか。
<行動値上限を15使用して『遠隔同調Lv1』を発動します> 行動値 13/68 → 13/53(上限値使用:20):効果時間 5分
よし、これで一時的にコケとロブスターを分離させて活動させる事が出来る。さっき群体化して発光しているコケに核を移動させてから客観視して、どういう光景か確認してみよう。
<行動値を1消費して『郡体内移動Lv1』を発動します> 行動値 12/53(上限値使用:20)
<『遠隔同調』の効果により、視界を分割表示します>
移動先のコケはすぐ近くなので、行動値の節約の為にLv1で発動して移動完了。移動したコケの核側の視点をメインにして、ロブスターの姿を見てみよう。果たしてどうなってるのやら?
「……うん、サヤとヨッシさんの言う通りだな。って、あれ!?」
「あ、普通のコケに戻っていってるかな……?」
サヤとヨッシさんが言ってたように、さっきまで俺のコケの核があったロブスターの背中の上に球状のコケが貼り付いているようになっていたけど、遠隔同調で森の方の群体化したコケに核を移したらロブスターの背中の塊になっていたコケが普通の状態へと戻っていた。
そして周囲を見てみればコケのなくなった地面が剥き出しになっていて、核のある今の位置にコケが集まって塊に変化していたようである。
「……なるほど、核のある位置のコケが塊になる仕様なんだな。サヤ、ヨッシさん、どんな風に見えてた?」
「えっと、ケイが群体内移動をして核を移動させた直後に周囲のコケが集まる様に動いていたかな?」
「周りのコケが1ヶ所に固まっていく感じだったね。それと同時にロブスターの背中のコケは元に戻ってたよ」
「……なるほど、観察の様子を伝えてくれてありがとな」
ふむ、サヤとヨッシさんの目撃情報からすると、この群体塊というスキルの発動中に核を移動させれば、核を中心にしてコケの塊を作り出すスキルみたいだね。……ちょっとこのスキルは変わった仕様だな。
「おう、じゃあまた後でな、桜花さん! ……って、随分と珍妙な事になってるな、ケイ?」
「それについては俺も思ってるとこだよ。で、アルの方はどうだった?」
「朗報だな。風雷コンビの対戦はベスタが『一度全力でぶつかってみろ』って事で計画してたらしくて、混み具合によって多少の時間のズレは出る可能性もあるが、開始予定時刻は午前中には決まってたんだとよ。ついでに一部の不動種の樹洞内での投影に限定して、他の群集が立ち入り出来ない様にした上で全エリアで中継予定だと。まぁ予定だから変わる可能性もあるが……」
「お、マジか! そういう状況だったなら、もしかして事前に桜花さんに話が行ってたりしてた?」
「みたいだぜ。開始は15時からだとよ」
「今が2時前だから、1時間は余裕があるかな?」
「少し前には移動しておいた方が良いんじゃない? 不動種の樹洞の中だけでの中継なら混雑するだろうし……」
「ま、ヨッシさんの言う通りだ。14時半までには桜花さんのとこに行くと話をつけておいたぜ」
「アル、ナイスかな!」
「うん、了解」
「ほいよっと」
風雷コンビの対決がベスタの発案だとは思っていなかったけども、度々小競り合いを起こすのであれば一度全力でぶつかってみるというのもありなのかもしれないね。うん、かなり興味深い対戦が見れそうだ。
「それじゃこの群体塊の性質を少し検証したら行きますか」
「……何をどう試すんだ、それ?」
「出来るかどうかはやってみないと分からないけど、色々気になった事ならある!」
「……いつも良く色々と思いつくね、ケイさん」
「それがケイだとは思うかな?」
「ま、確かにな」
「別に悪い事をしてる訳じゃないんだから良いだろー!?」
こうやってみんなに色々言われるのもいつもの事ではあるもんな。とりあえずその辺は置いておいて、このマリモっぽいコケの塊の使い道を試してみよう!




