第551話 成長体を発見
フィールドボスの誕生の為にLv20の成長体を探して、サヤの勘を信じて近くにある林にやってきた。これで当たりだと良いんだけど、どうだろね?
「あ、そろそろ効果時間が厳しいね。アルさんかケイさん、少しの間ミズノコの捕獲を変わってもらえない?」
「いつまでもは捕獲し続けられないもんな。よし、俺が――」
「ケイ、待て」
「ん? 何か問題あった?」
「あー、問題って訳でもないが、捕獲なら俺がやっとくぜ。ケイは改めて獲物察知で位置を特定してくれ」
「あ、確かにそりゃそうだ」
ミズノコの捕獲に関しては俺以外でも出来るけど、獲物察知を持っているのは俺だけだからこっちは代わりが効かないんだった。獲物察知の効果はそれほど長くないから既に矢印も消えているし、改めて確認をしておくべきだろう。
「それじゃアルさん、お願いかな」
「おうよ。『アクアクリエイト』『水の操作』!」
ヨッシさんが氷の檻を解除すると同時に、アルの生成した水の中へとミズノコを閉じ込めていく。水属性持ちだから水中は平気だろうけど、氷の檻で結構弱ってるな。
ふむ、流石は強力な状態異常持ちのヨッシさんだ。ただ氷の檻に閉じ込めていただけでも凍傷の状態異常で結構なダメージを与えていた。……拘束魔法って動きを封じるのが主目的だから、威力はかなり控えめなんだけどね。
「これ、ミズノコに回復をしといた方がいいだろ。ハーレさん、頼む」
「了解です! ミズノコなら何がいいかなー? よし、これだー!」
そうしてハーレさんが加工してない一般生物の川魚をアルの生成した水の中へと放り込む。あ、ミズノコが川魚を食べて少しHPが回復したね。それに氷の檻とは違って、そんなに弱っていく気配もない。……やっぱりヨッシさんの氷の檻の効果が強過ぎた感じだな。格下を捕獲する場合は要注意か。
さて、ミズノコの弱体問題と捕獲のし直しは終わったので、次の事をやっていくか。
<行動値を4消費して『獲物察知Lv4』を発動します> 行動値 56/70(上限値使用:3)
まだ行動値が全快してなかったけど、そんなに時間の猶予もないのでこの際仕方ない。ついでにさっき上がったばかりのLv4の獲物察知を使ってみて……おぉ、何か矢印の数が増えたというか、結構範囲が広がった気がする。
それになんか矢印の太さに変化が出た……? 今までは一律同じ太さの矢印だったけど、何か1本だけ少し細い黒い矢印がある。……これはもしかすると、もしかする……?
「ケイ、どうかな?」
「あー、さっき獲物察知のLvが4になったんだけど、少しスキルに変化があった」
「え、どういう事?」
「どうもスキルの効果が強化されたっぽい? 1本だけ細い矢印があるんだよ」
「……もしかしてそれって、今の状況にはものすごく有用なんじゃないかな?」
「その可能性はありそうだね」
「俺もそう思う。って事で、林の中に続いているこの細い矢印を辿ってみるわ。アル、ミズノコの件もあるし、悪いんだけど待機しといてもらえるか? ハーレさんはアルの護衛で」
「ま、この状況ならそうなるか」
「了解です!」
みんなで一緒に行っても良いんだけど、ミズノコを捕獲中のアルは戦力に加えないほうがいいだろう。かといって1人という訳にもいかないので、危機察知持ちのハーレさんに任せておくのが良いはず。
「それじゃサヤ、ヨッシさん、林の中に行くか」
「「おー!」」
「しっかり見つけてこいよ!」
「期待して待ってるのさー!」
「おうよ!」
さて、その辺については獲物察知の変化が予想通りのものであれば良いんだけどね。でもまぁゲーム的にもLv20の成長体をただ運任せのみで探すようになっているとも思えない。……よし、今はとにかく獲物察知を信じよう。
「それでどっちの方かな?」
「このまま真正面だ。そんなに極端には離れてないはず」
「それならとにかく進むのみだね」
「だな。あ、他にも反応はあるから奇襲には注意で」
「うん、分かったかな」
「それは気をつけないとね」
奇襲防止に威嚇を使っても良いんだけど、もしそれで標的に逃げられても困るからね。……いや待てよ? 威嚇って戦闘確率を下げるだけで逃げ出させるような効果ってあったっけ? ……ちょっと試してみるか。
「サヤ、ダメ元で威嚇を使ってみてもらっていいか?」
「え、でもそれだと成長体だったら逃げちゃうんじゃないかな?」
「それならその時だ。一気に距離を詰めて捕獲する。ヨッシさん、高速飛翔を準備しといてくれ」
「確かにそれは有効かもね。うん、了解」
「分かったかな。すぐにやってもいい?」
「あー、ちょっとだけ待ってくれ。移動操作制御を切り替える」
「水のカーペットじゃなくて、新しいあれに変えるんだね」
「そういう事」
一気に加速させるのであれば、確実に飛行鎧の方が安定して良いもんな。今出しっぱなしの水のカーペットを解除して飛行鎧へと切り替えていこう。
<『移動操作制御Ⅰ』の発動を解除したため、行動値上限が元に戻ります> 行動値 58/70 → 58/72(上限値使用:1)
<行動値上限を6使用して『移動操作制御Ⅰ』を発動します> 行動値 58/72 → 58/66(上限値使用:7)
よし、切り替え完了。懐中電灯モドキも展開して、視界を良くしておこう。そういや獲物察知って発動してしばらく……っていうかまだ効果中だけど、すぐに次のスキルを発動出来るタイプなんだね。まぁ矢印が消えるまで何も出来なきゃ使い勝手が悪過ぎるか。
「サヤ、威嚇を頼む」
「分かったかな。『威嚇』!」
あー、残念ながら表示されている矢印の大半が遠ざかっているな。でも遠ざかっていっていないのもいるし、確か威嚇は格下にしか効果がないはずだから同格か格上だな。これは奇襲されると厄介な相手だから位置には気をつけよう。
さてと肝心の狙いの細い矢印はどんどん離れていっているから、格下は確定っと。後は一気に捕まえにいくか!
「ヨッシさん、高速飛翔! 追いかけるぞ! 格上で逃げてないのもいるから、サヤは少し距離を取って追いかけてきてくれ。そいつらが襲ってきたら足止めを頼む!」
「了解! 『自己強化』『高速飛翔』!」
「邪魔をさせなければいいんだね。任せてかな!」
「おう! それじゃ作戦開始!」
「「おー!」」
その俺の号令と同時に、岩の操作の速度を上げて逃げていく標的を追いかけていく。それに着いてくるようにヨッシさんが一気に速度を上げて飛んでいた。
「邪魔はさせないかな! 『自己強化』『強投擲』『爪刃乱舞』!」
「サヤ、援護するよー! 『自己強化』『連投擲』『連投擲』『連投擲』!」
背後からはサヤが戦闘を開始した音が聞こえてきた。それにハーレさんも援護に回っているようである。邪魔な敵の相手は2人に任せておけば大丈夫だろう。
さてと移動操作制御だと時間切れという要素がないから、遠慮なく飛ばせるね。飛行鎧に一緒に組み込んだ懐中電灯モドキも夜の林の中を照らすには有用だ。……さて、矢印の表示的にはもう少し……って、あー!? 効果が切れて矢印の表示が無くなった!?
「でも、もう正体は見えた!」
「ケイさん、あの地面を走ってる小さいやつ?」
「おう、それだ」
獲物察知の効果が切れて焦ったけども、姿は捉えたぞ! ……丸くて転がって逃げているけど、これはなんだ……? いかん、丸まってるせいで何かよく分からない。サイズ的にはヨッシさんのハチより少し大きめくらいか?
「ヨッシさん、捕獲は任せた! 俺は識別する!」
「了解! 『並列制御』『アイスプリズン』『氷の操作』!」
よし、丸まったその何かを氷の檻に閉じ込める事は成功だ。それに合わせて俺もヨッシさんも移動速度を落としていく。ふー、捕獲自体は割とあっさり完了したけど、進化階位とLvの確認をしないとね。
<行動値を4消費して『識別Lv4』を発動します> 行動値 54/66(上限値使用:7)
『オオダンゴムシ』Lv20
種族:黒の瘴気強化種(突撃堅牢種)
進化階位:成長体・黒の瘴気強化種
属性:なし
特性:突撃、堅牢
お、これは30センチくらいの大きめなダンゴムシだったみたいだね。それに狙っていた通りのLv20の成長体だ。特性を見る限りでは物理型のようである。
「ケイさん、どう?」
「大当たりだ! 狙ってた通りのLv20の成長体だ!」
「わっ、やったね!」
よしよし、時間的には余裕がある訳でもないけどもフィールドボスと1戦をするくらいの時間はなんとかある。サヤとハーレさんが戦闘中ではあるし、それをサクッと片付けてからフィールドボス戦と行こうじゃないか。
「一気にいくから、ハーレ、援護をお願いかな! 『並列制御』『連閃』『連強衝打』!」
「了解です! 『連速投擲』!」
アルのいる場所に戻ろうと方向転換をすれば、サヤが連閃で斬りつけてから連強衝打で吹き飛ばし、そこにハーレさんが連速投擲で追撃していくという光景が広がっていた。
えーと、敵はサルとシカとエイか。うん、3対2だったけども連強衝打の吹き飛ばし効果とハーレさんの連速投擲による追撃で向こうからは距離を詰めさせないようにしてるね。
「あ、ケイ! 捕獲が終わったなら手伝ってかな!」
「ほいよっと」
「私も次に行くよー! 『爆散投擲』!」
流石に同時に相手をするには数が多いし、ここは俺が手伝わないとね。それにハーレさんがチャージを始めたけど、銀光の強弱が発生しているって事はLv2なんだろうな。そういやLv3にはもう上げたんだろうか?
ま、その辺の確認は後でやればいいか。今はまず3体の敵を仕留めるまで!
<行動値上限を1使用して『魔法砲撃Lv1』を発動します> 行動値 54/66 → 54/65(上限値使用:8)
まずは魔法砲撃を準備完了。さーて、コケとロブスターの同調による超連射をやってくぞ! 次は並列制御だな。
<『並列制御Lv1』を発動します。1つ目のスキルを指定してください>
<行動値10と魔力値90消費して『半自動制御Lv1:登録枠1』は並列発動の待機になります> 行動値 44/66(上限値使用:7): 魔力値 116/206 再使用時間 90秒
<2つ目のスキルを指定してください。消費行動値×2>
<行動値20と魔力値90消費して『半自動制御Lv1:登録枠1』は並列発動の待機になります> 行動値 26/66(上限値使用:7): 魔力値 26/206 再使用時間 90秒
<指定を完了しました。並列発動を開始します>
ふっふっふ、ロブスター側の半自動制御にはコケと同じ構成でスキルの登録をしておいたからね。これは所持しているキャラが違うから別スキルとしてカウントされる。
さぁ、アースバレットの45連射の並列制御での同時発動を受けるがいい! とりあえず狙いはちょっとずつ変えて3体全て!
「ちょ、ケイ!? それは無茶苦茶かな!?」
「サヤには当てないから心配しなくてもいいって」
「確かに当たってないけど、ケイ、狙いは結構無理してるよね!?」
「……バレるの早いなぁ」
サヤに当たらないように魔法砲撃の効果をかけたり、通常発動で方向を変えたりしながらアースバレットを敵3体に撃ち込んでいた。ただ実際にやってみて魔法砲撃で連射するよりは狙いが難しかった。……サヤにもその辺は見抜かれちゃったみたいだしなー。
「私がシカを仕留めるから、後はケイとハーレに任せるかな! 『爪刃双閃舞』!」
「それならサルは私が仕留めるのさー! えいや!」
「って事は、残ったエイは俺の担当か」
そこからみんなで勝負を決めに動いていく。サヤは銀光の強弱度合い的にLv2で発動してシカを仕留めに行き、ハーレさんは木の上に逃げようとしていたサルに爆散投擲を撃ち込み、俺は飛んで逃げようとするエイにまだまだ残っていた連射を撃ち込んでいった。
まずは爆散投擲を受けたサルのHPが全て無くなり、次にサヤの爪刃双閃舞を受けたシカのHPが全て無くなってポリゴンとなって砕け散っていった。……ふむ、特に進化ポイントに取得が無かったから残滓だったか。
さて後は俺の相手のエイだけど、1発ずつはそれほど強くはないアースバレットを次々と撃ち込んでどんどんHPが無くなっていく。元々結構HPが減っていたけども、大半の魔力値を消費したこの連射ならかなりダメージは与えられているね。
よし、まだ残弾は20発くらい残ってるけど、これで終わりだ! おー、エイのHPが全て無くなってポリゴンとなって砕け散っていった。よし、これで邪魔なのは片付いたから行動値と魔力値が回復したらフィールドボス戦だなー!
<ケイが未成体・瘴気強化種を討伐しました>
<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>
<ケイ2ndが未成体・瘴気強化種を討伐しました>
<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>
あ、このエイって残滓じゃなくて瘴気強化種だったんだ。なるほど、こいつが一番強かったって事なのか。通りでサルとシカより経験値がかなり多いと思ったよ。
「あー!?」
「……その反応って事はもしかしてハーレも?」
「え、ヨッシもなの!?」
「……ちょっと待った、もしかして……?」
「……あー、なんだ、このタイミングでハーレさんとヨッシさんがそういう反応って事は……」
「……もしかして2人ともLv16になったのかな?」
「正解です!」
「あはは、そうなるね……?」
「やっぱりかー!?」
折角のフィールドボスを誕生させる為の材料は揃ったのに、ボス戦直前に目的達成しちゃったよ!? え、これどうすんの? ……でもまぁ時間はまだあるし、アルの『風属性強化Ⅰ』を取っておきたいという要望もあるし、経験値も貰える訳だから予定通りボス戦かな?
うーん、でも直前で目標を達成してしまったとなるとちょっと拍子抜けしてしまったね。まぁ、こういう事もあるか。




