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Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜  作者: 加部川ツトシ
第41章 イベントの3日目
1607/1633

第1607話 これからの作戦会議


<『名も無き未開の山岳』から『【百鬼夜行】の集会所』に移動しました>


 ベスタに呼ばれて洞窟の方へ移動してきたけど……うん、本当にエリア名が変更になってるよ。あー、変な名前になってなくてよかった!

 まぁそれはいいとして……大事なのはここからだな。いつの間にやら洞窟内には松明が設置されて、灯りが確保されてるし、人も結構いる様子。こりゃ、俺らが偵察に出てる間に、増援が来た感じっぽい?


 あ、広間の付近まで行けば、ベスタと先に戻ってたレナさん達がやってきたし、【百鬼夜行】も偵察に出てたメンバーも、全員が揃ったね。ジェイさんと斬雨さんが付いてきてるのは、これからの打ち合わせに関わるからですなー。斬雨さん、纏浄の反動からは脱しているっぽいね。


「来たな、ケイ」

「待たせた、ベスタ! これ、増援が来てる?」

「あぁ、灰のサファリ同盟の本部から色々とな。『瘴気珠』は指定された必要数、『情報組成式物質構成素子』と核になる色々な原石は現時点で掻き集められるだけ集めてきてくれた」

「流石、仕事が早いな!」

「午前中にケイ達が、協力体制に戻しておいてくれたのが大きいがな」

「あー、やっぱりそこは大きいんだな」


 いやはや、午前中にやってた事の成果が、今活きてくるのはありがたいもんだね! あのイブキとの遭遇、かなり重要だったんだなー。


「……まったく、昼頃にベスタさんから連絡があった件にも、ケイさんが関わっていたのですか……」

「へ? あー、そういやベスタが連絡するって言ってたっけ」

「まぁその連絡は、ほぼ無意味だったがな。既に青の群集には、情報提供があった後だったからな」

「あ、そうだったのか」


 なるほど、なるほど。そういう事情だったからこそ、緊急クエストの演出があった後の俺らの動きに、かなり早くから対応が出来てた――


「いえ、無意味という事はありませんでしたよ。正直、情報源の信用度があまり高くなかったですからね。ですが、ベスタさんからの連絡で、その裏が取れたのが大きかったんですよ」

「……ほう? 情報源までは聞いていなかったが、そこまで信用出来ない相手だったのか?」

「えぇ、まぁ青の群集の傭兵ですらありませんでしたからね。罠に嵌める為の、偽情報という可能性はありましたから……」

「……なるほどな」


 これ、何気に俺らの情報源がイブキだったのが大きくね? 無茶苦茶に暴れることはあっても、そういう騙し討ちをしない性格だってのは分かってたからこそ、ああいう形で収まったんだし――


「はーい! 午前中の話はそこまで! いつまでも脱線してる訳にもいかないでしょ?」

「……それもそうだな」


 おっと、レナさんが強引に割り込んで、流れを断ち切ってくれたか。まぁいつまでも午前中の話をしてても仕方ないし、これからの話が大事になるもんな!


「さて、本題に移るが……エメラルド、『瘴気珠』はこれだけ用意したが……足りるか?」

『あぁ、これほどの量があれば十分だ。だが、流石に量が多い。少し抽出には時間がかかるが……構わないか?』

「それは仕方ないが……目安としてはどの程度だ?」

『……およそ、1時間といったところか』

「1時間……思ったより時間がかかるな」


 えー、ここで待ち時間が発生するとかマジで!? そういや今って何時? あー、16時を回った頃だから、色々やってた割には、そう時間は経ってないのか。


「複数のフィールドボスと戦うには、相応の準備時間が必要という事なのではないですか? どう考えても、かなりの強敵ですよ?」

「特に、ゴマタノオロチが厄介そうだけど……ベスタ、受け持ちは大丈夫?」

「外で戦うよりは、この洞窟の中の方がよっぽどマシだろう。十中八九、小型化して機動性は確保してくるだろうが……それだけ、巨体の質量の脅威は減るからな」

「はいはーい! ゴマタノオロチって、小型化してくる前提なの?」

「聞いている限り……そうでもしないと、この洞窟のどこにも収まらないサイズだと思うが? ケイ、その辺はどうだ?」

「あのままじゃ、絶対に収まらないな!」

「あ、言われてみればそうだね!」

「……リコリス、少し考えれば分かるだろう」

「ラジアータ、うっさい! 根拠を聞いて何が悪いのさ!」

「いや、別に悪くはないが……すまん、今のは言い方が悪かったな。話を続けてくれ」

「ふふーん! そうでしょとも!」


 リコリスさんとラジアータさんはいつもの事だから、スルーでいいや。

 ともかく、あれだけの大質量の巨体は、そのままで相手をするにはデカ過ぎる。まぁデカいからこそ、死角が増えるとか、小回りが利かないなんてデメリットもあるけど……ヘビの場合は全身が凶器になり得るからなー。頭が5つあるから、死角もどうなってんのか分かりにくいし……。

 そういう要素を考えるなら、強制的に小さくならなければならない状況に持ち込めるのはあり! もし、仮に小さくならなくても……それはそれで身動きが取れないって状況にもなり得るはず!


「まぁゴマタノオロチは、それほど心配はしていない。風属性のドラゴンも……こちらは変に尖った構成ではないようだから、そう対応も難しくはないだろう。縦長の空洞でも、外で対処するよりはやりやすいはずだ」

「はいはーい! もう1つ、確認! なんで都合の良い場所に、出てくれる前提?」

「今回の敵が、天然のフィールドボスだからだ。元々この地に縄張りを持つ個体として、運営に設定されている可能性が高いからな」

「え? それがどうして、都合の良い場所に出てくる理由になるの?」


 あー、なるほど。ベスタが考えてる可能性は、勝手に育った訳じゃなく、この今の機会の為に用意されたフィールドボスって事か! 確かに、それなら戦いやすい環境を整える事も攻略の1つになってくるかも?


「単純な話だ。ここが、その戦場として用意されている可能性が高いからだ。ゴマタノオロチは広間、風属性のドラゴンは縦長の空洞……そして、この洞窟の中へと引き寄せる手段がある事そのものが、攻略の一環と考えるべきだろう」

「えーと、どういう事?」

「……もう、フィールドボス戦は、始まっている?」

「彼岸花、正解だ。おそらく、倒そうと思えば外でも倒せるのだろうが……その攻略を簡略化する手順として、この洞窟が用意されている可能性が高い。行動に制約をかけるという方向性から、弱体化を狙えるのだろう」

「あ、そういう事! 確かに、外よりは制約は多くなるもんね!」


 外だとどう考えても行動範囲が広くなり過ぎるし、この洞窟の構造が、判明している2体のフィールドボスの特徴を抑えるのに都合がいいという一致はあるもんなー。

 呼び寄せるのに大量の『瘴気珠』を使う必要もあるんだし、優位性を得る為の場所と考えるのはそれほど不自然な話ではないはず。


「まぁ実際にやってみるまでは、確実にそうだとも言い切れんが……ゴマタノオロチが巨大過ぎる事や、同時に2体の相手をする事になったのも、この考えの元になっている」

「……なるほど。小さくならなくては、引き寄せた後が戦闘にならないからですね? しかし、ゴマタノオロチの強みはあの巨体にこそあるのですから……そこを制限するのなら、他のフィールドボスにもその条件は当てはまるという事ですか。それに、話を聞く限り、フィールドボス同士を分断させられるというのも大きい要因ではありますね」

「まぁそんなところだな。だが、ここで少し問題が出てくる……」


 ここで問題になるとすれば……あー、うん。それもなんとなく分かった。でも、それは――


「はい! 水に関係しそうなフィールドボスの正体が、完全に不明な事ですか!?」

「正解だ、ハーレ。おそらく、ラジアータに持ってきた落下物の中のどれかにはいるのだろうが……」

「この中に捕まっちゃってるのは、厄介だよねー」

「そういう事だ。……レナ、迂闊に触れるなよ?」

「分かってる、分かってる! ただ、見た目で違いがないか、探ってるだけ!」

「……それなら、いいんだがな」


 無造作に置かれてる拾ってきた落下物を、レナさんが眺めていってるのか。うーん、確かにフィールドボスが入っている落下物に見た目の変化があれば、対応もしやすそうではあるけども……。


「ベスタ、そんなに水関係のフィールドボスが厄介そう?」

「それが読み切れないから、困っている。下手すると、ケイに無茶振りを頼むかもしれんぞ?」

「あー、そうなるのか……」


 水の関係しそうなフィールドボスの可能性が高いってだけで、それ以上の情報は皆無だもんなー。なんなら、本当に存在しているかどうかすら、確定にはなってないし……。


「ベスタさん、初見攻略はそれほど気にする必要はないぞ? 別に、今回が始めてな訳でもないからな」

「ちょ!? アル、何言ってんの!?」

「何か間違った事でも言ったか?」

「いやまぁ、事実だけども!」

「……確かに、今更な心配なのは間違いないか」

「ベスタまで!?」


 そりゃ、今までフィールドボス戦で下準備なんかしてきた事はないけどさ!? 今回のフィールドボス、いつもとは違う気がするんですけど!?


「あぁ、初見といえば……ケイ、戦う前に、刻浄石を試してみる気はあるか?」

「……へ? あ、もしかして、戦わずに済む可能性もある!?」

「賭けではあるがな。ケイ自身、気になってるとこではあるんだろう?」

「まぁそれはそうだけど……」


 仮に上手く半覚醒に出来たとして……赤の群集や青の群集のなら、普通に倒してしまえばいいだけではある。場合によっては、無抵抗で倒されてくれる可能性すらあるはず?

 でも、もし灰の群集の個体を引き当てたら、『浄化の守り』を展開されて倒す手段がないんじゃ!? それこそ、青の群集のジェイさん達に頼むしかなくな……いや、待て。そうでも、ないか?


「もしかして、『百鬼夜行』が戦力になり得る?」

「半覚醒が同じ群集の場合、その可能性はあるだろうな。案外、刻浄石の使用も想定済みかもしれんぞ?」

「……なんか、俺もそんな気がしてきた」


 外では単なる俺の思いつきで言った『刻浄石』の使用だけど、今の状況で改めて考えてみると……用意が整い過ぎてるんだよなー。偶然とは思えないほどに……。


「正体が分からなくても、『刻浄石』の使用でなら関係ないのかな?」

「あれ、半覚醒になるもんね。試してみる価値は、あるんじゃない?」

「ふっふっふ! 半覚醒になっても倒せる戦力があるなら、それでもいけるのさー!」

「ケイ、俺はその案に賛成だが……どうする?」


 アルのその問いかけと同時に、他のメンバーの視線が俺に集まってくる。水関係のフィールドボスの担当は俺になってるんだから、どうするかを決めるのはベスタじゃなくて、俺なんだな。

 この際、実際に水関係のフィールドボスがいるかどうか、まだ生きているかどうか……その辺は置いておこう。生きていて、捕まっている中から出てくると想定した上でどうするか……。


「よし、決めた! 俺らは『刻浄石』を試してみるぞ!」

「それはいいけど……誰が出すのかな? ケイ、持ってる?」

「あー、俺は持ってないけど……途中で出てたよな?」


 何個か出てた覚えはあるんだけど、誰に出てたかは覚えてない!? これで俺の気のせいだったら、どうしよう? あ、でも風雷コンビがどっちも持ってたっぽいし……そういやあの2人、どこ行った?


「私は2個持ってるから、ケイさんに渡しとくね」

「おっ、ヨッシさん、サンキュー!」


 おっし、やっぱり持ってる人はいたな! てか、ヨッシさんに2個も出てたとは……まぁランダム入手なんだから、そういう事もあるか。


「……半覚醒になるフィールドボスですか。報酬が何になるか、少し気になりますね?」

「あー、それは確かに……?」


 普通の黒の暴走種を『刻浄石』で半覚醒にした場合、手に入るのは極意系の進化の軌跡だけど……フィールドボスの場合も、同じ法則になるのか? んー、単に個数が増えるだけだったり――


「……なるほど。条件が特定出来ず、未知のままでしたが……『刻浄石』で称号を得る場合の対象は、天然のフィールドボスなのかもしれませんね」

「……へ? あ、そういや『刻瘴石』だと、称号取得があったっけ!?」

「忘れていたんですか、ケイさん?」

「あー、まぁそうなる……?」

「……まぁ別に構いませんけどね。ベスタさん、フィールドボス戦は、私はこの場で見るのは避けていた方がよろしいですか?」


 って、そこは俺じゃなくてベスタに確認を取るの!? いや、確かにベスタが灰の群集のリーダーだけど、ジェイさんが見ようと考えてるのって、俺の担当のとこだよな!? ……間違ってる判断とも言い難いけど、なんか複雑なんですけど!?


「巻き添えで死んで文句を言ったり、邪魔しないのであれば、別にいても構わんぞ。……ケイが駄目だと言わなければな」

「だそうですが……ケイさん、構いませんか?」


 くっ! 今の、声に出てたか? いや、ジェイさんの反応的に声には出てなさそうだけど、ベスタに気持ちを察せられたって感じだな。……まぁ断る理由もないし、次の一戦がある可能性を考えれば、ジェイさんを拒否する理由もないか。今、共闘中だしね。


「それくらいは問題ないけど……緊急事態が起きたら、力を借りるのもあり?」

「皆さんがよろしければ、要請があればお助けしますよ? 構いませんよね、斬雨?」

「シレッと俺も同行が確定かよ! まぁ別にいいけどよ……」

「なら、そういう事で確定で!」


 フィールドボスが半覚醒になった時、もし青の群集の個体だったら、大人しく仕留められるように説得してもらおうっと。その方が、色々と楽に済むはず!

 てか、何気に検証案件にも入ってますなー。まぁどこまで想定通りに事態が動くかにもよるけど……こればっかりは、実際にやってみるまで分からんからなー。ただ、色々と手間をかけてるんだから、相応の結果は出てほしいもんだね!

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自力での電子書籍版もありますので、よろしければこちらもどうぞ。
大きな流れ自体は同じですが、それ以外はほぼ別物!
ケイ以外の視点での外伝も収録!

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