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第100話 移動拠点の完成


 今日の晩飯はたらふくカニを堪能した。あー美味かった。ヨッシさんに感謝!


「兄貴、ありがとね!」

「あーそれはヨッシさんに言っとけ。俺だけじゃ無理だったしな」

「それでもありがとね! 私が言ったんじゃ無理だったし!」


 とりあえず、晴香の今週末のゲーム没収は取り下げてもらえる事に成功した。まぁぶっちゃけ、晴香がカニの送り主と一緒にゲームをしているという話をしただけだが。要するにカニを送ってくれたヨッシさんに免じて、今回だけは大目に見ようという事になっただけである。ある意味ではカニで両親の買収に成功したとも言う。

 その代わり、次に遅刻したら1週間まるごと没収ってなったけどな。……何故か俺までも。いやまぁ、遅刻しなきゃ良いだけだしな。


 とりあえず週末の件は片付いたし、晩飯も食い終わったし、再ログインと行きますか!



 ◇ ◇ ◇



 ログイン画面でいったんと軽く会話して、再びゲームの中へと移っていく。そして真っ暗である。あ、そうか。自動解除になったんだっけ。


<行動値上限を1使用して『夜目』を発動します>  行動値 28/28 → 27/27(上限値使用:1)


 とりあえず夜目だけは発動しとこう。発光は……後で良いか。時間は8時を少し回った頃だな。見回してみれば、サヤ、ヨッシさん、ハーレさん、アルと既に勢ぞろいしていた。


「お、思ったより早く全員揃ったな」

「なんだ、アル。もうログインしてたのか」

「まぁ9時って言ったのは念の為だったからな」

「アルはさっきまで移動してきてたとこだったけどね」

「仕方ないだろ。氷狼のとこでログアウトしてたの忘れてたんだからよ」

「あ、そういやログアウトした場所はあそこだったっけ」


 氷狼戦の後、少しだけ位置をズラしてそのまま話してログアウトしたんだからログイン場所はそうなるか。


「同じエリア内じゃ『帰還の実』が使えなかったから、1回氷狼の先のエリアに行ってから使って戻ってきたけどな」

「アルさん、氷狼の先のエリア行ったんだ!? どんなだった!?」

「『名も無き高原・灰の群集エリア2南部』ってなってたぞ。『同族同調』を使って軽く確認してみたが、手前のほうは木は途中からごっそりと減ってたな。草花系が多くてのんびりした感じの場所だ。ついでにその更に先は雪みたいなのが見えたから、多分そっちが雪山エリアだな」

「しっかり偵察してきてたのか。てか名前ないんかい!」

「あはは。でも設定上は未開の惑星でこれから探索していくんだから名前がある方が変なのかな?」

「サヤの言う通りかも!?」


 うーむ、確かにそう言われてみればそうかもしれない。他のゲームだと初めからありそうなものがクエスト化しているみたいだし、もしかしてエリア名の命名クエストとかがあったりする……? まぁ一応はどこのエリアから繋がるかは書いているっぽいし、とりあえずは大丈夫かな。


「その辺は進めていけば追々分かってくるだろ。それに今日は何処に行くか決めるんだろ?」

「まぁな。一応俺も掲示板から湿地帯があるって情報は仕入れてきたぞ。どこの群集かは書いてなかったけど、多分沼ガメの先じゃないかと思う」

「あ、湿地帯の情報は私も見た。ケイさんの推測に賛成かな。でも、あそこはサヤが厳しそうじゃない?」

「湿地帯で私が厳しいって事は足場が悪いのかな?」

「大型だと足が埋まるんだとよ」

「それは確かに厳しいかな……」

「まぁ水分吸収があればなんとかなるらしいし、みんなで行く分には多分大丈夫だとは思うぞ」


 それでもちょっと移動が難しめになるのは避けきれないだろう。エリアとしての特徴なんだろうし、仕方ない側面はある。まぁPTで移動できるならアルもいるし、問題はなさそうだけど。水分吸収で足場問題が一時的にでもなんとかなるなら、俺でも多分大丈夫だろうしね。


「不動桜の先の情報は昨日聞いてきたよ! どこの群集でもない森林エリアだって!」

「へぇ、普通の森林エリアも別にあるんだ?」

「そうみたい! 何処に行くのが良いかなー?」


 湿地帯か、高原か、森林か、確かに悩みどころ。どこも行ってみれば楽しそうだしな。湿地帯は少し大変そうだけど、それはそれでゲームの楽しみ方の1つだし。条件的に移動が不可能な訳ではないし、どうしたものか。


「……ねぇ、その前にアルさんの進化をやらない?」

「あー、そういやサヤを待たせたままだったか。良いぜ、先にそっちを済ましちまおう」

「そうだね! どんな風に進化するんだろ!?」

「それじゃ始めるぞ」


 その宣言と共にアルの変異進化が始まった。そういや自分では1回変異進化したけど、他の人の変異進化を見るのは初めてだな。外から見るとどんな風に見えるんだろう?

 お、アルの周囲を光の膜が包み込んでいく。流石は木だ。光の膜で完全に覆われて卵みたいになってるけど、そのサイズがかなり大きい。それにしてもやっぱり見た目的には卵みたいになってるんだな。中からは脈打つように木のシルエットが僅かに見えて、その姿が変化していってる。


「おー! なんか凄いね!」

「光の卵だね」

「転生進化より演出が凝ってる気がするかな?」

「外から見るとこんな感じなのか。纏属進化もこんな感じの見た目なのかね?」

「あ、そういやケイはもう纏属進化を試してたんだよね」

「私も後で纏属進化を試してみようっと」

「あ、そろそろ進化終わるみたいだよ!」


 そしてしばらく待つと光の膜が砕け散り、アルの進化が完了した。見た目は、全体的に少し大きくなって、特に幹が太くなった感じか?


「進化完了っと。さてと、どうなったかな?」

「見た目的にはちょっと大きくなった感じだな」

「それ以外には特に変わった様子があんまりないかな?」

「あーなるほど、こうなってんのか。『樹洞展開』!」

「わっ!? それ、どうなったの!?」


 そのアルの言葉と共に、アルの木の幹が裂けて穴が出来た。『樹洞展開』って言ってたし、これはスキルによるものか。


「サヤ、その樹洞の中は入れるらしいから、入ってみ?」

「え、そうなの? それじゃちょっとお邪魔してみようかな? あ、意外と余裕があるね!」


 結構な大型のクマのサヤが入っても余裕があるとは凄いな。


「流石、ゲーム。結構無茶な事を平然とやってくれるな」

「まぁ完全にリアルと同じじゃゲームにならないしな」

「私も入るー!」

「あ、ハーレ!? アルさん入っても大丈夫?」


 止める間もなく入って行ったハーレさんと、アルに確認を取るヨッシさん。そうか、リアルでも色々と突っ走り気味の我が妹の対応をしてくれていたのはヨッシさんだったんだな。……ヨッシさんが引っ越した今はリアルの方、大丈夫だろうな……? とりあえずリアルの心配は後にしておくとして……。

 見た感じアルの樹洞の中に入っても大丈夫そうではあるけど、どうなんだろうか?


「フレンド登録してる相手なら出入り自由に設定しておいたから入れるぞ。同時に入れるのは5人までらしいけどな」

「あ、もしかしてPT人数が上限なのか?」

「……多分な。種族的にもそれが正解だと思うぞ」

「そういや『根脚拠点蜜柑』だったっけ?」

「おう、よく覚えてたな。ちなみに進化階位は『成長体・移動拠点種』ってのになってるわ」

「移動する拠点の木って事なんだ。それなら私も入ってみようっと」

「ヨッシもケイさんも早くおいでよー! 結構凄いよ、この中!」

「俺も入ってみるかな」


 さてと入ってみると言ったけども、どうやって入ろうかな? 中にコケがあるとは思えないし、群体化では移動は無理か……?


「あ、そうか。ケイのコケが中にはないもんな。コケ付きの石でも中に入れてもらうか?」

「いや、大丈夫。アルがいない間に新移動手段は2種類は手に入れた」

「え、マジか!?」

「その1つをお披露目しよう!」

「ほう、お手並み拝見といこうじゃねぇか」


 纏樹の根脚移動は時間制限と使用回数の制限があるし、後でやる事もある。ここは水球移動の方でいこう。


<行動値上限を3使用して『水中浮遊』を発動します>  行動値 27/27 → 24/24(上限値使用:4)

<行動値1と魔力値4消費して『水魔法Lv1:アクアクリエイト』を発動します> 行動値 23/24(上限値使用:4) : 魔力値 50/54

<行動値を4消費して『水の操作Lv5』を発動します>  行動値 19/24(上限値使用:4)


「へぇ、そんなの出来るのか」

「多分、似たようなのを見ることがその内あると思うぞ? これ、魚系プレイヤーの陸地の移動手段っぽいし」

「なるほどな。それを応用したって訳だ」

「そういうこと。んじゃお邪魔しまーす!」


 それではアルの樹洞の内部へと突入! お、意外と明るい。木の内側をくり抜いて生活空間を作ったっていう風な感じだな。流石に広いとまでは言えないけどこのメンバーなら全員入っても問題なさそうだ。


「ケイさん、ケイさん! ここから上の私の巣のとこに行けるよ!」

「お、マジか!?」


 アルの樹洞の上方に穴が空いているのか、光が差し込んでくる場所がある。そこからよじ登れるような枝が内部に向けて伸びていた。ハーレさんと共に登ってみれば、そこにはハーレさんの巣が目の前にあった。内部にいても即座に攻撃位置に移動できるらしい。ここからなら、俺の水魔法やヨッシさんの毒魔法も活躍出来そうだ。

 流石は移動拠点種という名前が付いてるだけはあるな。ホントに拠点に出来そうじゃないか。しかも移動可能で、リスポーン位置にもなる。それだけに気になる事もあるけども。


「なぁ、アル。これ、発動の条件は?」

「『根脚移動』の発動の行動値上限の使用が半分から4分の1に軽減された代わりに、『樹洞展開』でも『根脚移動』と同じだけ行動値上限を使用になってるわ」

「えーと、トータルでは使用量はプラマイゼロか?」

「まぁそういう事だ。あと、少しだけ防御力と移動速度が落ちるな」

「それは仕方ないか」

「まぁな。早く移動したい時には氷狼戦の直前にやったあれでもやればいいだろうしな」

「え、あれやるのか?」

「発案はケイだったじゃねぇか? なんかマズいか?」

「あーいや、思った以上に速度が出てたから、ちょっと躊躇いがな? あとサヤ的にはどうなんだ?」

「そういや速度は出し過ぎてたしな。まぁそこら辺はサヤに調整してもらえれば……って、サヤ?」


 何やらサヤが身を震わせていた。あれ? 一体どうしたんだろう?


「アル! 私もここにリスポーン位置設定していいかな!? これなら設定出来るみたいなの!」

「お、おう。それは問題ないぞ」

「ありがとうね! それじゃ早速『巣穴作り』!」


 お、樹洞内部の一角になんかそれっぽいものが生成された。よく見てみれば『サヤの巣(破壊不可)』となっている。これで全員がアルにリスポーン位置の設定が完了したな。


「称号『大型モンスターの住処』に『住処の護り:クマ』か。お、地味に良い効果だな」

「どんな効果かな?」

「奇襲確率低下・小だとよ。これは地味にありがたいかもしれん」

「それはいいな。奇襲はキツいもんな」


 つい昨日も闇ゴケに奇襲されて、選択を間違えて死んだからな。ヒノノコも奇襲だったし、どの程度かは分からないけど奇襲確率が下がるならありがたい。って、サヤに確認しとく事があるんだよ! 忘れかけてた。


「なぁ、サヤ。この前、ベスタと一緒にアルを引っ張って移動したじゃん?」

「うん、やったね」

「早めに移動したい時に、同じ様な事を頼んでも問題ない?」

「うん、もちろん良いよ。アルだけに移動を任せるのは駄目だろうしね」

「そうか。サヤが良いなら別に良いか」

「サヤー! 速度の出し過ぎは気にしてね!? 私、あれ怖かったんだからね!」

「そういやヨッシって、絶叫系は駄目だったっけ? うん、次からは気を付ける!」

「私はあの速度でも全然問題ないよ!」

「ハーレさん、あの速度は俺の水の操作も、アルの根の操作も、ヨッシさんの精神的にも負担が大きいからな?」

「んーそれなら仕方ないね……」


 とりあえずそんな形で決着となった。アルの移動拠点種への進化と、場合によってはサヤによる牽引をする事になり、俺たちのPTの移動拠点がここに完成した。まぁアルがログイン中に限定されるけどね。そればっかりは仕方ない。

 さてと、次は何処のエリアに向かうかを決めていかないとな!

 


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― 新着の感想 ―
[一言] おぉ、ウロが出来たから、クマ、巣を作れたね(//▽//) これで全員一緒~(//▽//)
[一言] 不動種の魅力がまた1つ下がったな。 ネットワーク機能はオンラインである以上、他のみんなにもあるものだし。
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