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Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜  作者: 加部川ツトシ
第14章 あちこちを探索しよう:大きな湖編

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第425話 緊急事態


 眩い光を放ちながら優雅に泳ぐアロワナと睨み合う状態になり、緊張感に溢れている……。思いっきり懐中電灯モドキで光を当てちゃってるんだけど、大丈夫かこれ!? 解除になってないから攻撃判定にはなってないんだろうけど、相手が相手なだけに欠片も油断出来ない……。

 あ、アロワナは俺らに興味を失ったのか、泳いで離れていった。ふぅ、とりあえずの危機は脱したか。……成熟体との急な遭遇はびっくりするね。


「ちょっと色々と名残惜しいけど、ここは撤退! あれはまだ手を出さない方が良いでしょ!」

「……そうだね。どうやらここは行き止まりのようだし、別ルートに行こうか」


 弥生さんとシュウさんが周囲を見渡しながら、そういう結論を出していく。改めて周囲を確認してみれば、大雑把な目測だけど直径50メートルくらいの陥没地形のようである。

 さっきシュウさんがコケボウズと呼んでいたものもその最下部の湖底にあり、成熟体のアロワナもその周囲を泳いでいるだけらしい。……つまり、シュウさんの言うように行き止まりである。


「流石にあれは危険だよな……」

「そうだろうな。ケイ、あれはやめとけ」

「……分かってるって、アル。もっと浅いところならともかく、こんな深いとこで水中の魚と戦うのは不利過ぎだし」

「……浅ければ戦うって言ってるように聞こえるのは気のせいかな?」

「はい! 気のせいじゃないと思います!」

「ハーレ、静かに!」

「はっ!?」


 ハーレさんが大声を出した事にアロワナが反応して、こちらへと向き直っていた。光には反応しないのに、声には反応するのかよ!? 即座にヨッシさんがその異変に気付いて、ハーレさんが自分の口を塞いでいるけど、大丈夫か……?


「……これはまずいかもしれないね。シュウさん、ケイさん、いざって時は防御魔法をお願い。みんなは、静かにしながら最大級の警戒を……」


 かなりの小声で弥生さんがそのように指示を出して、みんな頷いている。……このメンバーで分かってる範囲では俺とシュウさんが防御魔法が使えるけど、成熟体相手にどこまで通じるかは分かったもんじゃない。

 そうして再びのアロワナとの睨み合いの末に、また興味を失って泳いで離れていった。どうやら再び危機は脱したようである。


「とにかくここじゃまともに話も出来ないね。悪いんだけどアルマースさん、さっきの場所まで戻って貰える?」

「確かにその方が良さそうだな……」


 弥生さんもアルも小声のままである。今の様子なら過剰に刺激し過ぎなければ本格的に襲われそうではないけども、場所を移すのには賛成だ。幸いみんなもまだアルの上にいるままだし、そのまま来たばっかの道を戻っていった。


 神秘的で不思議な光景だったけど、すぐに立ち去るのみになったのが少し残念だね……。1人とか少人数ならコソコソと隠れつつ行けそうではあったけど、今の大人数じゃ無理だよな。

 はっ!? もしかして十六夜さんが癒水草の群生地を見つけられたのはそういう理由か? ……まぁ、状況的にその確認も無理だな。この辺は仕方ないという事で今回は諦めよう。





 そうして降りる前の場所まで戻ってきた。あー、まさかこんな所に成熟体がいるとは思わなかったな。そういや掲示板でチラッとあった気もするけど、大きくない成熟体の1体がさっきのアロワナなんだろうね。


「いやー、参ったねー。フィールドボスがいる可能性は考えてたけど、あれは予想外だったよ」

「そうですね。首長竜がフィールドボスじゃないかと疑ってはいますが、あれも咄嗟の事で確認も出来ませんでしたし……」

「……ルストさん、ちょい待った」

「何でしょうか、ケイさん?」

「フィールドボスって確認が出来るような要素ってあるのか?」

「そういえばケイさん達はまだ戦っていないと言ってましたね。えぇ、黒いカーソルの上に黒い王冠マークが表示されていますので、それで分かりますよ」

「あ、ちゃんと見る余裕があれば分かるんだ」


 どうやらフィールドボスというものはプレイヤーが勝手に呼んでいるのではなく、正式にシステム的にボスと判定されているらしい。しかも見れば一目瞭然の形で。……そういう事は早めに教えてくれ。


「はっ!? もしかしたら!?」

「……ハーレさん、スクショ撮ってたのか?」

「うん! あー、やっぱり撮れてるのあったよー! はい、みんなどうぞ!」

 

<スクリーンショットが共有化されました。表示しますか?>


 ハーレさんが撮っていたスクショを無条件で共有化したようである。さて、どんな風に撮れているのか分からないけど、表示するを選択してっと……。

 お、構図は滅茶苦茶で観賞用にはならないけど、黒いカーソルの上に黒い王冠のマークが付いている判別は出来るね。……言われなきゃ見過ごしそうな程に小さく写っていて微妙に分かりにくいけども。


「ハーレさん、ナイスだよ! わたしもたくさん撮ってはいたんだけど、見切れてたのばっかでさ?」

「出現が急だったから僕も同じようなものだよ」

「咄嗟でも構図を考えてしまうのが難点ですね……。もう少し細かい連写機能が欲しいところです」

「「「うんうん」」」

「……サファリ系プレイヤーってこだわりが凄いね」


 ルストさんの構図発言に頷いているネコ夫婦とハーレさんと、それにツッコミを入れている翡翠さんの姿があった。っていうか、サファリ系プレイヤーはみんなあの時スクショ撮りまくってたんかい! いや、そういうプレイスタイルなんだからどうこう言う事でもないし、今回は実際に役立ったもんな。


「あれってフィールドボスの証だったんだ? 俺、それは見てたけどなんだろうって思ってた」

「アーサー、見てたのですか?」

「うん、見てたよ!」

「お、凄いな、アーサー」

「やった! コケのアニキに褒められた!」


 思った以上にアーサーは首長竜を観察していたようである。懐中電灯モドキが解除になって慌てていたとはいえ、アーサーが気付いていたのに俺は見落としていたとはね。

 もう何度目になるかも分からないけども、アーサーの実力が着々と上がってきているのを実感するなー。


「あらま、アーサー君が目撃してたんだね。これはまだ早いかと思って先に説明してなかったわたし達の落ち度かな?」

「……そうだね。今度、みんなが集まった時にはその辺りの講習会でもやるかい? 少し退屈にはなるかもしれないから、アーサー君や水月さんが望むのならばになるけども」

「シュウさん、お願いします!」

「私もお願いします。あ、フラムも一緒によろしいですか?」

「フラム君もメンバーなんだから問題ないよ。弥生、それでいいかい?」

「問題ないよ! それじゃ教える情報の選別もしておかないといけないし、ルストも手伝ってね」

「……そうなると思っていました。まぁその講習会自体は賛成なので構いませんよ」


 ちょっと前まで完全に実態が不明な謎の集団だった赤のサファリ同盟にも色々あるんだな。今日、こうやって一緒に行動していてその辺り事は思いっきり実感するね。


「あー、盛り上がってるとこ悪いんだが次にどうするか決めねぇか? それにそろそろ纏水も時間切れじゃね?」

「おっと、マムシさんごめんよ。それじゃみんなが再使用し終わったら、改めて行く方向を決めようか」


 完全に蚊帳の外になっていたマムシさんの発言によって、脱線していた話が元の軌道に戻されていく。っていうか、もう纏水の時間切れなのか。

 まぁ途中で休憩を入れたり、湖面からカバのディーさんが落ちてきたりと色々あったからある程度は仕方ないね。何事も上手く行く事ばっかりじゃないって事だ。


 そういう事で、必要な人は改めて纏水を行っていく。昨日の雪山に行った時にも感じたけど、こうやって特定のエリアでガッツリと活動しようと思えば進化の軌跡は必須になってくるもんだね。通貨代わりに回復アイテムとかと交換出来るのも納得ではあるかな。


「さーて、みんなの再使用も終わったし……あら? ごめん、ちょっとフレンドコールだね」

「弥生さん、相手は誰ですか?」

「わたし達より先に行ってるグループの人だね。何かあったのかもしれないし、みんなちょっと待ってて」

「先行しているグループからか。了解っと」


 みんなも重要な連絡かもしれないというのは分かっているようで、大人しく待機しておく事になった。この弥生さんに来たフレンドコールの内容次第では、この後の予定が決まる可能性もあるからね。


「はーい、どういう用件かなー? え、首長竜と交戦中で大ピンチ!? 位置は!? うん、うん、そこならついさっき……うん、そう。ここから北西の位置だね。うん、救援に行くから何とか持ちこたえて! フレンドコールは繋いどくよ? うん、すぐに行くから!」


 聞こえてくる弥生さんの言葉だけで何となく事情は察した。先行している他のグループが首長竜を発見した上に、逃がす事もあっさりと全滅させられる事もなく戦闘に突入したようである。

 だけど、倒し切るには至らないようで近くにいるはずの俺らに救援を頼んできたという訳か。……今回の湖の探索は調査が目的だから必ずしも首長竜を倒す必要もないんだけど、やっぱり戦ってるからには倒してしまいたいというのはあるよね。となれば、やる事は1つだ!


「アル、一気に行くぞ。シュウさん、風の防壁を頼める?」

「おう、任せとけ!」

「……それは良いけど、どう展開すればいいんだい?」

「アルのクジラの背中……もっと言えば背中に乗ってる俺らが落ちないようにして欲しい」

「うん、その説明で大体は理解したよ」

「流石、話が早い! アル、準備しとくぜ!」

「おうよ! 『自己強化』『ウィンドクリエイト』『操作属性付与』!」

「こんな感じかい? 『ウィンドウォール』!」

「うん、そんな感じ」


 風を纏って自己強化と風属性により移動速度を上げたアルと、俺の水の防壁の代わりにシュウさんが展開してくれた風の防壁が周囲の水を掻き分けている。これなら多分大丈夫なはず! 後は俺の水流の操作とアルの高速遊泳を合わせればいい。


「みんな! 先行してるグループからの救援要請だから……ってもう準備は終わってるんだね?」

「弥生さん、いつでも出発出来るぞ!」

「調整が早くて助かるよー。目的地はここから北西に一直線であんまり遠くはないからすぐに着くはず。敵は今回の目的の首長竜! もう壊滅寸前だから、遠慮なくぶっ放して良いって!」


 ピンチな状態だとはなんとなく分かってたけども、先行グループは壊滅寸前なのか……。辿り着いた時に生き残りが居ればいいけども、それは望み薄かもしれないね。

 今回は戦闘指揮については俺に任されている。そんなに遠くないのであれば、先手必勝だ。


「アル、高速遊泳と激突衝頭撃で並列制御。アーサーも硬化と魔力集中を使って激突衝頭撃の用意。ハーレさんは最大火力で爆散投擲」

「おうよ! 『並列制御』『激突衝頭撃』『高速遊泳』!」

「分かったよ、コケのアニキ! 『硬化』『魔力集中』『激突衝頭撃』!」

「了解です! 『魔力集中』『アースクリエイト』『操作属性付与』『アースクリエイト』『爆散投擲』!」


 アルがグルグルと円を描くように泳ぎ始めているけど、これはスキルの仕様上仕方ない。とにかくこれで3人分のチャージ系応用スキルが初手でぶっ放せる。到着タイミング次第ではチャージ完了が間に合わない可能性や早く終わり過ぎる可能性もあるけど、その時はその時だ。

 早くても威力が落ちるだけで無意味ではないし、遅ければ別の戦法に切り替えるだけ。まぁ移動速度と遠くはないという条件から考えたら遅くなる可能性は低いはず。


「弥生さんとルストさんは生き残りの人がいれば巻き込まないように救助。シュウさんは余裕があれば防御魔法をお願い」

「任せといて! ルスト、しくじらないようにね」

「弥生さんこそ、気をつけて下さいね」

「それが適任だろうね」

「ヨッシさん、マムシさんは神経毒の用意。アルたちの攻撃が当たったら即座に神経毒を食らわせてくれ」

「了解!」

「おうよ!」


 よし、これで初手からの毒までの流れは決定。どの程度まで応用スキルの毒が有効かは分からないけどこれはやってみないと分からないからな。毒が駄目だった場合も手は考えておかないとね。


「神経毒が効かなければ俺が閃光を使う。その場合はみんな気をつけてくれ! 他のみんなは毒が効けばその時点で総攻撃、毒が駄目なら閃光後に総攻撃だ!」

「分かったかな!」

「えぇ、了解しました」

「了解!」

「……うん、分かった」


 これで指示出しは完了だ。後は実際にやってみて、状況に合わせて臨機応変に動くまで!


<行動値を19消費して『水流の操作Lv4』を発動します>  行動値 30/49(上限値使用:12)


 あ、魔法砲撃が発動しっぱなしだった。まぁ解除してる時間も惜しいから、そのまま行こう。周囲の水を支配下において、水流を作っていく。……よし、水流の方角は北西に設定して……これで準備完了だ!


「アル、水流に乗れ!」

「おうよ!」


 頭から徐々に強くなる銀光を発するアルとアーサーと、魔法で作った小石を銀光が増す手で持ったハーレさんの3人のチャージを行いながら、俺が作り出した水流へとアルが乗って進んでいく。シュウさんの風の防御魔法により水避けも充分に効果を発揮している。


 弥生さん達はフィールドボスと戦った事はあるそうだけど、今回の首長竜の強さは全くの未知数である。Lvが上の可能性は高いし、地の利は向こうにある。

 だけど、気持ちで負けていれば勝てるものも勝てなくなる。ぶっ倒すつもりで戦ってやろうじゃないか!


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大きな流れ自体は同じですが、それ以外はほぼ別物!
ケイ以外の視点での外伝も収録!

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― 新着の感想 ―
[一言] 首長竜に別働隊が遭遇して壊滅必須? ∑( ̄□ ̄;)大変だにゅ、いっそげ~(>_<)
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