こんな妹が、あんな幼馴染と...…
~第2章~
こんな妹が、あんな幼馴染と……
俺の家にメイド兼妹がやってきて、2日が経った。
相変わらず、毎日ツッコミまくっている。
「兄さ~ん?今日は出かけるんじゃなかった??」
「あ、そ〜だった。やっべ、準備しないと」
そう今日は、幼馴染の梨花に付き合う日だ。
「お弁当作っておいたから持っていってね!」
なんだこの気の利く妹は……頼んでもないのにお弁当って……
「ありがと」
俺は、急いで家を出て、梨花との待ち合わせの駅前に走った。
「やっべ、ギリギリだ。すっかり忘れてたぜ」
家から駅までの距離(約10分)をダッシュする。
日頃運動もせず、小説を書いてる俺からしたら、超キツい……
「あ、かずや~~~!!」
駅前で、俺の名前を呼ぶ女がいる。
黒髪で、超貧乳女……幼馴染の梨花だ。
「すまん、遅れちまった……」
「大丈夫、大丈夫!パンツ履き忘れてきたから、新しいパンツ買ってたし!」
どんなミスしてんだ……しかもサラッと言うことじゃないぞ……
息切れしていてツッコむ気力さえない。
「お前、ホント天然だな」
「パンペロ!」
なんだ、パンペロって。
パンツとてへぺろの融合か?
「さ、行こっか!!」
「おう」
俺が、梨花に続いて歩きだそうとしたときだった。
「あ、そういやさっきから気になってたんだけど、そこの木の後ろにいる人は誰??かずやの事ずっと見つめてるけど」
「えっ?」
梨花が話し終わると同時に俺は、後ろの木のある方を見る。
「「…………………………」」
場に少しの沈黙が広がる。
「「あ~〜~〜~〜~〜~〜!」」
「お前、何してんだここで!!」
「い、いや……兄さんが……パンツ履いていくの忘れたから……」
「え…?って忘れてないわ!ちょっと確認しちまったじゃね〜か!」
また始まった、未来がボケて、俺がツッコむ流れが……
「に、兄さんが……ズボン履き忘れて行ったから……」
「履いてるわ!そこまでボケてないわ!」
「兄さんが……お弁当忘れていくから」
「え?お弁当?」
俺は咄嗟に鞄の中を確認する。
「ほんとだ、忘れてる。未来が持ってきてくれたのか?」
「うん……」
未来は、少し照れくさそうに返事をする。
「あ、あの~どういう状況?かずや」
一人放置されていた梨花が話しかけてくる。
「あ、すまんすまん。ちょっとしたハプニングで、何でもないから大丈夫だ!さ、行くか!」
「いや、そこの女の子は誰?メイド服なんて着てるけど……」
やはりそこ聞かれますよね。誰が見ても聞きますよね。はい。
「えっと、こいつはーーー」
「私は、かずやさんの妹の未来と申します!よろしくお願いします!」
俺が話すのを遮り、未来が話し出す。
「かずやに妹?妹なんていたっけ??」
「いや〜、なんと説明したらいいか……」
「私が説明します。かずやさんの両親からのご依頼で、妹としてかずやさんのお隣に置かせてもらってます!」
お隣ってなんか誤解をうみそうな言い方だな……
「なるほど!そういう事だったんだね!未来ちゃん、よろしくね!」
「はい!」
梨花も納得してくれて、一段落した(?)のだろう。
ちょっと物分りが良すぎる気がするけど……
「さ、俺たちはいくぞ?未来は、気をつけて帰れよ?」
「え?何言ってるのカズヤ。未来ちゃんも一緒に連れていくよ!」
は?何言ってんだこいつ。遂に天然から馬鹿に昇格でもしたか?
「おいおい、なんで未来も連れていくんだよ」
「兄さん.....私はいいよ?」
お前には聞いてない。
「人数は多い方がいいじゃん!未来ちゃんもいいって言ってるしさ!」
「んっ……」
二人のキラキラした笑顔に押しつぶされそうだ。
「分かったよ、連れていけばいいんだろ、連れてけば」
「やったぁぁぁあ!」
渋々承諾してしまった。
「で、梨花、今日はどこ行くんだ?」
「えへへ、今日は......水族館に行く!!」
水族館。ごく普通のデートスポットだな。
カップルが1回は絶対いく場所だ。
「秘密とか言ってた割に、普通だな」
「ぷぅぅぅ……」
梨花は、顔を赤くして、頰っぺを膨らましていた。
駅で切符を買い、30分程かけて水族館の最寄り駅まできた。
「お〜!イルミネーション綺麗!!」
「お前は子供か」
「子供でいいもん!!」
子供でもいいんかい!
でも、確かに綺麗だ。
今は12月中旬、どこに行ってもイルミネーションだらけ。
嫌でも目に入る。
「It's wonderful. I'm impressed.」
つい英語が出てる人もいる。
「日本のイルミネーションは初めて見たので、とても感動です」
「未来ちゃんは、日本のイルミネーション見るの初めてなの?」
「はい、生まれは日本でも育ちはイタリアなので、見るのは初めてです」
「なら、いい思い出になったね!」
「はい!」
完璧なメイド兼妹でも、やはり根はまだ子供だから、知らないことの方が多いんだろうな。
「さ、お前ら行くぞ!」
「「うん」」
チケット売り場で入場券を買い、水族館を順に回っていく。
「うわぁ〜このジンベイザメおっきぃ〜!かずやのち〇こより大きい」
「何言ってんだばか。ってあれ?未来は?どこいったんだ?」
「ほんとだ、どこいったんだろ」
俺達が、魚に夢中になってる間に、未来が行方不明になっていた。
「探さないと」
俺は、それで頭が一杯だった。
俺と梨花は、手分けして水族館を探すことにした。
「みら〜い、どこだ〜。くっそ〜どこいったんだよ」
水族館を探し回っても、どこにも未来はいない。
「ほんとにどこいったんだよ」
あの妹に限って、なんて思っていたが、頭は心配の文字で一杯だった。
「みらーーー」
トンッ、トンッ。
「ん……?」
俺の肩を、誰かが叩いた。
俺は、咄嗟に後ろを振り向く。
「お、お前どこいってたんだよ!心配したんだぞ」
「ごめん、兄さん。トイレに行って戻ったら誰もいなくて、探し回ってたの」
まさかのすれ違いになっていたらしい。
「トイレにいってたのかよ……」
「そんなに心配してくれたの?愛しい『下着覗見』を」
「だから誰だよそれ!」
場の空気台無しじゃねーか!
「誘拐とか殺人じゃなくてよかったね」
どんだけ深刻に考えてたんだ。
「梨花さんも、心配してくれてありがとうございました」
「ううん。いずれ妹になるんだから、当たり前だよ」
「ん?梨花、いずれ妹になるとか何とか言ったか?」
「い、いや言ってないよ!聞き間違いだよ。アハハ……」
今のは俺の聞き間違いだったのだろうか……
しかし、梨花はほんと変なやつだ。
こんな変わった奴見たことないかもな。
「ば〜か」
ハプニングはあったものの、無事水族館も周り、地元まで戻ってきた。
「今日は、付き合ってくれてありがとう。またみんなで行こうね」
「そ〜だな。たまには良いかもな」
「じゃあ、私は自転車だからここで!じゃあね」
そう言って梨花は、去っていった。
「嵐みたいな人だね」
「昔からあんな感じなんだよ、あいつは」
梨花と別れて、俺と未来は暗い夜道を二人で歩いていた。
「兄さん、私、あの人には負けないから。絶対………」
「ん?負けないって何にだ?」
「ひ、秘密……女のプライベートに土足で踏み込まないで」
未来は、顔を赤面させ下を向いてしまった。
「わかったよ、聞かないから前向いて歩け。怪我するぞ」
「うん」
色々起こったが、長い1日が終わった。
そして、浮かれた俺は大事なことを忘れていた。
ーーー締切。
〜作者コメント〜
2部作をみていただきありがとうございます。
3部作目も全力で面白いものにしたいと思っていますので、よろしくお願いします。
コメントも頂けるとうれしいです!
次作は、あの鬼編集か出てくる……
鬼編集とはどー友人物なのか…
そして、あの人がまたしても現れる。
次作投稿予定はまだ未定ですがなるべく早く上げます!
多くの方に見ていただけるような物にしたいと思います。