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Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜  作者: 加部川ツトシ
第30章 成熟体への進化
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第1021話 成熟体への進化 後編


 サヤとハーレさんの成熟体への進化を終え、今は羅刹の灰の群集への傭兵としての参加を承認して、色々とベスタへと報告中である。さて、ここまできたら羅刹のフレンドコールが終わるまで進化は待ちますか。


「はい! 羅刹さんが情報を伝え終わるまで時間があるので、私とサヤの見た目の変化の確認をしたいです!」

「あ、それは良いかな!」

「まぁ少し時間がかかりそうだし、そうするかー」


 羅刹のベスタへのフレンドコールから聞こえてくる声的に少し時間がかかりそうな様子だもんな。進化後の特性や属性の変化は後回しにするとしても、見た目の変化くらいは確認しておこう。まだ細かいとこはよく見れてないしね。


「サヤの竜は大きくなってはないけど、なんか光沢が出て電気を放電してるエフェクトもあって、より立派になった感じがするのです! クマは少し大きくなって……爪はどうなってるのー!?」

「爪は……変わらず収納可能な外骨格の爪になってるかな? あ、でも前より鋭くなって、色も白くなってるね」

「強い部分がより強調されてる感じだな。ハーレさんは、リスもクラゲも一回り大きくなって、リスの腕の白い模様が複雑化してるな。クラゲの方は緑色が少し濃くなったか」

「あ、アルさんの言う通りなのさー! 腕も少し太くなった気がするのです!」

「サヤもハーレさんも劇的な見た目の変化はないけど、順当に強化されたって感じの見た目だね」

「確かにそうだよなー。サヤの竜に関しては小型化の進化もしてるから、その影響もあるんだろうけどさ」

「あはは、確かにそれはそうかな!」


 まぁその辺の進化での見た目の変化って、オフライン版と大差はないもんな。進化での見た目の変化の規模は、それこそ変異進化で種族自体が変わる系統の方が大きい気がする。転生進化だと、大きな変化はなくて純粋なパワーアップって感じだしね。

 さてと、とりあえず既に成熟体への進化を終えたサヤとハーレさんの見た目の変化はこんなところか。それじゃ羅刹のフレンドコールが終わるのを待ちますか。


「……無茶な事を言ってくるな。まぁそれは引き受けよう。あぁ、そう伝えておく」


 ん? フレンドコールは終わったみたいだけど、羅刹はベスタから何かを頼まれたっぽいね。伝えておくって事は俺らに関係する事か……? うーん、俺らが成熟体に進化してるのはベスタも把握してるから、それが終わったらミヤ・マサの森林まで来てくれとかいう話かな?


「あー、ケイさん達にベスタから伝言だ。進化が終わったら、新エリアのジャングルの方に行ってみてくれだとさ。それに俺も同行してほしいという話だ」

「え、俺らが行くのか!?」

「……進化したての俺らに行かせる理由はなんだ?」


 それこそ成熟体へと進化を済ませている人は、他にも沢山いるはず。それにミヤ・マサの森林で偵察部隊の編成をしてるって話だったんじゃ……?


「俺が傭兵として参戦したのも含めて、色々と目立つからだそうだ。偵察部隊は擬態持ちや目立ちにくい小動物系を中心にして行うようだぞ。ま、要するに俺らは囮だな」

「俺らの役目、囮かい!」

「……まぁ俺らは物理的にも目立つし、どの群集にも存在が把握されてるから適任ではあるか」

「奇襲にはハーレの危機察知や、サヤとハーレの目視での確認も出来るもんね」

「ふっふっふ、擬態した人を見つけるのなら任せてなのさー!」

「あ、そういうのも含めた人選なのかな? ケイなら獲物察知も出来るし」

「……そう言われてみたら、確かにそうなるか」


 ふむ、いきなり囮になれと言われたのはびっくりではあるけども、最初は様子見をしそうな他の群集を刺激する為でもありそうだね。なんだかんだでサヤとハーレさんの看破なしでの擬態の見破りは驚異的だし、擬態をされていなければ俺の獲物察知でも把握は出来る。……ベスタに無茶振りがしやすいとも思われてそうな気もする。


「ふと思ったけど、進化したてだから良いんじゃない?」

「ヨッシさん、それってどういう意味?」

「ほら、ケイさん、私達は進化したてだから成熟体からのスキルって何も持ってないじゃない? それなら見られても価値のある情報も少ないよね?」

「あー、それは確かに……」


 どこかで成熟体からのスキルの取得はしていきたいけど、囮をする段階では持っていない状況になるから戦闘になったとしても取られる情報は最小限で済むって事か。

 他にもその辺の条件を満たせそうな人もいそうではあるけど、ベスタとの関わりが結構ある俺らに話がくるのはある意味順当なとこだな。誰でも気楽に頼める役目じゃないし……やっぱり無茶振りがしやすいって思われてる気がするぞ!?


「……死ぬ可能性は高そうな気がするけど、どうする?」

「折角の新エリアへ早めに行くチャンスだから、行くのは賛成なのさー! そして成熟体の敵がいたら、スキルの取得も狙うのです!」

「あ、それは確かにありかな!」

「そうなると、後で最新のスキルの取得方法を確認しておく必要があるな」

「まぁ取っても使わない方が良さそうな気もするけどね」

「そりゃ確かにそうだよなー。でも、スキルの取得を狙うにはありだな」


 俺としては水魔法と土魔法の応用スキル版を手に入れたいところ。刻印系スキルとやらは刻印石ってアイテムが必要だから、ある意味ではそれを手に入れやすいチャンスでもあるか。……まぁあくまでも成熟体の普通の敵が当たり前のように出てくればの話だけど。


「成熟体からの新スキル情報に関しては、足りないところがあれば俺も情報提供をしよう。今の灰の群集がどの程度把握してるかが分からんから、確実に役に立つとは限らんがな」

「おっ、それは助かる! でも、無所属としてそれは良いのか?」

「群集のまとめ機能なんてもんは無所属にはないし、知ってる情報は基本的に自分で手に入れたもんだから問題ねぇよ。まぁ他の無所属の連中と情報交換しているのもあるが、それをどう使うかなんて取り決めはないしな」

「……なるほど。まぁ羅刹が良いって言うなら別に良いか」

「おう、その辺は俺も他の奴を止める権利はねぇしお互い様って事だ。ほれ、さっさと進化を済ましちまえ」

「ほいよっと」


 ま、無所属の人を傭兵として味方に迎え入れるなら、群集でまとめている情報も少なからず流れる事にはなるだろうし、この辺は気にし過ぎても仕方ないか。


「あ、そうだ。羅刹、今の状態で赤の群集や青の群集に承認を得ようとする事って可能?」

「流石に出来ないと思うが……ちょっと待て、少し詳細を確認する。……あぁ、一度傭兵になったら競争クエストが終わるまでは固定だな。問題があると承認が破棄されたら参戦権自体を失い、競争クエストの対象エリアに入れなくなって何も出来なくなるみたいだ。無所属側からの破棄も不可能だな」

「あー、そういう仕様か」

「一度傭兵になったら競争クエストが終わるまでは元には戻せないって認識で良いのかな?」

「あぁ、そうなるようだ」


 これなら競走クエスト中に傭兵として迎え入れた無所属の人は全面的に味方と考えて良さそうだね。まぁそれくらいの制限をかけてくれないと、無所属経由でのスパイが混じってくるのが防げないもんな。リアル側で繋がりがあったら防ぎようはないけど、そこまで気にしてたら何も出来なくなるし……。

 

「さてと、それじゃ進化後の動きは決まったし、成熟体への進化を続けていくぞ!」

「次は誰の進化ですか!?」

「あ、私がやってもいい? ちょっとこのイカの触腕に違和感があるし、今はただの繋ぎの状態だから慣らしても仕方ないし、成熟体へ進化させてから馴染ませたいんだよね」

「だったら、次はヨッシさんの進化だな。ケイ、それでいいか?」

「俺は問題なし!」

「次はヨッシの進化で決まりかな!」

「みんな、ありがと。それじゃ進化を始めるね」


 特に揉める事もなく、次に進化するのはヨッシさんに決まった。確かに合成進化で付け加えてきたイカの触腕は、今はまだハチとは馴染んでなくて浮いているもんな。進化して違和感が少なくなればいいんだけどね。


「ハチの支配進化もウニの強制進化も了承!」


 そのヨッシさんの言葉の直後に、ハチの方から光が溢れ出し、その光がウニの方へと伝わっていき、どちらも全身が光に覆い隠されていく。支配進化を客観視したのは初めてだけど、こんな風になってたんだな。

 あ、光が薄れてきたから進化が終わったっぽい。さて、どういう風になったんだろう?


「これで支配進化は完了……あ、イカの触腕がウニの中に侵食してる?」

「というか、ヨッシのウニが思いっきり小さくなってるのさー!?」

「あはは、毎回小型化をしてるのが面倒になったから、ついでに小型化の進化もしちゃった」

「なんか触腕とウニが一体化してるような感じだな?」

「そうみたいだけど……あ、ウニの位置は変えられるんだね。うん、好きな方の触手に位置は変えられるみたい」

「なんというか、ハチが本体なのに、小さなウニに寄生されてる感じがするなー。あと、ハチ自体も少し大きくなってるか」

「あはは、確かにケイさんの言う通りかも?」


 見た目としては氷で出来たようなハチの姿に、毒属性の紫色の模様と、雷属性の黄色い模様が混ざっている感じだね。合成したイカの触腕も、よく見たら触腕だけど、パッと見ではアシナガバチみたいな長めの脚があるように見える。

 そしてその触腕の片方の先が黒いトゲトゲになってるって雰囲気だなー。うん、サヤの外骨格化してる爪もモンスター感はあるけど、ヨッシさんが1番現実のハチの見た目から遠い気がする。というか、全体的に進化すると大きくなる傾向があるっぽいね。


「次は俺でいいか?」

「お、次はアルか。それなら俺が1番最後?」

「ケイは最後が嫌なら、俺が後でもいいぞ」

「いや、そこは特に気にしないからアルが先でいいぞー」


 この進化の順番には特に意味はないし、やりたい人から順番にやっていけばいい。それにアルは成熟体への進化が可能になってから地味に結構時間は経ってるだろうしね。ちょっとの差ではあるけど、ここはアルに譲ろう!


「んじゃ、俺も支配進化を始めるぜ!」


 アルの支配進化も始まり、木から光が放ち始め、クジラの方へと光が伝わっていく。なるほど、支配進化は支配側から、支配される側へと光が広がっていくのが共通演出か。

 おっと、流石に木もクジラもデカいからどっちも全部が光に覆われたらインパクトがあるな! 光が薄まってきてシルエットが見えてきたけど……シルエットはあまり変わらないような気がする?


「おし、進化完了だ」

「おぉ!? アルさんのクジラの全身に白い流線型の模様が入っているのです!」

「あ、胸ビレと尾ビレにも白い模様が出てるかな!」

「それは突撃と打撃の特性の影響だろうな」

「……それはいいんだけど、なんかマングローブみたいな地面から隙間が出来るような根になってるのはなんで? 幹から上は今までと大差ないけどさ」

「海水の操作の影響だったりするのかな?」

「いや、多分海水の昇華と水の昇華の両方があるからだな」

「あー、そういうパターンもあるのか」


 でもこのクジラと木の間に根で囲まれた空いているスペースがあるのは地味に良いかも? 移動中にこの根を掴んでおく事も出来そうだしね。支配進化だから、木の根の先が完全にクジラの体内まで入り込んでいる事は気にしないでおこうっと。


「ま、進化後の特性や属性についての把握は全員の進化が済んでからにしようぜ。って事で、最後はケイだぞ」

「ほいよっと。それじゃ俺も進化していきますか!」


 同調を維持したままの進化は初めてだけど、この場合の演出はどうなるんだろうね? 支配進化の派生にはなるけど、コケとロブスターは同格扱いだからその辺はどう出てくるかが少し楽しみ。


<『同調激魔ゴケ』へと同調を継続した支配進化します。それに伴い『同調打撃ロブスター』も同様の進化が実行します。宜しければ了承を選択してください>


 お、こんな風にメッセージが出るんだね。てか、一応は支配進化ではあるけど、強制進化という表示は変わるのか。まぁここは迷う余地なく了承で!


<『同調激魔ゴケ』に対応する複数の進化先がありますので、ベースとなる進化先を指定して下さい>


 えっと、魔法型の進化先が複数あれば選択出来るとこだから、ここは水と土の両方に秀でている『泥激強魔ゴケ』を指定。ここは1番条件が厳しいやつを選ぶしかないよな!


<『同調激魔ゴケ』のベースとなる進化先の指定を確認しました。続けて同調相手の進化の指定に移ります>

<『同調激強ロブスター』に対応する複数の進化先がありますので、ベースとなる進化先を指定して下さい>


 ん? ロブスターの方は対象になる進化先って1つしかなかったような気もするけど……って、あれか! Lv上限になったら出てくる、1番低いランクの進化先のやつ!

 あ、やっぱり一覧を見たらそうだった。これを選ぶ理由はどこにもないから『多彩激強ロブスター』を指定!


<同調の両種族の進化先の指定を確認しました。進化の実行に移ります>


 おぉ、なんかコケとロブスターのどっちからも光が放ち始めて、光の糸のようになって絡み合いながら俺を包み込んでいく。これが同調を維持したままでの更なる進化か。進化までに指定が地味に多かったけど、これで一段と強くなるもんな。


<増強進化ポイント200、融合進化ポイント300、生存進化ポイント100を消費して『同調強魔ゴケ』が『同調激魔ゴケ』へと進化しました>

<増強進化ポイント100、融合進化ポイント300、生存進化ポイント200を消費して『同調打撃ロブスター』が『同調激強ロブスター』へと進化しました>


 よし、進化完了! さて、どんな違いが出てるか自分で見える範囲で確認していこう! てか、今回の進化では特に何か新しいスキルが手に入ったりはしないんだな。まぁ進化階位が上がる時の進化は、今までもそうだったしね。


「ケイさんのハサミのゴツさが少しスマートになってるのさー!?」

「ん? あ、マジだ。あー、打撃のみから多彩へと進化したからか?」

「多分だけど、そんな気はするね」

「ロブスターの色は特に変わってねぇが、一回り大きくなったっぽいな」

「あー、言われてみたら少し視点が高い気もする?」


 大きくなる傾向は俺のロブスターも例外じゃなかったっぽい。まぁ元々大きなサヤのクマやアルのクジラは流石に大きくなってないから、この辺は種族差なんだろうな。


「ケイさん……コケは進化しても大して見た目は変わらないんだな。少しだけ茶色部分と青い部分があるだけか」

「コケの方は変わってないんかい!」


 羅刹さんにそんな風に言われたけど、まぁコケって幼生体の頃から劇的な見た目の変化って全然ないもんな。まぁいいさ、その方が普通のそこらのコケに紛れやすいしね! ……別にコケの見た目が大して変わってないのを気にしてはないからな! 

 まぁそんな強がりはそのくらいにしておいて、みんなの進化後の変化した部分の確認や、最低限でも取っておくべき成熟体からのスキルを取っていきますか。特性や属性の変化はちゃんと確認しておかないとね。

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大きな流れ自体は同じですが、それ以外はほぼ別物!
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― 新着の感想 ―
[一言] コケはどんなコケになってもコケだった(笑)
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