第1017話 夜の部、開始!
間違って第1016話が投稿されてました!
申し訳ありません!
ハーレさんがアルと一緒に移動している際に大体説明してくれたから、俺としては説明は最低限で済んだ。とりあえずさっさと晩飯を食べて、出来るだけ早く戻ろうっと。
「兄貴、晩ご飯なのさー!」
「いや、分かってるけど、それを言いに来たのか?」
「それもあるけど、サヤとヨッシからの伝言なのです! 電気の昇華称号を狙いたいから、戻ってきた時にいない可能性もあるから、その場合は待っててだって!」
「あー、それは確かにあり得る可能性だな」
電気の昇華称号を取るには天然の雷を操作する必要があるし、そのチャンスがいつ訪れるかは分からない。でも、俺らが戻るタイミングで発生してる可能性はあるから、念の為にその辺は考えておいた方がいいか。
一応軽くは話してたけど、具体的にそのチャンスがあったらどうするかってのは話してなかった。多分アルに伝言でもよかっただろうけど、こうして先に言っておいてもらえるとありがたい。
「それは了解っと。……でも、運良く雷雨に遭遇するもんか?」
「あ、それなら上風の丘の天候が少し怪しかったのです!」
「え、マジか!?」
「普段以上に風が強くて、折角の天の川も黒い雲で隠れてたのさー! 雲に隠れつつある天の川を、ミズキの森林で撮ってたのです!」
「撮ってたのってそれか!? そうなってくると、期待出来そうな感じがしてくるな」
まさかの上風の丘での雷雨の発生がある可能性があったよ。そういや元々あそこは夜は発生しやすいとか聞いた覚えがあるような、ないような? まぁ可能性があるなら期待したいとこだね。
「という事で、今日の晩ご飯がちらし寿司なのさー!」
「まぁ、朝からそう言ってたもんな」
今日は七夕という事もあり、季節イベントとして晩飯はちらし寿司。まぁ酢飯の為の酢が足りてなくて、帰ってくる時に買ってきたからな。
「さて、それじゃ食いにいきますか」
「おー!」
という事で、1階へと階段を降りていく。ササッと晩飯を食べてから続きをやっていこう。
◇ ◇ ◇
そうして晩飯のちらし寿司を食べ終え、食器の片付けを済ませてから自室へと戻ってきた。食べてる間に晴香はテストの点数が良かった事を父さんと母さんに嬉しそうに報告してたもんだ。……なんか食べた後に父さんが財布の中身を見てたのが気になるけど。
とにかく既に晴香は戻っていったから、もうログインしてるはず。それじゃ俺もログインしていきますか!
という事で、いつものいったんのいるログイン場面までやってきた。えーと、19時はお知らせの更新がある時間だけど、何か変化はある可能性はあるから一応見とくか。
いったんの胴体にある文字は『これまで行われたイベントを再度体験出来る『再現クエスト』の実装準備を開始しています。実装のタイミングや詳しい仕様については後日お知らせ致します』となっていた。ここで新機能の実装のお知らせか! あ、緊急クエストの開催中のも表示はされてるね。
「いったん、『再現クエスト』の実装の目処が立ったのか!」
「うん、今は色々調整中〜! 具体的な日程は、まだ告知出来ない段階だけどね〜」
「なるほどなー。あくまで今は簡単なお知らせだけってことか」
「そうなるね〜。この辺はお知らせ出来るようになったら告知をするので、それまでお待ち下さい〜」
「ほいよっと」
まぁ今すぐに実装と言われても色々と重なってる現状では手が回らないし、多分運営としても夏休みでの新規プレイヤーの増加を見越しての実装な気がする。
最初からやってる俺らはどういう事があったかは分かってるけど、新規のプレイヤーだとそういうのは未体験なままになるもんな。まぁその辺は続報が出るまで待ちますか。
「そういやスクショの承諾は来てる?」
「来てるよ〜。はい、これ〜」
「サンキュー!」
いつものようにいったんからスクショの承諾の一覧を渡されたので、それを眺めていく。ふむふむ、川下りをしてる時と、マイルさんとウナギの罠を開けて行った時の様子が撮られていたみたいだね。
なんというか川下りの様子は天の川の中を進んでるように見えるくらい、川の水面に星空が映り込んでるんだな。えーと、撮った人は灰の群集の人だけど知らない人か。ウナギの方も同じだな。うん、これについては両方承諾でいいや。
「おし、これでよろしく」
「はいはい〜。それじゃこれで処理しておくね〜!」
「それじゃコケでログインで!」
「楽しんできてね〜!」
そうして今回もいったんに見送られながら、ゲーム内へと移動だな。さて、サヤの電気の昇華称号はどうなってるだろうか? 取れてたら良いんだけどなー。
◇ ◇ ◇
さて、ゲームの中へとやってきた。干潟の混雑してなかった位置でログアウトしたけど……その時よりも集まってる人は確実に増えてるなー。みんなの姿はパッと見じゃ分からないけど、ハーレさんなら隣に――
<群集クエスト《群集拠点種の更なる強化・灰の群集》・群集拠点種:エニシ(始まりの森林・灰の群集エリア1)の強化が規定値に達しました>
<『未開のジャングル』への転移経路が確立されました>
<『ミヤ・マサの森林』から群集支援種ミヤビと群集支援種マサキが『未開のジャングル』で安全地帯を確保しました>
<規定条件を満たしましたので、競争クエスト『未開の地を占拠せよ:未開のジャングル』が発生します>
<規定条件を満たしましたので、競争クエスト『防衛せよ:ミヤ・マサの森林』が発生します>
ちょ、ログイン早々に群集クエストが進んで、同時に競争クエストが2ヵ所始まった!? 新たな転移先の新エリアのジャングルと、ミヤ・マサの森林が再戦エリアか!
「競争クエストが始まったぞ!」
「一気に戦場が2ヶ所かよ!」
「ミヤ・マサの森林がー!?」
「あそこなら、対戦相手は青の群集か!」
「上限Lvになってるなら、ここで戦ってる場合じゃねぇ!」
「え、ここでの戦闘は大丈夫なの!?」
あ、あちこちで競争クエストが開始になった事で色んな人が反応してるけど、まぁ確かにその気持ちは分かる。でも、ここでそれぞれに慌てて動き出せば変に混雑が発生しかねないね。
「わわっ!? 大騒ぎなのさー!?」
「まぁ、これは仕方ないだろ」
「あ、ケイさんが隣にいたのです!?」
「いや、むしろ単純にハーレさんが移動してなかっただけじゃね?」
俺もハーレさんもログアウトしたままの場所だしさ。いつもハーレさんの方が俺より少し早くログインしてるんだから、その辺は気付いてくれ。
「あ、確かにそうでした!?」
「ところで、みんなは?」
「サヤが今、雷の操作の取得の真っ最中なのさー! 共同体のチャットで確認していたとこなのです。ヨッシはサヤに付き添って行ってるのさー!」
「お、そうなのか。上風の丘で運良く――」
「それが違うそうなのさー! 雷雨になったのはミヤ・マサの森林だって!」
「え、マジで!? 今、競争クエストのエリアになったばっかだぞ!?」
「どうもややこしい事になったっぽいな」
「あ、アルか」
さっきは見当たらなかったけど、アルの方から俺らを見つけてくれて近付いてきてくれたようである。てか、サヤとヨッシさんが既に競争クエストの対象エリアにいるとは……。
「紅焔、ソラ、やれ」
「おうよ、リーダー! 『ファイアクリエイト』!」
「まぁここは強引に収めるしかないよね。『ファイアクリエイト』!」
って、なんかそんな声が上から聞こえたと思ったら、上空で盛大に荒れ狂う炎の爆発が起きた!? 今まで見た事がない程の規模だけど、これって昇華魔法のエクスプロードだよな!?
あ、戦闘中で余所見してる暇がない人以外は、みんな騒ぐのをやめて上空を見上げてる。てか、ベスタが上空で星空を背に立っていて、その横には紅焔さんとソラさんが飛んでいた。
「逸る気持ちは分かるが、今は少し落ち着け。戦闘中の奴は、変に意識は散らし過ぎないようにしてくれ。ここからの動きはある程度想定してある。必ずそれに従えという訳ではないが、協力してもらえると助かる」
そんな風にベスタがみんなに向けて呼びかけていく。ははっ、ある程度は群集クエストの進行具合から開始のタイミング自体は予想してただろうし、開始直後にこうなるのも想定済みだったみたいだね。
「悪いが混乱を避ける為に、既に戦闘中の人は今の1戦だけは確実に終わらせてくれ。そこから後は灰のサファリ同盟の誘導に従って、競争クエストへの参加希望者はここを離れてくれて構わん」
「そういう事なので、戦闘継続を希望しない方は今の戦闘が終わったら待機場所の方へお願いします! 順番待ちをしている方も、競争クエストへの参加希望であれば順番待ちの取り消しをお願いします!」
「その後、競争クエストへの参戦希望者は一度ミヤ・マサの森林まで集まってくれ。新エリアの方は偵察部隊を編成し、他の群集の動向を探る。また、その間は青の群集をミヤ・マサの森林へと侵攻させん。前回と同様なら競争クエストを受ける前なら下手に攻撃は出来ないから、集まるまででまだ競争クエストは受けるな。あえてそこで相手の動きを制限する」
あ、ベスタの背中の上からラックさんがこれからの事を呼びかけてる。それにベスタがこれからの行動を説明し始めた。
なるほど、再戦の対象エリアになった場所に人を集める事で青の群集からは攻め込みにくくしつつ、並行して新エリアのジャングルの偵察部隊を編成していくのか。しかも下手に攻撃したらPK判定になる状況を作ってやるんだな。予め灰のサファリ同盟と競争クエストが始まった際にどうやって動くかを決めていたっぽいね。
「おし、とりあえず今の1戦は片付けるぞ!」
「「「「「おう!」」」」」
「対人戦はパスだから、このまま戦ってくよー」
「同じくー!」
「まぁその辺は人それぞれだしな」
「参戦したいけど、Lv上限がまだだー!?」
「出来るだけ早くLv上限にするぞ!」
「やった! これなら早く順番が回ってきそう!」
なんというか人によって反応は様々だけど、まぁその辺は元々分かってた事か。もう既に灰のサファリ同盟の順番待ちの整理をしてる場所にキャンセルしに行ってる人達もいるみたいだしね。
とりあえずベスタや灰のサファリ同盟の人達が事前にこういう自体を想定して、それなりの準備をしてたみたいだから混乱が発生する心配はいらなさそう。多分、他の場所でもその辺の整理はしてるはず。
さて、この状況は俺らはどうすべきか……。あ、共同体のチャットが光ってるし、サヤとヨッシさんの方の状況も確認しないとね。
サヤ : 電気の昇華称号が取れたと思ったら、この状況はビックリかな!
ヨッシ : 確かにそうだけど、何とか間に合って良かったよ。
ケイ : 2人ともミヤ・マサの森林にいるって聞いたけど、そっちの様子は大丈夫か?
サヤ : ……既に周囲では大騒ぎかな?
ヨッシ : 灰のサファリ同盟の森林支部の人が整理しようとはしてるけど、ちょっと時間がかかりそうな感じ。まだ状況を把握し切れてないんだけど、そっちの状況はどう?
アルマース : ベスタとラックさんでこれからの動きを説明しているとこだな。参戦希望者はとりあえずミヤ・マサの森林に集まれとさ。
ハーレ : そうなのさー! それで競争クエストへの参戦希望者は、順番待ちをキャンセルして良いそうです!
サヤ : あ、そうなのかな?
ヨッシ : やっぱり指揮が出来る人がいると早いんだね。
ケイ : そこでだけど、俺らはどうする? ひとまずは新エリアに偵察部隊を送る予定みたいだけど……。
他の群集が転移の経路の確立が済んでいるかとか、どんな敵が存在するかとか、その辺は一切不明な新エリアだ。何があっても不思議じゃないし、そういう状況なら最大戦力になる既に成熟体に進化した人達がメインになるはず。
アルマース : 流石に俺らは偵察部隊は無理だろう。ミヤ・マサの森林の防衛も成熟体がメインになるだろうから、すぐに動く必要はないと思うが……。
ヨッシ : そういう事なら、もう成熟体への進化をする?
サヤ : 私もハーレも、2ndの進化準備は完了かな!
ハーレ : そうなのさー! ただ、リスもクラゲも転生進化なので死んでくる必要があるのです!
サヤ : あ、それは私のクマと竜も同じかな。
あ、そういやサヤとハーレさんの場合はそうなるのか。アルとヨッシさんは今回の進化は支配進化だから死ぬ必要はないし、俺は同調を維持したままの進化でこれも問題はない。
アルマース : サヤとハーレさんはどこかで死んでくる必要があるんだな。
ヨッシ : ふと思ったんだけど、共生進化したままでそれぞれの進化って出来るの?
ケイ : そういや、地味に試した事はないのか。
サヤのクマが未成体になった時は、俺が青の群集との総力戦で追い詰められて、その打開策のヒントをくれた時だしな。ハーレさんはそもそも先にリスを未成体に進化させていた。
今更気付いた事だけど、俺らの中で共生進化を維持したままそれぞれに個別の進化をさせたパターンって存在してないんだな。
サヤ : あ、多分だけど一度共生進化を解除してからじゃないとダメみたい。
ハーレ : ログインしてない方が死んだら共生進化が解除になるから、その先の進化まで進まないのさー!
ケイ : あー、そういう可能性は高そうだな。
ヨッシ : それだとサヤとハーレは2回ずつ死んでこないと駄目なんだね。
アルマース : そういう事になるが……どこでどうやるかが問題だな。
ケイ : 確かになー。
これから全員の進化をしていくとしても、合計4回の死亡をやらなければいけない。手段としては、どこかにいる成熟体に殺されるか、適応出来ないエリアに行って死ぬか、もしくは他の群集の人に殺してもらうか。
うーん、競争クエストが始まった段階で他の群集に頼むのは絶対にやりにくい。いっそ、サヤとハーレさんは未成体で参戦して、その過程で殺されて進化するって手段もありか? クマとリスだけなら、それでアルに設定してるリスポーン位置から復活出来るしさ。




