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第103話 スキル取得を狙って


 さてと情報共有板での情報収集も終わったので活動に移していこう。と、その前にヨッシさんとサヤに得た情報を伝えていく。


「なるほどね。行くエリアによってクエスト内容が変わるんだ」

「どれも楽しそうかな。でもここのクエストは受けちゃったし、まずはここからかな」


 まぁここまで違いがあるならば先に情報を確認してた方が良かった気もするけど、過ぎたことだし気にしても仕方ないね。競争は競争で楽しそうだから問題もないだろうしな。


「で、これは具体的に何をすれば良いんだ?」

「まずは浄化の要所と先に派遣されてるNPCを探すとこからだな。浄化の要所の方は何があるかはわからんが……」

「順当に考えればボス戦かな?」

「ま、行けば分かるだろ。NPCは何の種族だろうな?」

「やっぱり木なんじゃない?」

「俺もそう思うぜ。見落とさないように気を付けないとな」

「そうだねー! っと、その前にアルさんとケイさんはやる事あるんじゃない?」

「そういやそうだな。土の操作を取らないとな」

「となると生贄になる成長体の黒の暴走種を探すのが先か」


 今回はグレイは派遣した者としか言ってなかったからな。まぁそういうのも含めて探すのを楽しめって感じかな? 

 まぁクエストもぼちぼち進めるとして、とりあえずスキルを称号で取れそうなものを取っていこう。ポイントは何に使うか悩むくらいだし、なんの拍子で取得可能なスキルが増えるか分からない。すぐに狙ったスキルを取れるように温存しておく事にした。いざって時に足らない方が困る。



 改めて新エリアの様子を見回してみれば、ここはエリア切り替えの場所のせいか少し高台になっている。目の前は緩やかな傾斜になっており、しばらく下れば平坦になっているようだ。少し先に湖らしき水場も見えた。それより先は夜の日のせいか見渡せない。ここは昼の日に確認しないとな。

 森林深部ほどは木は密集していないし、赤の群集の森林エリアと同様に下草も多い。コケも深部ほどではないがあちこちに普通に生えているので群体化での移動も問題なさそうだ。


 方角的には俺たちが出てきた東側が高め、西に行くほど平坦にって感じだな。多分だけど北東の方の一部が赤の群集の森林エリアへと繋がっているのだろう。大雑把だけど傾向は掴んだ。


「それじゃ、改めて出発しますか」

「「「「おー」」」」


 意気揚々と移動を開始する。そして即座に戦闘に移れるように、臨戦態勢にしてだ。つまり行動値節約の為に俺はアルにあるハーレさんの巣の中の小石のコケ、ハーレさんは巣の中、ヨッシさんとサヤとアルは自分で移動していた。これがこのメンバーでの攻撃的にも索敵的にも行動値的にも無駄の少ない移動の組み合わせである。


 その状態で平坦な場所を目掛けて緩やかな坂を下っていく。その途中で何体かの幼生体の残滓を仕留めて増強進化ポイントを5確保した。ついついこの辺りの取得は忘れがちなんだよな。それにしてもこの辺の黒の暴走種はもう残滓化してるか。まぁ入ってすぐの場所だし、先にこのエリア入りしてる人もいるからそれは仕方ないな。


 そしてまだこの辺りでは普通に幼生体も敵として出る様子。うん、確実に成長体ばかりの『常闇の洞窟』が異常だっただけだね。


 そうこうしているうちに、ついに目的のヤツを発見した。現在地はもう少しで平坦な場所になってくる辺り。


<成長体・暴走種を発見しました>

<成長体・暴走種の初回発見報酬として、増強進化ポイント4、融合進化ポイント4、生存進化ポイント4獲得しました>


「おっしゃ! 見つけたぞ、実験台!」

「逃さねぇぞ! 『根の操作』!」


 見つけたのはシカの黒の暴走種。発見報酬から成長体って事は確定で、まだ未討伐のやつだ! よし、これを狙っていたんだよ!


 緩やかな傾斜ではあるとはいえ、上部からのほぼ奇襲に近い形で逃げない様に即座にアルが捕縛に動き、シカを捕らえる事に成功した。バランスを崩したシカは倒れている。グッジョブだ、アル! さてとLv2に上がった識別を使おうじゃないか。


<行動値を2消費して『識別Lv2』を発動します>  行動値 25/27(上限値使用:1)


『風ジカ』

 種族:黒の暴走種

 進化階位:成長体・暴走種

 属性:風

 特性:強靭


 ほうほう、やっぱりLv2の方が分かることが多くていいな。属性と特性が分かるのはありがたい。よし、アルが捕まえてる内に纏属進化をしてしまおう。インベントリからあれを取り出して使用っと。


<『進化の輝石・樹』を使用して、纏属進化を行います>

<『水陸コケ』から『水陸コケ・纏樹』へと纏属進化しました>

<『群体化』『群体内移動』『群体化解除』が一時的に使用不可になります>

<『根脚移動』『根の操作』『樹木魔法』が一時スキルとして付与されます>

<群体数がHPへと置き換わります>


 よし、進化完了。アルが捕縛しているうちに土を根の操作で武器にしないとな!


「おぉ!? 思った以上にケイさんの姿が別物だ!?」

「ほう、それが纏属進化ってやつか。それで、どう土を使うんだ?」

「それはこうやるんだよ。しっかり捕まえててくれよ、アル!」


<行動値上限を3使用して『根脚移動Lv3』を発動します>  行動値 25/27 → 24/24(上限値使用:4)

<行動値を3消費して『根の操作Lv3』を発動します>  行動値 21/24(上限値使用:4)


 根脚移動と根の操作を発動して、根で地面の土を掘り返す。扱える根は3本だからこれでなんとか土を固めて土塊を作り上げていく。あんまりオンライン版の根の操作の扱いは慣れてないけど、初めからLv3で付与されたのが大きいな。アルほど早くは無理だが、すぐに実用レベルで動かせるようになっている。


「ほう、樹という割には草花系のプレイヤーに近いのか」

「まぁ、その辺は使う種族によるんだと思うぞ。それでこんな感じだから、草花のプレイヤーの取得手段が使えるんじゃないかと思ってな?」

「それもそうか。それにしても『纏属進化』の最中でもスキル取得が可能なら幅は広がりそうだな」

「出来れば早くして欲しいかな!?」

「ケイさん、ヒノノコみたいに強くはないけどそれなりにダメージがある!」

「わ、わ! 回復が大変だー!?」


 アルの根によって捕まっている風ジカだが、先程から暴れ回ってはいる。魔法の風も放ってきてはいるが、多くがサヤとヨッシさんの魔力集中によって破壊されていた。1対5ならボスではない成長体はそれほど強くはなさそうだけど、それなりにダメージは受けている。ハーレさんからの回復の果物の配給はされている。

 ダメージを与えずに捕縛に専念してもらっているので、防戦一方になるのは仕方ないか。とにかく待たせるのはあれだし急ごう。よし、ちょっと小石が多めの土塊完成! 根でしっかりと保持して、思いっきり振りかぶる!


「バタバタ暴れてんじゃねぇよ! これでもくらえ!」

「わー! これは朦朧が入ったかな?」

「でもダメージはいまいちかな? やっぱりケイは魔法特化かな」

「ま、俺はこれでいいだろ。アル、交代って言いたいけどちょっと俺じゃ捕縛し切れるか怪しいな……」


 石混じりの土塊で風ジカの頭をぶん殴ったら、当たりどころが良かったのかフラつき出していた。思ったより威力はないな。これはステータスの攻撃に依存っぽい。俺の攻撃は低いしな……。

 さてと朦朧が入ったのは良いけど、大きさの問題で俺の今の状態では捕縛しきれるかは少し怪しい。なのでもう一手、行動阻害の手段を取るとしよう。


「ヨッシさん、毒魔法をよろしく。毒は麻痺毒でな!」

「了解! 『ポイズンクリエイト』で麻痺毒生成! 『毒の操作』!」

「ヨッシさん、ナイス! 『根の操作』! よし、アルも土でやれ!」


 ヨッシさんの毒魔法の麻痺毒が見事に決まり、風ジカはアルに捕縛されたまま痙攣している。これなら全身を縛り付ける事は出来なくても、足を縛り付ければ少しの間なら持つだろう。

 その様子を確認したアルも即座に風ジカの捕縛を解いて、根の操作で急いで土塊を作り始める。おー流石は木だな。完成した土塊の大きさも作る速度もかなり違う。あ、そろそろ風ジカの朦朧が回復し始めたか。


「よし、どの程度のダメージが出るのかがわからんから全力で頭狙いと行くか」

「あんまり長くは持たないから、早くよろしくなー!」

「おう、分かってるよ」


 そして叩きつけられるアルの作った土塊。そして風ジカは再び朦朧の状態異常になっていた。威力は俺とは全然違い、1撃でHPは7割強程まで減らしている。思った以上に結構なダメージがあったな。木は地味に攻撃力も高いのか? ……そういやオフライン版だと根で絞め殺したりも出来たから物理攻撃力は高いよな、そりゃ。


「よし、これで後は倒せば大丈夫だな! サヤ、ハーレさん殺っちまえ!」

「ねぇ、折角の機会だし私も土の操作を取得してみていいかな?」

「そっか! サヤも出来そうだよね!」

「お、サヤも取るのか。そっか、先に全員が何か取れるか考えるべきだった……? 1回撤退して改めてやり直すか?」

「ケイさん、気にしなくていいよ。他の操作系の取得方法も思いつかないし、3人が取得出来たら充分だって」

「私もこのままでいいよ! 方法を思いついた時に別の手段でやればいいしね!」


 ヨッシさんとハーレさんが良いと言うなら、このまま行くとするか。サヤが土塊を作るのを待つ間にも風ジカの捕縛を続けていく。あ、ヤバい。麻痺毒が切れたか。


「俺が捕縛し直そうか?」

「あーその方が良いかもーー」

「よし、お待たせ! それじゃいくよ、『投擲』!」


 アルに再捕縛を頼もうと思ったらちょうどサヤの準備が完了したらしい。そしてすぐに土塊を風ジカに向けて投げ放つサヤ。投擲を持っているし、攻撃も高いので風ジカのHPが結構削れていた。残り2割といったところ。流石に物理攻撃の威力は俺とは全然違うな。

 それにしても流石にこれ以上の捕縛は無理そう……。こういう所でステータスの差を実感するね。


「これ以上はもう無理だから離すぞ!」

「それじゃ、私とヨッシでトドメ行くよ! 『アースクリエイト』!」

「複合魔法だね。腐食毒で『ポイズンクリエイト』!」


 ハーレさんとヨッシさんの魔法が混ざり合い、毒々しい泥が完成し、捕縛から逃げた風ジカに襲いかかる。触れたところから白い煙を上げて、風ジカは身動きも取れずに徐々にHPが減っていき、ついには無くなりポリゴンとなり砕け散った。恐るべし、毒!


「結構な威力だったね!」

「複合魔法『マッドポイズン』ってなってたね。粘着質の泥になってたから結構えげつないかも」


 魔法の種類も増えてきた事だし、こうやって複合魔法の種類も増えていく訳か。発動する組み合わせも探ってみないとな。



<ケイがLv9に上がりました。各種ステータスが上昇します>

<Lvアップにより、増強進化ポイント1、融合進化ポイント1、生存進化ポイント1獲得しました>

<成長体・暴走種を撃破しました>

<成長体・暴走種の初回撃破報酬として、増強進化ポイント4、融合進化ポイント4、生存進化ポイント4獲得しました>

<規定条件を満たしましたので、称号『成長体・暴走種の討伐』を取得しました>

<増強進化ポイントを3獲得しました>

<規定条件を満たしましたので、称号『土を扱うモノ』を取得しました>

<スキル『土の操作』を取得しました>

<『土の操作』『魔力制御Ⅰ』により、『土魔法』を取得しました>


 お、取得情報が一気に来たな。ついでにLvも上がった。よし、目論見通りに土の操作と土魔法が取得出来ているな。アルとサヤの方はどうだろうか?


「俺の方もばっちり取得出来たぜ。ケイもだろ?」

「おうよ! 討伐称号を利用しての操作系の取得は結構条件が限られるもんな」

「私もちゃんと取得出来たかな」


 これで一気に3人が土の操作と土魔法を取得だな。今度森林深部のいつもの場所に戻ったらみんなで池作りだな。ヨッシさんが土の操作の取得が出来なかったのが少し残念だけど、それは何か他の手段を考えてみよう。




【ステータス】


 名前:ケイ

 種族:水陸コケ

 所属:灰の群集


 レベル 8 → 9

 進化階位:成長体・複合適応種

 属性:水、土

 特性:複合適応


 群体数 1363/2500 → 1363/2600

 魔力値 54/54 → 54/56

 行動値 21/28 → 21/29


 攻撃 21 → 23

 防御 29 → 31

 俊敏 20 → 22

 知識 36 → 39

 器用 36 → 39

 魔力 50 → 54


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大きな流れ自体は同じですが、それ以外はほぼ別物!
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― 新着の感想 ―
[一言] 魔法満載のコケをつけて蜂の巣をぶら下げて、リスの巣が乗ってウロにクマを装備した木が出来上がっていく………………要塞?(・ω・?)
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