表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の家に妹がやってきた?  作者: 西宮ユウ
3/4

こんな編集は嫌だ……

第3章

〜こんな編集は嫌だ〜


俺の幼馴染、梨花と俺の妹の未来が出会ってから3日が経った日。

俺は、部屋に引きこもっていた。

何故かは後に分かる。

プルルル、プルルル。

俺の携帯が鳴る。

俺は恐る恐る電話に出る。

「はい、かずやです」

『やぁ、やぁ、かずやくん。吹雪だけど、今日が何日か分かってるかな?』

「え、え〜と…なんの日でしたっけ……」

この人は俺の担当編集の、今野 吹雪さんだ。

『忘れたとは言わせないよ?君が締切を伸ばしてほしいって言うから伸ばしてあげたのに、第2の締切すら守れそうにないんだから、電話したんだよ?わかる?』

「あ、はい……」

そう、第1の締切に間に合わず頭を下げて締切を伸ばして貰ったのだが、第2の締切にも間に合いそうもなく、部屋に引きこもっているのだ。

「今3分の2が終わったんですぐ……終わると思います……」

『なめてるの?小説の3分の2ってまだまだだよ?そのままいくと、3巻出版出来なくなるけどそれでいいのかな?それは、私的にも困るんだよね〜。だから早く原稿上げてきて。じゃないとち〇こ引っこ抜くからね』

という言葉を残して電話を一方的に切られた。

電話越しでは分からないが、実際吹雪さんが目の前にいると、目で殺されているだろう。

ただ、確かに小説の3分の2はまだまだだ。

例えば300ページの小説だとするとまだ200ページしか完成していない。

正直、絶望だ。

「やべ〜な。本格的にやばくなってきた」

すると、また携帯が鳴る。

「はい、かずーー」

俺が話すのを遮るかのように相手は、

『あ、言い忘れ。今すぐ編集部に来て?じゃよろしく』

と残して、電話を切った。

俺には、吹雪さんが言った言葉の糸がわかった。

考えるだけで寒気がする。

「お〜い、未来〜?」

「ん?なに?兄さん」

「俺今から出かけるから留守番よろしくな」

「分かりました!」

ほんとに分かってるんだろうか…

「じゃ、いってくるわ」

「行ってらっしゃい!!」

俺の家から編集部まで、それ程距離はない。

30分歩いたら着くほどの距離だ。

出版社の受け付けでカードを見せ、編集部のある7階に上がる。

「やっと来たね、かずやくん」

やっとって……これ以上早く来るなんて無理だわ。

「で、何の用なんですか?今日は」

察しはついているんだが……

「なんの用?ほんとに君はセッ〇スの事しか頭にないの?」

そんな訳ないだろ!小説の事で頭いっぱいだわ!

とは、なかなか言えない。

「あははは……」

この人には、こんな感じの返ししか出来ない。

「今日から、この部屋で原稿が完成するまでいてもらうから。あ、私と二人きりじゃないからね?」

そんな事思ってませんよ……

「ここって……」

「缶詰部屋。締切に間に合わなかった愚かな作家、イラストレーターを閉じこ…集中させる場所」

今、編集部の裏が見えかけたんだが……

「吹雪さん、ちなみに期限って……」

「原稿が完成するまでとは言ったけど、明日の昼までに完成させてね。完成しなかったら……【漆黒のエンブリヲ】は、打ち切りだから」

「…………っ?」

俺は硬直してしまった。

打ち切り。それは今後一切その小説の続編を出す事が出来なくなることだ。

吹雪さんは、俺の心情など関係なくこう告げる。

「打ち切りになると多分……私のクビも飛ぶだろうけどね」

そんなこと言われたら……

「分かりました。完成させます」

しか言えない。

「ありがと!じゃ、頑張ってね〜!あ、ちなみにクビが飛ぶのは嘘だからね!」

くっそ〜、鬼編集め〜〜〜。


時は経ち、缶詰部屋に入ってから9時間。

「やばい、この部屋集中は出来るけど、空気が悪すぎる」

「ど〜だい?原稿の方は、終わりそうかな?」

扉の向こうに吹雪さんがいる。

「あとすこしで終わりそうです。でも、この部屋空気悪すぎませんか?」

「あ〜だっていろんな人が……」

「……ん?」

吹雪さんは、言葉を詰まらせてから、

「何でもない!気にしないで頑張れ」

と言い去っていく。

濁されたら余計気になるわ。


缶詰部屋に入れられてから……何時間経っただろう……

「おわった〜〜。できもなかなかいい!これなら吹雪さんも満足してくれるだろ」

すると、扉の向こうから足音が聞こえる。

吹雪さんだろうか。

「ふぶーー」

「兄さん?」

俺が喋るのを遮るかのように話しかけてきたのは、メイド兼妹の未来だった。

「は?なんでまたお前がここにいるんだよ」

「なんでって…出かけるって言って1日返ってこないんだから心配で……」

どんだけ心配性なんだよ……

「でも、なんでここが分かったんだ?」

「妹の勘ってやつかな?」

それを言うなら女の勘だろ。

「なんでもいいから早く帰れ、こんなとこにいたら鬼編集に殺され……」

未来の後ろに鬼のような影が映る。

「鬼編集…ね」

その人物はそう言って、扉の鍵を開ける。

俺は恐ろしくて足を動かせなかった。

「やっと解放だっていうのに出てこないのかな?かずやくん」

白く輝く歯が俺の目に映る。

「はい、今すぐに」

俺は、吹雪さんの指示に従い、缶詰部屋から脱出する。

外には未来と、冷酷な目付きの吹雪さんがいた。

「かずやくん、この女の子は誰かな?」

「え〜と、この子は僕の妹です」

「妹なの?可愛いじゃない。妹ちゃん、襲われたりしてない?毎日いやらしいことされてない?」

「毎日、セッ〇ス三昧です!」

「そんな訳ないだろ!」

「毎日、一緒にお風呂入ってます」

「はいってね〜わ!犯罪で捕まるわ!」

「毎日家事をしています」

「…………」

今回はツッコまないことにした。

「私は、かずやくんの担当編集の今野 吹雪と申します。宜しくね……え〜と……」

「未来です!かずやさんの妹の未来です。よろしくお願いします」

「……?」

少し吹雪さんが疑問を感じた顔をしたが、お互いの自己紹介も終わり、本題に入る。

「かずやくん原稿はど〜なった?」

「ちゃんと完成しました。これです」

俺はそう言って、吹雪さんにUSBを渡す。

吹雪さんは、パソコンにUSBを繋ぎファイルを開き原稿をみはじめる。


「面白い」

10分ほど経って、吹雪さんが急に発する。

「これ今までで1番面白いよ! 」

「ありがとうございます」

なぜ俺に一切の喜びが無いのか、それは毎回の原稿チェックの時に吹雪さんは『これ今までで一番面白いよ』と言うからだ。

「俺これで失礼しますね。眠たいんで」

「はいは〜い!校閲が終わったら1度かずやくんの所にデータ送るね」

「はい。では失礼します」

俺は、未来を連れて出版社を出る。

「兄さん、何であんな態度なの?」

「いいんだよ、いつもこんな感じだから」

毎度、毎度のことで、俺は慣れてしまっているんだ。

「それが兄さんのダメなところだと思うな。思ったことはちゃんと言った方がいいと思うよ」

なんで俺は妹に説教されてるんだろうか……

「次からは私も小説作りに協力する」

「な、なんでそ〜なるんだよ。妹に仕事を手伝わせるなんーー」

「面白い小説書きたくないの?もっと多くの人に読んで欲しくないの?ミリオン取りたくないの?」

「……………っ」

未来の言葉は、俺の胸を抉るように鋭かった。

知り合って数日の奴に言われたくないという気持ちはあるが、未来が言ってる事は正論ーー

ーー何も言い返せない

「未来、土曜日出かけるぞ」

「分かった」

俺はこの時決意をした。いや、俺の頭がそう考えさせた。

『未来の助けは、小説を書く上で必要なのではないか』と。


第3章を読んでいただきありがとうございます。

今回は、1章で少し出てきた鬼編集の吹雪さんが登場しました。そこに妹の未来が現れる毎度の展開。

ここは私的にオススメするところです。

そして、かずやと未来のボケ、ツッコミも見どころでしたね。

4章はまた未定ですが、兄妹のお出かけがメインになるかとおもいます。

多くの方に呼んでもらえるように全力で書きます。

なかなか知名度があがらず、メンタルがって時もありますが、クヨクヨせず書いていきますのでよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ