第561話 情報の交換
青の群集と情報交換という話にはなったけれども、レナさん達を筆頭に第2弾のスクショの話し合いをしているのが賑やかで、色々と聞こえてきているね。
「次はどんなのにする?」
「青の群集の斬雨さんもいるし、折角だから岩に刺さった刀を抜くみたいな演出は?」
「お、それいいね!」
「でも、抜く役目はどうすんだ? 流石にまだまだ人化には遠いのに、ちょっと厳しくないか?」
「あー、それもそうだよな。逆に封印されてる刀的な感じが良いんじゃね?」
「……どうせなら海エリアのタチウオの人を大勢集めて、荒野に刺さった刀達という演出も……」
「それもありだけど、それはまた別の機会だねー! 今から人を集めて場所移動も厳しいからねー!」
「やっぱりここは封印された禍々しい刀という方向性だな」
「賛成だけど、柄の部分はどうすんの? 魚の顔のままだよな」
「そこはあれだ。岩の操作というか土の昇華で柄を作ろう」
「土の昇華なら私も持ってるよー!」
「よし、それじゃその方向で! さっきは雷雲だったから、今度は趣向を変えてみるのはどうー?」
「……今度はあれだな、黒い風。もしくは黒い火ってのもあり!」
「風の昇華ならあるぜ!」
「火の昇華もあるよー!」
どうやら今度は斬雨さんをメインにしたスクショを撮るつもりのようである。まぁなんだかんだで斬雨さんのタチウオも特殊といえば特殊だもんな。実在のタチウオの名前は漢字で書けば太刀魚な訳だし、刀をイメージするのは不思議でもなんでもない。
まぁそれ自体は良いとしても、斬雨さんは俺らの方にいて同意は得られてないのに次々と決めていっている様子を放置しても良いんだろうか?
「……なぁ、ジェイ、ちょっと良いか?」
「こちらは私だけでも問題ありませんし、斬雨は行ってきても良いですよ。……むしろ、行っておいた方が良いでしょう。ベスタさん、構いませんか?」
「あぁ、構わんぞ。……あの分だと、本人がいた方がいいだろうしな」
「やっぱそう思うよな!? って事で俺はあっちに行ってくる。あんがとよ!」
「えぇ、頑張ってください、斬雨。あ、それと私の役目も確保しておいてくださいね」
「おう、わかってらぁ!」
そうして斬雨さんはレナさん達が計画をしているところに移動していった。ま、確かにあの状態なら斬雨さんのいない間に何もかもが決まってしまいそうな勢いだもんな。
「お、斬雨さん、まだそんなに時間経ってないけどもういいのー?」
「さっきから俺を主役にしての計画が聞こえてきてたらそうも言ってられるか!? 情報交換についてはジェイに任せて来たっての!」
「ま、そうだよねー! さーて、主役も来たし、どんどん決めていくよー!」
「「「「「おー!」」」」」
「おい、俺が主役ってのは決まりなのかよ!?」
「……諦めろ、斬雨さん」
「あ、大根の桂剥きとかやってみるー? もちろん、ダイクと斬雨さんで!」
「「それは勘弁してくれ!?」」
「あはは、冗談だよー!」
うん、何やら賑やかにしているので、あっちはあっちで任せようではないか。……少しレナさんの不穏な発言も聞こえたけども、流石に冗談だろう。そもそも出来るのかすら怪しいし……。
「さて、それでは改めて始めましょうか。とはいえ、そんなに長い話でも複雑な話でもないですので、何か並行してやりたい事があれば行ってくれても構いませんよ?」
「……ほう? そうやって手の内を探るつもりか?」
「いえいえ、そういうつもりはありませんよ? ただ、時間の有効活用をしてはどうかという提案ですね。私としても少し鍛えておきたいので、構いませんか?」
「……まぁそれで良いなら俺は構わないが、お前らはどうだ?」
ふむ、確かに情報交換の為に話すだけではあるから、その間にスキルの強化をしてても良いんだろうけど、流石に全員がという訳にもいかないか。ベスタがいるから大丈夫だとは思うけど、話を聞き逃しても駄目だもんな。
「んー、俺は今日の目標は達成してるから話に集中しとくわ。サヤとヨッシさんとハーレさんは、忘れてたあれの取得を今のうちにやっといたら? アルはさっきのでもう瘴気の魔法は使えないだろうから、話し合いでいいか?」
「おう、俺はそれでいいぞ」
纏瘴と纏浄の両方を活用する事で手に入る『異常回復Ⅰ』の事を思い出したのが夕方だったけど、その後すぐに晩飯とかになったから結局出来てないんだよな。
女性陣は一緒に物理方向から取っていきたいみたいだし、アルについては夕方に浄化魔法で片方の条件は満たしている。もう片方の瘴気魔法については今日の分は時間切れになったし、明日やればいいだろう。
「あー!? そういやそうだったー!」
「そういえばそのまま放置になってたかな!」
「……ケイさん、青の群集の前でしても大丈夫?」
「……あっ!」
「……しまったな」
しまった、ジェイさんが『異常回復Ⅰ』について知っているという大前提につもりで話してしまっていた!? くっ、これで知らなかったりすると、無駄に情報を与えてしまった事に……。
「どれだけ私は警戒されているのですか。……むしろ私の方があなた達の警戒したいくらいなんですが」
「青の群集としてはそうだろうな」
「……えぇ、そうですとも。……話が進まないのでここは情報を開示しますが、『異常回復Ⅰ』の2種類の取得条件なら把握していますので、気になさらなくていいですよ」
「あ、そうなんだ」
そういう事なら情報流出の心配はなさそうだな。たまに偽情報を掴ませてくるジェイさんではあるけども、まぁ今回はその心配はいらなさそうだね。
「あー、俺は少しだけ時間をもらっていいか? 共生進化に戻してきたい」
「えぇ、少しくらいならお待ちしますよ」
「おう、ありがとよ」
「いえいえ、どういたしまして」
「それじゃちょっと戻してくるわ。いつまでもクジラじゃ疾風草茶も勿体無いからな」
「確かにそりゃそうだ」
という事で、アルはスクショを取る為にクジラだけにしていたけども、共生進化に戻す為にログアウトしていった。ま、お茶の材料の数に余裕はあるとはいえ、節約できるところで無駄に使うのはもったいないもんな。
「んー、サヤ、ヨッシさん、ハーレさん、情報交換は俺とベスタで引き受けるから本格的に特訓しててくれてもいいぞ。特にハーレさんは明日の昼間もログイン出来ないしな」
「おー!? いいのー?」
「別に全員が必須って訳でもないし、ジェイさん、ベスタ、別にいいよな?」
ハーレさんに関しては発見の当事者でもあるんだけど、その辺の情報は俺が知ってるしベスタにも既に伝わっている。斬雨さんもスクショの方に行ってるし、俺ら側の人数が少し減っても問題はないはず。
「交換出来る情報を持ってる方が残ってくれているのであれば問題ありませんよ」
「それは俺とベスタが持ってるから大丈夫だ」
「ま、そうなるな」
「では、そのようにしましょう」
よし、これで女性陣は情報交換に無理に参加する必要もないな。アルについては戻ってきてから確認するとしよう。
「折角の厚意だし、そうさせてもらおうかな?」
「そだね。ハーレもスキルの強化はしたいだろうしね」
「そうなのです! 今日中に『異常回復Ⅰ』の取得を頑張るよー!」
「それじゃまずは下準備かな。『纏属進化・纏瘴』『瘴気制御』!」
「私もさー! 『纏属進化・纏浄』『浄化制御』!」
「私はこっちだね。『纏属進化・纏瘴』『瘴気制御』!」
そうして女性陣はそれぞれに纏属進化をして、準備を終えていく。前にそれぞれ別属性の方でやった時は効果時間中で必要回数はクリア出来てたから、今回もこの纏属進化中に回数は達成出来るはず。
あ、そうしている内にアルが戻ってきたね。今回は木の方でログインにしてるんだな。
「戻ったぜっと。お、サヤ達は準備完了か」
「アルさん、おかえりー!」
「あ、アル。俺とベスタで情報交換をやる事になったけど、アルはどうする?」
「あー、俺か。どっちでもいいと言えばどっちでもいいんだが……」
「それならアルさん、審判役をお願いします!」
「えーと、どういう事だ、ハーレさん?」
「私とサヤとヨッシで、バトルロイヤルをしたいのです!」
ほほう、ハーレさんが何を言い出したのかと思えばバトルロイヤルときたか。まぁ3人でスキルの発動をしまくらなければならないという事なら、割といい案かもしれないね。やっぱりただ単調にスキルを空振りするのは飽きるしさ。
「え、バトルロイヤルをやるのかな!?」
「いきなりではあるけど、それはそれであり?」
「……うん、確かにそれはそうかな。3人だし、ただ単調にやるよりは良いかな?」
「それじゃ当てたら1ポイントで、最終的にポイントが一番多かった人が勝ちなのさー! アルさん、ポイントのカウントをお願いねー!」
「ちょ、俺に数えろってか!? ケイ、まとめの報告欄の下書きをメモ代わりに使わせて貰うぞ」
「あー、確かにメモは必要か。うん、別にいいぞ」
「それじゃ決定さー! アルさん、合図をお願いします!」
「おうよ。それじゃ特訓用のバトルロイヤル、開始!」
そのアルの開始の合図によって、特訓のバトルロイヤルが開始である。……でも、スキルを使うとダメージを受ける纏浄のヨッシさんが不利なような気もする……って、そうでもないか。ダメージがあるとはいっても必ずHP1は残るから問題にはならないか。
「へぇ、この特訓方法は良いですね。バトルロイヤルは以前やりましたが、こうやってスキルの回数稼ぎに使うとは……」
「はっ!? 特訓方法までは気にしてなかった!?」
「……まぁ、このくらいは良いだろう。それよりもだ、いい加減情報交換に移るぞ」
「……それもそうですね。では単刀直入に行きましょうか。……灰の群集で、現時点で把握している光る『進化記憶の結晶』の位置を教えて貰えませんか? もちろん青の群集が把握している場所はお教えします」
おっと、予想以上に単刀直入に本題に入ってきたね。ま、この辺は確かに重要な情報ではあるのは間違いないもんな。……同じ場所のものがどの群集の判定にもなるのなら、利益としては大きい話だ。
ただし、先着の群集のみになると途端に意味が無くなるどころか、争奪戦になるんだよな。……まだ残り個数の方が多いし、今の時点でどっちの仕様なのかを確定させておく必要があるね。
「……位置の重複があるかの確認が目的だな?」
「まぁそうなりますね。その為にもお互いの発見場所を照らし合わせる必要がありますので」
「……いいだろう。ただし、1ヶ所ずつ交互にでいいか?」
「えぇ、構いません。持ちかけたのは私の方ですから、先にこちらから提示しましょう」
「……随分と気前がいいんだな、ジェイさん」
「この情報交換次第で方針が変わるんですから、それなりの対応はしますよ。初期エリアに近い所だとお互いに判別がしにくいので、1ヶ所目については少し離れた所にしますね」
「まー、初期エリアの近くじゃあんまり意味はないもんな」
具体的にどこで発見されたか俺が知っているのは、ザッタ平原の小さな湖の中と、ウィルさんから受け取った竹林の中にあったという2つだけだしね。ベスタは多分もっと知ってるだろうけど、黒い真珠みたいな方もあるから正確なとこは何とも言えないね。
「……それで、それはどこだ?」
「えっとですね、ネス湖の西のザッタ平原は分かりますか? あそこにある小さな湖の底に落ちていたのですが……」
「えー!? それ、マジで!?」
「……いきなり被ってきたか」
「……そういう反応という事は群集ごとに発見は重複するという認識で良さそうですね。そしてそこを発見したのはケイさん達で間違いないですか?」
「おう、そうなるぞ。ちなみに青の群集での発見はいつ?」
「それは今日の午前中ですね」
「なるほど、それじゃ先に見つけたのは俺らの方か」
「……そうなのですか? ちなみにいつ頃でしょうか?」
「あー、昨日の夕方」
「……おかしいですね。昨日の夜にその辺りは捜索したという情報もあるのですが……」
「もしかすると、経験値増加のアイテム化になってる状態で初めて発見になるのか?」
「……それはありえそうですね。これは思った以上の成果です」
「そうみたいだなー。流石に初手から俺らが見つけた場所が出てくるとは思わなかったけど……」
「……それは私も同感ではあります」
意図的に少し距離の離れた被る可能性のありそうな場所を選んだんだろうけど、1ヶ所目で仕様の確認が出来るとはね。ま、お互いに有益な情報ではあるから、これは良しとしようじゃないか。
「……それで、どうします? 重複の確認の為だったのでもう用件は済みましたが、続けて互いの把握している場所の情報交換を行いますか?」
「あー、それは反対。仕様の確認の為だったからそれが確認出来るまではいいけど、折角の宝探しなんだし分かったのなら後は自分達で見つけたい」
「ここは俺もケイに同意だ。これ以上の情報交換をするならば、行き詰まった時で良いだろう」
「それもそうですね。それでは黒い方についてはどうしますか?」
あー、確かに光る方についてはさっきの内容で良いとして、黒い方についてはどうしたもんかな。手に入れたら砕け散るという性質上、考証の余地もない気はするけども……。
「黒い方については早い者勝ちで良いだろう。持てば砕け散る訳だし、奪い取れる事もないだろう」
「まぁ、そうなりますか。……同時に見つけた場合に、所有権をかけて戦うくらいでしょうね」
「あ、そっか。同時に見つける事がないわけではないんだな。……確率は低そうだけど」
「……確率は低いが0ではないからな。その辺りの行動制限は出来ないから、各自の判断に任すしかないだろう」
「……そうなりますね」
「ま、そうなるか」
同時に見つける可能性は低いとはいえ、ないとは言えない可能性ではある。その時に遭遇した場所や相手によっても変わってくるし、群集での発見個数によっても左右されるね。ま、そういう事態に遭遇した時に考えようか。
とりあえず、確認が必要な情報交換が出来たのは有意義だった。どこかのタイミングで赤の群集とも同じ内容は話しておく必要もありそうだけどね。




