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藻照(もてる)採用までの流れ

おっさんと言えば、皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか。おっさんのイメージは、ハゲていたり、疲れ切っていたり、見た目が老けていたり、ファッションがダサかったり、匂いが気になるおっさん独特の匂い、加齢臭といったところだろうか。そんなおっさんのイメージは、悪いイメージしかないではないか、でも、実際はそうでもないと思う。こういったイメージを連想して出てくるのが、おっさんかもしれないが良いイメージもあるはずだ。例えば、社長を連想して出てくるのは、おっさんの人が多数だと思う。最近では、若社長を思い浮かぶ人もいるかもしれないが、だいたいの人はおっさんを思い浮かべるだろう。この社会がおっさんだけだったら、当然会社に入社した新入社員もおっさんなわけだが、フレッシュさが足りない気がする。これは、おっさんがおっさんを雇って、おっさんがおっさんで社会を回すストーリーである。

おっさんが企業したのは、二十四時間営業の商店である。いわゆるコンビニに近いとでも言っておこう。一人のおっさんが、また一人おっさんを雇おうとしていた。おっさん対おっさんの面接に入る。「君、名前はなんていうの」と問うおっさん。このおっさんは、いわゆる社長的ポジションのおっさんだ。名前は、ダイダロス健二というらしい。なぜ、ダイダロス健二かと言うと、カードゲームから思いついた名前らしい。そこは、おっさんギリシア神話と答えてほしいところでしたが、話しを戻し今は面接中なのである。問われたおっさんは、もじもじしながら「鈴木です、ドーン」と答えた。ダイダロス健二は、クスッっと笑いながらすぐさまツッコミを入れる、「もじもじしながら、ドーン」ってなんだよ。鈴木は「は、はい」と答える。ここで鈴木の紹介をしていく。鈴木もなかなかのやり手だ。学力は本人いわく優秀らしい。推定年齢は四十五歳くらいに見えるが、四十歳だそうだ。この五歳、あまり変わらないだろ、と思う人もいるかもしれないが、この五歳がけっこう変わってくるのである。鈴木は、会社員として働いていたが、遅刻、無断欠席の連打でクビになったらしい。「寝坊が絶えない日々でしたねー」と鈴木が誇らしく言った。またまたすぐさまダイダロス健二がツッコム「誇らしく言うもんじゃない」と言う。ダイダロス健二が履歴書に目を通し始めて速攻でツッコんだ。「なんだ、この下の名前は」と言う。履歴書の、名前の欄には、鈴木藻照と書いていた。鈴木は、もじもじしながら、「私、モテたいんですよね」と答えた。ダイダロス健二は、スルーすることにした。鈴木の体型は、中年太りが目立つブヨブヨで、筋肉はあまり無さそうだ。推定八十五キロくらいだろうか。鈴木はきいてもないのに、「私八十五キロなんですよね、これデブですかね」と言ってきた。推定は、見事当たった。ダイダロス健二は言った。「うん、あんたデブだね」と言って次の問いに入る。「どうして、うちに応募したの」と鈴木にきいた。「たまたま、ネットで募集してたのを見まして」と鈴木は答えた。店の電話が鳴った。「鈴木さんちょっと待ってくださいね、ドロー」と言ってダイダロス健二は電話に出た。「ドローン」とボソッと鈴木が言った。数分で、電話の会話は、終わった。鈴木が「電話なんだったんですか」ときいた。「うちで働きたいというおっさんからの電話だよ」とダイダロス健二が言う。「なんで、おっさんってわかるんですか」と鈴木が言う。ダイダロス健二は、声と喋り方がおっさんっぽかったと説明した。「じゃあ、最後の質問にするよ」とダイダロス健二が言う。鈴木は、もう少し面接していたそうだった。「うちで、働くにあたって、気を付けることと、どんなことをして貢献したいですか」と鈴木にきいた。鈴木は「一つだけ答えます、遅刻に気を付けます」と言った。「貢献の方は」ときくと鈴木は「最後の質問だったので一つだけ答えました」と言った。意味がわからなかったが、ダイダロス健二はゆっくりと頷いてしまった。数秒の沈黙の後面接は、終わった。

この後の数日後に鈴木藻照を採用にした。まだ人材集めは、始まったばかりである。次の面接の日にちはもう決まっている。面接相手は、鈴木の面接中にかかってきた、電話相手だ。この、おっさんもなかなかのやり手であろうと思う、ダイダロス健二だった。その予想は、見事的中するのであった。ちなみにダイダロス健二もおっさんである。


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