第406話 最新情報の確認
灰のサファリ同盟の本拠地でのやり取りで思った以上に時間がかかって、現在時刻はもう少しで6時というところである。
「はい、紅焔さん、ソラさん、カキ氷が出来上がりだよ」
「お、美味そう!」
「これはいいね」
「ふむふむ、これはしっかりとした支えと思い切りが必要そう?」
「特性の斬撃の有無で違いが出るかも試してみたいとこだな」
「それと砂糖がないからハチミツが割と重要だね」
「ハチミツの使用量が増えそうだけど、これ大丈夫か?」
「いっそハチも育ててみる?」
「うーん、養蜂は流石に難しくないか……?」
「ハチミツの採れる場所をリストアップして効率的な採集をした方が良い気もするね」
蜜柑の果汁とハチミツをかけて完成したカキ氷を紅焔さんとソラさんが眺めている。そしてラックさんを筆頭に何名かの灰のサファリ同盟の人達がカキ氷の製造手順を凝視していた。うん、まぁカキ氷量産の詳細については灰のサファリ同盟に任せます。
それにしてもなんというか戦闘での実況とはまた違った雰囲気で正直落ち着かなかった。まぁ俺は氷柱を持ってただけなんだけどね!
そしてもう時間もあまり無いので食べるのを待たずにサヤとヨッシさんが動きだしていく。もうそんなに時間はないもんな。かなりぎりぎりの時間である。
「ケイ、そろそろ時間だからご飯食べてくるね」
「あ、もうそんな時間なんだ。えっと、夜の合流はどこにする?」
「ほいよっと。あー、合流か……」
確かに晩飯を食ってからスムーズに移動をするのであれば合流地点は予め決めておいた方がいいか。いつものパターンなら俺が一番最後になるだろうし、ハーレさんにはリアル側で伝えておけばいい。俺はログアウトする前に移動しておいて、ハーレさんには食器洗いをしている間に移動しておいてもらう感じだな。
「ハイルング高原から東に行くんだったら、氷狼の場所の近くで良いんじゃないか? もしくはハイルング高原にエリア切り替えしたばっかのとこ」
「その辺りが無難かな? あ、それならみんなが揃うまで氷狼の周回はどう? 昨日みたいな事があるかもしれないし」
「サヤ、それはいいかもね。うん、そうしようよ」
「なるほどね。それじゃ氷狼のとこで集合だな」
昨日のフーリエさん達みたいに周回PTがない場合もあるだろうから、暇つぶしとか特訓も兼ねての事かな。まぁ未討伐の人が誰も来なければ意味はないけど、その時はその時だろう。……それに多分俺は戦うことはないと思うしね。
「それじゃ決定かな? ケイ、ハーレへの伝言は任せていいかな?」
「おう、問題ないぞ」
「紅焔さんもソラさんもラックさんもまた後でね」
「おう! それにしてもカキ氷を勢い良く食っても頭が痛くならないのは良いな!」
「また後で会おうじゃないか。あ、カキ氷ご馳走さま。美味しかったよ」
「あはは、お粗末様です」
そうしてサヤとヨッシさんは一旦ログアウトしていく。まぁこの辺はいつもの事なので気にしなくていいか。
それにしても作ったカキ氷を紅焔さんは豪快に一口で食べ、ソラさんは啄むように食べきっていた。そういやゲームだからだろうけど、確かにカキ氷を一気に食べても頭痛は無かったね。そんなとこは再現してもらわなくても良いから、別に良いか。
「さてと、ソラ。俺らも一旦ログアウトで晩飯にするか」
「7時から移動開始ならその方がいいね。ライルとカステラもそのくらいにはログインしてるだろうし」
「紅焔さんとソラさんもログアウトか?」
「まぁ夜から行くなら、時間の調整が効く範囲で晩飯にしとかないとな」
「僕も紅焔もその辺の時間の調整はしやすいしね」
「あ、そうなんだ」
紅焔さんやソラさんのリアル事情は知らないけども、俺らに比べると自由度は高いのかな? 時間の調整がしやすいって事は一人暮らしだったり、家庭での晩飯の時間が固定されていないとかそういう感じなんだろうね。
俺もそのうち一人暮らしはしてみたいけど、まぁそれはまだ先の話。少なくとも高校生の内は無理だろうな。
「んじゃまた後でな!」
「まぁその前にライルとカステラに相談が先だからね」
「わかってるって!?」
そんな風にしながら紅焔さんもソラさんもログアウトしていった。うーん、今日はハーレさんもいないから地味に1人になってしまった。
灰のサファリ同盟のみんなはいるけども、もう既にカキ氷の製造再現に移っているからこれはお邪魔かな? とりあえずここでの用事は済ませたし、ログアウト前に氷狼の場所まで移動しておく必要もあるから退散するかな。
「ラックさん、俺もそろそろ行くわ」
「あ、ケイさん、もう行くの?」
「まぁ何か忙しそうだしな」
「あはは、なんかみんな火が付いちゃったみたい。色々と情報をありがとね」
「いえいえ、どういたしまして。それじゃまた後で!」
「うん、湖でまた会おうねー!」
俺としても上手く行くかはこれからなんだろうけど、要望自体は受け入れてくれたみたいだからね。あの景色に灰のサファリ同盟が食いつく可能性は高いとは思ってたけど、元々雪山への支部創設を検討してたとは知らなかったから丁度良かったんだろうな。
程々に灰のサファリ同盟の人達に挨拶をしてからその場を離れていく。まぁ夜にもまた会う事にはなってるからね。水のカーペットは解除してなかったから、そのまま飛んで離脱である!
さて、もう一つの予定の桜花さんの方は……あれ、まだログインしてないのか。まぁ桜花さんにもリアルの都合はあるだろうからこれは仕方ないな。
さて、そうなると何をしようか。あ、そういえば昨日は全然見る余裕がなかったけど、情報共有板でも見ておこうかな。まとめの方に成熟体の情報は載っているけど、実際の目撃情報も聞いてみたいしね。
よし、そうと決まれば氷狼の近くまで行って、そこで情報を見ていこうじゃないか。
少し水のカーペットに乗って移動して、氷狼の場所の近くまでやってきた。よし、これ以上は飛んでても仕方ないから地面に降りてっと。それじゃ情報収集というか雑談に行ってこよう!
ライオン : ほう? これが例の成熟体とやらか。
ヒョウ : へぇ、こりゃ凄いもんだな、ライオンの。
ライオン : そうだな、ヒョウの。
草花 : ん? どっかに例の成熟体が出現中か?
ライオン : あぁ、草原の西の森林に巨大なカメが飛んでいる。
ヒョウ : ダメ元で戦ってみないか、ライオンの?
ライオン : 丁度そう提案しようと思っていたところだ、ヒョウの。
お、この話し方は風雷コンビだね。そしてちょうどいいタイミングで出現中のようである。それにしても戦う気なのか、風雷コンビ……。
ネズミ : 格上相手に挑みかかるのか……。
木 : ま、別に良いんじゃね? その犠牲のお陰で識別情報も出てる訳だし。
お、掲示板でもチラッと見たけど識別情報は出てるんだったね。どれどれ、具体的に見てみるか。って、一番上の部分に注意点が書かれているね。
えーと、『現在確認されている成熟体は攻撃すれば勿論のこと、スクショ、識別だけでも苛烈な攻撃を行ってきます。戦闘になれば死亡率が非常に高いので、死にたくない人は手を出さずにスルーする事。手を出さなければ何もしてきません』か。ふむふむ、これは実体験した通りだね。
さて具体的な識別情報は……進化階位は成熟体なのは分かりきっているとして、種族としては黒の暴走種で、浮遊徘徊種でもあるのか。えーと、クジラは『浮遊島クジラ』で風と土属性、特性は浮遊と徘徊なんだ。
ふむふむ……あ、クジラでも風属性のみとかの他の種類もいるっぽいね。昨日見たクジラは風のみのこっちか?
ヒョウ2 : うわ、すっげ!
コケ : え、何かあったのか?
サル : あ、コケの人。さっき灰のサファリ同盟からカキ氷とかの情報まとめがあったけど、コケの人のとこだってな?
ネズミ : え、カキ氷とかあんの!? お、マジで製造手順が載ってる!?
小鳥 : カキ氷は良いね。まだ季節にはちょっと早いけど、バーベキューの後のデザートにでも良さそうだ。
コケ : あー、まぁ俺のとこのPTではあるけど、俺はほぼ何もしてないけどな。カキ氷も量産は灰のサファリ同盟の方に任せるしね。
氷柱の採集の時に回収する為の水のカーペットを用意したのと、加工する時に氷柱を持ってただけだからね。カキ氷としての加工はヨッシさんと発案のハーレさんの2人の成果だろう。
サル : ま、そういう事なら実際に作った人に感謝してると伝えとってくれー!
ネズミ : だね。これは色んな果物で試してみたいところ。
クジラ : カキ氷とかあるんだー!? 海で食べれるかな?
マグロ : 流石に海中じゃ無理だろ。
クジラ : やっぱりそうだよねー。
確かに海の中ではカキ氷は無理だろうな。でもアルはクジラで食べてたし、海面まで出てくれば海の人でも食べれないという事はないだろう。
それは良いんだけど、ヒョウ2の人の発言の内容は何さー!? 物凄く気になるんですけど!
カンガルー : それはそうとヒョウ2の人、何があった?
コケ : そう、それ! 俺はそれが気になる!
サル : ……すまん。つい話の腰を折ってしまった……。
コケ : あ、うん、別にいいんだけどね?
木 : まぁコケの人の気持ちも、サルの人の気持ちも分からんでもない。
草花 : だねー。話題が逸れるのはよくある事さ!
まぁ確かに、話題が逸れるのはよくある事ではあるね。ちょっと言い方が悪かった気もするのでそこは反省しておこう……。
ヒョウ2 : あー、何があったかっていうとな……?
ライオン : ふははははは! 成熟体と言ってもそんなものか! なぁ、ヒョウの!
ヒョウ : あぁ、そうだな、ライオンの! 攻撃の威力が高いとはいえ、所詮は行動パターンの決まっている敵でしかない!
ヒョウ2 : まぁ、こんな感じで即死級の攻撃を避けまくってる。
コケ : 何やってんのー!?
サル : あのコンビはとんでもねぇな……。
草花 : でもどのくらい生き延びるかは興味あるね。
成熟体の空飛ぶ巨大カメに挑んだ風雷コンビはどうやら善戦をしているみたいだね。進化階位の差はあるから結構厳しいはずだけど、ここに書き込みながら戦う余裕すらあるとは、恐るべし風雷コンビ。
でも、流石に倒せはしないだろうね。進化階位の差っていうのは殆どダメージが通らないから基本的に覆せないし、良くて膠着状態に持ち込めるとこまでだろう。
ヘビ : ログイン直後に何か巻き添えを食らって死んだかと思えばそういう事か。
マグロ : ヘビの人、どんまい。
ヘビ : まぁ特に気にしちゃいないけどね。灰の群集にいたら巻き込まれるのなんて日常茶飯事だし。
マグロ : 確かに。
サル : 確かに。
ヒョウ2 : そりゃそうだ。
草花 : だよねー。
クジラ : よくある事だもんね!
コケ : 確かにそれもそうか。
マグロ : その流れを作ったクジラの人とコケの人がそれを言うか?
ヒョウ2 : ですよねー。
ライオン : それはもっともだな。
ヒョウ : 確かにそうだろうな。
クジラ : そんなー!?
うぐっ!? 確かにそれを言われると反論の余地はない……。でもゲームシステム的には割と正解な仕様っぽいから、異議を唱えたい! ……まぁ異議を唱えても、実際にそういう流れは出来ているから意味はないか。
もうここは足掻かずに大人しく流されていこう。自分で作ってしまった流れだし、それが灰の群集の強さに繋がっているんだし甘んじて受け入れようじゃないか。あー、でもあのビックリ情報箱のあだ名だけは何とかしたいな……。
そこからしばらくはヒョウ2の人とヘビの人が風雷コンビの人の様子を伝えていっていた。流石に余裕がないのか風雷コンビが書き込む事はなくなったけども、結構な時間を粘っている様子である。
流石はコンビで動けばベスタですら抑え込めるか分からないだけの事はあるね。
ヒョウ2 : あ、2人とも死んだ。
ヘビ : ありゃやばいね。昇華魔法かな?
ネズミ : 意外と大健闘?
草花 : どのくらい保った?
ヒョウ2 : えーと、20分くらいだな。
ライオン : ふはははは! 称号を手に入れたぞ! そっちはどうだ、ヒョウの!
ヒョウ : 俺もだぜ、ライオンの!
え、まさかの称号取得が出たのか!? これはどんな内容か非常に気になるところだ。
コケ : どんな称号?
ライオン : 『格上に抗うモノ』となっているな。ほう、ここでこれが手に入るのか。
ヒョウ : 『行動値増加Ⅱ』か。これはいいな。
コケ : なんですと!?
木 : まさかここで『行動値増加Ⅱ』だと!?
ヘビ : え、マジで!?
ライオン : 嘘をついても仕方あるまい? そして統合されて『行動値増加Ⅲ』になったがな。
ヒョウ : 俺もだぜ。『行動値増加Ⅲ』は行動値が+12か。
うっわ、その称号って無茶苦茶欲しいんですけど!? よし、今度成熟体を見かけたら挑んでやる。行動値増加Ⅲは絶対に欲しい!
草花 : 称号の取得条件はなんだー!?
ヒョウ2 : 格上って事は、進化階位が上の相手は多分条件だよな?
ヘビ : でもそれなら今まで誰かが取ってる可能性はありそう。自分が未成体以上とかもありそうな気がする。
コケ : 確かにそれはありそうだね。後は生き延びた時間とか……?
木 : その辺も可能性ありだな。よし、試してみるか。
サル : でも難しそうだよなー。遠距離から攻撃して逃げ回るとか?
ヘビ : 試してみるしかないな。
比較的条件そのものは絞りやすそうではあるけども、実際に行動に移すとなればこれは難しそうな内容である。だからといって、これは絶対に取っておきたい称号だ。
そうして色々話しているうちに7時が近付いてきた。ハイルング高原に成熟体がいないか見に行ってみたけど、そう都合よくは居なかった。
まぁ狙う機会もそのうちあるだろうから、その時に狙っていくとしようか。とりあえず氷狼の出現場所から少しズレた辺りに戻って、ログアウトして晩飯タイムだ!
ちょっとしたお知らせがありますので、宜しければ活動報告をご覧下さい。
まぁそんなに大した内容でもないですが。




