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Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜  作者: 加部川ツトシ
第18章 スクリーンショットの演出

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第549話 全員集合


 晩飯を食べる為に一度ログアウトして現実へと戻ってくる。そして今まさに俺の部屋へと入ってこようとする晴香と目があった。


「……何やってんの、晴香?」

「呼びに来たー!」

「晩飯が待ちきれないだけか」

「そうともさー!」


 迷う素振りもない即答かい! ま、これがいつも通りではあるし、早めに食べ終えて戻ってボス戦をしていきたいとこだな。

 アルが強化済みの瘴気石の準備はしておいてくれてるから、後は運良くLv20の成長体が確保出来るかが問題だね。それが無理なら普通の敵でLv16を目指すしかない。


「ま、さっさと食べて全員集合で頑張るか」

「おー! ちなみに晩御飯はエビフライです!」

「お、エビフライか。……さては晴香のリクエストか?」

「大当たりの兄貴には、お母さんが福引で当てたポケットティッシュをプレゼントさー!」

「外れの景品じゃねぇか!」


 普通の箱のティッシュを置いてある自室でポケットティッシュを貰ってもどうしろと!? いや、外出中なら使う時もあるから全く不要とは言わないけどさ。……一応貰うだけは貰っとくか。


「なんだかんだで受け取るんだねー!?」

「それは良いから、さっさと下行くぞ!」

「はーい!」


 そんなやり取りをしながら1階へと降りていくと、揚げたてのエビフライを盛り付け中の母さんと、何か紙の箱を冷蔵庫から取り出している父さんの姿があった。って、あれはケーキとかの箱じゃないか?


「あなた、盛り付けが終わったからこっちを運んでくださいね。そっちは最後にしましょう」

「お、それもそうだな」


 そう言って、父さんがテーブルの上にエビフライが盛り付けられた皿を運んでいく。さて、その辺の運ぶのを手伝ってくるかな。……その前に、母さんが父さんに何を言ってこういう状況になっているのかを確認しておこう。


「母さん、なんで父さんがケーキを買ってきてるんだ?」

「圭ちゃん、知りたい?」

「無理にとは言わないけど、気にはなる」

「簡単な話よ。『晴ちゃんのアルバイト先に押しかけて無駄に目立たせて嫌がられるのと、頑張った分だけ晴ちゃんの好きなものを用意するのと、どっちが喜ばれるかしら?』と言っただけよ」

「あー、うん、納得……」


 無理に行くなと止めるのではなく、2択の選択肢を用意して確実に晴香が喜ぶ方向性へと誘導しただけか。シンプルではあるけども、ちょっと心配のし過ぎで暴走気味の父さんにはかなり有効な手段だったみたいだ。


「それじゃ圭ちゃん、後はケーキだけだから持ってきてくれる?」

「ほいよっと」


 母さんはケーキを取り分ける用の皿を食器棚から取り出して、俺はケーキをテーブルへと運んでいく。ま、父さんが晴香に相当甘い気もするけど、たまにはこういう事もいいだろう。……ちなみに晴香に運ばせると大惨事の恐れがあるので、運ぶ事はせずに既に椅子に座っている。これもまたいつもの光景だね。



 そんな普段とは少し違う食事を済ませていった。父さんは4種類の別々のケーキを買ってきていたようで、晴香は散々迷った末にシンプルなイチゴのショートケーキを選んで、俺はチョコケーキにしたね。

 それらを食べ終わった後、俺は使った食器の片付け中である。ま、これはいつもの事だけどなー。


「それじゃ兄貴、先に行ってるねー!」

「おうよ」


 そうしていつものように晴香は先に自室に戻っていった。さてと、デザートがあったけども極端に普段より遅くはなってもいないから、8時にはゲームに戻って動けそうだな。

 1時間……いや、レナさん達との合流の時間も考えるともうちょい短いか。その時間でヨッシさんとハーレさんがLv16まで上がればいいな。俺の場合は同調で強化済みになっているから、無理にLv16に上がっておく必要はないけどね。……上げてはおきたいけども。



 ◇ ◇ ◇



 食器の片付けも終わったので再度ログインである。いったんのところでは特に新しい情報やスクショの承諾申請もなかったね。


 ログアウトしたのはミズキの森林の湖から少し離れて拓けた場所だったから、ログインした場所もそこである。満月の時よりは若干月明かりは弱いけども、快晴ではあるから夜目が無くても比較的明るめだね。でも、暗い事には違いないので夜目は使っておこうかな。


<行動値上限を1使用して『夜目』を発動します>  行動値 72/72 → 71/71(上限値使用:1)


 さて、軽く周囲を見回してみてもみんなの姿はない。何度か上空にいた事もあるし、月を見上げた時に確認したけども姿はなしか。うーん、みんなはどこにいる? フレンドリストから位置情報を確認するか……?

 あ、そんな事を考えてたら、共同体のチャットの新着を知らせる通知が来たな。俺のログインに気付いて連絡してきたのかな? とりあえず共同体のチャットを開いてっと。えーと、なになに?


 ハーレ   : ケイさん、待ってなくてごめんねー! 

 ケイ    : それは別に良いけど、今はみんなどこにいるんだ?

 ハーレ   : 昨日ログアウトした平原!

 ケイ    : はい!? え、なんであそこ?


 え、あそこの探索の続きは今日はやらないんじゃないのか……? あ、そっか。もしかして目的は探索の続きではないのかもしれない。今必要な事が1つあるもんな。


 アルマース : お、ケイも来たか。悪いな、時間の節約でフィールドボスの誕生用の成長体を先に探してんだよ。


 ケイ    : なるほどね。それについては了解。それじゃ俺も転移の種でそっちに行けば良いか?


 アルマース : あぁ、そんなにあの場所からは離れてないからそれで良いぜ。おっと、ヨッシさんが1匹、成長体を捕まえたか。


 サヤ    : ヨッシ、ナイスかな! ケイ、あんまり離れられないから早めに合流をお願いかな。

 ケイ    : ほいよ。


 どうやら素材となる成長体を1匹は確保出来たらしい。具体的に何を捕まえたのかは分からないけど、それは合流してから確認すればいいか。あ、でも合流する前にロブスターの半自動制御にコケと同じ内容でスキルを登録しておこうっと。不具合も直ったから解禁だ!


 ……よし、登録完了。さてとそれじゃ転移して合流しようっと。昨日のあの平原ならフィールドボスの誕生も出来るエリアだし、そこで成長体を探しているという事はアルの瘴気石の確保も上手くいったのだろうね。それじゃ転移開始!


<『転移の種』を使用しますか?>


 インベントリの中にある状態で転移の種を使用し、転移を選択。これが使えるのは1日1回までだけど、便利なのは間違いないね。そうして光の膜に何重にも覆われていき、転移の準備が進んでいく。


<『ミズキの森林』から『名も無き平原』に移動しました>


 よし、花びらが散るように光の膜が消滅していき、転移は完了。あー、こっちのエリアは曇っててちょっと天気が悪いみたいだね。雨はまだ降っていないけど、いつ降り出しても不思議ではない雰囲気だ。


 転移した場所の近くには当然ながら川がある。まぁ川の近くに登録したんだから当然だけど。……ふむ、周囲を見渡してみると昨日はここにいたウィルさんの木はいないか。ま、岩山に行くって移動してたし無所属だからいつも同じ位置にはしてないんだろうね。


 さて、肝心のみんなは……よし、少し離れたとこにアルのクジラを発見! クジラは大きいから分かりやすくていいね。氷の檻も見えているから、ヨッシさんも一緒にいるようである。とりあえずそっちに合流しようか。


<行動値上限を2使用して『移動操作制御Ⅰ』を発動します>  行動値 71/71 → 69/69(上限値使用:3)


 索敵しながらなら下部への視界を確保したいし、アルのとこまで移動に使うだけだから水のカーペットでいいや。普通の移動中は水のカーペット、戦闘中やがっつりと戦闘になる可能性がある場合に飛行鎧を使うって感じで使い分けていこう。

 ひとまず生成した水のカーペットに乗って、アルの所にレッツゴー!



 そうしてそれほど時間も掛からずにアルのいる所に辿り着き、クジラの背の上に飛び降りてっと。サヤもハーレさんもいたから、これでグリーズ・リベルテのメンバーが勢ぞろいである。

 アルは木、サヤはクマ、ハーレさんはリス、ヨッシさんはハチでログイン中だね。ま、これから目的を考えるなら、順当なところか。そしてサヤは大型化した竜に乗って飛んでおり、ハーレさんは巣の中に、ヨッシさんは木の枝に止まっていた。


 俺はクジラの背中の上に置かれていた氷の檻の前に着地して木の方を向いているから、氷の檻は俺の背後になる。飛び降りた時にチラッと見た感じでは、青い色の何かだったね。ま、後で良く確認しよう。

 

「みんな、お待たせ」

「おう、ケイ、来たか。これで全員集合だな」

「それじゃ本格的に成長体を探していかないとかな!」

「そうともさー!」

「あはは、それはそうなんだけど、先に説明しておかない? ケイさん、事情は完全には把握してないよね」

「ま、大体の予想は出来てるけどなー」


 今のみんなの行動と発言から、まず間違いなく強化済みの瘴気石の調達は成功している。そもそもあれが無きゃ、成長体を探す意味もないからね。


「アル、強化済みの瘴気石に調達は出来たって事でいいんだよな?」

「おう、それで問題ないぜ。ちなみにヨッシさんがレナさんから貰ってた瘴気石は+7のやつで、それに合わせて+8の瘴気石を調達してきたぜ。余った瘴気石は俺が持ってるが、構わないか?」

「それは別にいいぞ。っていうか、思った以上にレナさんは良いやつをくれてたんだな!?」

「あはは、そうだったんだけど、言うの忘れててごめんね?」

「あー、言い忘れはみんなあるから気にしなくていいって。俺だってその場にいたのに内容を確認してなかった訳だしさ」

「……それもそうだね。でも、今後は忘れないように気を付けようね」

「あー、確かにそうだな。仕方なくても、気を付けなくて良いって訳ではないもんな」


 ミスは誰にでもあるけども、出来るだけ少ない方が良いものではある。実験でのミスについては結果が分かってないという側面があるから避けようもない事も多いけど、ちょっと気を付ければ減らせるミスは減らす努力はしないとね。


「話を戻すけど、とりあえず瘴気石の確保は問題なしなんだな。それでヨッシさんがついさっき成長体を見つけたんだって?」

「うん、ついさっきだけどね。それで結構面白いのが捕まえられたよ」

「確かにこれはそうかな」

「そうだよねー!」

「ま、俺らとしてはそうなるな」

「……ん? そんなに珍しいもの?」

「よく見てみれば分かるぜ、ケイ。慌てて飛び乗ってきたから、よく見てないんだろ?」

「……まぁそうだけど、一体何を捕まえたんだ?」


 俺ら全員に共通して珍しがるような種族って、そんなにいないよな? とりあえず背後に振り返って確認して……って、氷の檻の中身は青い色のツチノコ……!? え、もしかして前に掲示板か何かで見たミズノコってやつ!?


「……ツチノコ系統ときたか。確か、ミズノコだっけ?」

「おう、ミズノコで合ってるぜ。俺らにとっては面白い相手だろ?」

「……確かにこれはそうだな」


 属性違いのツチノコとはいえ、俺らがこれまでで1番の苦戦……いや、リベンジをする相手となった種族である。進化した未成体のヒノノコにも初見では苦戦させられて、撤退を余儀なくされたしな。

 そっか、これからフィールドボスにして戦う相手の片方がミズノコかー。こりゃ気合も入るってもんだね。


「後はもう1体、元になる成長体が見つかればLv16のフィールドボスの誕生が出来るぜ」

「ほいよっと。とりあえず先に探しててくれたアルとサヤとヨッシさんに感謝! 先にやっててくれて助かった」

「30分くらいの話だけど、どういたしましてかな」

「出来るだけ戦闘は回避して、探すだけに専念してたしね」

「みんな、ありがとねー!」


 ハーレさんは俺と数分差だから、それほど捜索はしてなかったんだろうな。俺とハーレさんが用意しておくという手段もあったはずだけど、そこまで気は回らなかった。そういう面でのアルの気遣いには頭が上がらないよなー。流石、社会人!


「それじゃとりあえず、もう1体を探すのが最優先?」

「そうなるな。今が8時だから時間的にはボスを倒すのにかなり余裕を持って20分として、捜索には30分程度か。それを過ぎたら、普通の敵の討伐に切り替えが良いだろ」

「アルの意見に賛成だな。フィールドボスの誕生より、Lv上げを最優先か」

「ま、俺としては『平原の強者を生み出すモノ』で『風属性強化Ⅰ』が欲しいとこでもあるんだが、それについては完全に運任せだな」

「そういやアルさんは居なかったから取れてなかったんだっけ!?」


 そういや『平原の強者を生み出すモノ』については夕方のアルのいない時だったし、アルもどこかのタイミングで取りたいって言ってたもんな。もう1体が見つかるかどうかという運要素が絡むとはいえ、今がかなりのチャンスではあるのか。そういう意味もあるなら、是非とも見つけたいとこである。


「よし、アルのスキルの取得の為にももう1体の成長体を見つけるぞ!」

「「「おー!」」」

「……なんか、俺より気合入ってねぇ?」

「そこは気にすんな、アル!」

「……ま、それもそうだな。それじゃ捜索してくか!」

「「「「おー!」」」」


 みんなの気合は充分で、目的もはっきりと決まっている。後の予定があるから時間制限はあるけども、それまでの間に目標達成を目指して頑張ろうじゃないか!

 

 昨日、レビューを戴きました!

 活動報告にも書いたけど、ありがとうございます!

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自力での電子書籍版もありますので、よろしければこちらもどうぞ。
大きな流れ自体は同じですが、それ以外はほぼ別物!
ケイ以外の視点での外伝も収録!

最新巻はこちら!
電子書籍版『Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜』第20巻

これまでの第1巻〜第19巻はこちらから。
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― 新着の感想 ―
[一言] ミズノコ~(//▽//) まさか、進化させるために捕まるとは、ミズノコも思いもしなかったろう(笑)
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