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Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜  作者: 加部川ツトシ
第31章 2回目の競争クエスト
1074/1633

第1074話 2度目のジャングル


 ジャングルの最新のマップを手に入れて、注意すべき点は確認出来た。川がどこからどう流れているのかが正確に分からないけど、何か怪しいのは北の方だな。西と東については、リアルタイムで情報を確認してくれるヨッシさんに聞いてもらうとして……


「おし! それじゃ準備をしてから、出発するぞ!」

「了解! 腐食毒と溶解毒への耐性の『アンティヴェニン・デュオ』!」

「……おぉ! ……紫色の膜が2枚……これが……抗毒魔法!」


 うん、予想通りに風音さんのテンションが上がってるけど、まぁ今はいいや。サクサクと準備を進めていこう。でも、既にアルに乗ってるし、今の段階で俺にはする事はないや。


「ケイ、おらよ! 『アクアエンチャント』!」

「サンキュー! てか、俺もアルに付与魔法をかけといた方がいいか?」

「あー、あった方が安全性は上がるしな。土の守勢付与を頼むわ」

「……同じく……欲しいかも? 」

「ほいよー。風音さんは龍の方でいいとして……アルは本体の木の方がいいか?」

「いや、クジラの方でいいぞ。クジラの方が的としてデカいしな」

「あー、そりゃ確かに」


 それに下からの攻撃は防ぎにくいもんな。そういう意味ではクジラの方を優先的に防御を固めておくべきか。消費するまで永続する効果じゃないから、なんでもかんでも付与しまくる訳にもいかないし、対象はある程度絞らないとな。


「……忘れないうちに……とりあえず……『小型化』」


 ん? 風音さんの龍は思ったほど小さくなってない? サヤのクマと同じくらいのサイズに抑えてるみたいだね。あー、下手に小さくし過ぎたら共生進化に……って、別に小さい種族を同士なら別に問題なかったっけ。

 まぁそこは特に問題なさそうだから別にいいや。とりあえずアルと風音さんに土の守勢付与をかけておこう! アルは自動防御用で、風音さんは奇襲を防ぐ時の強化用だ!


<行動値7と魔力値21消費して『土魔法Lv7:アースエンチャント』を発動します> 行動値 100/107 : 魔力値 253/274

<行動値7と魔力値21消費して『土魔法Lv7:アースエンチャント』を発動します> 行動値 93/107 : 魔力値 232/274


 無事にアルのクジラと風音さんの龍の周りに土の塊が漂い出した。よし、これで出発準備は完了。


「ジャングルへ向けて出発だ! 大暴れするぞ!」

「「「「おー!」」」」

「……うん!」

「無視出来ないくらいに、盛大に暴れてこい!」

「ほいよ!」


 そんなベスタからの激励にみんなは頷いていくけど、返事をしたのは俺だけかい! いや、まぁそれは別にいいけどさ! ともかくみんなの気合いも入ってるみたいだし、戦場となるジャングルへと入っていきますか。


<『未開のジャングル・灰の群集の安全圏』から『未開のジャングル』に移動しました>


 安全圏を守るバリアみたいなのをすり抜けて、エリアの切り替えになった。今日は昼の日だから、夜の日よりは視界は良好。まぁ昨日は七夕の特殊演出で、夜の日としては特別に明るかったけどなー。


「みんな、さっきの情報は聞けたよ。東に行けば青の群集と遭遇しやすくて、西に行けば赤の群集に遭遇しやすいんだって」

「ヨッシさん、サンキュー! そうなると、東に青の群集の安全圏、西に赤の群集の安全圏がある感じか。未踏破の場所を進むとして、どの方向に行く?」

「あからさまに北が怪しいので、逆にあんまり埋まっていない南東や南西はどうですか!?」

「……ふむ」


 確かにそういう方向に動くのもありか。でも、踏破されてないって事はそれだけ進むのが危険という可能性もある。しかも西と東となれば……。


「ヨッシさん、その辺の位置が踏破されてない理由の確認を頼む! 何かあるなら、それを調べに行きたい」

「分かった、すぐ聞いてくるね」

「頼んだ!」

「ケイ、どう読む?」

「正直、情報が足りなくて何とも言えない。何かありそうな気はするけど……」

「やっぱりそう思うか……」


 まだ全体像を把握出来てないし、今の段階では群集としてまとまった作戦を元に動いている訳でもない。単純に安全圏を出てすぐ横になる南東や南西に進むよりは、前に進みたい人が多かったから後回しにされてる可能性も十分ある。このジャングル、根本的に広いしな!

 赤の群集も青の群集も、初めの段階ではどこに他の群集の安全圏があるかは分かっていないはず。……そこであえて横に動いて、多分少ない側の行動を取った相手の返り討ちを狙う? 無いとは言えないけど、それをやりそうなのは青の群集か。

 どちらかというと何か仕掛けがある可能性の方が高い気がするけど、それならそれで報告はありそうな気もする。ふー、これはヨッシさんの情報待ちか。


「ケイさん、そこは単純に後回しにされてる感じだって! 少ない情報ではあるけど、南東の方は青の群集に返り討ちにされたって人もいるみたい。ただ、それが偶発的な遭遇か、待ち構えなのかは分からないって」

「あー、そういう感じか」


 結局、その辺は何も分かってないみたいだなー。この辺の調査は本格的にやろうと思えば、誰かが指揮を取って割り振って調査範囲を決めないと厳しそうだ。まぁ状況的に東西と南北にそれぞれ何かがある可能性が高い状態だしなー。

 俺らだって安全圏を出てすぐに東や西には進んでいない。まぁ前回は他の群集を刺激するのが目的だったからだけど。


「あえて青の群集が待ち構えてる可能性がありそうな南東の方に進んでみる? もし待ち構えてるなら、そこには何かがあるぞ」

「……望むところ!」

「俺としても賛成だ。なんだかんだで、青の群集は俺らの安全圏の割と近くまでは来てたしな」

「あー、そういやそうだっけ」


 確かハーレさんが早めに見つけたのを意図的に見つけるのが遅れたように見せかけた上で、それを羅刹が倒したんだっけ。ん? ちょっと待てよ。何か違和感が……。

 あの時の青の群集の人は偵察部隊だと思ってたけど、もしかしてそうじゃない可能性もある? それこそ誰かが近付いてきても把握出来るように監視をして……冗談抜きで確認に行った方が良い気がしてきた。


「サヤ達はどうだ?」

「何かありそうな予感がしてるから賛成かな! よく考えたら、ハーレや私の観察力をジェイさんが知らない訳がないし……」

「はっ!? そういえばそうなのです! 私もそれで良いのさー!」

「あの時の偵察をしてた人は、わざとハーレやサヤに見つかる位置に出てきてた? 今になって、なんだか怪しさが一気に出てきたね」

「確かにきな臭くなってきやがったな」

「……南東に……行こう!」

「おし、それじゃその方向で! アル、頼んだ!」

「おうよ! 速度はどうする?」

「思いっきりかっ飛ばせ! 邪魔してきても最小限の範囲で対処して、強引に突っ切るぞ!」

「了解だ! 一応根で固定はするが、しっかり掴まっとけよ! 『自己強化』『ウィンドクリエイト』『操作属性付与』『高速遊泳』『アクアクリエイト』『並列制御』『水流の操作』『根の操作』!」

「ほいよっ! 俺は俺で獲物察知を使っとく!」


 俺とサヤと風音さんはマングローブ的な根に掴まって、ハーレさんとヨッシさんは巣の中で待機。その上で落ちないように根で巻きつけられながら、水流の上を風を纏った状態で一気に加速していく。

 もし本当に邪魔が入ってくるのだとしたら、その先に何があるのかを確認しないといけない。場合によっては、俺らが全滅したとしてもその情報は持ち帰る!


<行動値5を消費して『獲物察知Lv5』を発動します>  行動値 97/107


 成熟体になって行動値の回復速度が上がってるのが実感出来るね。まぁそれは今はいいとして、ともかく反応の確認!

 黒い矢印はあちこちに見えているけど、特別なにかが違うような様子はない。今のところは赤の群集も青の群集の反応も見つけられないけど、獲物察知では擬態は見破れないからなー。


「サヤ、ハーレさん、今の状態で敵の目視は?」

「流石に速くて無理なのさー!?」

「私もかな! でも、相手も変に攻撃はしにくいと思う!」

「……やっぱりか」


 あっという間にジャングルの景色が流れていってるし、この移動の状態で敵を見つけるのは厳しいか。でも、それは相手の方も攻撃が当てにくいって事になる。ただ、一方向を除いては……。


「風音さん、今の移動中だけでいい! 正面からの攻撃に注意してくれ! 特に下から」」

「……分かった!」


 この状態で何かを仕掛けてくるなら、真正面からの攻撃になるはず。魔法でくるか、物理でくるか……まぁ何もないという可能性もあるけど、用心しておく方がいい。防御は風音さんに任せるけど、場合によっては俺も防御に回った方が良い……って、急に獲物察知の反応が消え――


「はっ!? 前方、斜め下から攻撃なのさー!?」

「……っ、風の刃!? ……『魔法砲撃』『アースウォール』!」

「ちょ、銀光が混じってるのかよ!?」


 やばっ!? 守勢付与で強化してもアースウォールじゃ属性的な相性が悪い! って、余計なことを考えてる暇はない! だー! 俺としても土じゃ相性が悪いし、風音さんのアースウォールの耐久値が残ってる間にこれだ! 思考操作で急げー!


<行動値上限を1使用して『魔法砲撃Lv1』を発動します>  行動値 97/107 → 97/106(上限値使用:1)

<行動値8と魔力値24消費して『水魔法Lv8:アクアディヒュース』を発動します> 行動値 89/106(上限値使用:1): 魔力値 221/274


 今は全方位に対して効果を発揮する必要はないから、大急ぎで散弾になる魔法砲撃で発動準備。よし、風音さんのアースウォールが破壊される前に間に合った! でも、アルの水流を守っていたのが破壊されて、水流を切り裂いてきてるのはマズい!?


「……守りきれなかった! ……威力が……高い!」

「アル、水流の方向をズラせ! 後は俺が相殺する!」

「おう!」


 という事で、大急ぎで発射! って、水の散弾が2連発!? あ、これって地味にアルがかけててくれた攻勢付与を使ってたのか。おし、どんどん緑色の銀光が強まってた風の刃の連撃の届かない範囲まで逃げ切った!

 今のは風音さんが魔法砲撃にして相対位置に固定したアースウォールでアルの水流を守ってくれたのが大きかった。属性の相性は最悪だったけど、そこは風音さんが悪い訳じゃないしな。

 

「ケイ、風音さん、ナイスだ!」

「勢いのまま通り過ぎてなかったら危なかったけどな!」


 今のが連撃ではなく単発でチャージだったなら、風音さんのアースウォールが一撃で破壊されてたかもしれない。その上で今の風の刃での連続斬撃を受けてたら……凌ぎ切れたかは怪しいな。

 相手がただ単にチャージの方を持ってなかったのか、それともチャージをしてたら間に合わないと判断したか……。俺らの今の移動速度を考えたら後者の方が可能性は高そう。


「今のって、風属性ありの連閃かな?」

「銀光も混ざってたし、応用複合スキルみたいだよね」

「あの遠距離攻撃はズルいのさー!?」


 ふー、確かにそれはハーレさんに同意。操作属性付与で風属性を付与すれば斬撃系のスキルでも風の刃が追撃として発生するけど、今のは斬撃の範囲自体が風の刃で拡張されてる感じだった。しかも連撃が強化されるにつれて、風の刃がどんどん大きくなってたから凶悪過ぎるぞ。


「……魔法ダメージがあるだけじゃなくて、あの性質の変化が応用複合スキルの強みなのかもな」

「応用複合スキル、俺は取得出来るのか……?」

「どう考えても、支配進化で使うと強過ぎる気がするのです!?」

「……確かにそうかも?」


 うーん、この辺は進化先によって条件が変わってくるとか、スキルの効果が変わってくるとかがありそうな予感。同名スキルでも、効果が違うのは前例として存在してるし……。


「とりあえず今のスキルについて考えるのは後! サヤ、ハーレさん、攻撃してきた相手の姿は見えたか?」

「あぅ……ジャングルの中からなのは間違いなかったけど、闇に隠されてて分からなかったのです……」

「スキルの発動元は見えたんだけどね……。ケイの方は獲物察知には反応は無かったのかな?」

「急に反応が消えたから、今回も無効化されてた……」

「……あはは、用意周到だね。やっぱり青の群集かな?」

「その可能性は高いとは思うけど、断定は出来ないな」

「……青の群集! ……絶対に潰す!」


 うん、思いっきり風音さんの怒りゲージが溜まってますなー。それにしても、風音さんの土の防御を破ってきたのが風属性のある応用複合スキルの可能性が高そうなのって、単なる偶然か? うーん、分からん!

 あ、獲物察知の効果が戻った……え、何この反応? 青い矢印を縁取るように黒色が侵食してる? こんな反応、見た事がないぞ。しかも、かなり距離的に近い! しかもその周辺に青の群集の反応がいくつかある!


「アル、速度を落とせ! なんか異常な反応と、青の群集の反応を見つけた!」

「なに!? やっぱり何かあったか!」

「……みんな……ここからは静かに」

「……確かにそうだな」

「だなー」


 風音さんに大声を上げないように注意されながら、アルは水流を解除して速度を落としていく。反応の先は鬱蒼としたジャングルの中だけど、ここからどうするか。

 何かがあるのは間違いないけど、何があるのかはここからじゃ見えない。……黒に染まりつつある青い矢印ってのが非常に気になるけど、前回の競争クエストでは倒したらいけない他の群集の半覚醒が存在したもんな。てか、これが骨の鎧を着てるみたいなマサキの同種の存在の可能性もありそうだ。

 いや待て、NPCの表示って緑のカーソルじゃなかったっけ? あー、でも半覚醒だとカーソルは黒くなるし、今の段階だと何とも言い難いとこだな。よく考えたらPKで染まりつつある状態にも見える。


 さて、これはどう判断するべきだ? 状況的には青の群集が群集支援種を守ってる風に思えるけども、場合によっては他の群集に倒させる為の罠という可能性もある。まずは実際の姿を確認してみるべきか。



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自力での電子書籍版もありますので、よろしければこちらもどうぞ。
大きな流れ自体は同じですが、それ以外はほぼ別物!
ケイ以外の視点での外伝も収録!

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これまでの第1巻〜第19巻はこちらから。
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― 新着の感想 ―
[一言] 待ち伏せとか、来なかったら、ただの待ちぼうけなのに、それをさせるってすごいな(゜ー゜)(。_。)ウンウン
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