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Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜  作者: 加部川ツトシ
第31章 2回目の競争クエスト

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第1086話 まずはハチの討伐から


 まさかの共生進化のボスだとは思わなかったけど、巨大なカメがジャングルでのボスだった。多分、『旗頭』という特性を持ってる方がボスなはず。

 でも、その前に共生相手であるハチを倒さないと、非常に厄介な事になってるっぽいもんな! ともかくみんなでやってる水責めで、カメの甲羅の中にいるハチを溺死させるか、引っ張り出すまで! さて、これでどこから出てくるか……。


「あっ! ケイさん、こっちからハチが出てきてるのが見えたよ!」

「ヨッシさんの方か! カメから離れられないはずだし、出てくる瞬間に氷で固めるのはいけるか!?」

「やってみるね! あっ、このハチ、素早いよ!?」


 ちっ、ハチが出てきたと思ったら、巨大なカメの甲羅の上をかなりの速度で駆け回ってる。……こうして見ると、ハチって羽があるデカいアリだな。って、そんな感想はどうでもいい。


「ヨッシさん、風音さん、多分戻る事は無いとは思うけど穴は封鎖! このままハチはカメの甲羅の表面から逃がさん!」

「了解!」

「……分かった!」


 俺ら以外の部分は元々塞いでおく手順だし、強引に塞げないように固定していた穴はただ氷塊か岩で固めて閉じてしまえばいい。俺も自分の担当分は、カメが閉じようとしていた部分は避けて岩を追加生成して封鎖!

 これで岩の操作には無駄な負荷もかからないし、ハチが戻る場所は無くす事には成功。さーて、次はハチの討伐といきますか!


「アル、海水で閉じ込めろ!」

「おう! 『シーウォータークリエイト』『海水の操作』! 逃がさねぇぞ!」


 流石にハチも海水には弱いみたいで、思いっきり逃げ回ってる。……そういやヨッシさんのハチも、初めて海に行った時に海水だと相当危なかったような覚えがあるね。まぁ海水が平気って陸地の生物も少ないか。


「おらぁ! おし、捕まえたぞ!」

「ナイス! アル、そのまま逃すなよ! サヤ、ハーレさん、全力での攻撃準備!」

「ここで逃してたまるかってんだ! 攻撃に合わせて海水は避けるから、全力でこい!」

「分かった! ハーレ、私が突っ込むからフォローを任せたかな! 『魔力集中』『アースクリエイト』『操作属性付与』『連閃・土』!」

「了解なのさー! 『魔力集中』『連速投擲』!」


 おぉ、アルがサヤの茶色の混ざった銀光を放つ爪で斬りつける時に上手く海水を離して、サヤが1撃を入れた後にハーレさんが銀光を放つ投擲を叩き込み、そして再びアルが海水の中に閉じ込めていってる。3人ともナイス連携!

 サヤもハーレさんもLv3で発動してるみたいだし、思ったほどこのハチ自体は強くはなさそうだ。引っ張り出すまでが厄介なだけで、引っ張り出してしまえばそれほど……って、なんか盛大な爆発音がした!?

 え、これってスチームエクスプロージョンか? 近くで誘き寄せられてるハチを始末する為に誰かが使った?


「おい、ケイ!? なんか東の方から吹っ飛んできてんぞ!?」

「げっ!? 赤いカニと緑の銀光を放ってるタチウオって、斬雨さんとジェイさんかよ!?」


 あの2人がわざと負けて安全圏に戻っていったとは聞いたけど、ここでそう狙ってくるのかよ! 魔法砲撃にしたスチームエクスプロージョンを推進力にして吹っ飛んでくるとか、俺らがサクヤを追い抜いた時の手段そのままだよなー!


 うげっ!? 周りを見てみたら、あちこちとんでもない数のハチがいるじゃん!? それを薙ぎ倒しながら進んできてるのか。この距離からじゃ銀光の方が強くて分かりにくいけど、白の刻印:守護でキャンセル防止を使ってそうだ。

 しかもジェイさんはコケの土台側を蝶からカニへと変えてきたのか。しかもスチームエクスプロージョンが使えるって事は、水の昇華も得てるっぽいな。……いや、本当にそうか? そんな分かりやすい事をジェイさんがする? 何か、妙な違和感があるぞ……?


「ケイ、どうするのかな!?」

「サヤ達はそのままハチの撃破に集中してくれ! アル、そっちの指揮は任せた!」

「おうよ! サヤ、ハーレさん、仕留めるまで休みなしでいくぞ!」

「了解なのさー! 私はチャージに入るので、その間はよろしくなのです! 『アースクリエイト』『爆散投擲』!」

「その間は引き受けるかな! 『爪刃双閃舞・土』!」


 よし、とりあえずハチヘの対処はこれでいい。ハチのサイズはリアルのハチよりは格段に大きいとはいえ、決して大型ではないからね。人数で押せばいいって訳じゃないから、今はこれでいい。攻撃の手が足りなくなったら、アルの判断に任せる!


「ヨッシさん、風音さん、俺らはジェイさんと斬雨さんの迎撃に回るぞ!」

「了解!」

「……青の群集! ……絶対に潰す!」

「蒼弦さん、大丈夫だとは思うけど俺らが埋めてたとこからハチが戻らないように対応を任せた!」

「おう、任せとけ! オオカミ組! 手の空いてるやつはカメの甲羅に登ってその身で塞げ!」

「「「「おう!」」」」


 穴の数に対して少し人数が足りないような気もするけど、まぁなんとかなるだろ! ともかく凄い勢いで吹っ飛んできてるから、のんびりしてたらすぐにここまで来るからな!


 とりあえず岩の操作は解除して、飛行鎧で位置を移動。ここでジェイさん達に乱入されるのは避けたい。少なくともハチを討伐するまでは待ってほしいとこだけど、そんな都合は聞いちゃくれないよな。

 そもそも斬雨さんが既に攻撃体勢になってるんだし、狙いは……実際に来てみないと誤差が分からないな。外れるから大丈夫だと油断したら直撃とかは困るし、どうやってあの勢いを殺すか……。


「あ、そうか! 風音さん、出来るだけ引きつけて、また魔法砲撃のスチームエクスプロージョンを発動で!」

「……反動で……吹き飛ぶよ?」

「ある意味、それが狙い。あんなバレバレな奇襲だけとは思えないし、後ろに吹っ飛んだら風音さんは大急ぎで魔力値を回復はさせといてくれ。状況次第で追撃か、移動の阻害をしてもらう。ハチはなんとか出来るよな?」

「……それは問題ない。……要するに伏兵?」

「伏兵にしては目立ち過ぎだから、どっちかというと警戒先の分散だな」

「……なるほど。……とにかく分かった」

「ケイさん、私は?」

「ヨッシさんはジェイさんを毒で……って、説明してる場合はないか!? 風音さん、ぶっ放せ!」


 まだ少し距離はあるけど、手前で失速し始めたからか眩い緑の混ざった銀光を振り下ろそうとしてきてる! このままじゃあの風の刃が届く距離だし、発動前に吹っ飛ばして太刀筋を変えるまで!


「……死ね! 『並列制御』『ファイアクリエイト』『共生指示:登録1』!」


 そんな盛大に殺気の篭った声で風音さん自らが後方に吹き飛びながら、斬雨さんの方へとスチームエクスプロージョンの爆風が襲い掛かっていく。よし、直撃……って遅かった!? あぶねっ!? 爆風で逸れたけど、そのままだったら俺が両断になってたかも。


「おわっ!? あー、ビックリした」

「……少し遅かった。……でも狙いは外させた」

「……あはは、あの距離から届くってとんでも……ケイさん!」

「ヨッシさん!?」

「「ヨッシ!?」」


 え、ヨッシさんが横から吹っ飛ばされて、ジャングルへと落ちていった? ちょっと待て、なんで西の方……しかも上から銀光の弾が飛んでくる!? くっそ、今のはジェイさんと斬雨さんが囮で、この危機察知を掻い潜る狙撃が本命か!


「ヨッシさん、大丈夫か!?」

「一気にかなりHPは削られたけど、何とか即死にはなってないよ。でも、今のはビックリしたね」

「……確かにな。ヨッシさん、周囲に警戒しながら戻ってきてくれ」

「了解。ケイさんも気を付けて」

「ほいよっと」


 どう考えても獲物察知の妨害か、範囲外からの遠距離狙撃だからな。今は獲物察知を使えば……正直、大量のハチの黒い矢印だらけで訳が分からなくなりそう。くっそ、その状態だと分かって襲ってきたな!?


「……南から攻撃。……ケイさんが狙われてる」

「マジか!?」


 ちょっ、このタイミングで南からも攻撃!? えぇい、ともかく方向が分かってるなら、防御するのみ!


<行動値5と魔力値15消費して『土魔法Lv5:アースウォール』は並列発動の待機になります> 行動値 35/104(上限値使用:7): 魔力値 261/282


 大急ぎで南側に土の防壁を展開! このタイミングで攻撃を受けるのはただの偶然とは思えないけど、襲ってきたのはどこの勢力だ!?


「おや、ケイさん、それでよろしいのですか? 『アブソープ・アース』!」

「……は? え、ジェイさん!?」

「今回は出し抜けたようで何よりで! 『アースウィークン』!」


 やっば!? 完全に意表を突かれて、土の防壁を吸収された挙句に無防備な状態でロブスターに特大の弱体化を撃ち込まれた! くっ、群体塊のコケだけでなんでここに!?


「仕留めさせてもらいますよ! 『並列制御』『アース」


 これはどう考えてもヤバい! ここから……あ、これしかない! 後の事とか言ってられるか!


<『瘴気の凝晶』を使用して、纏属進化を行います>

<『同調激魔ゴケ』から『同調激魔ゴケ・纏瘴』へと纏属進化しました>

<『同調激強ロブスター』から『同調激強ロブスター・纏瘴』へと纏属進化しました>

<『瘴気制御』『瘴気収束』が一時スキルとして付与されます>


「クリエイト』『アース」


 よし、被弾中じゃないから纏属進化は間に合った! 後は思考操作での発動、間に合えー!


<『並列制御Lv1』を発動します。1つ目のスキルを指定してください>

<行動値1と魔力値3消費して『土魔法Lv1:アースクリエイト』は並列発動の待機になります> 行動値 34/104(上限値使用:7): 魔力値 258/282

<2つ目のスキルを指定してください。消費行動値×2>

<行動値を2消費して『瘴気収束Lv1』は並列発動の待機になります>  行動値 32/104(上限値使用:7)

<指定を完了しました。並列発動を開始します>


「クリエイト』! このタイミングで纏瘴!?」


 ジェイさんのアップリフトの発動にはギリギリ間に合った! ははっ、ジェイさん、今ので発声操作にしたのが間違いだったな! それこそが俺の活路!


<『瘴気魔法:ミアズマ・アース』が発動しました>


「くっ、瘴気魔法!? 回避が出来ない!?」

「そう簡単にやられてたまるか!」


 この状態で避けれないのはお互い様。だけど、空中にいた分だけ俺が少し有利だったかもな!


<ダメージ判定が発生した為、『移動操作制御Ⅰ』は解除され、10分間再使用が不可になります>

<『移動操作制御Ⅰ』の発動を解除したため、行動値上限が元に戻ります> 行動値 32/104 → 32/111(上限値使用:1)


 飛行鎧に僅かに発動が早かったジェイさんのアップリフトが当たって、強制解除になった。なったけども、それが俺のミアズマ・アースを当てるのには十分な時間だ!


<『同調激強ロブスター・纏瘴』のHPが全損しました。『同調激魔ゴケ・纏瘴』が大幅に弱体化します>


 土属性の大幅な弱体化を受けた俺のロブスターは即死。だけど、アブソープ・アースの解除が間に合わなかったジェイさんは、瘴気もろとも土属性の魔法を吸収して完全に瘴気に汚染された。


「瘴気汚染とはやってくれますね!」

「ヨッシさん、風音さん、ジェイさんを仕留めろ! 魔力値はほぼ尽きてるから、反撃の手段はない!」

「……ジェイは潰す! 『ブラックホール』!」

「魔法型のジェイさんにはこっちの方が効くの? 『複合毒生成:溶解毒・溶解毒』『棘大杭』!」

「『増殖』『増殖』! くっ、あとほんの少しだったのに――」


 おー、ブラックホールでどんどん群体塊のコケが圧縮されていって、そこにウニの棘……特に太いやつが突き立てられたね。その状態からどんどんジェイさんのコケが溶解毒で溶かされていって、ポリゴンとなって砕け散っていった。

 はぁ……なんとか撃退出来たー! すっげー、危なかったー! ジェイさんが思考操作でアップリフトを使ってたら絶対に間に合わなかったぞ、今の!


「ヨッシさん、風音さん、ナイスタイミング!」

「……今のは焦った。……ブラックホールが使えるまで……回復が間に合って……良かった」

「ホントに焦ったよ! 私も移動はギリギリだったしさ……。ケイさんのロブスターはやられちゃってるし……コケは弱体化した上に瘴気汚染・重度にもなってるよね?」

「まぁそうだけど、とりあえずジェイさんは送り返したから良しとしよう! あ、でも瘴気汚染・重度って死んだら回復してたような……?」

「……え? あ、確かにそういえば!?」

「……?」


 風音さんはよく分かってないみたいで首を傾げているけど、なんで今それを思い出した、俺!? えぇ、それじゃジェイさんの動きをしばらく封じる事って出来ないじゃん! それに俺ってアルの木からリスポーン出来るのに、こんな無茶する必要は無かった気がしてきた!?


<ケイが成熟体・暴走種を討伐しました>

<成熟体・暴走種の初回撃破報酬として、増強進化ポイント8、融合進化ポイント8、生存進化ポイント8獲得しました>

<ケイ2ndが成熟体・暴走種を討伐しました>

<成熟体・暴走種の初回撃破報酬として、増強進化ポイント8、融合進化ポイント8、生存進化ポイント8獲得しました>

<『刻印石』を1個獲得しました>


「おし、まずはハチの討伐成功だ! よくやったぞ、お前ら!」

「でも、まだ油断しちゃダメっすよ!」

「「「「「「「「「「おう!」」」」」」」」」」


 あ、どうもハチの討伐は終わったっぽい。まだカメの討伐があるけど、とりあえず一安心か。何気に刻印石が手に入ってるのも嬉しいね。


 それにしても、何がどうしてあんなに近くにジェイさんがいたんだ? 斬雨さんと一緒に……って、あの攻撃は距離があって名前は確認出来てなかった気がする!? 先入観だけで、あれがジェイさんと斬雨さんだと思い込んでた? あ、何か違和感があったのはそれか! 

 そうなると、斬雨さんと他の目立つ赤いカニのプレイヤーを囮にして、ジェイさん自身は別の手段で突っ込んできた? 群体塊のコケだけでやってきてたし、ここまで何人かを経由して投げられてきた可能性もありそうだ。

 危機察知を掻い潜る狙撃を直前に見せておく事で、水の防壁じゃなくて土の防壁での防御も誘導されてそう。水の防壁はどちらかというと衝撃を吸収する性質があるから、小さな弾での一点突破の狙撃とはあんまり相性は良くないもんな。

 あー、色んな罠を仕掛けてきてて、それに思いっきりしてやられた……。我ながら、今のはよく生き残ったな!


「今回は一歩間違えたら、本気で倒されてたか……」


 弱体化した後のコケなら、その辺の土や岩でも殺されるしね。まだ油断出来る状態じゃないし、反省点や気になる部分のいくつかある。それでも、なんとか生き残れただけでも良しとしよう。

 ぶっちゃけ、俺だけじゃ勝てなかったからジェイさんに勝てた気はあまりしないなー。心境的には引き分けって気分。


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自力での電子書籍版もありますので、よろしければこちらもどうぞ。
大きな流れ自体は同じですが、それ以外はほぼ別物!
ケイ以外の視点での外伝も収録!

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これまでの第1巻〜第19巻はこちらから。
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― 新着の感想 ―
[一言] う~ん このカメを助けるとジャングルの拠点になってくれたり?するのかな?
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