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Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜  作者: 加部川ツトシ
第37章 空白期間にやれる事

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第1382話 検証のトーナメント戦 その1


 少し脱線はあったけども、なんとかベスタとオオカミ組が実行する『変質進化・侵食』の性能検証のトーナメント戦をやっていけるな。ハーレさんが実況で、俺が解説、風音さんがゲスト役。……このゲスト枠って、ぶっちゃけ第2の解説役だよなー。


「さぁ、ちょっとした脱線はありましたが、これより『モンスターズ・サバイバル』主催の『変質進化・侵食』の実戦的な検証を行うトーナメント戦が始まろうとしています! 周辺の不動種の皆さん、投影はもう少しかかりますでしょうか!?」

「あー、今、可能になったとこだ! 投影、いくぜ! 『樹洞外投影』!」

「「「「「『樹洞外投影』!」」」」」


 おー、桜花さんが樹洞の外に投影していき、それに続いて周囲の5人の桜の不動種の人も投影していってるね。俺らの実況席を中心にして、六角形になる感じにスクリーンが出てきてる感じだな。


「今回のトーナメント戦は検証が目的という事ですが……どうやら、参戦メンバーは4人となっているようです! さぁ、それでは参戦メンバーをご紹介しましょう!」


 ふむふむ、今の時点でトーナメント戦への参加メンバーの一覧が表示されてるけど、人数は控えめで4人なんだね。まぁ1回戦で2戦、決勝と3位決定戦もやるみたいだから、合計4戦になってるなー。流石に4戦もやれば検証としては十分だろうし、それでも足りなければ後から追加でやればいいだけか。


「まずは言わずと知れた、我らが灰の群集のリーダー、ベスタ選手! オオカミ組が主体となるトーナメント戦ではありますが、奇しくも灰の群集、最強のオオカミが参戦だー!」

「あー、確かに灰の群集で最強のオオカミではあるか?」

「……ベスタさんより強いオオカミは……見た事ない」


 もしかするとベスタ以上に強いオオカミの人がいるかもしれないけど、少なくとも俺は今の時点でそんな人には会った事がない。……これ、検証目的のトーナメント戦だけど、ある意味ではオオカミ最強決定戦?


「さぁ、続けての紹介です! こちらも言わずと知れた、オオカミ組のボスである蒼弦選手! 今回使用する『進化の軌跡・侵食』はオオカミ組が中心となって黒の異形種を討伐していたという事なので、当然の参加でしょう!」

「こうして開催になってるんだから、無事に『進化の軌跡・侵食』は手に入ったんだよな」

「……どんな風に見えるか……楽しみ!」

「昨日、存在を確かめた私達『グリーズ・リベルテ』でも、属性『侵食』による変化の法則性は正しく把握していませんからね! 全員がオオカミというこの状況で、どのような違いが出てくるか興味深いところとなるでしょう!」


 昨日見たのは、ルストさんの木が枯れている状態だったもんな。今回の件でオオカミ組がメインで戦う事になってるのは、同じオオカミだからって部分も大きいのかも?


「続けて、3人目の紹介に移りましょう! 語尾に『っす!』と付くのが特徴の、オオカミ組の湯豆腐選手も参戦だー! 美味しそうな名前をしていますね!」

「いや、名前に食いつかんでいいから!」

「……豆腐は……まだ未完成?」

「てか、豆腐って流石に厳しくない!?」

「それは料理関係を頑張っている皆さんの頑張りに期待しておきましょう! 私個人としては、可能になるのを夢見ています!」


 おーい、ギャラリーの中から笑い声が上がってるけど、それはいいのか? まぁ別に悪い事を言ってる訳でもないし、その辺は実際に試そうとしてる人もいる気がするし、変にこれ以上のツッコミを入れるのはやめとこ。


「最後の4人目の紹介です! 4人目もオオカミ組所属の、いなり寿司選手だー! こちらの美味しそうな名前となっておりますが、いなり寿司もいずれは完成する事を期待しております!」

「……油揚げには……豆腐が必要?」

「いや、どういう繋がり方だよ!? てか、米や酢は!?」

「そちらも期待ですね!」


 この辺の反応ハーレさんらしいな!? あー、そういやいなり寿司の油揚げって、大元は豆腐から作るんだっけ? あんまり詳しくは知らないけど、豆腐を揚げたのが油揚げだったような……。地味に豆腐繋がりになってるけど、正直、トーナメント戦には一切関係ない部分だよな!?

 

「以上の4名にて、今回のトーナメント戦は行われます! 設定は情報ポイントは不要、3位決定戦あり……おぉ、こちらからの音声も届くようになっているようですね! 桜花さん、これはどの中継から私達の声が届く感じになるのでしょうか!?」

「あぁ、そうなるな。ギャラリーは、質問する時以外は過剰な大声は出さないように頼む。あちこちで実況しているのが、全部聞こえているだろうしな」

「との事なので、質問がある場合は挙手かそれに類する行動をお願いします! 実況の声で……おーっと!? そういえば自己紹介がまだでしたね! 今回の実況は『グリーズ・リベルテ』所属の、リスとクラゲのハーレが担当します! そして!」


 えーと、俺の方へ向いてきたんだし、俺に言えって事だよな。てか、それは一番最初にすべきだった気もするけど……まぁいいか。段取りが狂ったの、俺のせいな気もするしなー。


「解説は、同じく『グリーズ・リベルテ』所属のコケとロブスターのケイと」

「……龍とトカゲの……風音」

「以上の3名で、お送りします! さぁ、今回のトーナメント戦の設定の紹介を改めてしていきましょう! 検証が目的という事で、参戦への情報ポイントは不要となっていますね!」

「まぁ、検証が目的なら別にいらないだろうしなー。場合によっては勝敗は自由に変えるだろうし、八百長の判定を受けない為の処置だろ」

「……八百長は……ダメ!」

「それは当然でしょう! そして、決勝戦はもちろん、3位決定戦も設定されているので、試合数が合計で4戦となります! 果たして、どのオオカミが優勝するのかー!?」

「……ベスタじゃね?」

「……同じく……ベスタさんだと思う」

「私もそれは思いますが、勝負の行方は実際に見てから確認しましょう!」


 いや、もうハーレさんが初めっから最強のオオカミとか言ってたじゃん。まぁ検証目的のトーナメント戦だから、そこの勝敗に拘っても仕方ない気もするけどさ。


「他の設定は……時間帯とエリアは、昼間で森林エリアと固定になっております! 天候も晴れとなっていますが、これらはどういう意図でのものでしょうか!?」

「検証が目的だし、条件を同じにしてるんじゃね? まぁ個別に変えて色々なパターンで見てみるってのもありな気もするけど……」

「……まずは……固定化した条件で?」

「戦場を変えるパターンは、またの機会でという事ですね! さて、当然ながらアイテムの使用はありとなっております!」

「まぁそこが最重要なとこだよなー」

「……使えなきゃ……やる意味がない」


 実際には消費せずに『進化の軌跡・侵食』を試す為のトーナメント戦だからなー。別に言わなくても分かるような内容でも、ハーレさんはわざとみんなに伝わるように言ってるよな、これ。

 まぁ俺が脱線させた件で、この検証用のトーナメント戦を見に来るのが目的じゃなかった人もそれなりにいるみたいだから、その辺の目的の説明は大事かも? 結構、納得するように頷いている様子も見えるしさ。


「さぁ、それでは一通りの紹介は終わりましたし、トーナメント戦の組み合わせを決定してもらいましょう! ベスタ選手、よろしいでしょうか!?」

「ハーレ、少し待て。他の実況がまだ終わっていない」

「了解しました! それでは少し、お待ちしておきますね!」


 実況をしてるのは俺らの場所だけじゃないから、ベスタ達に聞こえている声の範囲で状況が一区切りになるのを待ってる段階か。まぁそりゃこっちからの声を聞こえるように設定したらそうなるよなー。……複数の実況が聞こえる状態って体感した事ないけど、実際にやったら凄い事になりそうな気がする。


 というか、組み合わせの決定って参加者じゃなくて主催者が実行するんじゃなかったっけ? 今回の場合だと『モンスターズ・サバイバル』の誰か? 順当に考えるなら、肉食獣さんかな?


「よし、もういいぞ。肉食獣、組み合わせの抽選を頼む」


 おっと、ベスタの声が聞こえてきたけど、やっぱり肉食獣さんがこのトーナメント戦の主催者になるんだな。えーと、組み合わせが決まって、トーナメント表が出てきた……ほほう、こうなったか。


「おぉーっと! 組み合わせが決定となりました! 第1試合はベスタ選手VSいなり寿司選手、第2試合は蒼弦選手VS湯豆腐選手となりました! どのオオカミが、決勝に勝ち上がってくるのでしょうか!?」

「まぁ、それは見てのお楽しみって事で!」

「……番狂せも……あるかも?」

「さぁ、間も無くトーナメント戦『検証! 進化の軌跡・侵食!』の開幕です!」


 あ、このトーナメント戦ってそういう名前になってたんだ。表示はされてたけど、普通に見ずにスルーしてたよ。まぁ正直、その名前はなんでもいいんだろうけどなー。


 おっと、そう考えてる間に森の中へ視点が切り替わって、第1試合の開始のカウントダウンが始まったか。


「第1試合の開始の為に、舞台が切り替わったー! さぁ、向かい合うのはベスタ選手といなり寿司選手! ベスタ選手は黒いオオカミですが、いなり寿司選手は特に色は変わった様子がありません! 体格は、いなり寿司選手のオオカミの方が大きいかー!?」

「ベスタはコケとの融合種の物理型だけど、いなり寿司さんも完全な物理型っぽいな? 口周りと脚周りに白い模様が浮かび上がってるしさ」

「……特性……『爪撃』と『牙撃』持ち?」

「『斬撃』辺りも持ってても不思議じゃないかも? てか、下手すると『大型』も持ってるんじゃ?」

「……どうだろ?」

「色々と疑問は出ていますが、いなり寿司選手、その辺の内容を教えていただく事は可能でしょうか!?」


 あ、そこは聞いちゃうんだ? 別に本人から聞かなくてもこっちで分析して解説するのが役割ではあるんだけど……教えてもらえるのなら、聞いておきたい気もする?


「いなり寿司、ここはお互い、最初に手を明かしておくか? そういう声も聞こえてきてるしな」

「まぁ別に味方相手に隠すつもりもないし、リーダーがそう言うならそれでもいいぞ。俺のオオカミは物理特化型で特性は『牙撃』『爪撃』『斬撃』『鋭爪』『強靭』『大型』になる。属性はなしだ」

「わざわざ言ってもらって悪いな。俺は属性『闇』、特性『牙撃』『爪撃』『斬撃』『強靭』『融合』だ。これ以上は、実際に戦闘で確認しろ」

「あぁ、分かった。いきなりリーダーと当たるとは運が悪いが、可能な限り全力で行かせてもらう!」


 ふむふむ、やっぱりいなり寿司さんのオオカミは特性『大型』持ちか。それにしてはそこまで極端に大きな印象もないけど、まぁそれでもベスタのオオカミより一回りは大きいんだから、やっぱり大きいよな。ベスタのオオカミだって、大型種族の範囲だしさ。


「ベスタ選手といなり寿司選手の属性と特性の構成が明らかとなりましたが、これはどう見ますか!?」

「物理攻撃に使う特性は共通してるし、攻撃の手段自体は似通ってるんじゃないか? ただ、ベスタの方が特性『融合』と属性『闇』がある分だけ、手札が多いかも?」

「……いなり寿司さんの『大型』や『鋭爪』で……威力に差が出る……かも?」

「それぞれに異なる部分で、違った行動が出るかもしれないということですね!」


 大きければその分だけ重くなって、攻撃の威力は上がったりするからなー。純粋な爪での攻撃の威力を比較すれば、いなり寿司さんの方が上回りそうだけど……そう単純に決まるような内容でもないか。

 そもそも今回は『進化の軌跡・侵食』を使うのが前提だし、進化後の状況次第では特性に変化が出るかもしれないんだよな。ルストさんの場合は特性に変化はなかったみたいだけど、あれは木だったからって可能性もある。


「さぁ、それでは第1試合のカウントダウンが開始になりました! だが、両者共にまだ動かないー! カウントダウンが終わってから、下準備が必要となりますので、皆さま少々お待ち下さい!」


 まぁ今回はカウントダウンの終了が対戦のスタートではないからね。さーて、どういう変化があるのか、しっかりと見ていかないとなー!


「まずは『変質進化』をお互いに実行する。いいな?」

「予定通りに進めていけばいいんだな?」

「あぁ、そうだ」


 既に手順は決まっているっぽいから、俺らからは余計な事は――


「ベスタ選手、いなり寿司選手、共に新たな進化の軌跡を取り出したー! 下準備の『変質進化』が開始となるかー!」


 うーん、実況としてはやっぱり言っとかないと駄目な部分なのかも? そういや何気にこの進化の軌跡を実際に見るのは初めてだけど……なんか真珠っぽいものに、黒い液体が滲んで染み込んでいってるようなアイテムだな!? 見た目からして不穏なやつじゃん!


「「『変質進化・侵食』!」」


 ベスタといなり寿司さんの声が重なり、進化が始まっていく。あー、いきなりパラパラとオオカミの体毛が抜け始めた……って、途中から変化の様子が違うんだけど!?


「おぉーっと!? ベスタ選手のオオカミは、少し体毛が抜けたと思えば身体は膨れ上がり、破裂した部分が出来てグロテスクな様相を呈してきたー!? それに対していなり寿司選手のオオカミは体毛が抜け落ちると共に痩せ細って、徐々に身体の肉が消滅していくー!」

「ベスタがゾンビになって、いなり寿司さんがスケルトンに変わってるのか?」

「……どっちになるか……その時次第?」

「それはまだ判断しかねるかと思います!」


 こういう事もあるかもしれないとは少なからず思ってたけど、まさかいきなり全然違う方向性に変わるとはなー。この変化、元の姿に由来するのか、それと風音さんの言ってる通り、その時次第のランダムなのか……そこは謎だね?

 

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大きな流れ自体は同じですが、それ以外はほぼ別物!
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― 新着の感想 ―
[一言] んだね~ 進行と、解説で実況はいらん(笑)
[一言] 対戦に重きを置いてしまうハーレ(笑) 検証の中継は苦手かもしれん(笑)
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