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Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜  作者: 加部川ツトシ
第41章 イベントの3日目
1611/1633

第1611話 呼び寄せ、開始!


 灰のサファリ同盟が用意してくれた伝達役のPTも、途中で防御が得意な人へと人員が入れ替わり、大半の人が洞窟から撤退を始めている。

 俺らが地下湖の黒の異形種達の安定化の変質進化を終えてから、次々と桜花さん達が掻き集めてくれた機械の砂と原石が持ち込まれ……今では、もうどこにも異形のままの姿の個体は残っていない。幸いな事に、変化を拒む個体はこの洞窟で出る事はなかった。……早めに接点を持ってたのがよかったのかもなー。


 そして……もう間も無く、大量の瘴気珠から瘴気の抽出が始まってから1時間が経つ。つまり、そろそろ本格的にフィールドボス戦が開始になる!


「ジェイ、斬雨さん、そろそろ俺らの連結PTへの移行をよろしく!」

「そうですね。まぁ伝達役は他にもいますし、何かあればそちらから情報は入ってきますか」

「おし、やってやるぜ! ジェイはケイさん達の方で、俺が紅焔さんのとこだな?」

「えぇ、それでいきましょう」

「ほれ、斬雨さん!」

「ありがとよ、紅焔さん!」


 ここまで待っている間に、俺にPTリーダーが移されているから、ジェイへの申請は俺からだなー。……よし、これでいい。


<ジェイ様がPTに加入しました>


 ジェイさんが俺のPT、斬雨さんが紅焔さんのPTに加入し、準備は完了! さーて、ベスタからの開始の合図は伝達役の人を通じて伝えられるという話になっているけど――


「伝達です! エメラルドが瘴気の抽出を完了! これより、フィールドボスの召喚を開始との事! 準備、お願いします!」

「ほいよっと! 全員、戦闘準備! まずは、姿を確認して拘束を最優先!」

「了解だぜ、ケイさん! 『刻浄石』を使おうにも、動きを封じねぇとな!」

「……正体を確認してから、検証開始!」


 紅焔さんと彼岸花さんが端的にまとめてくれたけど、まぁまずはそういう事! 他のみんなも頷いていて、戦闘準備は問題なし!


「っ!? 『瘴気の転移門』が開いたのさー!? それも2つ!」

「これ、あちこちに開いてたのと同じものかな!?」

「使ってる力は同じ瘴気なんだし、性質としては同じなのかもね」

「違いがあるとすれば……水の中と、湖の上に出てるとこか!」

「あー、沈めた落下物を、水ごと吸い出してるっぽいなー」


 呼び寄せるとは聞いたけど……まさか、周囲の水ごと『瘴気の転移門』で吸い寄せてるとはね。てか、何気に近くにいた金属で身体を補った黒の異形種達が巻き込まれてるし!?


『くっ!? これが、俺らが使おうとしていた力か!?』

『引き寄せ……られる!?』

『変に抗うな! 出口はすぐ上だ!』

『身を委ねて、流れに任せろ!』

『よしきた!』

『この地の主の1体……俺らで倒してみせる!』


 安定化した黒の異形種達で、連携行動を取ろうとするのが中々凄いよなー。いやはや、まともに喋れてなかった時でもそれなりの戦力になってたのに、ちゃんと意思疎通が出来て、俺らの意図を汲んで動いてくれる戦力になるのはいいもんだね。

 でも、逆にここまでの判断力を持つとなると……無所属の乱入勢と手を組んでいる黒の異形種が、かなりの脅威になってそうな予感もする。『百鬼夜行』ほどの安定化はしていない気はするけど、それでも簡単に消滅しない程度には安定してそうだし……って、考えてる場合でもないか。


「落下物の1つが、浮いたのさー!」

「ありゃ? あれ、瘴気が中に滲み込んでない!? あ、破裂するように割れた!?」


<ケイが成熟体・暴走種を発見しました>

<成熟体・暴走種の初回発見報酬として、増強進化ポイント8、融合進化ポイント8、生存進化ポイント8獲得しました>

<ケイ2ndが成熟体・暴走種を発見しました>

<成熟体・暴走種の初回発見報酬として、増強進化ポイント8、融合進化ポイント8、生存進化ポイント8獲得しました>


 よし、フィールドボスが落下物から出てきたな! てか、そんな風に出現……って、まぁ想定通りの姿が出てきてくれて、ある意味ホッとしたよ! 


「どう破るのか、気にはなっていたが……中を瘴気で溢れさせたようだな」

「……そうみたい! 正体、やっぱりコケ!」

「どうやら、そのみたいだな! ケイ、行け! 予定通りだ!」

「ほいよっと! アル、しばらく指揮は任せるぞ!」

「おう、任せとけ!」


 コケが出てきた場合の戦闘の想定も、当然してある! HPが存在しないコケは、群体数こそ全て! 少しでもコケがある限り、行動値が許す限りいくらでも広がり続けられるからな! だから、初手でそれを封じる!

 俺はともかく、一気に展開してた飛行鎧で距離を詰め、フィールドボスのコケが水中に落ちる前に接近して――


「っ! ケイさん、攻撃なのさー!」

「分かってる!」


 いきなり突っ込んだ俺に対して、水魔法で応戦ってか! まぁ空中じゃ、コケに出来る事は限られてくるしなー! でも、残念!


<行動値上限を10使用して『アブソーブ・アクア』を発動します>  行動値 133/125 → 115/115(上限値使用:17)


 飛行鎧と夜目と暗視も発動してるから、上限値の使用は多め。でもまぁ、元の行動値は増えてるし、この程度は問題なし! それに、これで水魔法は俺には無力だからな!


「よし、凌いだか! 相変わらず、水属性には最悪で凶悪な性能だな、おい!」

「それがアブソーブ系のスキルですからね。それで、手筈通りに進めても?」

「あぁ、頼むぜ、ジェイさん!」

「では、始めましょうか! 『アースクリエイト』『岩の操作』!」


 さーて、コケの捕獲作戦、本格的に開始だ! まずは至近距離まで接近した俺ごと、ジェイさんが岩で包み込む! その上で、これだ!


「……2層目……いくよ! 『アースクリエイト』『岩の操作』!」

「……3層目、やるぞ! 『アースクリエイト』『岩の操作』!」


 俺ごとフィールドボスを、ジェイさんの岩の中に閉じ込め、その外周を2層、3層と覆う事で脱出の余地を潰して――


「っ! 予想通り、剥奪を仕掛けてきました! ライルさん、次の層の生成をお願いします!」

「えぇ、お任せください! 『アースクリエイト』『岩の操作』!」


 やっぱり、閉じ込められたと分かれば、それを破りに動くか。でもまぁ、1つの岩の操作を消したところで、その先にも2層、3層と用意しているし、更に追加も可能にはしてるからな!


「ケイ、どうだ? 中は、見えてるか?」

「問題なし! その為の暗視だしな!」

「それもそうだな。問題ないなら、ササっとやっちまえ!」

「そのつもり!」


 『刻浄石』の使用には、どうしても接近して相手に押し付ける必要がある。だから、一番敵の攻撃が効きにくい可能性が高い俺が、その役目を担う事になった。


「悪いけど、足掻いて水魔法を使うのは、無意味なんだよな!」


 魔力視で水を生成しようという様子は見てとれるけど、生成する端から、俺のアブソーブ・アクアに触れて、即座に吸収されて消滅していく。距離を取ろうにも、そんなスペースは用意していないし……って、ロブスターに麻痺毒が入った!? くそ! このコケ、毒持ちか!?


「ケイ!? ロブスターに麻痺毒が入ってるけど、大丈夫かな!?」

「あー、コケは無事だから問題ない!」

「……今のが溶解毒だったら、どうする気だったんですか?」

「……まぁそこは気にしない方向で! 俺はアルさえ生きてたら、そこで復活出来るし!」

「……はぁ、そういう事にしておきましょうか」


 危ない、危ない! 今の毒、水の生成もあったから……ポイズンミストを発動して、水成分だけ抜いて麻痺毒だけを被った感じか。


 ジェイさんに言われてしまったけど、今のが溶解毒だったら、やばかった……いや、そうでもないか? 飛行鎧は破られてないから、麻痺毒で受ける継続ダメージはロブスター自体に垂れてきて触れたもののはず。

 しっかりと広がった毒霧だったならコケにも届いた可能性はあるけども、アブソーブ・アクアで霧要素を強引に奪われた結果なら、特に問題は……いや、毒単体で使われたらマズいままか!?


 麻痺毒自体はそう長く続かないけど……解けるのを待ってやる義理もないな! 麻痺毒は、身体の操作を奪う性能はあっても、操作中の操作系スキルを制限する性能はないんだよ! 動けないロブスターの体でも、飛行鎧で強引に動かして……よし、白黒視界で分かりにくいけど、相手のコケに『刻浄石』が触れた! 使用だ、使用!


「ちょ!? 眩し!?」


 『刻浄石』を押し当てたコケの全てから、光が放ち始めた!? 色合いから『浄化の光』っぽくはあるけど、『暗視』まで使ってるから、かなり眩しいんだけど!?


「ケイ! 大丈夫かな!?」

「眩しいだけだから、大丈夫なはず!」

「……まぁ死んだら、死んだ時ですか」

「ジェイさん、不穏な事を言わないでくれね!?」


 まぁこれは、不穏な変化というよりは、成功に近い反応な気はするから大丈夫だと思うけど……てか、どんどん光が強くなっていってるな!?

 これ、正気を失わせている瘴気が消えている証だと思うんだけど……フィールドボスともなると、通常の個体よりも内包してる瘴気の量が多いのかも?


<ケイが規定条件を満たしましたので、称号『自我を取り戻させるモノ』を取得しました>

<スキル『浄化属性強化Ⅰ』を取得しました>


<ケイ2ndが規定条件を満たしましたので、称号『自我を取り戻させるモノ』を取得しました>

<スキル『浄化属性強化Ⅰ』を取得しました>


 あ、称号取得が――


『ッ!? ココハ……イッタイ……ドコナノ……デスカ!?』

「おし、話し出したか! 半覚醒化、成功っぽい!」

『……ナニモノ……デスカ?』

「ストップ! 敵対するつもりはないから、落ち着いてくれ!」


 意識が戻ったとはいえ、こちらから中身がどこの群集なのかは判別する手段は、今の時点では存在しない。だから、本人に教えてもらう必要があるんだけど……。


『……ナニモノ……ナノカト……キイテイマス! ……クッ!? ナゼ……チカラガ……カキケサレル!?』


 あ、すみません。それ、俺のアブソーブ・アクアの効果なもんで……。これ、吸収出来るって事は、灰の群集の個体じゃなさそうだなー。

 えーと、今の段階で岩の操作を1度も展開してないのは……ラジアータさんか。話をする前に水の中に行かれると困るけど、このまま真っ暗な岩の中に閉じ込めてると警戒心も解けないからね。


「ラジアータさん、足場をよろしく! 他の捕獲用の岩は解除で!」

「了解だ! 『アースクリエイト』『岩の操作』!」

「外側から順番に解除してくれ! まず、ライルさんから!」

「了解しました! 次、十六夜さんですね」

「……あぁ、解除する! 最後は風音さんだな」

「……うん!」

『ナッ!?』


 足場になってた岩が消滅して、ストンと敵のコケが真下へと落ちていく。まぁすぐ真下にラジアータさんが展開している足場の岩があるから、そこに落ちただけだけど。


「おー!? 半覚醒なのに、王冠マークがあるのが不思議なのさー!?」


 夜目と暗視の併用で多少の色の違いは分かるけど、本当に多少だからなー。黒い王冠マークとか、全然分からなかったけど……うん、本当に王冠マークは出たままだね。


『キサマラ……ハイノ……グンシュウカ! ワタシニ……イッタイ……ナニヲ……シタ!』


 はい、この発言で灰の群集じゃないのは確定。てか、さっきから水魔法をぶっ放し過ぎなんですけど! アブソーブ・アクアで吸収しなければ、かなり危ない状態じゃん!


「少し落ち着いてはどうですか? あなたのその状態は、灰の群集の仕業ではありませんよ」

『アオノ……グンシュウ……? ナゼ……イッショニ……』


 おっ、ジェイさんの言葉に反応してるし、これは青の群集の個体の可能性が――


『アオノ……グンシュウ……ト……ハイノ……グンシュウ……ノ……キョウボウ……カ!?』

「……どうやら、このコケは赤の群集の個体のようですね」

「どうも、そうっぽいなー」


 今の『キョウボウ』は……多分、『共謀』なんだろうね。半覚醒になれば安全にフィールドボス戦が終わるかと思ったけど……どうやら、そう甘くもないらしい。


「こうなると、仕方ないな。ラジアータさん、岩を解除!」

「了解だ!」

『ッ!? キサマラ……ワタシヲ……モトニ……モド――』

「食い散らかせ、『百鬼夜行』!」

『『『『『『おう!』』』』』』

『ナッ!?』


 池の水面に落ちた餌にコイが群がるように、赤の群集の半覚醒のコケへと水棲の黒の異形種達が殺到して、その身を食い散らかしていく。


『ナンダ……キサマラ……ハ!? アカノ……グンシュウデモ……ハイノ……グンシュウデモ……アオノ……グンシュウデモ……ナイ!? ……ソモソモ……ナニカ……ナカミガ……チガウ!? ヤメロ! ヤメロ! ワタシヲ……クウナ!』

『はっ! 一度死ねば、元に戻れるって話だぜ!』

『正気に戻ってこいや! 話はそれからだ!』

『この地の主だろうが、負けはせん!』

『皆の者、喰らい尽くせ!』

『『『『おう!』』』』

『ヤメロ! ヤメロ! ヤメロォォォオ!』


 悲痛な叫びが聞こえるけど、まぁ止める理由はどこにもない。せめて、灰の群集か青の群集の個体だったなら、対話して説得した上で出来たんだけど……赤の群集であれだけ敵対されたら、下手に戦う方が危険――


<ケイがLv15に上がりました。各種ステータスが上昇します>

<Lvアップにより、増強進化ポイント6、融合進化ポイント6、生存進化ポイント6獲得しました>

<ケイが成熟体・暴走種を討伐しました>

<成熟体・暴走種の初回撃破報酬として、増強進化ポイント8、融合進化ポイント8、生存進化ポイント8獲得しました>


<ケイ2ndがLv15に上がりました。各種ステータスが上昇します>

<Lvアップにより、増強進化ポイント6、融合進化ポイント6、生存進化ポイント6獲得しました>

<ケイ2ndが成熟体・暴走種を討伐しました>

<成熟体・暴走種の初回撃破報酬として、増強進化ポイント8、融合進化ポイント8、生存進化ポイント8獲得しました>


<『進化の軌跡・異常付与の極意』を3個獲得しました>


 あっという間に、撃破完了! てか、異常付与の極意って、凶悪なもんが落ちてきたな!? しかも、3つもかよ!


「識別はしてなかったけど……もしかして、特性に『異常付与』を持ってたのかな?」

「落ちた極意を見た感じ、そうなんだろうね」

「ふっふっふ! 何もさせずにして、正解だったのさー!」


 これ、冗談抜きで俺はかなり危ういとこに突っ込んでたのでは? ……うん、まぁ結果的にはロブスターが麻痺して、少し継続ダメージを受けた程度で済んだからよしとしよう!

 てか、ほぼ『百鬼夜行』に仕留めさせたのに、かなり経験値が入ったもんだ。まぁHPのないコケが相手なら、こういう短期決戦もあり得ますよねー!





【ステータス】


 名前:ケイ

 種族:同調激魔ゴケ

 所属:灰の群集


 レベル 14 → 15

 進化階位:成熟体・同調激魔種

 属性:水、土

 特性:複合適応、同調、魔力強化、魔法耐性、属性強化


 群体数 256/12650 → 256/12900

 魔力値 326/326 → 326/330

 行動値 115/133 → 115/135


 攻撃 125 → 127

 防御 212 → 215

 俊敏 152 → 154

 知識 362 → 368

 器用 428 → 436

 魔力 532 → 541



 名前:ケイ2nd

 種族:同調激強ロブスター

 所属:灰の群集


 レベル 14 → 15

 進化階位:成熟体・同調激強種

 属性:なし

 特性:打撃、斬撃、強靭、堅牢、同調


 HP 15578/17900 → 15578/18350

 魔力値 156/156 → 156/158

 行動値 123/123 → 156/125


 攻撃 520 → 528

 防御 480 → 488

 俊敏 409 → 416

 知識 120 → 122

 器用 162 → 165

 魔力 79 → 80


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自力での電子書籍版もありますので、よろしければこちらもどうぞ。
大きな流れ自体は同じですが、それ以外はほぼ別物!
ケイ以外の視点での外伝も収録!

最新巻はこちら!
電子書籍版『Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜』第20巻

これまでの第1巻〜第19巻はこちらから。
電子書籍版『Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜』シリーズ
― 新着の感想 ―
こんだけ準備時間が有って人数揃えてボス情報推論が出来て補強されてるんだから突破されたら単純に今の段階で相手にすべきではない超格上かギミックボスなんよw
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