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Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜  作者: 加部川ツトシ
第34章 青の群集との対戦

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第1193話 予定の決定


 今日の夜に青の群集との総力戦を、時間はまだ未定だけど明日には全群集での総力戦に決定。その上で何かを企んでいるっぽい無所属を相手にする事になれば共闘をという事にもなった。

 無所属にとっては全群集が共闘してくるのは理不尽なのかもしれないけど……まぁ傭兵にはならずにどこの味方にも付かず、乱入して大暴れするという手段を選んだんだ。全ての群集へ敵対という道を選んだのだから、その辺は覚悟の上だよな。


「さて、それでは総力戦の日程を詰めていきましょうか。平日になりますし、流石にここは夜で構いませんよね?」

「赤の群集としても、そこは異論はねぇよ。希望としては21時開始ってとこか」

「灰の群集の希望としても、その辺りの時間だな。それ以上の前だと食事時に被る奴が増えてくるし、それより後となると日付が変わるまでに終わらない可能性が出てくるからな。連日、22時って訳にもいかん」

「なるほど。他に何か意見がある方はいらっしゃいますか?」


 ふむふむ、確かに俺らグリーズ・リベルテでも夜に動き始められるのは食事の時間の都合で20時過ぎにはなるもんな。全ての人に都合がいい時間設定には出来ないけど、色んな人の都合を考えると無難なのはその時間帯か。

 群集拠点種で刻んでもらえる……灰の群集の場合は灰の刻印の効果時間は2時間だし、21時から開始で遅くとも23時終了のつもりなら無茶でもない時間設定だよな。ある程度の事前調査さえ終わっていれば、2時間もあれば決着まで一気に動くのは今までのパターンから経験済み! ……青の群集のサバンナが遅かったのは、単純に士気が低過ぎたんだろうなー。


「……他には意見はなさそうですし、21時に開始という事にいたしましょう。開始の合図は……流石に無茶ですね?」

「ただでさえ見通しが悪いエリアな上に、広いエリアだからな。音の響く峡谷エリアじゃあるまいし、共通の合図は難しいだろうが……」

「ん? ベスタさん、なんで俺を見てんの?」

「……赤のサファリ同盟なら、非参戦の奴も多かったな? 安全圏の逆側から回り込むだけの戦力もあるはずだが……」


 あー、確かにルストさんを筆頭に他にも競争クエストには参戦してない実力者は何人もいるもんな。カバのディーさんや龍や桜の木の蒼華さん辺りは非参戦っぽいよね。

 確かラピスさん……正式にはラピスラズリさんだったっけ。まぁそのケツァルコアトルのラピスさんは参戦してそうな気もするけど、未確認なんだよなー。他に思い当たる赤のサファリ同盟の人の名前は思い浮かばないけど、全員を知ってる訳でもないしね。


「あー、合図役は俺らのとこの非参戦者に頼みたいって話で合ってる? 場所的には安全圏の外側から?」

「簡潔にまとめるとそうなるな。ただ、具体的な内訳が分からんから――」

「おし、そういう事なら頼んでみるぜ! ルストさんは弥生さんに頼み込めば問題ねぇし、蒼華さんはこの手の話には普通に乗ってきてくれるはずだよなー! 2人動けば、こういうのを面倒がるディーさんも仕方なく動き出すし――」

「フラム、それ以上は黙れ! 誰が非参戦かをわざわざ今明かすな!」

「おわっ!? あ、すまん、ルアーさん! やっべ、危なかったー!」


 ちっ、もう少し喋ってくれれば非参戦な人……というより、参戦してる人の情報が出てきたかもしれないのに、流石にルアーさんがそれを防いだか。

 知ってる名前ばっかり出てきたけど、どうせなら知らない名前が出てくれば助かったのになー。ルストさんが参戦しないのとか、元々分かりきってた事だしさ。


「ベスタさん、赤のサファリ同盟の方々に合図をお願いするという案自体には賛成なのですが……情報漏洩の心配はなさらないので?」

「ふん、あの弥生がそれを望むと思うのか?」

「……それは確かに。今の質問は愚問でしたね……」

「そう思うのは自由だが、足を掬われる結果になっても知らんぞ?」

「だったら逆に聞こうか。ウィル、弥生を本当の意味で制御し切れるのか?」

「…………」


 ベスタの問いには、ウィルさんは何も答えないか。まぁ弥生さん自身が、自分自身を制御し切れてないんだもんな。かといって、抑えられるシュウさんは弥生さんの意志を尊重する形でしか動かない。

 ウィルさんの作戦と弥生さんの意思が合致して、初めて作戦の中に組み込めるんだもんな。臨機応変で動く中に、弥生さんとシュウさんは不確定要素が大き過ぎる存在だ。


「まぁそこの答えは別に求めちゃいない。次の動きは……大体の予想は付いてるしな」

「あー、そういや弥生さんはケイをぶっ倒すって……って、やばっ!?」

「……やっぱりそうくるよなー」


 俺らだって全群集での総力戦では、赤の群集には勝つつもりでいるし、青の群集にやられた横取りもやり返すつもりでもいる。でも、同じように思っているのは俺らだけじゃないか。

 群集としての勝敗は赤の群集の勝ちだったけど、弥生さんとシュウさん相手では俺らが勝った。だから、そこのリベンジを狙ってくるのは不自然でもなんでもない。


「聞かなかった事にしてくれ、ケイ!」

「いや、それはどう考えても無理だから」


 この辺は簡単に予想出来る内容だけどさー。ウィルさんとしては俺らの足止めになるけど、作戦の一環としては考えてなさそうだよね。仕掛けるとしたら……いや、弥生さんが動く時に下手な手出しをするのは危険か。


「そこをなんとか!」

「……対策を立てずに、大人しく倒されろって?」

「いやー、そうなってくれると助かるけど……駄目?」

「よし、今すぐお前はここでぶっ殺――」

「ケイ、それはダメかな!?」

「離せ、サヤ!」


 くっ、サヤにロブスターの両方のハサミを抑え込まれた!? 強引に振り払って……いや、いくらなんでもサヤ相手に、こんな状況でそういう真似をする訳にも――


「あっはっは! ……おい、フラムさんとやら」

「……斬雨?」

「えーと、なんだ? てか、タチウオの刃をなんで俺に向けるんだよ!?」


 ん? なんか斬雨さんがフラムに斬りかかる寸前みたいになってるけど……理由は知らないけど、そのまま殺っちまえ! 


「ネコ夫婦に伝えとけ。……俺らの獲物を横取りするんじゃねぇってよ」

「獲物って俺の事かい!?」

「ふふっ、言いましたね、斬雨。えぇ、確かにその伝言はお願いしますよ? 前回は仕留め損ないましたが、次は必ず仕留めますので」

「おー、なんか大変だな、ケイ! おっし、伝えるだけは伝えとくぜ!」

「この変な空気はお前のせいだけどな!?」


 何この斬雨さんとジェイさんの方から感じる殺気!? てか、全群集での総力戦で、俺って思いっきり狙われるのが確定じゃん!? いや、それは今更な話かー。


「お前ら……共闘の件は忘れるなよ?」

「えぇ、分かっていますよ、ベスタさん。……そんなものは、瞬殺して終わらせるだけですので」

「あー、弥生さんは邪魔されたらブチ切れそうだなー」

「……まぁ、忘れてさえいなければそれでいい」


 それでサラッと流すのか、ベスタ!? 明日の全群集での総力戦、すごい嫌な予感がするんだけど……これはどう立ち回るか、戻ったらみんなとしっかり作戦を立てておかなければ危険な気がする!?


「ジェイ、斬雨、その辺にしておけ」

「おう。伝える事は伝えたしな!」

「えぇ、そうですね。さて、それでは話を戻しましょうか」


 ジャックさんの呼びかけで緊迫した状況は普通に戻ったけど……あぁ、そうか。ここまで明確に獲物と宣言されたなら、むしろジェイさんと斬雨さんコンビと、シュウさんと弥生さんをぶつける方がいいのか?

 どっちも俺狙いなんだし潰し合ってもらう方向性で……いや、待て。弥生さんの方はほぼ間違いない気はするけど、ジェイさんはどうなんだ? 予め作戦を用意してくるのがジェイさんのやり方なんだし、もう既に行動を誘導する為にそういう風に振る舞っているという可能性も――


「ケイ、落ち着いてかな。色々と考えるのは今じゃないよ」

「……それもそうだな」


 小声でサヤが言ってきたけど……落ち着け、俺! フラムが余計な事を口走ったからこそ起こった事態だし、無警戒でいる訳にもいかないけど、常に警戒しっぱなしもそれはそれで駄目だ。

 どっちにしても全群集での総力戦は明日の21時からだし、共闘の条件は無所属が今日は動きを見せずに明日になって大々的に動いた場合。共闘について考えるのは、明日でも遅くはない。


「そんで、俺は結局、みんなに合図を頼んだらいいのか?」

「……ここは赤のサファリ同盟を信じるとしましょうか。構いませんか、ジャック?」

「赤のサファリ同盟には中立地点で色々と世話にもなってるからな。あそこで信用出来んというのであれば、誰にも任せられん。無所属が中立になり得ない状況だから、頼めるとしたらマイペース集団かつ素性のはっきりしたあそこだけだろうよ」


 うーん、確かにそこはジャックさんの言う通りか。無所属が傭兵や乱入として参戦していないのなら、無所属に頼めた役割なんだろうけどなー。総力戦として動き始めの時間を同時にするなら、その合図は必須。

 こうやって日程を決めるだけでも、これだけ有利を取る為に情報戦が発生してるんだから尚更に開始の見届け役は必要だもんな。……流石にフライングはしないとは思うけど、無用なトラブル防止の為にはこの方がいい。


 ベスタが提案した事だし、俺としては異論はない。サヤも特に何も言わなさそうだし、ルアーもウィルさんも反対する気はなさそうだ。


「という事ですので、フラムさん、開始の合図の件を赤のサファリ同盟へ依頼してもよろしいでしょうか?」

「おう! まぁとりあえず聞くだけ聞いてみるわ!」

「フラム、その件は俺が後で一緒に行って、結果はベスタとジャックに伝える事にするぞ。ウィル、今回は任せてくれ」

「……俺が変に関わると、妙な疑いがかかりそうだしな。任せるぞ、ルアー」


 あくまでフラムは赤の群集としての代表の一員としてこの場に来ていても、赤のサファリ同盟での決定権は持ってないから、伝言を頼むまでが精一杯か。決めるのはリーダーである弥生さんや、実際に動く事になる非参戦の人達。

 この辺の役目を頼めるのは、中立地点での抑止力として動いている実績があるからなんだろうね。最近は雪山の中立地点には行ってないけど、競争クエストが終わったらちょっと様子を見に行くのもありかも? シュウさんとの検証の続きの約束もあるしね。


「では、そちらの連絡が来た時点で開始の合図の有無は考えましょうか。断られた場合は……定刻通りに開始という事で構いませんか?」

「あぁ、灰の群集はそれで問題ない」

「青の群集も同意しよう」

「赤の群集も同じくだ」


 これでベスタ、ジャックさん、ルアーの3人の代表の同意が得られたから、内容は確定! さーて、これで決めるべき事はほぼ決まったね。後は、確定を保留にしていた――


「おし、これで終わりだな! それじゃすぐにでも――」

「待て、フラム!」

「なんだよ、ウィルさん? 聞くのは早い方がいいだろ? 他の群集の安全圏の中じゃ、フレンドコールは使えないっぽいしさ」

「……いや、そもそも今は赤のサファリ同盟はバラバラに行動中じゃねぇのか?」

「ん? まぁそうだけど、そこは弥生さんにでも呼びかけてもらえばいいだけじゃん?」

「……その間、ここにいる全員待たせる気か? 赤のサファリ同盟にすぐに決めろと急かすのか? ルアーが何の為に後から連絡って形にしたのか、少しは考えてくれ……」

「あー、言われてみればそうなるのか! すまん、すまん!」

「……はぁ」


 思いっきりウィルさんがため息を吐いてるけど、その気持ちは分かる! やる気自体はあるのは分かるんだけど、いちいち余計な事をし過ぎなんだよ、フラムは!

 自分の裁量内で全てが完結する場合なら問題はないけど、他の人を巻き込む場合には相当迷惑! あー、だから不動種としては成功はしてるのか。行動力自体はあるもんな、こいつ。


「……私からも1つ。終わりなら終わりと宣言しますので、それが終わってからにしていただけますか? まだ完全には終わっていないのですし、保留になっている案件もありますからね」

「あ、そういやそうだったぜ! いやー、すまん!」

「……はぁ、まぁいいでしょう。ベスタさん、保留になっていた青の群集との総力戦の日程の確定は、先ほど協議したものでよろしいでしょうか?」

「あぁ、問題ない。それで確定してくれ」

「了解いたしました。それでは青の群集と灰の群集での総力戦は、本日の22時より開始。全群集での総力戦は、明日の21時より開始という事で決定とします。各群集での通達はお忘れなきよう、お願いします。ただし、大幅にこの協議を無視するような行動が確認出来た場合については、破棄するものとします」


 なんか最後に付け足されたけど、まぁお互いに守ってこその協議だしな。それを明確に無視するような事があれば……こちらも守る必要はない。

 でも、必ず全員がこの協議で決まった通りに動く訳じゃないから、あくまで『大幅に』という条件付きかー。この辺はシステムで決められたものじゃなくて、ユーザー同士で勝手に決めてる事だからどうしようもないけどさ。


「以上で、今回の協議は終了とさせていただきます。……全力で叩き潰しに動きますので、覚悟しておいてください。それでは解散!」


 最後に盛大に挑発を入れてきたけど、それはこっちの台詞だっての! あえて声には出さなかったけど、負ける気で挑む気はない! 他のみんなも、ジェイさんからの挑発はスルーなんだな。まぁどこも負ける気は無いのは同じか。


 色々とあった協議だったけど、ようやく終了だな。さーて、それじゃアル達のとこに戻って、特訓の続きでもやっていくかー。あ、その前に群集のみんなにこの内容を伝えないといけないな。


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大きな流れ自体は同じですが、それ以外はほぼ別物!
ケイ以外の視点での外伝も収録!

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― 新着の感想 ―
[一言] 全員に、フラムに対してのケイの態度の今がわかってしまった(笑)
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