第1178話 毒魔法の強化 その2
ヨッシさんの毒魔法をスキル強化の実でLv8に上げて、その効果を確認し終えた。という事で、次々とやっていこう!
「ヨッシ! 次はLv9をやるのです! もうLv8の確認はいいよね!?」
「とりあえずは、基本的な性能と応用方法が分かったからいいんじゃねぇか? まぁヨッシさん次第だが……」
「……試してみたい事が他にもあるにはあるんだけど、まぁそれは後で――」
「試したい事があったの!? だったら、そっちが先なのさー!」
「そうかな! 変に気を遣って後回しはなしかな!」
「……準備が……必要? ……そうじゃないなら……今やろう? ……敵もまだ……生きてるし」
「だそうだぞ、ヨッシさん」
「俺だって思いつきに付き合ってもらったし、試したい事があるなら遠慮はするなよー!」
「……あはは、それもそうだね。それじゃハーレ、少し手伝ってもらっていい?」
「おぉ、私なんだ! お任せなのさー!」
ほほう、ヨッシさんの試したい事はハーレさんの手伝いが必要な内容なんだな。という事は、投擲関係に絡めて使おうって感じか!
その方向性でどういう手段があるかを考えて……いや、今回は推測せずにヨッシさんに任せておこうっと。ヨッシさんがどういう事をやろうとしてるのか、純粋に気になるしね。
「それで私は何をすればいいですか!?」
「えっと、投擲用の弾を色々と出してみてくれない? 土の操作に重ねられるなら、投擲用の弾に『ポイズンマイン』が設置出来そうな気がしてるんだよね」
「おぉ!? 確かにその可能性はありそうなのです! そういう事なら、色々と出していくねー!」
「うん、お願い」
なるほど、投擲用の弾に毒の地雷を仕込もうって目論みか! 『ポイズンマイン』の効果範囲の部分が気になりはするけど、上手くいけばハーレさんの投擲にヨッシさんの強力な毒を乗せられる。
さっきの俺の土の操作と合わせるよりは、圧倒的に使い勝手は良さそうな気がするね。ハーレさんがインベントリから色々と出してるけど、毒を仕込める可能性がありそうなのは、泥団子や砂辺りか?
木の実は……元々毒ありの実があるからなんとも言えない気がする。氷柱や竹は流石に厳しそう? 石はどうなんだろうなー? 花粉の弾は……うん、分からん!
「とりあえず、使いそうなものはこのくらいです!」
「……こうして見てみると、弾の種類も結構あるもんだな」
「ふっふっふ、そうなのです、ケイさん! 1番使うのは小石だけど!」
「あー、まぁそこは知ってる」
次点でみんなから魔法を貰っての魔法弾か、砂ってとこか? 色々と弾を持ってる事自体は知ってるけど、意外とそんなに使わないんだよなー。まぁ使い所が難しいってのもあるんだろうけどさ。
「出してくれてありがとね、ハーレ。この中で使えるのがあればいいんだけど……『ポイズンマイン』!」
さて、どうなるか? ハーレさんの持ち物だから効果対象外として弾かれる可能性もあるけど、その辺はどうなんだろうな? そこも含めての実験だと考えればいいか。
「あ、砂と泥団子と氷柱がいけるみたい! ちょっとそれぞれに使ってみるね!」
「はーい! それ以外は片付けちゃうねー!」
「……出来るんだ! ……とりあえず……的の準備。……『アースクリエイト』『岩の操作』」
おぉ、風音さんが捕まえたままの神経毒を受けたイタチが、今度は岩で固められていってる。流石に神経毒は長くは続かないからもう回復はしてるけど、ダメージはそこそこ入ってる状況。
風音さんがイタチを持ったままでもいいんだろうけど、本格的に的にするならこの方がいいかもね。あ、そうしてる間にマップに『ポイズンマイン』の設置した状況が映し出された。
「この設置した『ポイズンマイン』がマップに表示されるのは地味にありがたいもんだなー」
「ケイさん、その件なんですけど、少しいいですか?」
「ん? フーリエさん、何か問題があったか?」
「問題というか……何が見えてるのか、僕には分からないんですけど……」
「はい!? あ、もしかしてこれってPTメンバーまでしか見えないとかそういうやつか!? 他の人はどうだ!?」
あ、シリウスさんも、フェルスさん達も首を振って否定してる。いや、スイカのミドリさんだけは首を振ってるのかは分からないけど、まぁ身振りで否定してるってのは分かったけども。
「……そこは地味に俺らだけじゃ分からなかった部分だな。ケイ、折角だから今のうちにフーリエさん達と連結PTにしたら見えるようになるかを試しておくのはどうだ?」
「あー、それは確かにありだな! フーリエさん達、ちょっと手伝ってもらっていいか?」
「はい! もちろんです!」
「なんというか……活き活きとしてるよな、フーリエ」
「まさかの手伝いチャンスが来たっすよ!?」
「もちろんやるしかねぇよなぁ!」
「だよね! 検証勢の検証に混ざれるぞー!」
フーリエさんの反応は予想の範囲内だけど、フェルスさん達は妙にハイテンションだな!? これってそんなにテンションが上がるような内容か? まぁそこは別に悪い事でもないし、むしろありがたい事だけどさ。
「えっと、今は僕がPTリーダーですね!」
「ほいよっと!」
俺らの方のPTは……あぁ、俺がPTリーダーか。だったら、すぐにフーリエさんにPT連結の申請を送れば問題ないな。
<フーリエ様のPTと連結しました>
よし、これで連結PTにはなった。この状況でヨッシさんの『ポイズンマイン』の設置状況がどう見えるのかが重要なとこだね。
「みんな、マップの感じはどう?」
「おぉ! 確かに罠の位置と、その毒の種類が表示になったっす!」
「えっと、泥団子が微毒、砂が麻痺毒、氷柱が神経毒って表示だね!」
「連結PTになったら、しっかり分かるぜ!」
「ケイさん達のマップにはこんな風に表示されてたんですね! 話に出てからどうなってるんだろって気になってました!」
「だよなー。フーリエもそのうち、取ってみたらどうだ? 泥団子辺りなら俺が上から投下とか出来そうだぞ?」
「それはいいね、シリウス! あ、でも魔法は全然強くない……」
「あー、そういやそうか……」
うーん、フーリエさんはヨッシさんとは違って物理毒の方に寄ってるからなー。その辺は師匠として何かアドバイスをしてみるべきか?
とはいえ、物理毒の使い方ってあんまり知らないだよなぁ……。まだ内容は確認出来てないけど毒魔法Lv10で固有の強化があるのなら、物理毒の方にも何らかの強化はある可能性は高いはず。断言は出来ないけど、目安くらいにはなるはず!
「フーリエさん、どれか1つの物理毒をLv10にするのを目指すのはどうだ? 物理攻撃用のスキルをLv10にしたら、共通した固有の強化スキルがあるから、同じようなものがある可能性はあるぞ?」
「あ、それはまとめで見ました! 『行動値還元Ⅰ』ってやつですよね!」
「そう、それ! 同じような法則性で物理毒の固有強化を狙ってみるのもありだぞ?」
「……スキル強化の種がまだ足りないですけど、その方向でちょっと考えてみます! ケイさんがある可能性があるって言うなら、ありそうな気がしてきました!」
「確実にあるとは断言は出来ないけど……頑張れよ、フーリエさん!」
「はい! その辺は地味に悩んでて、機会があれば相談しようと思ってたので丁度良かったです!」
「あー、そうだったのか」
そっか、フーリエさんなりに色々と考えてて、方針のアドバイスが欲しかったとこなんだな。今日、ここで会ったのはただの偶然だったけど、悩んでた事があってその参考になったのなら良かったよ。
「あー、ケイさん、フーリエさん? そろそろ進めてもいいか?」
「あ、悪い! 今のアドバイスは後にしとけばよかったか……」
「すみません、脱線になっちゃいましたね!? 進めてもらって大丈夫です!」
今の本題はヨッシさんの毒魔法の検証なんだから、それが済んでからにすべきだったね。ここは俺の順番の判断ミスだから、少し反省……。
「それじゃ再開なのさー! ヨッシ、どうすればいいですか!?」
「とりあえず、ダメージがあまり出ないように神経毒の氷柱を投げてもらえる?」
「はーい! それじゃLv1で……『投擲』!」
今頃になってLv1の投擲を見る事になるとは思ってなかったけど、命中精度が普段よりも荒いな。イタチから少しズレて、風音さんが生成してるイタチの拘束用の岩に当たったよ。
爆発はしなかったから、不発っぽいなー。あー、不発でも投げてしまえば弾は消滅してしまったか。それと同時に『ポイズンマイン』の1つも消滅なんだな。
「この距離で外したのさー!? えー!? なんでー!?」
「毒がある分だけ、精度は要求されるのかも?」
「あぅ!? その可能性はありそうなのです!」
「強力になる分だけ、要求も高くなるって事か。てか、今回は毒の操作はなくてもいけるんだな?」
「どうもそうみたいだね。ケイさんには悪いけど、こっちの方が使い勝手は良さそうかも!」
「ですよねー。それは俺も思うわ!」
2人揃って土の操作と毒の操作の同時使用が必須よりも、明らかに今の方が使い勝手は雲泥の差だ! まぁあっちはあっちで、場合によっては使える時もあるだろうけど……。
「今度は最大限まで精度を上げていくのです! 泥団子で『狙撃』!」
最大限って事はLv10で狙撃を発動か! 相当速い弾速でイタチに泥団子が当たって……一気にイタチのHPを残り2割くらいまで削ったんだけど!?
今のハーレさんは魔力集中を発動してないのに、相当な威力だな!? 毒を含んだ泥団子も着弾すると同時に爆発して、そのダメージの影響もあったっぽいけどね。
微毒もしっかり入ってるけど、なんだか毒魔法の割には毒以外のダメージが大きい気がする。でも、微毒は継続ダメージが主だから、今の段階で判断は早いか。
「……これ、トキシシティ・ブーストで毒性を強める事は出来るのかな?」
「それは多分出来ると思うよ。ただ、それを試すのはもう無理そう……?」
「……次は……耐えられそうに……ないね」
「確かになー」
もう後少しで死にそうな状況のイタチだし、微毒でもヨッシさんの毒性自体が強いから相当な勢いでHPが減っていっている。トキシシティ・ブーストで毒性を強化した1撃の威力を確認出来るだけのHPは残ってないか。
「それじゃ最後にこれをやってみるのさー! 砂を使って『散弾投擲』!」
「あ、砂の1粒ずつが爆発するんだね? 1発ずつの威力自体は控えめな感じ?」
「でも、しっかりと麻痺毒は入ってるかな!」
「……流石に死んだね?」
「そこは仕方ないのです!」
イタチは今ので完全に死んだけど、これは面白い結果だな! へぇ、こういう形で効果が出るなら、敵の数が多い時に麻痺毒や神経毒をばら撒くのに使えそう。狙撃よりも遠距離が狙える貫通狙撃と組み合わせて、遠距離から動きを封じるって手もあるな!
後はゾンビなトカゲと戦った時のハーレさんと俺の連携の中に、ヨッシさんの毒を組み込むのもありか。ふっふっふ、色んな組み合わせが思い浮かんできて楽しくなってきた!
「これで私が試したかった事は終わりだね。なんか色々応用方法はありそうだけど、そこは他の毒魔法の情報が出揃ってからで!」
「だなー! さて、毒魔法Lv9はどんな魔法だろうなー?」
「ここは普通に耐性低下の効果じゃねぇか?」
「アルさん、それは多分ないのです! トキシシティ・ブーストを敵に使う場合が既に耐性低下なのさー!」
「……そういやそうだったか。だとすると、どんな効果かは未知数だな」
「傾向的には補助的な魔法になる気がするかな?」
「……攻撃用と……補助用と……交互に取得が多い。……樹木魔法と……草花魔法は違う……みたいだけど」
そこはまさしく風音さんの言う通りではある。でも、これまでの傾向としては毒魔法は攻撃用と補助用が交互に出てきているパターンだからなー。実際に取得してみないと分からないけど、どんな魔法になるのやら……。
「それじゃ毒魔法Lv9に上げるね?」
効果が予想出来ないから、みんなが言葉を発さずにヨッシさんがスキル強化の実を使っていくのを見守っていく。なんだか緊張の瞬間だなー。
「無事に毒魔法Lv9にはなったけど……これって、どうなんだろ? また敵が必要かも?」
「……それなら……また捕まえてくる」
「風音さん、お願い! 多分、これは対象がいないと分からなさそう!」
ふむふむ、多分ヨッシさんはすぐにスキルの説明欄を見たんだろうけど、その内容的に敵がいないと駄目っぽいね。やっぱり順番的に補助的なスキルだったみたいだな。
「ヨッシ、どんな名前の魔法なのかな?」
「えっと、『トキシシティ・エクステンション』って魔法で、次に使う毒の効果時間を伸ばす効果みたい? 流石にLv9の魔法なだけあって、効果時間が4倍になるんだって」
「地味にエゲツない効果なのさー!?」
「そうきたかー!」
「なるほど、そういう感じでの補助効果か」
うわー、毒は基本的に時間経過での効果時間切れか、抗毒魔法で防ぐくらいしか……あ、全然使わないどころか持ってすらいないけど、状態異常の耐性を一時的に上げるスキルや解毒用のスキルもあったっけ。
毒魔法がこれだけ強力になるのなら、その辺の対抗手段も本格的に用意した方がいいのかも? うーん、まぁ具体的にどうするかは後で考えるかー。
「ヨッシさん、敵が必要なのはどれくらい効果時間が伸びるかの確認の為か?」
「うん、そうなるね。麻痺毒や神経毒の効果時間を伸ばせられたら、かなり便利になるしさ」
「まぁそれは確かになー!」
それにしても、毒魔法は恐ろしいな!? 今は味方のヨッシさんが強化してる状況だから頼もしいけど、敵に回すと相当厄介だぞ!
こうなってくると、現状ではヨッシさんの抗毒魔法って毒持ちの敵に対しての最大級の防御手段なのかも。毒の応用魔法スキルが、毒用の防御魔法になってる理由がよーく分かったよ!
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