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Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜  作者: 加部川ツトシ
第34章 青の群集との対戦
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第1206話 総力戦の準備完了


 俺らの連結PTでの基本的な動きを決めてから、他の連結PTの動きが決まるまで少し待機。結果としては……どっちの連結PTのリーダーも完全に知らない人か。

 片方は大きなサボテンの人で、もう片方はヒョウの人。軽く見た感じでは、サボテンの人がリーダーの連結PTは荒野エリアが拠点っぽい種族が多めで、ヒョウの人がリーダーの連結PTは草原エリアが拠点っぽい種族が多め。ベスタはヒョウの人のとこにいるんだな。


「なんだか、拠点にしてるエリアによって分散させてる?」

「んー、ザッと見た感じの印象的には、それぞれのエリアの有力な少人数PTの有名どころを連れてきて、そこを中心に据えて組んでる感じだね。他の有力そうな人は、多分あちこちに散ってるんじゃない?」

「あー、そういう感じの組み方か。なるほどなー」


 森林深部の俺ら『グリーズ・リベルテ』や、森林のツキノワさん達の『三日月』みたいに、1PT以内での共同体がそれぞれいる訳か。レナさんは全員知ってるって言ってたけど、共同体の所属をよく見てみれば確かにそういう傾向はあるっぽい。

 ふむふむ、今回は出来るだけ指揮系統が混乱しないようにって構成にしてる感じか。ただ、1エリアからのメンバーに偏らせても駄目だから、交流が少なそうな人同士は同じ連結PTにはならないように調整っぽいね。


「レナさん、実はメンバー選定に関わってたり?」

「今回は特に何も聞かれてないよー? 多分だけど、手伝ったのは灰のサファリ同盟だと思うよ。各支部に伝手がある人が多いしさー」

「……なるほど」

「その上で、人数が欲しい班の選別と、それぞれの参加の意向と、戦力バランスを調整してる感じだね。大規模な共同体はあえて避けてるみたいだし?」

「まぁチラホラといそうなPTがいなかったりするもんなー」

「そうそう、そういう感じ!」


 今回の作戦の中心は灰のサファリ同盟となっているし、あそこならどういう交流があるかはかなり把握してるはず。灰のサファリ同盟自体の強みは、戦力そのものではなく、そういう情報網の部分だ。

 こういう時の戦力になりそうな共同体といえば、オオカミ組とかモンスターズ・サバイバルとか飛翔連隊とか、規模の差はあれど思いつきはする。でも他のグループでの役割もあるし、そっちに回ってるって事はありそう。

 あー、飛翔連隊に限ってはソラさんが対人戦には不参戦だからってのもありそうだね。てか、前回の総力戦の合図がソラさんだったし、今回もそうなってそうな予感。


 おっと、そうやって話してる間にベスタが前に出てきた。みんなそれぞれに情報交換をしていたけど、それも時間切れか。

 他の2つの連結PTの方も話し合いは終わったみたいだし、時間としてももう22時がかなり近くなってきている。総力戦で一気に大人数が動くはずだから、ある程度は時間に余裕を持って移動しておかなければ現地入りで混雑して困る事になりそうだ。


「全員、最低限の話し合いは終わったな? ここで軽くだが、指揮系統の情報交換をしておくぞ。この制圧班自体の総指揮は俺が取るが、細かい指示は各連結PTで決めてもらったリーダーの指揮で動いてもらう。俺が指揮出来る状況ばかりとは限らんからな。そして、便宜的にメンバーの割り振りを行った順に1班、2班、3班と呼ぶ。班単位での動きの変更では名前は呼ばんから、そのつもりでな」

「ほいよっと!」

「おう!」

「了解だ!」


 ここで班の呼び方を決めておくって事は、指示出しの指定に使うんだろうね。分かりやすい合図で動きやすいし、青の群集も即座には対応出来ないだろ。

 まぁ誰がどの班かって分析はされそうな気はするけど、大人数でに戦闘中にそれだけ意識を散らせるなら、それ自体に効果もあるか。指揮系統を分散させているのは、万が一の時にベスタが細かいとこまで指示を出さずに済むようになんだろうな。


「さて、全体での作戦会議といきたいとこだが……今回は、そこまで細かい作戦は考えていない。相手は作戦に長けた青の群集という事もあるから、付け焼き刃で相手の土俵に合わせる気はないからな」


 ここは下手に言葉は挟まずに、ベスタの言葉を聞いていこうか。まぁ青の群集相手に、向こうの得意分野に合わせて動く必要はないよなー!

 むしろ、こっちのペースに巻き込んで、向こうの作戦を台無しにしていく方が正解だ。全てに対応し切れるだけの作戦を準備するのは困難だから、臨機応変には動きにくいという弱い部分を狙うまで!


「だから、意思疎通がしやすく、臨機応変に動けるメンバーという基準で今回は選ばせてもらった。だが、相手も敗因の分析はしているはずだ。……作戦頼りの動きしかしないと、そういう油断はするなよ?」

「まぁそれはそうだよねー! みんな、油断しないで勝ちを取りに行くよー!」

「当たり前だ! おし! それじゃ、吹っ飛ばしていく手順を決めようじゃねぇか!」

「それは1班から順番にだな。順に推進力発生班と手順を決めて、それが終わったら現地入り……正確には、エリア切り替え前の地点まで移動していけ。移動する順番は少しズラしていくぞ」

「あ、あえてズラしていくのか。それは了解っと!」


 まぁ青の群集の人に移動途中の森林エリアで目撃される可能性はあるんだから、その辺はまとまって移動しない方がいいか。54人+αの人数でゾロゾロと動いていたら絶対に目立つもんな!

 いや、総力戦なんだから一気に動くのは俺らだけでもないのか。まぁ実際の戦闘が始まる前に集結はしてない方がいいのは間違いないな。あえて見られるのを想定して別行動になる人達と一緒に移動するのもありだけど……流石にそれは手間がかかり過ぎるか。


 おっと、そうしてる間にゴリラの森守りさんを筆頭に、移動を担ってくれる人達がやってきたね。さて、これが開戦前の最後の打ち合わせだな。


「って事で、1班の吹っ飛ばし手順を決めていくぜ! えーと、1班のリーダーはケイさんだよな?」

「そうだぞ、森守りさん」

「了解だ! おし、それじゃ吹っ飛ばしていく件の手順を説明していくぜ」

「頼むぜ、森守り」

「当たり前だっての! 意地でも守り切ってこいよ、ツキノワ!」

「当然だ!」


 あ、そうか。ツキノワさんも森守りさんも森林エリアが拠点になるんだし、特訓や検証はミヤ・マサの森林でやってたはず。気合いも入って当然……って、ちょっと待った。


「今更言ってもって気はするけど、俺がリーダーで良かったのか? ミヤ・マサの森林での再戦なんだし、ツキノワさんがリーダーをやるのでも――」

「ケイさんでいいんだよ、特に今回は。思い入れがある俺らは、ムキになって判断を見誤る可能性がある。……だから、任せるぜ?」

「……そういう理由なら了解っと。でも、俺の判断が正しいとも限らないからな。ミスっても苦情は受け付けないって事で!」

「任せると決めたからには、そんな文句は言わねぇよ」

「そう言ってくれるとやりやすいな」


 任せられるのは頼られてるって事でありがたいけど、そこで失敗を許されないとなると……流石にキッツいもんなー。でも、そこまで信頼してくれるなら、それには応えないと!

 あー、変に想定外の攻め方をされた時に焦って判断ミスを事もあるにはあるから、そこだけは要注意で――


「ボサっとしてたら、ちゃんと叩き起こすから問題ないかな!」

「……ははっ、そりゃ頼もしいな!」


 何度もそういう時にはサヤに助けられて、なんとか切り抜けてきた。1番は俺がしっかりとしておく事だけど、1人だけでやってるんじゃない実感が出てくるもんだ。俺自身が負けたくないというのもあるけど、それだけじゃないからな!

 おし、気合いは十分! さて、それじゃ総力戦の開始前の最後の仕上げといこうか!


「森守りさん、話の続きを頼む。具体的にどういう手順になるんだ?」

「手順としては、3回に分けて送り込む事になっているぞ。少しタイミングをズラしてになるか」

「全員が一斉に行くわけじゃないの!?」

「まぁそうなる! 1班は最初だからその辺は気にしなくていいが……」

「その分、危険にはなるのかな?」

「そういう事だな! まぁそこまで極端に間を空けるんじゃなくて、少しだけ青の群集の動きを見るってのがリーダーの狙いだ!」

「あー、そういう狙いか……」


 全員で一斉に行くものとばかり思ってたけど、青の群集が俺らが吹っ飛ぶのを想定していて対策を練っていた場合に対処する為か。なるほど、ベスタが俺らと一緒の連結PTにいるものと思ってたのが、実際にはそうならなかったのはそういう理由なんだな。


「ベスタ! 先に吹っ飛んだ俺らが、危険だと判断した場合の対応策は!?」

「可能な限りその場で持ち堪えろ。警戒レベルを上げて、最大限強化した上で強襲を仕掛ける。連絡役はレナに任せているからな」

「要は相変わらずの囮かい! てか、レナさんって今回そういう役目!?」

「およ? 何か想定外があったら可能な限り静かに連絡してこいとは言われてたけど、そこまでは聞いてないよ?」

「そこまで伝えれば、レナには十分だろう?」

「まぁそりゃそうだけど……あ、そっか。わたしだけ独立させて、ケイさん達には戦闘に専念しろって事だね?」

「そういう事だ。2弾、3弾と続けて吹っ飛んでくる事は、青の群集には悟られるなよ?」

「その辺は了解! ケイさん、黙っててごめんね?」

「あー、意図は分かったからその辺は問題なし!」


 事前に教えておいて欲しかったという気持ちもあるにはあるけど、しっかりとした対応策を構築した上でのものじゃないんだ。そもそも俺らが囮になるのは今に始まった事じゃない。

 あー、そうか。敵を騙すにはまず味方からか……。事前にこの青の群集からの動きを想定していたのと、想定していないのとでは、俺らの反応が自然と変わってくるもんな。……しまったな、今のは知らないままで行くべきだったかも。


「まぁその辺は臨機応変に動くから、ケイ達1班は開始早々に突っ込む事を考えてくれ」

「了解っと! ちょっと脱線したけど、森守りさん、続きを頼む!」

「おうよ!」


 聞いておくべきだったのかは怪しい内容だったけど、過ぎてから言っても仕方ない。気になったまま放置するって選択肢もなかったとはいえ、ベスタがあえて言わずにいた可能性を考えておくべきだったよ……。

 うーん、単純に見落としなのか、それとも意図的なものなのか、その辺の判断は難しいもんだね。まぁそこを気にし過ぎるのも今は駄目だ。まだ準備は終わってないんだし、ここからどうやって吹っ飛んでいくかの手順は大事!


「おし、1番大きなとこから決めていくか! アルマースさん、共同体のメンバー以外はあと何人なら乗れる? アルマースさんはスチームエクスプロージョンで吹っ飛ばすのは確定なんだが、その固定用のメンバーは俺らの方で出すと考えてくれ」

「……種族の大きさにもよるが、レナさん、アリスさん、シオカラさん、ディールさん、刹那さん辺りは乗っても問題ねぇな。少し無茶をすれば、富岳さん、モコモコさん、ツキノワさん、黒曜さん辺りもいけるか? 風音さんや、風雷コンビや、ジンベエさんは……小型化しないと厳しいだろうな」

「我らは普通に飛んでいくぞ! なぁ、疾風の!」

「元々、そのつもりだしな! なぁ、迅雷の!」

「……追いつくの……厳しく……ない? ……でも……小型化も……駄目」


 ふむふむ、流石に小型化しない龍を3人乗せて移動はアルを吹っ飛ばすのでも無茶か。固定要員がいるなら岩で足場を広げてって手段も出来なくはないけど、あれは十六夜さんだったからこそ出来た芸当だ。誰でも簡単に真似出来る事ではない。

 でも、風音さんと風雷コンビに後から遅れて来てもらうのも……作戦的に何か違うしな。ベスタが人選したんだから、その辺の対応策は考えてるはず。


「まぁいくら龍でも、そのままじゃ厳しいだろうな! 龍3人については、小型種族で岩の操作と、強風の操作の同時運用で加速させる予定なんだが……いけるか?」

「それくらい、なんでもないわ! なぁ、疾風の!」

「どうせなら、俺らで何人か運ぶか! なぁ、迅雷の!」

「……多分……大丈夫?」

「おし、それなら龍3人は加速の方向で! あー、ちなみにマジで乗せられる? それなら、ジンベエさんとアルマースさんに分けて乗ってもらうつもりだったのが簡略化出来そうなんだが?」

「……クマくらい……までなら……いけると……思う」

「では、『三日月』のクマ2人を運ぼうではないか! なぁ、疾風の!」

「どっちも同じ条件の方が、やりやすいしな! なぁ、迅雷の!」

「それなら、ツキノワさんと黒曜さんは風雷コンビで頼むわ! それで、風音さんはどうする?」

「……どうしよう?」


 なんだか龍3人が運び役として成立していってるけど、クマも運べるのか、風雷コンビ! あー、でもサヤの小さな竜でもクマを持ち上げられるんだから、成熟体で大きくなった龍ならクマくらいまでならなんとかなるのか。

 それにしても、強風の操作で飛ぶ速度自体を加速かー。風に乗って飛ぶのか、風を受けて飛ぶのか、どっちなんだろ? オフライン版の飛行種族なら風に乗って高くまで飛べたりもしたから、前者の方かもなー。


「そういう事なら風音さん、俺を乗せちゃくれねぇか? 知り合いも少ないだろうし、全く知らない相手よりは1戦交えた俺の方がいくらかマシだろ?」

「……それはそう……富岳さん……よろしく」

「おう、よろしく頼むぜ!」

「おし、これで龍3人と、その背中で3人の運搬は確定だな! ……あー、ジンベエさん、どうするよ?」

「……俺は特に必要なさそうな状況になってきたな。アルマース、俺はクジラにぶら下がっておくのはありか? 根で抱えてもらえりゃ、それで残り全員は運べるぜ?」

「根の操作を使うくらいなら、それほど負担にはならないからいけそうだな。森守りさん、それだとどうだ?」

「ありっちゃありだな! 元々ジンベエさんは固定役にもなれるって事でもあったから、ジンベエさんのサンゴの中に何人かと、アルマースさんの上に何人かで分かれて乗ればいけるな!」

「それならアルマース殿達はいつも通りで、拙者達がジンベエ殿のサンゴの中が良さそうである!」

「そだねー。変にアルマースさんの上が大人数になるよりはその方が良さそうだし、この形ならわたし達が下への警戒も同時に出来るからありかも?」

「それじゃ、私とモコモコとシオカラと、レナさんとディールさんと刹那さんがジンベエさんの方で決定!」

「「おー!」」

「それが無難っぽいし、賛成だぜ!」


 なんだか変則的な形にはなるけど、それでも移動の手順はこれで確定だね。というか、元々スチームエクスプロージョンを使って移動しようって事自体が無茶な話か。まぁ何度もやってる俺らが言う事でもないけど。


「おし、吹っ飛ばす手段はそれで決定だな! 全部が決まったら人員を回すから、1班の人達は先に移動しててくれ!」

「ほいよっと! それじゃみんな、森林エリアに向けて出発するぞ!」

「「「「おー!」」」」

「……うん!」

「必ず、ミヤ・マサの森林を守り抜くぞ!」

「「「「おー!」」」」

「さぁ、暴れようではないか! なぁ、疾風の!」

「ウズウズしてきたぜ! なぁ、迅雷の!」

「やるからには全力でいくぜ、ディール」

「当然だっての、富岳!」

「さー、頑張ってやっていこー! 現地入りは開始してからになるから、そこは要注意ねー!」


 その俺の掛け声に合わせて、みんなの気合いの入った声が聞こえてくる。さーて、地味に今はまだミヤ・マサの森林の中までは入れないけど、その手前で待機だな。

 そこまでいけば、あとは開始の時間を待つばかり。青の群集との総力戦、頑張っていきますか!


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大きな流れ自体は同じですが、それ以外はほぼ別物!
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