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Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜  作者: 加部川ツトシ
第10章 共闘イベント、本格攻略開始!

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第274話 気付く者


 本日の晩飯はカルボナーラである。これは流石に横取りをしにくいので、晴香に警戒しつつ食べる必要もなくゆっくりと食べられた。


「あ、ついさっき荷物が届いたって連絡来てたよー!」

「お、早いな」

「あら、早かったわね。晴ちゃん、また何かあったら言ってねって雫ちゃんに伝えておいてね?」

「分かったー! それじゃ兄貴、先に行ってるね!」

「おうよ」


 いつものように食べ終わって即座に自室に戻ったはずなのに、すぐに台所までやって来たから何かと思ったらヨッシさんからの荷物の受け取り報告だったらしい。そっか、荷物はもう届いたんだな。


「……それにしても、晴香ってもうちょい食器洗いとか出来ないもんかな?」

「不器用ではない筈なのに、なんで食事が絡むと色々駄目なのかしら……?」

「……謎だ」

「……謎ね」


 晴香が何故か料理が絡むと壊滅的な被害が出るのは何が原因なのか。慣れの問題……にしては妙な感じではある。うーん、なんでだろう?

 慣れさせたいけど流石に監視なしで食器洗いをやらせると確実に数枚は皿が駄目になるのと、監視ありでも1枚は駄目になるから気軽にさせられないんだよな。……代わりの皿を何度も買うのも大変だしね。



 ◇ ◇ ◇



 そして片付けを終えてから再びゲームの中へ戻っていく。いったんからは特に新情報は無かったのでほぼ素通りでログインしてきた。


 転移地点から少し離れた場所でログアウトしたから、とりあえず転移地点に移動して……あれ? 少し先にクジラっぽいシルエットが薄っすら見えるって事はアルを筆頭に、みんなここに揃っているのか。っていうか、地味に結構人が集まってるっぽいけど何かやってる?

 地味に木が倒れているみたいだけど、誰か何かをやらかしたな? まぁ、俺もした事あるから何とも言えないけどさ。


「みんな、良いよー!」

「ほいよ。『発光』!」

「「「「『発光』!」」」」

「「『発光針』!」」

「うぉ!? びっくりした」


 沢山のプレイヤーが発光を使い始めて、突然明るくなったからびっくりした。え、何? これは何事!? 光るキノコやホタルやクラゲがいる。あ、地味に昆虫系に発光持ちが多いんだね。


「うーん!? なんかこう、イメージと違う!? あ、でも発光針はイルミネーションみたいで良い感じ!」

「ふむ、流石にプレイヤー自身が灯り役は大きさが不揃いで微妙か」

「スキルLvもバラバラみたいだから統一した方が良いだろうねー」

「……そもそもクジラに生えた木でやるべきでもない気がするんだが? やるなら不動種の桜の方が見栄えが良いんじゃねぇか?」

「そっちはそっちでやるよー! でも今はこっち!」


 おい、ハーレさん。少しのログインの時間差で一体何があった!? というか、この状況は一体何!? あ、ヨッシさんとサヤを発見。よし、2人に事情を聞こう。何故アルがライトアップされているのかがさっぱり分からない。


「サヤ、ヨッシさん、これは何事!?」

「ケイが混乱してるかな」

「あ、ホントだ。まぁケイさんがきっかけなんだけどね?」

「……俺がきっかけ? もしかして桜花さんをライトアップしたやつか!?」

「うん、それかな。ハーレがあれのスクショをケイを待ってる間にたまたま通り掛かったレナさんに見せたら、再現しようって事になってね?」

「どうせなら珍しい木にしようって事で、アルさんが捕まってああなってるとこ」

「……なるほどね」


 そうか、レナさんが通り掛かってハーレさんが桜花さんをライトアップする事になったあの光景のスクショを見せたのが理由か。……それにしてもそんなに沢山時間があった訳じゃないのに、行動が早いな。


「お、本家のケイさんが来たね」

「……え、本家?」

「おーい、ケイさんー! 発光用の石の大量生産をお願いします!」

「ハーレさん!? え、俺が作るの……?」

「……この状況はもうやるまで終わらないから、ケイ早めに終わらせてくれ」

「お、おう?」


 どことなく疲れた様子のアルが諦めたように呟いていて、ハーレさんはせっせとコケを増殖させる為の小石を用意していた。……確かにやらないとこれは終わりそうにないね。なんでこんな流れになったのか分からないけど、やるしかないか。


 目の前には大量の小石が並んでいる。……少し多過ぎる気もするけどやるだけやるか。大量の発光を使ってるプレイヤーがいるから明るいけど、一部に気になるほど明るい人もいるね。

 あれがサヤが眩しいと言ってた感じかな? 確かに気にはなるけど、気になる止まりの明るさである。客観的に見てみれば、あれはPT戦で使うと地味に邪魔になりそうだな。ま、それはそれで収穫か。


<行動値を3消費して『増殖Lv3』を発動します>  行動値 51/54


 ハサミまで増殖させた後に小石にも増殖させていくけれど、これじゃ足りないか。ロブスターとの支配進化状態だと普段はこれ以上増殖する事はないんだけどね。さて、ハサミを起点にどんどん増殖していくか。


<行動値を3消費して『増殖Lv3』を発動します>  行動値 48/54

<行動値を3消費して『増殖Lv3』を発動します>  行動値 45/54

<行動値を3消費して『増殖Lv3』を発動します>  行動値 42/54

<行動値を3消費して『増殖Lv3』を発動します>  行動値 39/54


「こんなもんでいいか?」

「これだけあればとりあえず問題ないよー!」


 確認を取ってみれば、近くで覗き込んできていたハーレさんも満足げに頷いていた。っていうか久々に群体数が最大値まで行ったから、これ以上は増やせないんだけどね。


「よーし、準備完了!」

「ん? まだ光らせなくて良いのか?」

「それは最後ー! レナさん、行くよ! 『強投擲』『強投擲』『強投擲』!」

「よし来た! よっと『蹴り』! ほいっ『蹴り』! 『蹴り』っと!」


 アルの木の上で待機していたレナさんに向けてハーレさんがコケ付きの小石をどんどん投げていき、それを蹴り上げる事で受け止めていくレナさんであった。結構な勢いの投擲だけど、器用なものである。レナさんもプレイヤースキルは高いよね。


「……レナさんも器用な真似をするよね」

「全部蹴って勢いを殺してたかな。うん、地味に凄いね」


 そしてしばらく待てば結構な量があった小石も全て投げ終わり、アルの木やクジラの周囲にもあちこち設置されていた。……発光を使ってた人達も手分けして小石を運んで設置作業をしていたようである。

 どこかで見た事ある名前ばっかりな気がしたけど、なんとなく理由が分かった。この人達、灰のサファリ同盟の本拠地に行った時に見た事がある気がする。……こういう行動力は凄いな。


「ケイさん! 発光の発動をよろしくー!」

「ほいよ」


 小石の設置を終えてアルの木の上から地面まで一気に飛び降りたレナさんから指示が出る。さてと、桜花さんをライトアップしたのと同じのを希望なら発光はLv4で発動かな。まぁ再発動もすぐだしとりあえずLv4で行こう。


<行動値上限を4使用して『発光Lv4』を発動します>  行動値 54/54 → 50/50(上限値使用:4)


「おぉ! こりゃいい感じだな。でも大きさに対して流石に石が少ないか」

「固定出来なくて落ちただけだけど、浮いているクジラを下から照らすこの感じも良いね!」

「上は上でライトアップされた船って感じだな。ちょっと違うけど」

「うーん、もう少し光量抑えめでもいい? でも距離を離せばこれはこれで……」

「この辺の石はこっちの方が良くないか?」

「そっちの右側の石もちょっと位置ズラそう!」


 よし、発動完了。浮いたアルの背中を照らし上げる多数の小石と地面に置かれてクジラを下部から照らし上げる光で何とも不思議な光景が出来上がっていた。そこに満足そうな様子でハーレさんとレナさんがやってきた。


「良い感じだね、レナさん!」

「そだね! さー、みんなの石の位置調整が終わったらスクショを撮ろうか!」

「おー!」


 まぁそれが目的だろうね。これはこれで面白いものではあるし、非常に珍しいスクショにはなるだろう。そして少し距離を詰めてきたレナさんの雰囲気が変わっていく。……何だろうか?


「で、本題なんだけど、ケイさん?」

「……何だ、レナさん?」

「夕方のあの茶番は何? 事情を聞けば教えてもらえるやつ?」


 なるほど、こっちが本命でさっきのアルのライトアップはカモフラージュか。やっぱりレナさん辺りになれば誤魔化せないよな……。


「少し状況が落ち着くのを待ってから聞こうかと思ってたけど、あの件で予想以上に盛り上がってたからね? 少し強引に行かせて貰ったよ」

「ここまで様子を見ながら聞いてきてくれたなら、理由を話すのは良いんだけど……」

「だけど……何? 何か問題でも?」


 いや、ちょっと地味にレナさんの声が低くなってて怖いんですけど!? え、レナさんって怒ったら相当怖いタイプの人!? ……この感じだとあの状況に納得していないんだな。まぁ事情を知らなきゃそうなっても仕方ない。

 後でアルには話さないといけないし、これだけ誤魔化した状況を作って聞いてきたレナさんは話しても大丈夫だろう。……問題はそこである。


「アルにも話しておきたいんだよ。……でもあれだとな?」

「……あっ! ちょーっとやり過ぎた?」

「ちょっとではないと思う」


 ライトアップされたアルに集まってスクショを撮ってる大勢を見ていれば、どう考えてもやり過ぎである。うーん、これじゃアルが身動きが取れないし話をするにしてもこれじゃ厳しいよな。


「よし、ハーレ!」

「どしたの、レナさん!?」

「ちょっとアルさん含めて、ケイさんに聞きたい事があるんだよね。早いけどそろそろ撤収でもいい? 共闘イベントもあるしさ?」

「元々ケイさんが来るまでのつもりだったからね! うん、撤収してもらってくる!」

「あ、私も手伝ってこようかな? ハーレ、小石の回収も必要だよね?」

「おー! サヤ、手伝いお願いね!」


 サヤとハーレさんはアルのライトアップの後片付けに行った。まぁレナさんへの説明抜きでも共闘に行くには切り上げてもらわないと困る。

 片付けが終わり次第、レナさんとアルへ事情説明をしないといけないね。……さて、レナさんにどれくらいの人が勘付いているのか、聞いておきたいとこでもあるかな。


「レナさん、そんなに悪い内容じゃないから気楽にね」

「そういう言い方をするって事は、ヨッシさんも内容を知ってるんだね。……まぁベスタさんとケイさんが絡んでる時点で悪い内容とは思ってないよ。ただ内容を知りたいだけ」

「そっか」


「ごめんねー! 私達はこの後共闘イベントに行くから、この辺で終了です!」

「ふー、やっと終わるのか。……もう次は勘弁な?」

「アルさん、それは却下! 今度もしてもらうよ!」

「おいこら、拒否権なしか!?」

「はいはい、冗談はそこまでかな。片づけるよ、ハーレ」

「はーい!」


 わいわいと騒ぎながら灰のサファリ同盟の人達も片付けていく。漏れ聞こえてくる会話の内容で支援を目的としているためPTとしての活動を妨げないのが最優先事項との事になっているらしい。

 そしてしばらくすれば、アルは元通りに戻っていた。コケも群体化を解除してしばらくすれば増殖分は消滅していったので元通りの小石に戻り、弾として再活用するためハーレさんのインベントリへと収納されていく。


<『発光Lv4』の発動を解除したため、行動値上限が元に戻ります> 行動値 50/50 → 50/54

<行動値上限を1使用して『夜目』を発動します>  行動値 50/54 → 50/53(上限値使用:1)


 俺も不要になった発光を解除して、夜目に切り替えておく。これから真面目な話をするんだから、余計な灯りも要らないだろう。


「よし、それじゃ今日はどこに行くか決めていくか! あ、そういやレナさんが話があるんだってな?」

「うん、まぁね。ちょっと内緒話したいから、アルさんの樹洞の中を借りていい?」

「……それは良いが、それが必要な内容なのか? 確かにこの中なら内部の音は設定で遮断出来るが……」

「それはケイさんに聞いて。わたしは夕方の件の具体的な内容は知らないからね」

「……どういう事だ、ケイ? 夕方に赤の群集の問題に終止符を打ったとは聞いたが、何かあったのか?」

「まぁそれ絡みの話だな。アルにも話しておく必要があるから、樹洞の中へ入れてくれ」

「……分かった。『樹洞展開』」


 アルの木の幹が割れ、内部への入り口が出来る。なんでレナさんがアルの樹洞の中を借りれるかを聞いたのは音漏れが防げるからなのか。そんな地味に便利仕様になってたんだな、樹洞展開って。


「それじゃお邪魔します」


 レナさんを筆頭に、みんながアルの樹洞の中へと入っていく。……特に悪い事をした訳でもないのに、こうなってくると妙に緊張する。レナさんの雰囲気が普段と全然違うというのもあるだろう。


「よし、遮音設定に切り替えたぞ」

「アルさん、ありがと。それじゃケイさん、ベスタさんと一緒に赤の群集の元凶と何を企んだのか教えてもらえる?」

「……ケイ、一体何をした?」

「別に悪巧みじゃないから安心してくれ。とりあえず初めから説明していくぞ。まずはーー」


 そしてアルの樹洞の中で夕方の状況説明が始まった。……必要な事だとは思ったし、後味が悪くなるのは嫌だったから実行したけど、地味に面倒くさい事になったもんだな。ま、そのうち赤の群集とウィルさんには何らかの形で借りは返してもらおう。

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大きな流れ自体は同じですが、それ以外はほぼ別物!
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― 新着の感想 ―
[一言] クマの人も 変に手加減しないで、全力でぶつかっても多分、負けは確実なんだから、全力でぶつかればいいのに、ついつい、迷惑をかけてるとか思って手加減するから、周りに気付かれる(笑) でも…
[気になる点] なんでこの家には陶器の食器しかないんだろ…強化プラスチックとか、あとはVRとかAIが人と遜色ないレベルなら新素材とかありそうなのに…味噌汁用お茶碗とかプラスチック製の使いません?
2020/06/14 23:15 退会済み
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