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第180話 海水の操作


 ウツボを倒した場所でそのまま熟練度稼ぎを始めてしばらく経った頃、海エリアの人達が勝負に使っていた海水の操作による水の的あてをやってみようという事になったので絶賛実践中である。その際にみんな海エリアの2枠目に戻して、総当たり戦をやっていた。

 そして今は最終戦、俺とアルとの勝負の最中だ。お互いに3勝中なのでこれで勝ったほうが全勝になる。アルとのこの勝負、負けられない! ちなみに審判はハーレさんがやっている。


「アルさん、ケイさん準備はいいね!? それじゃ試合開始!」

「勝たせてもらうぜ、ケイ! 『海水の操作』!」

「水の操作と海水の操作は違いはあっても全く別物って訳じゃないからな。水の操作が主戦力だった俺としても負けられない!」


<行動値を5消費して『海水の操作Lv2』を発動します>  行動値 9/14

<熟練度が規定値に到達したため、スキル『海水の操作Lv2』が『海水の操作Lv3』になりました>

<『海水の操作』の消費行動値が5から4に減少しました>

<『海水の操作』の同時操作数が1から2になりました>


 よし、海水の操作がLv3に到達。といってもそれは後回し! 今は負けられない勝負の最中だ。こっちに集中! まだアルも海水の操作は鈍いけど、油断は出来ない。まだ鈍いのはこっちも同じだしな。


「お、アルさんもケイさんも流石に操作は慣れた感じだね!?」

「水の操作に比べると反応が悪くてまだまだ使いにくいけどな! よし、これでどうだ!」

「おっと、危ねぇな。まだまだ操作自体は鈍いってのに巧妙にぶつけてきやがるな」

「アルこそうまく凌ぐじゃねぇか」


 アルも中々に操作系スキルの扱いが上手い。フェイントを何度もかけながら海水をぶつけに行くがうまく防がれている。これもう少し工夫が必要か。いつかの川でやったように周りの流れに委ねる様に、操作を緩くして、乱れを少なくしていく。


「アルもケイも凄いね。私は操作系スキルはやっぱり苦手かな」

「サヤ、落ち込まないの。苦手だからこそ2枠目との共生進化で魔法向けの種族で補強するんでしょ」

「……そうだね。魔法なら照準があるから大丈夫そうだし、頑張らないと」


 アルが俺の海水の位置を把握しきれなくなったのか、防御に海水を広げていく。よし、狙い通りに俺の操作した海水を見失ったか。そこが狙い目だ! 海水の流れに沿ってアルの海水の無い方へ回り込ませてから、これで仕留める!


「あっ、くそ! そっちかよ!?」

「アルさん、被弾! ケイさんの勝ちー!」

「よし、全勝!」

「あー負けた! やっぱり操作系スキルの操作技術はケイの方が上か」

「ま、これで大体の海水の操作の傾向が掴めたぞ」

「確かにな。こりゃ海エリアで使うには確かに微妙か」


 この海水の操作による勝負は相手に海水の操作を使われたら、即座に自分も発動してしまえば相手の支配している海水は支配不可なので狙いの場所は丸わかりだ。それを利用して先回りする位置の海水を支配してしまえば、防ぐのも楽勝。そういう理由で初手はほぼ読まれるから、サヤみたいに操作系スキルが苦手というわけでなければまず決まることはない。

 そしてそこから後は海水の乱れから位置はすぐに分かる。それを掻い潜って操作中の海水をどう当てるかが重要だな。これは種族の大きさは関係なく、反射神経とどちらが操作が上手いかの勝負になってくるだろう。あとはうまく海水の乱れを誤魔化す事。


 審判は海水の操作の支配の範囲指定の段階で止めておけば、どちらの操作している海水も判別できるようである。まぁ自己申告でも良いみたいだけど、ハーレさんがやりたいと言ったので審判をしてもらっていた。


 そして時々乱入してくる一般生物や黒の暴走種に対して攻撃を試した限りでは、ダメージそのものはほとんど無く体勢を少し崩させるのが限界のようだ。……レベルが上がれば威力は出そうだけど、これなら体当たりや殴打とかの他の攻撃手段の方がいいな。せめて海水魔法にでもならないと海エリアでは攻撃としてはあまり役立ちそうにはない。

 ただし、海水の操作は水の操作よりも確実に扱える水量が多い事が分かった。Lv3くらいで2メートルくらいの魚までなら移動用の海水を操作できるんじゃないかな。そういう所で水の操作と差別化されているようだ。



 とりあえずこの勝負をやっているうちに海水の操作はLv3まであっさり上がった。勝負事にすれば熟練度は稼ぎやすいね。体当たり、はさむ、殴打はそれぞれLv2に上がっている。ま、1時間くらいだしこんなもんだろう。

 今が10時だし、もうちょいスキルの熟練度稼ぎをするか、メンバーが揃っているうちにLv10まで上げておくか少し悩みどころ。両方をするのは時間的に多分微妙だから、アルがいる今のうちにLv10まで上げておいて、明日進化を出す為の熟練度稼ぎが良いかもしれない。


「多少はみんなのスキルも上がってきたし、そろそろレベル上げに戻るか?」

「……そうだな。先に進化出来るようにするか」

「Lv10からでも熟練度稼ぎは出来るしな。それにリスポーン位置の設定もあるし」

「そういえばそれがあった!? 地味に忘れてたよ!?」

「それが良さそうかな? 私の場合は魔法狙いだし、進化させないと魔法使えないもんね」

「そっか。魔法は成長体からだから、サヤはすぐに進化でもいいんだね」

「よし、それじゃそうするか」

「あ、そういやアルの『小型化』の取得もあったよな?」

「あーそれもあったか」

「それじゃ、アルさんが身動きとれなくなる場所を探しつつLv上げに行こう!」

「言葉にされると微妙な気分だな……」

「事実だから仕方ないだろ」

「……だな。んじゃ出発しますか」


 今日の終わりまでの行動方針も決まったので、早速行動に移そう。


<群集クエスト《群集拠点種の強化・灰の群集》、群集拠点種:エニシ(始まりの森林・灰の群集エリア1)と群集拠点種:キズナ(始まりの荒野・灰の群集エリア4)の間で経路が確立されました>

<群集クエスト《群集拠点種の強化・灰の群集》・群集拠点種:エニシ(始まりの森林・灰の群集エリア1)経路確立 1/4>

<群集クエスト《群集拠点種の強化・灰の群集》・群集拠点種:キズナ(始まりの荒野・灰の群集エリア4)経路確立 1/4>


 このメッセージは唐突に来るね。まぁ他のエリアでも色々と進行している証拠だから、文句を言っても仕方ないけど。俺達だけしかプレイしてないわけじゃないんだから、こういうのが存在して当たり前。それにクエストが進んでいるっていう良い情報だしね。


「森林エリアと荒野エリアの経路確立か」

「おー! どっちもまだ繋がってなかったとこだね!」

「続々と増えてきてるな。これ、もう少しで全部繋がるんじゃねぇか?」

「私もそんな気がするね」

「詳細を見ておいてもいいかな? 少し気になるよ」

「そだね! レベル上げの前に見とこうよ!」

「んじゃ確認しとくか」


 森林エリアと荒野エリアが繋がったって事はどこのエリアも最低でも1ヶ所とは繋がった事になる。そして他の群集拠点種を経由して転移は可能になるから、森林と荒野のセットと森林深部と草原と海原のセットのどこかが繋がれば全経路が確立完了? え、それでこの群集クエスト終わり……?

 みんなも気になっているようなので、本格的にレベル上げする前に詳細を確認しておくという事で。クエスト情報の詳細表示っと。


群集クエスト《群集拠点種の強化・灰の群集》


【群集拠点種:エニシ(始まりの森林・灰の群集エリア1)】


 経路確立   1/4

 経験値強化  58%

 進化ポイント 804/2000

 転移地点   4/10


【群集拠点種:エン(始まりの森林深部・灰の群集エリア2)】


 経路確立   2/4

 経験値強化  69%

 進化ポイント 1764/2000

 転移地点   6/10


【群集拠点種:ユカリ(始まりの草原・灰の群集エリア3)】


 経路確立   2/4

 経験値強化  41%

 進化ポイント 868/2000

 転移地点   4/10


【群集拠点種:キズナ(始まりの荒野・灰の群集エリア4)】


 経路確立   1/4

 経験値強化  50%

 進化ポイント 1245/2000

 転移地点   5/10


【群集拠点種:ヨシミ(始まりの海原・灰の群集エリア5)】


 経路確立   2/4

 経験値強化  65%

 進化ポイント 1469/2000

 転移地点   6/10


 ※進化ポイントは譲渡された増強進化ポイント、融合進化ポイント、生存進化ポイントの合算になります。


 あれ? 少し森林深部と海のペースが落ちてる……? あ、経路確立したから俺達みたいに別エリアに行ってる人が多いのかもしれない。草原エリアからは競争クエストの援軍要請もあったし、ベスタや蒼弦さん達のオオカミ組も行くって言ってたもんな。俺達だって2枠目の育成に入ったから、今は群集クエストの進度には殆ど貢献していないだろう。

 ただ、全経路確立はほぼ目前のような気はする。でもまだまだ経路確立以外の項目が埋まりきってないから、それ以外も埋める必要がある……? え、でもなんの為に?


「なぁ、これってもしかして経路確立以外にも転移地点が存在してないか?」

「……確かにそんな気はする。アル、どう見る?」

「……そうだな。転移が必要な距離はあるけど、用途が別の転移地点とかか?」

「ねぇ、ここって【大地の脈動】の跡地って設定なんだよね?」

「そういえばそうだったかな。ヨッシ、それがどうかした?」

「……何かあるんじゃない? その転移地点に跡地になった理由とか、枯れ果てた流れの源泉とかそういう感じのがさ」

「それはありそうだね!?」

「……もしかしてそれが次の共闘イベントのフラグか?」

「共闘イベントって事は他の群集とも共通の敵って事だろうし、ありえそうかな」

「まぁ、今考え込んでも仕方ないだろ。とりあえず、全経路が確立されてから考えようぜ」

「それもそうだな」


 今考えてもまだ分かるわけがない。何となく次の共闘イベントがワールドクエストのような気はするけど、まだマップの全体像すら分かっていないからな。ようやくそれぞれ初期エリアの互いの位置関係と、行き来が可能になり始めたばかり。まだ全部が埋まるには時間もかかるだろう。その間に、2枠目も進化させて共生進化とかも進めていけばいい。そのうち進度に合わせていったんから共闘イベントの続報も出てくるだろうしね。

 とにかく今はレベル上げだ! 


「それじゃ気を取り直して、アルに搭乗!」

「「「おー!」」」

「落下防止はケイに任せるぞ」

「おう、任せとけ!」


 スキルが増えた事で落下防止の手段が使えるようになった。落ちないようにするにはアルの背中に乗ってる時に直接海水の流れに当たらなければ良い。そしてその為の手段を手に入れ、実用基準のLv3までは鍛えた。無駄に遊びの的あて勝負をしていたわけではない!


<行動値を4消費して『海水の操作Lv3』を発動します>  行動値 10/14


 みんながアルの背中の上に乗ったのを確認した後に、みんなを覆うように海水の操作で海水の壁を作っていく。小型なのが多い事と、海水の操作は支配可能な水量が多いので全員を覆っても問題なし。よし、後はアルの移動に合わせて動かしていけば良いだけである。

 まぁアルが海エリアの人から聞いていた手段をそのまま使ってるだけなんだけど。シアンさんに乗ってた時はこうして保護をしててくれたらしい。いやー色々考える人がいるもんだね。


「おー! 海水のドームみたいなのが出来た!」

「中も外も壁も全部海水っていうのが変な感じだけどね。これで大丈夫そうかな?」

「海エリアでやってた人達から聞いた話だから、まず問題ないだろ」

「この際、効率重視でアルに基本的に任せるか?」

「……俺は別に良いが、みんなは良いのか?」

「熟練度を別に稼ぐのならいいと思います!」

「私はまず魔法を使えるようになりたいかな? だからそれでいいよ」

「私も問題ないよ」

「みんなが良いならそれで良いか。んじゃ行くぜ」

「「「「おー!」」」」


「おーい、そこのクジラの人!」


 いざ出発しようと思ったら、何処かから声が聞こえてきた。なんだよ、意気揚々と出発しようと思ったのにさ……。

 

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自力での電子書籍版もありますので、よろしければこちらもどうぞ。
大きな流れ自体は同じですが、それ以外はほぼ別物!
ケイ以外の視点での外伝も収録!

最新巻はこちら!
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これまでの第1巻〜第19巻はこちらから。
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― 新着の感想 ―
[一言] ( *˙0˙*)۶おー そうして、出鼻をくじかれる(笑)
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