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日雇い勇者と派遣魔王  作者: ニッケル公爵
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プロローグ

 かつてイルヴァーナと呼ばれる始祖竜が作ったとされる世界、エンティスラ。大陸を二分する海から西側を人類、東を魔物が統括し、亜人はそれぞれの大陸の海側に暮らしている。東の奥に存在する最大都市であり、人類が誇る偉大な国トリスティン王国。西の奥魔王をトップとし、7種の魔物により構成される評議会が支配する最果ての地、カタストル。亜人を中心とした自由都市連盟の内、海の真ん中に存在し、最も貿易が盛んである海上浮遊都市バスティオン。数多くある王国や都市でもこの3つを中心として、世界の文明が栄えているのだ。

 

 対立をする国や都市がある中で、地形と種族の分布から人類、亜人、魔物の中には、戦争とは無縁で、良好な関係を結んでいる王国が多々存在するのだ。それは文明が進んだことで、各種族が魔物にも知恵を持つ物がいること、人類でも魔物に対して負の感情を持っていない者がいること、亜人は非常食ではないと、多くの者達知ったためである。それから少しづつ言葉を交わし、何世代もかけて歩み寄りまさにその成果が出ているのだ。


 だが、トリスティン王国、海上浮遊都市バスティオン、カタストルは、今だ他の種族を認めていないのだ。それもそのはずである。世界を恐怖の闇に誘う者である魔王、希望の光となり平和をもたらす者として存在する勇者。彼らが戦い続けることで世界のバランスが均衡し、様々な技術、学問、魔法、医療等、多くの発展を遂げながら世界は成長し続けるためだ。


 だが何千、何万年と及ぶ戦いを繰り返したことで、勇者と魔王を志す者達が徐々に減少していったのだ。


 それもそのはずである。勇者とは自己犠牲にて正義を元に貧乏で、遊べず、ろくに風呂にも入れず、ただ魔王を倒すために旅をする。一方魔王は、知能が低い魔物達が何か問題を起したらすぐに対応し、さらには魔物同士での争い、勝手に他の国へ戦争を吹っ掛けるため、後始末や仲裁役をする毎日を送っている。加えて忙しい毎日の中、いつ勇者に命を狙われるのか分からない恐怖を感じているのだ。


 暮らしを見ても文明も発達し、武器や魔法によって、そうそう戦争や戦いに巻き込まれることもない世の中になり、技術の発達により無茶しなくても安定的に生活ができるのだ。それなのに手に入るのは名誉だけで、他には何も得しない冒険や、取りたくもない責任を押し付けられ、勝手に部下が起こした不祥事を処理する仕事なんかしたくない。この思想が多くの年数と世代を通し、世界に浸透していったのだ。



 これによりエンティスラは、今まさに勇者と魔王の世代交代ができないため、勇者と魔王の高齢化社会となってしまったのだ。


 魔王は、持病により車いすにて生活余儀なくされ、特に腰痛が酷く、強化武技を中心とする物理攻撃や中位魔法以上を出すことができない。さらには歯がすべて抜けてしまい、何を言っているのか分からない状態である。入れ歯を試してみたが、入れ歯が合わないためか口から負のエネルギー破を拡散させてしまい、一時期魔王城が穴だらけになる非常事態を起していた。


 一方勇者は、高齢により耳が遠くなるだけではなく深夜徘徊をし、他人の家に不法侵入をしてしまうことや、ボケの進行により王国近くに生息するスライムを魔王と勘違いして、最大魔法をぶっ放し、数度となく王国崩壊未遂を起こしていた。また聖剣を杖代わりにし、勇者の鎧の上からはんてんこと股引を履いている姿を子供たちが見ているため、誰も将来勇者になりたいと思わないのである。


 使い物にならない魔王と勇者は戦争から離れ、人間、魔物の均衡を波状し、一部の地域でしかしていなかった戦争区域が徐々に広がっている。さらに追い打ちをかけるように人、魔物両方に関係も持っている亜人にも被害が出たことも重なり、戦争は泥沼化していったのだ。


 このままでは、世界は崩壊をしてしまう。そう考えた各種族の上層部が秘密裏に会合し、とりあえず目先の解決策を考えた。


 それは、今までモンスターの素材を売ることでしか金を手に入れられなかった勇者を人類が雇い給金を支払うこと。また魔王討伐後は、なんでも願いを3つまで叶えると言う内容であった。これにより、人類から、色んな一人の才能に溢れ、英雄になる器の持ち主が名乗りを挙げたのだ。それにより、勇者問題は解決した。


 魔王については特に深刻で、魔王を志す魔物が居なかったため、魔物、人類、亜人達による莫大な魔力を使用し、異世界に居る他の魔王を派遣することにしたのだ。やっとのことで異世界へのゲートを開くことに成功させ、他世界の魔王との接触を行い、見事異世界からの契約までこぎつけたのだ。

 

 これにより、新たな勇者と魔王が誕生した。


 だがそれは……

 



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